(1)本企画のねらい
インターネットを取り巻く技術的発展は、インターネット上で動画を見ることさえ可能にしている。クイックタイム3.0やビデオクリップを簡単に撮影できるデジタルカメラの登場により、従来よりたいへん簡単にビデオクリップをWeb上に発信できるようになった。また、通信環境の向上により、今までより高速で高品質な通信環境も次第に整いつつある。このような環境の変化を背景に、ネットワーク上でビデオクリップを教育に利用する教材の作成が可能になってきたといえる。そこで、平野小学校では全国の教育現場の方と共同で、ビデオクリップを利用した教材リソースの共同製作を呼びかけることにした。ビデオクリップを利用した教材をネットワーク上で共同製作するのがこの企画のねらいである。
このプロジェクトでは、ビデオクリップを利用した教材をネットワーク上で共同作成し、Web上に公開することによって、動画を用いた教材を共有することをめざしているが、これらの動画を用いた教材は実技を伴う体育や家庭科などの教科学習や「方言調べ」など地域差を生かした学習などにも役立てることができると思われる。また、理科の実験器具の取り扱い方や算数のコンパスの使い方など、各教科の補助的な教材としても役に立つと考えられる。
(2)本企画の実施方法 図7
今回利用するビデオクリップは、SANYO社製のデジタルカメラ(DSC-V100)を標準のサイズとして作成したいと考えている。このデジタルカメラは320×240ピクセルの動画を音声付きで5秒間記録することができ、保存されたファイルは、約850kb程度の大きさになる。
このデジタルカメラは通常の静止画を撮影するのと同じ手軽さで、ビデオクリップを撮影できる。また、撮影された動画はスマートメディアにavi形式で保存されるので、フロッピィーディスクアダプター(フラッシュパス)を経由して直接コンピュータに保存できる。コンピュータに取り込まれたaviファイルをそのままFTPでWebサーバに転送し、htmlファイルからリンクを張れば、クイックタイム3.0のプラグインがインストールされているブラウザ上で動画を再生することができる。画像ファイルのコンバートや特殊なタグの使用など、めんどうな手間が必要ないのも利点である。
今回の教材作成に当たっては、画面の大きさやファイルの大きさなどをこのビデオクリップと同サイズのものとなるような基準を設け、これに準じる形で作業を進めて、教材としての統一化がはかれると考えている。一般的には、ビデオカメラで撮影した画像をビデオキャプチャーボードでコンピュータに取り込み、動画編集用のソフトでビデオクリップに加工する。画像サイズは320×240ピクセルで、MPEG形式で保存し、画像サイズは1Mbを越えないものを標準とする。
教材によっては、顕微鏡用のビデオカメラや水中ビデオカメラなど、デジタルカメラで撮影できない動画が必要になるため、これらの動画を加工する際に、上記の標準サイズで加工すると教材としての統一化がはかれるだろう。
(3)作成の手順
平野小学校のWebサーバに共同作業用のディレクトリを設け、このディレクトリにはこのプロジェクトの参加者それぞれにアクセスのパーミッションを設定し、自由に読み書きができるようにしておく。参加者はこのディレクトリに素材となるファイルを転送する。もちろんaviファイルだけでなく、このビデオクリップを利用した教材用のhtmlファイル
図8
なども転送することになる。
このディレクトリに保存されたビデオクリップやhtmlファイルは、参加者が自由にコピーや加工してもよいという了解を事前に得ているので、参加者がこのビデオクリップを利用してそれぞれ思い思いの教材用htmlファイルを作成することができる。例えば、A校で作成したビデオクリップとB校で作成したビデオクリップを利用して、C校が自校用の教材用htmlファイルを作成することができる、ということである。
今年度末までに作られた教材はCDRに焼かれて参加校に配布される。
(4) 作成されたビデオクリップを利用した教材
以下、今年度作成された教材の中から、一部を紹介することにする。
@サンパウロ・パウリスタ大通り
図9
A水彩画
図10
B跳び箱
図11
C手旗信号
図12
D指文字
図13
E滋賀弁講座
図14