観測データは電子メールで交換されるが、電子メールによる情報はある地域の状況を知るためには有効であるが、同時刻の全体的な天気の傾向を知るには不向きである。そこで昨年度までは、電子メールで届いた観測データを担当が手作業でhtml化して全体的な天気の傾向を児童がとらえやすくしていた。作業が繁雑な点についてはいうまでもないが、なにより作業が教師の手によるものなので、便利ではあるが、自分達の観測したデータであるという感覚は薄かったように思われる。そこで98年度は観測したデータをすぐにWeb化できる仕組が、事務局の支援のもとに開発された。実際の入力方法は以下のようである。
1)パスワードを入力し、記録画面に入る。
2)自分の地域をプルダウンさせる。
3)日にちをプルダウンさせる。
4)観測時刻を、プルダウンさせる。
5)空の雲の量により、「快晴」「晴れ」「くもり」「雨」の天気をきめ、プルダウンさせる。
6)気温をテンキーより入力
7)送信する
図15
図16
Webは誰でも見ることができるが情報の記入は関係者のみとするため、パスワードを設定した。また誤った情報を入力してしまった場合は、正しい情報を上書きすることが可能で児童にも大変つかいやすい仕様となった。表示は観測データの一覧表の他に、最高気温最低気温、天気の集計などを表示することもできる。しかしすべての地域のデータから天気の変化の傾向を読みとることは5年生の児童には負担が大きかったので、比べたい地域を選択し表示できるような方法も今後考えていけたらと思う。
(1)これまでの成果と問題点
1999年度から新たに企画された新酸性雨調査プロジェクトは、1995年から実施されてきた酸性雨調査プロジェクトの成果と反省の上に立って、新しい発展を目指したものである。1995年6月から1998年3月までの実践を通しての成果と問題点をまとめると次のようになる。
・成果
(1) 学校の校種だけでなく、学校の中における様々な集団あるいは個人を包括した多様なグループによる共同学習が可能であることが、このプロジェクトを通して実証できたこと。
(2) 共同学習の目的は、参加している学校によって自由に設定する事が可能になったこと。プロジェクトの参加校として必要な作業を実行していれば、その他の事は参加校の自由裁量で進められる、束縛のゆるい共同学習の実証ができたこと。
(3) 参加校の教師と生徒が作る教育的な意味を持ったデータベースの構築ができたこと、データベースを使った教育活動の実験的な試みができたこと。
(4) 「酸性雨」を教材にした環境教育において、インターネットの利用が大変効果的であることが実証できたこと。
(5) 全国的な共同学習のバックアップ体制の構築について、運用上の諸問題も含めて実証できたこと。
・問題点
(1) 「100校プロジェクト」がインターネットの教育利用を目指した実験的なプロジェクトであったために、参加校の意識が「酸性雨」や「環境教育」よりも「インターネット」の利用にあった。そのため、でき上がったデータベースをどのように教育に利用するかについての実践が不十分であった。
(2) 登録されたデータをどのように加工するかは、参加校にまかせるという姿勢で運営してきたが、参加校の教師にも経験のない新しい取り組みであっただけに、全ての参加校にデータの処理をまかせるのは無理であった。ある程度加工したものを、プロジェクトのホームページに掲載する必要を実感した。
(3) 教師の移動によって担当者が変わることが多いことも、このようなデータ蓄積型のデータベースの運営には障害の一つとなる。継続的なプロジェクトの運営をどのように行うかも課題である。