メーラ等の仕様の検討に入る前に、現在急発展を遂げているホームページ等のWebデザインについて言及する。
わかりやすい、使いやすい情報発信というのは、本来受ける側が個別に考えるのではなく、発信する側が受け手のことを思いやって、相手に伝わりやすい形態で発信する姿勢が必要である。インターネットの接続者は世界中で数億ともいわれ、誰がその情報を見るかはわからないのだが、外国人が見ることを想定して英語ページを作るなら、それと同様に障害児・者のことを想定したページデザインがあってしかるべきである。
具体的には、視覚障害の人がそのまま画面情報を音声合成装置にかけて音声読み上げができるよう、テキストのみのページを設定することは有効である。また、知的障害児・者や外国籍の人々のためのひらがなを中心にしたページなども考えられる。
こうした特別なページを設けるほか、通常のWebデザインにおいても、「背景と文字が複雑に重なり合って画面が読みとれない」「1ページが長くて、延々とスクロールしないと情報が読めない」「色使いに統一性がなく、リンクできる情報がどこかわからない」「写真や絵を多用し、画面を開くのに時間がかかる」など、読み手のことを考慮していない独りよがりのWebデザインを見かけることも多い。ほんの少しの思いやりとイマジネーションで、誰もが利用しやすい情報発信になると考えられる。
一般的なWebデザインをするにあたっても、障害児・者も含めた多様な読み手を想定した、いわゆるユニバーサルデザインの発想を取り入れることで、インターネット環境はより豊かなものになる。具体的なガイドラインについては、いずれ正式な検討をしたいと考えているが、現時点で考えられ、すぐに取り入れられると思われる配慮点は以下のとおりである。
・ 少なくともトップページには、写真など読み込みに時間のかかるものは入れない
・ 背景に凝りすぎると地に図や文字が重なり合って読みにくくなる
・ 色使いを考えて、特に青い文字はリンク情報と思われるので使わない
・ 可能な限り情報はスクロールしないでも読めるようにまとめる
・ 文字情報は箇条書きにし、文頭に通し番号を入れると音声化してもわかりやすい
・ テキストのみページを作成すると視覚障害児・者や情報素材を求める人に便利
・ ひらがなページもしくは平易な書き方にしたページは、知的障害児・者や子供に有効
図4.6.1.1 ホームページの例
<第二教育センターHP 子供のページ>
図4.6.1.2 ホームページの例
<東京都HP>