今後の課題の第1は、レイティング基準の国際標準化への対処である。英語教育でのインターネット利用を始め、外国製のコンテンツを学校教育に利用する機会は増大することが予想されるので、レイティング基準は日本独自のものでなく、国際的に標準化されたものを用いることが重要である。国際標準化団体としては、RSAC等の欧米組織が中心となって1998年に設立された ICRA (Internet Content Rating Alliance)
がある。ICRAはRSACiをRSACから引き継ぎ、各国の要求を採り入れて拡張することにより1999年末を目途に国際標準を定めることをねらいとしている。国内でもこれに対応する活動を推進する必要がある。
このためには、インターネットの教育目的への利用を推進する立場から、複数の利用モデルを設定し、これらのモデルに応じてレイティング基準に追加すべきカテゴリとレベルについて広範な意見を調査することが必要である。カテゴリとしては、上述の候補のほかにも、例えば「マインド・コントロール」「誹謗中傷」等を追加すべきだとの強い意見もあり、また、一方では電子商取引が本格化するとそれに関連したカテゴリも設ける必要があるとの意見もある。これらも含めて、カテゴリの必要性と客観的評価の可能性を検討する価値がある。
第2に、インターネット上のコンテンツはすべてレイティングの対象とするための施策を推進することが極めて重要である。そのためには、コンテンツを提供する者が自らレイティングを行ってHTMLヘッダーの中にラベルを埋め込む「セルフレイティング」を促進することが望ましい。特に、学校教育のために作成したコンテンツに自らラベルを付すことは比較的容易であり、教育関係者の相互利益のためにもなるので、ぜひとも推進すべきであろう。商業用コンテンツについては、著作権管理のための情報を付加する動きが始まっているので、それと合せてレイティングのラベルを付すことを要望するのが現実的と考えられる。
しかし、セルフレイティングは、コンテンツ提供者の恣意的な判断に基づいて行われる恐れも一概には否定できない。また、セルフレイティング促進策を実施しても、その成果が100%のコンテンツに及ぶことを期待するのは現実的ではない。従って、セルフレイティングの促進と並行して、第3者によるレイティングを継続することが必要である。現在、日本のコンテンツを対象とするレイティングは、NMDAによるものが最大であるが、その維持管理を行うための体制を確立する必要があろう。また、レイティング作業をできるだけ省力化する技術、レイティング情報の真正性を確認する技術等の開発が必要である。