4.3 インターネット導入に伴う問題点

4.3.1 小学校における問題点

○ 現状
 平成6年4月,文部省より「新整備方針に基づく教育用コンピュータの整備について」通知がなされ,平成6年度から地方交付税措置による教育用コンピュータの整備が6か年計画で進められている。平成11年度をもってこの措置は終了するが,小学校のコンピュータ整備状況は自治体により大きく異なっている。たとえば,研究協力校の三坂地小学校が位置している呉市では,平成8年度にすべての市立小学校に教育用コンピュータの整備を終了させており,コンピュータを授業に活用する取り組みが各学校で始まっている。一方,3つの研究協力校(小学校)が位置している広島市では,8校のコンピュータ教育研究指定校を設け,その研究成果に基づき平成10年度,11年度ですべての小学校に教育用コンピュータとしてノート型パソコンが整備される。
 コンピュータは,校内に1つ設けられたコンピュータルームだけに配置している場合がほとんどである。機器を一ヶ所に集めてあるため管理しやすいという利点はあるが,クラス数が多い学校では,利用率が上がれば上がるほど1つのコンピュータルームが取り合いになり使い勝手が悪くなるといったジレンマに陥る。また授業でのコンピュータ活用場面を考えてみても,1単位時間の間たえず児童がコンピュータを使い続ける授業もあれば,教師がワンポイント的にコンピュータを使いたい授業もある。さまざまな授業形態に柔軟に対応することが可能なコンピュータ配置が望ましい。そのためにはコンピュータルームだけでなく,各教室にもコンピュータが分散的に配置されていることが理想的である。過渡的措置として,持ち運びが簡単なノート型パソコンを導入するという方法もある。
 県内の公立小学校には,100校プロジェクト対象校やこねっと・プラン参加校があるが,校内LANを整備している学校はほとんどない。ネットワーク利用教育に関する研究は,情熱ある教師が細々と行っているというのが実状である。

 

授業に関する問題点
 教育用コンピュータ導入校からの報告によると,児童はコンピュータの基本操作を比較的苦労なく身につけてきている。小学校においては,特にコンピュータリテラシー育成を目標としたカリキュラムは必要ないという意見もある。
 むしろ問題は指導者側に関わる事柄が多い。たとえば,どの教科でどのようにネットワークを活用するべきかという実践的研究はほとんど進んでいない。それにもかかわらずすべての学校にインターネット利用環境を整備する,しかもそれは非常に短い時間(2001(平成13)年まで)で終了することが決定されている。100校プロジェクト対象校などの先進的な取り組みの成果も報告されてはいるが,クラス担任制が基本の小学校でインターネット利用教育を根付かせるためには数々のハードルがある。特に,教科指導にインターネットをどう位置付けるか,すべての教師がどのようにしてインターネットリテラシーを身につけるかの2つが大きな課題である。

 

○ 研修に関する問題点
 平成10年12月,新小学校学習指導要領が告示され,平成14年4月1日より施行される。新学習指導要領では第3学年から第6学年までに「総合的な学習の時間」が新設され,学習活動の例の一つとして情報が示されている。来るべき高度情報通信社会に適応するために,学校現場において子どもたちの情報活用能力を育成していくことはますます重要になってきており,指導者育成も含めた環境整備が急務であることはいうまでもない。しかしながら,学校にコンピュータが導入されてもほとんど活用されないといった事例も少なくない。このような問題を解決するには,授業用のコンピュータやネットワーク端末だけでなく,教師自身が日常的にコンピュータを活用しやすい環境も併せて整備することが必要である。特に,クラス担任制が基本である小学校においては,担当者だけでなくすべての職員がコンピュータやインターネットを日常的に活用しその特性や利点,問題点を経験的に理解しておくことが望ましい。すべての職員が特に理解しておくことが必要だと思われる事項を列記しておく。
・コンピュータの基本操作
・インターネットの歴史と文化
・インターネット上での危険行為(安全教育)
・情報倫理
・著作権

管理に関する問題点

 コンピュータが日常的な学習ツールとして定着することを妨げている要因として設置場所がある。普通教室やオープンスペースに設置されていていつでも使える状態になっている学校はごく少数で,ほとんどすべての学校では施錠されたコンピュータ専用教室や特別教室へ設置している。これでは,児童が自由にコンピュータを利用することができない。クラス担任がほとんどいつも教室にいる小学校では,児童が使いたいときに操作できるように,コンピュータを教室に設置してもよい。コンピュータは数か月サイクルで新製品が発売されており,性能の陳腐化が著しい機器である。厳重に保管しておくよりも,多少いたんでもどんどん使う方がより合理的である。
 今回のプロジェクトでは,参加校すべてにネットワークサーバを設置し,ネットワークやシステムの管理を行いながらインターネットの教育利用を推進した。しかし,ネットワークサーバの管理業務はこれまでの学校業務に比べてかなり異質であるため,「教員本来の仕事ではない。」といった拒否反応を示す教員も多い。学校におけるサーバ管理はどうあるべきか,学校ですべきこととアウトソーシングすべきこととを切り分け,何について外部機関から支援を受けたり連携したりするべきかということは大きな検討課題である。
 学校のWebページ公開にあたっては,個人情報保護条例の有無に関わらず人権について最大限配慮することが必要である。特に不特定多数に対して公開するWebページについては慎重に考えなければならない。一方,小学生の実態を考えるとき,文字・画像・音声などの情報を扱うことができるWebページを活用することで非常に大きな学習効果が期待できる。情報を公開するための手続きが煩雑過ぎると情報交換の即時性といったインターネットの特性が生かせなくなってしまう。先進校の中には,医療機関のインフォームドコンセントの考え方を取り入れて,児童・生徒や保護者に対してインターネットの活用状況を説明し同意を得るといった取り組みをしている事例もある。人権に最大限の留意をしつつ最大の学習効果を得ることができるような公開手続きを確立することが急務である。
 一方,特定の相手だけが閲覧できるようにWebページを設定することもできる。呉市立三坂地小学校では,自校のサーバにパスワードによるアクセス制限を行い3校間交流学習を実施した。(【資料1】参照)

 

4.3.2 中学校における問題点

現状

 本プロジェクトには広島市立中学校が2校参加している。両校とも,数年前にコンピュータ室が新設され生徒用のDOSコンピュータ21台が設置されている。広島市立中学校では学校によりFDDのみのコンピュータが設置されていたりCD-ROMが使用可能のコンピュータが設置されていたりするが,いずれもハードディスクやネットワークの機能はなくインターネットを利用することはできない。教育用コンピュータは平成10年度末から11年度にかけて最新のもの42台に更新され,コンピュータ室内でLANが整備される計画である。
 本プロジェクトに参加している広島市立古田中学校では,約30%の職員が個人所有のパソコンを文書作成や成績処理などの学校業務に活用している。コンピュータを日常的に使用している職員のうち数名は以前からインターネットを利用しており,2年前からは本校の職員を中心としてメーリングリストを運営している。このメーリングリストは職場でインターネットユーザを増やすことに役立ち,本プロジェクトに参加しようとする雰囲気作りに効果があった。本プロジェクトにより職員室にサーバが導入された後,職員室内と教官室数か所,理科室,事務室に校内LANを伸ばし,サーバ内にWindowsのファイル共有をする設定も行った。校内のLANケーブル敷設は職員数名で行ったため校内の限られた場所でしかLANを利用できないが利用者には好評である。

 

授業に関する問題点

 インターネットが利用できる生徒用のクライアントコンピュータがないために,授業では限定的な場面でしか活用できていない。たとえば理科の授業において,天文宇宙や地震に関する画像をWebから入手しておき,プレゼンテーションソフトで加工し液晶プロジェクターを使って提示するといった授業を試みた。市販のTPやスライドを使っていた従来の方法と比べ,データが新しく豊富であることや簡単に加工できることから,指導者の意図した授業の展開にあわせることが容易であった。また,理科室のコンピュータから直接理科の関連サイトに接続し,地震の発生状況やひまわりの画像を生徒に提示しながら授業を行った。回線速度が128Kbpsと速く生徒の学習意欲が持続可能な表示速度であった。生徒の興味を引くことで学習意欲を引き出すことができた。生徒自身が直接インターネット上から情報を得る疑似的な活動として,あらかじめ入手しておいた画像データをFDDに入れ,DOSマシンを上で操作するという内容の授業も実施した。この方法は,画像データの加工やFDDに入れる作業に手間がかかること,FDDに収まるデータが小さいこと,画像の表示に時間がかかるなど問題点が多い。しかしながら,自分自身が操作し個別に学習を進めることができたという点で生徒には大好評であった。また,課外活動において,生徒の中から希望者を募り,アメリカの中学校と電子メールを使った交流も行った(【資料2】参照)。

 

研修に関する問題点

 本プロジェクトによりネットワークサーバが職員室に設置され,現在までに7名が私物のコンピュータを校内LANに接続し教材研究等の業務に活用している。また,メーリングリストで日常的に電子メールの交換が行われ,Webページづくりもはじまっている。メーリングリストにはネットワークに精通している他学校からの参加者がいることや,必要に応じて本プロジェクト事務局からの情報を得ることができる。メーリングリスト参加者の間では,ネットワークを利用した教育の必要感や学校の情報化についての意識は高揚しつつある。
 大多数の職員のインターネットに対する印象は,「最新の情報が簡単に入手できる利便なもの」「教材研究のための資料を収集するのに有効な手段」といったプラスイメージである。しかし,有害情報を公開しているサイトがあることや,犯罪者がインターネットを使用していたといった報道により,教育利用の必要性に疑問を持つ者も少なくない。インターネット利用が学校内で広がりにくくなっている要因として次のような点があげられる。

@ コンピュータ初心者にとっては,インターネット活用以前にコンピュータ操作を習得しなければならないこと。
A 成績処理等の学校業務はコンピュータを使うことで効率化することができるが,職員室に複数のコンピュータを設置することが難しいこと。
B ネットワークには興味があるが,利用するためには,新たに多くの知識と技術を身につけることが必要だと思いこんでいる教師が多くいること。
C ネットワークを使った経験がなくインターネット利用教育の必要性を感じていないこと。
D 2001年にはすべての学校にインターネットが導入され,教育利用が始まるといった状況を知らない,または意識にない教師がいること。
E 授業や特別活動におけるインターネット活用の具体的な事例や成果の情報が不足していること。
F 生徒用の端末がなく,生徒が授業に活用することが困難であること。
 以上のような現状で,機器操作やインターネット利用の支援を進めていくには,校内に推進組織を設立し系統的な研修会を行うこと,さらに教育センター等の公的な研修体制を充実させることが必要だと考える。しかしながら,多くの中学校現場では,問題行動や不登校生徒の増加などさまざまな教育課題に直面しており,情報教育やネットワークに関する研修の必要感は高いとは言えない。現段階で系統的な研修会の設定は日程的にも職員意識の点でも受け入れられ難い。むしろ,日常的な場面でインターネットのおもしろさや有用性を紹介し,理解者を増やしておくことがインターネット利用を広げる近道のように感じられる。
 今のところ,教育用コンピュータ管理上の問題や倫理上の問題は発生していない。しかし2001年までにすべての学校にインターネット利用環境が整備される。生徒自身によるインターネットの本格的な活用がはじまる前に,有害情報へのアクセスや機器へのいたずらをどう防止するかなどマナーや倫理面の確立のため,教える立場と学ぶ立場から具体的なカリキュラムを立案し研修を重ねておく必要がある。

 

管理に関する問題点

 本プロジェクトでサーバの設置場所を職員室にしたことは意味があった。職員室は教師が教室の次に長く過ごす場所で,ネットワークサーバの稼動状況やネットワークプリンタの利便性をデモンストレーションすることで,職員の興味関心を高めるのに有効な場所であった。
 サーバの構築や管理に際しては,技術情報の提供方法と時間確保について問題を感じた。OSやネットワークについての知識不足から,サポート担当者から提供されたマニュアルだけではサーバを構築することができず,外部からの援助を必要とした。また,メーリングリストで他の学校の担当者と情報交換を行ったが,メールに書かれている内容が専門的で理解できない場合もあった。本来の業務だけで勤務時間を使い切っており,勤務時間中にサーバに向かうのはほとんど不可能であった。特に中学校では生徒指導等の突発的な出来事への対応や,クラブ活動指導があり,いかにサーバの前に座る時間をひねり出すかということに苦労した。サーバ稼働後も技能や時間の不足から,設定変更や追加及び日常的な管理運用が十分できていないのが現実である。インターネット専用線とサーバという恵まれた環境を生かすには,教育利用の研修に加え,サーバ管理等の技術を持つことが理想であろう。これらを身につけるには,いずれもかなりの時間と研修を必要とするであろう。サーバの管理や活用は深い専門知識や技術が必要で,学校現場の教員に期待するのは困難さを感じる。担当者として最低限の技能を明らかにするとともに,研修体制と専門知識を持つ技術者のサポート態勢を確立することが急務と考える。

 

4.3.3 高等学校における問題点

現状

 多くの小中学校では1つの職員室に全教員の机があるが,高等学校の教員は各教科ごとの教官室で過ごしている。各教官室は校舎内に点在しており,他教科の教員と連絡を取り合う手段は電話しかなかった。しかし,最近はコンピュータのネットワークを利用してLANを構築し,電子メールやファイルの共有を利用した業務の効率化を進めている学校がある。
 本校でも,すでに校内LANが構築されており,離れた教官室にいる同僚と共同で仕事をする時などに活躍している。「修学旅行のしおり」・「同和教育の総括」・「成績処理」など,多人数の原稿を集めるような場合にはその威力を発揮する。ただ,本校のLANは,サーバを置かずWindows95のファイルの共有によるピアツーピア形式のLANであるため,電子メールを使用して他の教官室にいる教員と,コミュニケーションを行うことはできない。また,誤って他人のファイルを書き換えてしまう危険性もある。しかも,このファイルの共有によるLANは小規模のネットワーク用の簡易的なものであり,将来,ネットワークが大規模になっていくと,不具合を生じる可能性がある。そこで,次期校内LANとしてインターネットおよびイントラネットの導入が考えられるわけだが,いくつか懸念される問題点がある。
 最初にあげられるのが,間違って伝わっているクラッカー(ネットワーク侵入者)情報である。校内LANでは生徒名簿や成績などの個人情報を扱うため,クラッカーにより外部に漏れたり書き換えが行われたりするのではないかといった過敏すぎるほどの心配がある。クラッカーに対する情報は,マスコミ等により大げさに伝わっているため,学校へインターネットがつながった瞬間からクラッカーが侵入してくると信じている教員がいるためである。そういった誤解から「インターネット反対派」が生まれている。特にコンピュータを使っていない教員ほどこの傾向が強く,コンピュータの知識も少ないので,誤解を解くための説明もなかなか難しい。確かにセキュリティに関して慎重になるべきであるが,「家庭用のテレビを使って,テレビスタジオから家庭を覗くことができる」くらい誤解している人もいる。彼らの抱いている妄想を取り除くのは,並大抵ではない。また,学校現場では「疑わしきは実行しない」のが原則であり,「インターネットは絶対安全か?」という問いかけに対して「絶対とは言えないが,努力する」では,なかなかインターネット導入に踏み切れない。
 次にコンピュータやネットワークに関する,用語や団体名に対する難しさがある。最近は日常会話にもコンピュータ用語が登場する場面もあるが,ネットワークに関する用語はまだまだ一般的ではない。インターネットやネットワークなどについて説明しようとするとき,まずそれらの用語の意味から説明する必要がある。したがって肝心の本題に入る前に,相手がインターネットの話題に対して敬遠気味となってしまうことが多い。今回の「ネット de がんす プロジェクト」を本校の教職員に説明する際には,まず最初にサーバやドメインなどの用語の説明から,CSI(中国・四国インターネット協議会)やCEC(コンピュータ教育開発センター)が,決していかがわしい団体で無いことなどを説明しなければならなかった。添付資料も膨大になってしまい,結局何を説明しようとしているのか分からなくなりそうでもあった。

 

授業に関する問題点

 コンピュータの用語は英語から作られた用語が多く,高校生の英語レベルなら用語を聞いただけで,およその意味も分かることも手伝い,小中学校の生徒に比べて,高校生はコンピュータの知識や操作の習得が驚くほど早い。コンピュータを使った授業は,他の授業に比べ興味が沸くことも知識の吸収に拍車をかけている。しかし高校生ともなれば,教員以上にコンピュータの知識が豊富な生徒もいる。また,授業で学習したり友達に教えてもらったりした操作方法に自分なりのアレンジを施して,ちょっとした悪戯を試してみたくなる。例えば,今回のプロジェクトに関わって実施した授業でも,エクスプローラを起動してハードディスクの中身を覗いたり,デスクトップのプロパティを変えてみたり,といったことはすぐに始まった。将来,生徒が頻繁にコンピュータを触ることとなったなら,もっと質の悪い悪戯に発展する可能性がないとは言えない

 

研修に関する問題点

  コンピュータを操作できる教員やコンピュータに関して指導できる教員の数が少ない現状で,インターネット,さらにはネットワークを利用した授業を実施することは難しい。ましてや設備・システムの管理となると不可能である。学校現場においてインターネットを導入しネットワークの利用を促進していくには,指導者や担当者の人材育成を急がなくてはならない。誰もが扱える設備・システムを設置することも大切であるが,あらゆる問題に対して適切に対処できる指導者・ネットワーク担当者の育成が最重要である。
 教員はインターネットの利用について生徒と比較した場合,大変自由度の大きい利用が可能である。また,「インターネットの利用のマナーとエチケット」を教える立場である。利用規定を作成した上で,教員の利用に対する研修会を定期的に行いモラルやネットワーク上の危険行為などについて研修を深める必要がある。

 

管理に関する問題点

 インターネットが導入された場合,やはり気になるのはクラッカーの存在である。今回のプロジェクトでは,ネットワークサーバのNAT機能によってファイアーウォールを構築しているが,国家機密を盗み出すような強大なクラッカーのアタックに対して100パーセント安全かどうか自信がない。ネットワークサーバの管理をこまめに行い,不審なアクセスがないか常に監視し,定期的に最新のセキュリティに関しての研修を受けるのがネットワークを管理する上で理想的である。しかし,これは教員が授業やクラス担任の仕事をしながら,できる方法ではない。将来は必要になってくると予想される学校におけるネットワーク担当者について,校内はもちろん,教育委員会や専門の機関などでも検討しておくことが必要である。
 外部からの侵入だけでなく内部についても対策が必要である。教員の技量を遥かに超えた生徒が雑誌やWebページで公開されている情報を参考にして校内のサーバにアタックをかけるといった事件が発生する可能性は十分ある。成績や重要書類を扱う職員用LANと生徒が授業で使用する授業用LANとを遮断しておく。つまり2系統のLANを設置することで校内の機密が漏れる確率は格段に低くなる。
 また,クラッキングと共に恐れなければならないのは,ウイルスの侵入である。本プロジェクト実施中にも,校内のコンピュータからウイルスが発見された。幸い,インターネットから侵入したのではなく,外部から持ち込んだフロッピーからの侵入であった。しかし,校内LANによって,全ての教官室のコンピュータが感染していた。「ラルー」と呼ばれるこのウイルスは,エクセルのマクロを増殖しコンピュータの動きを遅くするだけのウイルスであり,市販のウイルス駆除ソフトにより簡単に駆除されたが,ヒヤリとしたのも事実である。サーバへの不正アクセスを監視すると共に,ウイルス対策も怠らない必要がある。

 

[前のページへ] [次のページへ]