回答者の年齢は、35才〜39才が70件と一番多く、次いで40才〜44才の60件と、30才〜34才の40件となっている。回答者の職業は、公務員が136件と一番多く、次いで教職員116件と、教職員管理職24件となっている。回答者の性別は、82%は男性で18%が女性となっている。回答者の76%が子供有りで、24%が子供無しとなっている。
図1.2-2から図1.2-6は、RSACi型のレイティング基準に関しする意見「暴力」、「セックス」、「言葉」と「その他」および、「その他の事項に対する見解」に対するアンケート結果である。図の見方は、例えば「暴力」カテゴリの例をとれば、RSACiのレベルの「残虐」は「V4」に、「殺人」は「V3」に、「殺傷」は「V2」に、「争い」は「V1」に、そしてその他の軽度の暴力を意味する「なし」は「V0」にそれぞれ対応するつもりである。
全体的な傾向として、男性と女性では大きな差異が認められなかった。一般保護者のデータは3件と殆んど得られなかったが、教職員より強い規制を望む傾向が認められた。「子供のある人」は「子供のない人」に比べてより強い規制を望む傾向がある。
図1.2-7 他の事項に対する見解
図1.2-7の「他の事項に対する見解」は、RSACi型のレイティング基準には無いが、児童生徒の入手・閲覧を制限したいと思うものを頻度順に列記したものである。
@ 対象年代別調査結果の作成 清水紀久雄 山梨県総合教育センター
1件の回答の中で対象年代を複数年代にマークした場合は、その数だけの個別に回答したものと見なして度数を計算している。そのために、調査件数は313であるが、回答数合計は742となっている。調査件数の313件の回答者の対象年代は、小学校5・6年生16%と一番多く、次いで中学1年生14%と高校生14%となっている。対象性別は、92%が男女共通で、次いで男子5%と女子3%となっている。
表1.2-3の「対象年代別基準調査結果」の平均値は禁止、原則禁止、原則許可、許可に4、3、2、1のウエイト値を付けて、その回答数合計で割ったものである。百分率の計算は前者の4つに無回答を加え計算対象としている。また68.3%(正規分布曲線においてμ-σ≦x≦μ+σとなる確率が0.6826)を越えて最も少ない値になる隣接範囲を塗りつぶしてあり、濃くなっている欄は平均値に最も近いところである。
回答者が複数の対象年代を選択して回答している件数は135件(対象年代選択数/件数
2/28、 3/42、 4/17、 5/16、 6/4、 7/14、 8/14)ある。この回答は複数の年代に同じサンプルデータが入るので、対象年代間に有意差がなくなるように働いている。
表1.2 - 3 対象年代別基準調査結果
アンケート回収結果の分析 (その他の事項に対する見解)
清水紀久雄 山梨県総合教育センター
表1.2 - 4の「その他の事項に対する見解についての度数」の調査は、「暴力、セックス、ヌード、言葉、その他」を除いた事項で、教育的に見て入手や制限をすることが妥当なものに、回答者が印をつけている。付表2は印をつけた事項の度数であるが、私的嗜好、政治、一般的宗教、ゲーム、商品広告、自衛(機動)隊、画像・映像、避妊、ショッピング等の度数が低い。これは説明文の(
)内の注釈が、回答者の注意を引かないで、質問の趣旨が反映されない事項もある。
ここでは、回答者は( )内の注釈にとらわれず、一般的な言葉のイメージから教育現場で制限するか否かを判断していると解釈しているものとして、度数の低い9個の事項を除いて、30個の事項について回答のあった295サンプルについて数量化V類の手法を使って分析を行った。
付表3に寄与率を、付表4に事項(変数)のスコアを示す。変数スコアグラフを社会生活として、横軸は規範を、縦軸は行動を表す軸ととらえる。横軸は左にいくほど社会生活における規範に違反していると見なす。また縦軸は下にいくほど行動が束縛されると見なす。数量化V類では原点が中立を表すものでないため、事項(変数)のグラフ上の位置は各事項間の相対的な関係を表すと考える。
社会生活を示す図1.2-8 の「入手閲覧を制限したい事項」からみて、入手したり制限すべき事項は左上から斜め右下に向かって並んでいる。図1.2-8の3本の斜線で4つの範囲に分けて、各事項を次のカテゴリとして分類する。各カテゴリの名称は、禁止(すべての対象年代にわたって情報の入手閲覧を禁止)、制限(すべての対象年代にわたって情報の入手閲覧を制限)、制限・一部許可(情報の入手閲覧を制限するが場合によっては許可)、許可・一部制限(一般的な情報の入手閲覧は許可するが場合によっては制限)とする。
禁止には「チャイルドポルノ、犯罪・犯罪手口、悪の助長・悪の崇拝、ハッカー行為、偏見・差別の助長、薬物乱用、援助交際、カルト、反社会的組織、軍事・テロ、人権侵害、違法、反社会的言論、兵器、特定の宗教」が入る。
制限には「交際紹介・恋人募集、ギャンブル・くじ・賭博、悪趣味、オカルト、ゴシップ・噂話、右翼・左翼」が入る。
制限・一部許可には「チャット(匿名一般人との会話)、チャット(匿名児童生徒間の会話)、コンピュータプログラムの入手、民間療法(ダイエット・民間療法)、不必要(明らかに教育学習と無関係)、証券相場・先物相場、無価値」が入る。
許可・一部制限には「電子ニュース(教育的なものは除きます)、伝言板・掲示板(教育的なものは除きます)」が入る。
図1.2-8 入手閲覧を制限したい事項
表1.2 - 4 その他の事項に対する見解についての度数
Bその他の意見 清水紀久雄 山梨県総合教育センター
その他の意見として次のようなものが見られた。
「やはり表現の自由との関連が最も重要になると思います。特に思想や信教に関するものはそれをレイティングすること自体が非常に難しいと思います。客観的に判断できる評価基準がもてるもの以外は慎重に進めるべきだと思います。」
「学校教育の場なので、巷とは異なり、できるかぎり子どもを不用意に刺激し扇動する不適切な情報は排除したい。」
「例えば保健で避妊のことを授業でふれたとしても、中学校でそこまで立ち入るかは分からないが、インターネットで避妊のコンテンツを探すなどいう授業は、悪意があるなしを含めて、情報の信頼性などの面で考えられない。そのように考えられると、一部の調べ学習的に使う場面以外は授業としてはとてもきついフィルタリング、レイテイング基準でよいと思う。」
「調べ学習的に、様々なコンテンツをみて、比較して気づかせるような倫理面の教育を行うときにはある範囲で甘くしてもよいと思う。」