藤村 直美 九州芸術工科大学
そもそも「インターネット」と「教育」というキーワードで表される分野に関わったのは1992年4月にWIDEプロジェクトの中で「広域計算機ネットワークに関連した教育と技術移転」というテーマのワーキンググループ(EDU-WG)を立ち上げたのが最初でした。当時は、1988年から始まった国内のIP接続が、まさに増え始めた時期で、国内では100にも満たない組織が相互にIP接続していた状態から、急激にIP接続を行う組織が増え始めていました。関係者の意気込みは大変なものでしたが、実際にIP接続する方法が良く分からないまま立往生する組織も多く見られたため、必要な情報を収集し、公開する活動を行ったのでした。
その後、IP接続が比較的身近なものとなって来ると、大学を初め、小中高校における情報処理教育関連の様々な問題も目に入るようになりました。特に小中高校では活発に活動している人達がいるのですが、それぞれの連係が希薄で、相互に連係できると、もっと効果があるのではないかという問題意識を得ました。そこで、関係者が相互に情報交換を行えるように、1995年4月から1997年9月までニュースとメーリングリストを連動した情報交換の仕組みを運用しました。この活動はそれなりに効果があったと考えていますが、やはりメールなどで情報交換を行うだけでは不十分なことを痛感しました。
これがきっかけで、できれば世界の関係者が一同に集まって、直接議論できる機会を何とか実現したいと考えるようになりました。そこで、『インターネットを活用した教育革命』というテーマの国際シンポジウムを1996年12月4日(水)〜6日(金)の3日間に福岡市内で開催しました。これをERI96 (Educational Revolution with the Internet '96)と関係者は名付けました。ERI96では、日本ばかりでなく、世界各地から積極的に活動している人が集まり、相互に情報交換を行うことができ、大成功でした。
このERI96の成功と、東大の中山先生の強力な推薦があって、CECの国際化ワーキンググループのメンバーとして参加する機会を得ました。CECでも同様の主旨の国際シンポジウムを開催したいということで、いわば国際シンポジウム要員ということでした。1997年からほぼ1年間に亙って、新100校プロジェクトの国際化WGのメンバーとして議論に参加し、1998年7月1日(水)〜2日(木)に都内の京王プラザホテルで800人近い参加者が集まった国際シンポジウムを開催することができ、こちらも大成功でした。この時に、ERI96の時に知り合った多くの人達に再会でき、また新たに多くの人達と知り合うことができ大変有難いことでした。
この2年間、CECの国際化WGに(どちらかというと技術屋の)委員として参加し、ERI96の時に一緒に活動した先生達はもちろん、新しく赤堀先生や美馬先生を初め、多くの方々と顔見知りになり、楽しく活動することができました。これからのCECの発展はもちろん、小中高校の教育でインターネットが活用され、幅広い経験と高い見識を持った若者が育っていくことを祈ってやみません。