本年度の研究では主に各学校における事例をもとに、重複障害児のコミュニケーションスキルを拡大するために必要なコミュニケーションツールの仕様や考え方、および教育的な対応について検討した。
しかし、これらがどのように有効であるかという点については、実際にこうした条件を満たしたツールを試作するなどして、実践的に検証し、試行錯誤をしていく必要がある。
障害児の教育は、一人ひとりの子供の障害の状態や、教育的なニーズに応じた個別的な関わりでもあるため、必ず実践的な関わりが必要である。そうしてある程度の汎用性は得られるが、実際の日常の学習活動における活用にあたっては、さらなる柔軟な対応が必要である。
よって、これらの検討結果を基に、使いやすいメーラをはじめとしたコミュニケーションツールの開発と試用を行い、知的な障害を併せもつ重複障害児の教育の可能性をさらに広げ、同時にこうした優しい操作環境のわかりやすいコミュニケーションツールの普及を図ることとした。