3.5.町内の学校における,ネットワークの教育利用

理科教育におけるマルチメディアの活用〜流れる水のはたらき〜

 小学校4年 理科『流れる水のはたらき』の学習において,校庭や川原での直接体験,本を利用した調べコーナー,石にふれる実物コーナー,地図・メールコーナー,チャレンジCDコーナー,自作ソフトでのコンピュータコーナー,教師が流れの速さの実験をしているビデオ,さらに高鷲北小学校,美濃小学校のホームページなど多様なメディアを活用した授業実践の報告である。
はじめに
 長良川の上流に位置する高鷲村,中流域に位置する美濃市と下流域に位置する輪之内町の3小学校が,小学校4年 単元「流れる水のはたらき」で,インターネットを利用し,相互に情報提供することで,ネットワークを有効に活用した実践である。
単元名 流れる水のはたらき
単元について
 本単元では,今までの学習や経験をもとに,地図で川の大まかな流路や付近の地形を調べた後,流水実験を行って,流れる水が土地の様子を変化させる働きがあること,その働きは流れの速さや水量によって変わることをとらえさせる。その後,実際の川の見学をして川の流れと川岸全体の様子を観察させる。また,川の上,中,下流のそれぞれについても同じ様なことがみられるかを資料から類推し,ふだん変化のない川も水量が増えたときは,土地を変化させる働きがあることをとらえられるようにする。これらの活動を通して,流れる水の働きと地面や土地の変化との関係についての見方や考え方を養うとともに,土地の変化を興味・関心を持って追究する態度を育てることがねらいである。
 このねらいに即して,子どもの様子を見ると,川原で石を拾うという経験をしている子どもがいる。また, 流れる水の働きには増水したときに家や大きな石をも流す力があることに気づいている子どももいる。しかしそれは,自然の様子の一面的な見方で,水の流れの様子と地面や川原,川岸の様子と関係づけてはいない。
 そこで,本単元では流水実験や実際の川の見学などを行い,それぞれの観察結果を関係づけて考えるようにしたい。特に,実際見学のできない上流から下流までの様子については,ビデオや図書資料,メール(他校からインターネットにより交流したメール,以下「メール」とする),コンピュータなどを使い,川の様子をとらえさせたい。また,一人一人がとらえた内容を発表し合い,一人では気付かなかったことにも関心を広げるようにしたい。
マルチメディアの活用の工夫
学習の場面
 本単元では,直接校庭や川原に出て自然の水の流れを観察したり,流れと流されるものとの関係を調べたりすることが大切である。しかし,川を上流から下流まで一貫して観察することは難しい。
 そこで,調べる段階において,自分に必要な情報を得ることができるように次の8つのコーナーを作り,映像やコンピュータ,メールなどの資料を活用したり,流水実験の結果をもとにしたりして,意欲的に川の水の働きと川岸の土地の変化との関係をとらえられるようにしたい。
@ 実物コーナー
 直接手で触れることができるよう上流・中流の石と前時に観察したところの砂や小石を置いた。
A ブックコーナー
 「川といっしょに歩こう」「川は友だち」「洪水」などの本を用意し,自由に調べることができるようにした。
B ピコピココーナー
 上流(高鷲村)・中流(美濃市)下流(輪之内町)の長良川の写真と音声が入力してあるコンピュータの設置。
C 地図・メールコーナー
 長良川の大まかな流路がかいてある岐阜県地図,長良川のかたむきの資料,上空写真,メール交換をしている高鷲北小学校や美濃小学校のメールの掲示。 
D チャレンジCDコーナー
 学習システム研究会のインターネット導入用教材ソフトの利用。
E ホームページ
 メール交換をしている高鷲北小学校,美濃小学校のホームページ。
F ビデオコーナー
 上流(高鷲村)・中流(美濃市)・下流(輪之内)で,教師が流れの速さの実験をしているビデオ。
G 前時までの掲示物コーナー
 前時までの学習のまとめをしたもの。
評価の場
 また,まとめる段階では児童のよさを広める方法としてデジタルカメラの活用,次時の学習への意欲付けとして,実物投影機の活用を考えた。
単元の目標
流れる水は川岸を変えるかどうかに問題をもち,雨水が流れる校庭の地面の様子を見たり,流路に水を流したりして調べようとする。
流れる水には地面をけずったり,土や石を運んだりするはたらきがあることをとらえることができる。
流れる水のはたらきが実際の川にもあてはまるかどうか,川岸の様子を観察して,川の変化と水量の変化について考えることができる。
単元指導計画(全12時間  本時10/12)
(1) 流れる水にはどんなはたらきがあるか。
@川のようすをくらべよう。
A地面を流れる雨水を観察しよう。
BC雨水が流れたあとに水を流すと地面がどうなるか。
D流れる水のはたらきについてまとめよう。
(2) 川の水のはたらきはどうか。
E地域の川を調べよう。
FGH川の流れや川岸の様子を見に行こう。
I上流・中流・下流では川の様子はどのように違うだろうか。
J災害を防ぐにはどうしたらよいだろうか
K学習のまとめをしよう。
本時の目標
自分に必要な情報を得るためにコンピュータや資料等を選択して,調べる活動を通して,上, 中, 下流の川岸の様子や川の石の形,流れの速さを知り,上,中,下流の流水のはたらきには違いがあることがわかる。

本時の展開

 

○成果と課題
 調べる段階で,直接触れることのできる実物コーナー,メール交換をして身近なものとして調べることができる地図・メールコーナー,ホームページコーナーなどを作ったことで,児童は自分が必要な情報を調べたい方法を選択して調べることができた。
 また,コンピュータに音声を入れたり,ビデオには児童にとって身近な教師が川の流れの速さの実験をし,その場所にいるかのような臨場感を与えたことにより興味深く見ることができ,意欲を持って楽しく調べ学習をすることができた。
 CDコーナーでは,高鷲村や美濃市,輪之内だけでなくその他の場所についても調べることができ,上流・中流・下流として考えることができた。
 このように,コンピュータや多様なメディアを用い,活用しながら興味深く調べ学習をしたことによって,必要な情報を選択して,活用する力を高めることができた。
児童の活動のよさをデジタルカメラで撮り,映像としてとらえ,他の児童に紹介することで,自分や仲間のよさを意識することができた。
意欲的に調べ学習ができ,調べたことを話し合うことができたが,交流場面での表現が十分とはいえないので,自分の思いを生き生きと話せるようにしていく必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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