3.3.6 交流の実践

3.3.6.1 同志社国際中高等学校

ヒレル・ワイントラウブ

(1)参加に至る経緯
 1994年にメディア教育をテーマにした特別な授業が同志社国際中学校高等学校で設けられた。これは1年間を通し、週2回生徒はメディアについて考え、それに関わった活動をするという点で大変重要であった。他の参加校では生徒にこのような時間を作るのに苦労していたため、Me and Media への関わりにバランスの均等さが見られなかった。
 この Me and Media は本校の選択科目の1つであり、教師はカリキュラムを自由にデザインできるため特別な許可は必要ではなかった。しかし、1996年と1997年にCECからのサポートを受け始める時は校長が許可を出した。

(2)ねらい
 このプロジェクトの創作者として目的は一貫性を持たせてきた。それは生徒自身の生活に個人的な重要さを持っているトピックについて活発に考え、様々なメディアのインプット(受け入れ)とアウトプット(創造)を理解することであった。同時に"media" と "technology"などといったコンセプトを再定義することによって意味の本性について理解してほしかった。私たちの目的は首尾一貫しているが、これを成し遂げる方法はかなり柔軟なものとなっている。毎年学ばれているテーマとコミュニケートする手段は生徒、教師、参加している学校とその学校が持っている機材によって変わっている。

(3)テーマの選定
 大まかなテーマはメディアである。しかし、このテーマは幅広く定義つけられ、マスメディアと共に、私たちが"パーソナルメディア"と呼んでいるものが含められているため、このプロジェクトではあらゆるテーマを研究することができる。私たちは生徒に個人的な興味があるテーマを選ぶように伝えている。それはどの時点からでもメディアについて考えることができると思っているからだ。ポップカルチャーは学校で学ぶテーマとしてふさわしくないと思われがちだが、将来の社会の中で無関心な消費者以上の人になるには大変重要なことだと思う。このプロジェクトで研究されているテーマのほとんどがポップカルチャーと関わりを持っている。例えば、映画、音楽、たまごっち、漫画、ファッションなどといったものである。

(4)交流状況
  今年の交流には様々な形態があり、問題もあった。問題点の一つとしては、国によって新しい年度が始まる時期が違っていたことが挙げられる。また、各学校により機材も違えば電子メールやコンピューターのアクセスも違っていた。
  本校の生徒は9月から自己紹介メールを送り始めていた。各グループにメーリングリストが作られたので"メディアとしての音楽"というグループの生徒が"音楽"のメーリングリストに手紙を出した場合、生徒41人と先生8人がその手紙を受け取った。生徒同士のコミュニケーションを活発にさせるために電子掲示板(BBS)も作った。はじめの数ヶ月間は15人の生徒と教師がアイディアを書き込み、1月には新しい掲示板が始められ、11個のアイディアを現在見る事ができる。

(5)インターネットの活用方法
 この2ヶ月間、何校かはホームページを作成し始めている。これらのホームページはヨーロッパ内の5校、アメリカの1校と日本内の5校間での交流の一部となる。学校によってホームページを作成する能力も違っているが、どの学校も興味を持っていることは確かである。本校ではデジタルカメラやスキャナーを使ってホームページ用の画像を取り組んできた。私たちが使用した一番のメディアはインターネットを使用したものではなく、各学校の生徒と先生のコミュニケーションがそれに値する物であった。これからのチャレンジはこれらのコミュニケーションを公にし、私たちの共同体をより多くの人々に公開するということである。

(6) 交流前後の教師、生徒などの意識の変化
 共に働き、考え、創造することによってこのプロジェクトに参加した教師と生徒全員の視野と定義は広がりを見せたと思う。"コンピューター恐怖症"だと思っていた人も技術の力強い一面と気軽に交流を持てるのだと自分に自信を持てるようになった。これはたいへん重要なことである。

(7) 評価
  現在の時点では、小人数のグループ、時にはペアを組む事が大切だと思う。今年のグループは大きすぎたので多くの生徒は同じグループにいた数人とあまり話せなかったのが残念だといっている。このプロジェクトの初年度では日本とドイツの2校で、生徒にペアを組ませた。また、ビデオも交換したためにお互いのつながりを意識し、それ以降のコミュニケーションにより深い意味を持つものとなった。

3.3.6.2 京都橘女子高等学校

落合 直之

(1)参加に至る経緯
 本校では今年度末にコンピュータ教室(50台)を開設し1998年度から「コンピュータ・スキルズ」という新しい科目を開講する予定である。その準備にあたった情報教育委員会でコンピュータを使った教育内容と指導方法について検討を重ねてきたが、その一環として何校かの学校を訪問するなかでMe&Mediaプロジェクトを紹介された。英語教員としてまた委員会の一員として、このプロジェクトは意義深いと思われたので委員会でも議論をした上で参加することを決めた。
  授業としての参加が望ましいと考えたが、その場合はねらいの明確化や内容の具体化等諸準備が必要である。その点を考慮し、最終的には課外活動として実施することを決めた。今回は試行錯誤を重ね、課題がより明確になることを期待している。

(2)ねらい
 今後コンピュータやインターネットがますます我々の日常生活に広がって行くことは間違いなく、教育の中でもその利用法が大いに注目されている。
  英語教育に関しても、コミュニケーション重視の流れが強まるなかで、インターネットの交流手段としての役割はますます大きくなっている。
インターネットの生み出した二つの利点
@手紙より早く、電話より安く相手と交流できる
A交流相手を容易に探すことができるを生かし、このプロジェクトを通してインターネットを利用した取り組みを授業に導入する準備をしたいと考えた。

(3)テーマの選定
  Me and Mediaプロジェクトの目的はインターネットを使って単に交流することではなく、「メディアとは何か?」を考えることだと理解している。また、海外の生徒との交流はその過程の一部だと考えている。
生徒に対して、このプロジェクトに関して説明する際、上記の点を重視することが必要だと考えた。そして、まず第一に生徒に「メディアとは何か?」を意識させるために「メディア」の定義を求めた。生徒からの答えは、「ラジオ、テレビ、新聞、雑誌」というものであった。その後更に、自分とメディアの関係を考えさせてみることにした。その経過を経て、最終的に「メディア」は「情報を得る手段」という定義に落ち着いた。それから、この定義をもとに、Me and Mediaプロジェクトに挙げられているサブテーマについて、それぞれが「メディア」とどのように関連しているのかということを話し合った。そのなかから生徒は最終的に「広告」を選んだ。

(4) 交流状況(活動内容)
 現在、生徒6名と指導者2名が課外活動として取り組んでいる。活動日は特に決めていないが、相手からのメッセージがあれば(週一回程度)集まって対応している。コンピュータが現在一台しかないため、メッセージ作成は6人が順番に行っている。一回の集まりのおおよその流れは以下の通り:相手のメッセージを要約→内容を話し合う→返信内容を考える→メッセージ作成と送信。今後、広告に関してアンケートを作って発信することと、交流した内容やアンケートの結果をまとめてホームページで発表することを予定している。

(5)インターネットの活用方法
 現在はコンピュータ一台(Window95機, ISDNでダイルアップ)でe-mailとMe and Mediaのbbsを使って相手との交流をしている。今後アンケートを作って発信する場合、より多くの人に答えてもらうためには違う手段が必要だと考えている。
そして、まとめのホームページを作る際、ホームページ作成ソフトやスキャナー、デジタルカメラなどの画像テクノロジーを使いたいと思っている。

(6)交流前後の教師、生徒などの意識の変化
 プロジェクトに参加している期間が短いため、はっきりした成果はまだ見られないのが事実である。しかし、いくつかの生徒の動きが見られ始めた。まず、生徒は自らタイピングの練習をしたいと言いはじめたこと。早速タイピングの練習を開始した。これはもちろん、生徒がメッセージを打っているとき、自分の打つスピードが遅いと気づいたからであろう。そして、英語に関しては、やりとりの中で知らない単語や表現が多くあることに気づき、語彙の勉強の必要性を実感し始めた。この実感が自発的な行動につながれば良いと思っている。まだ、交流が始まったばかりということもあり、テーマ「広告」に関しての意識の変化は見えず、今後に期待している。

(7)評価(効果・課題)
  このプロジェクトを通して、インターネットの教育的な可能性は大いにあると確信している。しかし、授業導入までにはいくつかの課題を越えなければならない。

1)授業のねらいの整理
 授業のねらいはテーマについての理解を深めることに置くべきである。あくまでも、交流はその過程の一部として設定することが望ましい。テーマを重視すれば、それなりに交流の内容も深まる。
  語学面での狙いはいくつか考えられるが、特に、実際に英語を使って相手とコミュニケーションをとることは生徒にとって言語の本来的意味を考えさせるよい機会となると確信している。英語がコミュニケーションの道具であるという実感は、生徒の学習意欲と動機に深く関係している。

2)授業内容の具体化
  他の授業と同じく、授業の計画をする際、導入・展開(活動内容)・まとめ、という三つのステップをそれぞれ深めていかなければならない。導入では生徒にテーマを意識させ考えさせることが必要である。活動内容を設定する際、インターネットによる交流以外にも、さまざまな情報収集が考えられる。最終段階として、学習してきたことのまとめとプレゼンテーションが大事だと思う。そのプレゼンテーションの形態に関しては今後検討しなければならない。

3.3.6.3 松山東雲中・高等学校
國原 幸一朗
(kunihara@shinonome-hs.matsuyama.ehime.jp)

(1)参加に至る経緯
  本校は普通科と英語科に分かれているが、昨年より英語科は修学旅行の行先を変更し、オーストラリアでのホームスティや研修を通して国際交流を進めようとしている。
  相手校と電子メールを交換することから交流をはじめ、修学旅行後もホームスティ先とのメールの交換を自主的にしていたようである。英語科1年の生徒も来年度の修学旅行に向けて、電子メールの送信・受信方法を習得させ、ホームページの見方や作り方を学ばせて事前学習を進めようと考えていた。今年度は英語科と社会科、理科の教員が適宜時間をとってTTで総合的な学習を試みようとした。5月初旬に担当教員が集まって授業のねらいや進め方などについて話し合った。その結果、@インターネットや文献、ビデオなどを通して、オーストラリアについての理解を深め、自分の意見が的確に表現できる力を育成すること、A電子メールの交換を通して、お互いの国の文化や社会に対する関心を高めるとともに、今日の課題にも気づかせ、解決方法を考えさせること、B教科を越えて取り組むテーマとして「環境」を設定し、相手国やわが国の他校の実践成果をふまえながら、グローバルな視野で解決方法を考えられるようにし、2学期には共同利用企画にも参加することを目標とした。ところが、昨年交流を進めてきたオーストラリアの学校と交流活動ができなくなり、国内のいくつかの学校にもメールを送って呼びかけたがうまくいかず、交流先が決まらないという問題に行き詰まってしまった。しかも環境問題は生徒にいま一つ関心を喚起し、理解を深めさせることができず、せっかくの合科授業も成果が出ない状況であった。「 Me and Mediaの展開」に参加することで、教師と生徒双方の意識が高められ、インターネットをより効果的に活用することができるきっかけになると考え、この企画に参加した。

(2)ねらい
・資料やグループ学習を通して、選定したテーマに対する理解を深めるとともに、インターネットを通して、テーマに対する様々な見方・考え方を知る(異文化理解)
・インターネットを通して、英語で自分の考えを述べ、相手の考え方を知り、交流が継続できるようにする(コミュニケーション能力の向上)。
・自分の意見をまとめたり発表したりするのに最も効果的なメディアは何か、メディアを通して自己を見つめることができるようになる。

(3)テーマの選定
  本校の情報教育推進会で本企画の参加について話し合い、企画の進め方などに関る書類を送付した。11月に研究校採用の連絡を受け、その後の11月と1月の研究グループ会議の内容をふまえ、準備に取りかかった。テーマの選定は11月の会議後すぐに済ませてしまいたかったが、学期末考査や学校行事などの理由で授業時間を確保することができず、1月に持ち越すこととなった。生徒の意志を尊重し、担任が中心となってどの生徒がどのテーマを担当するかを決めたようである。その結果、films 2名family3名、sport 5名、culture 11名、nationality 3名、internet3名、race2名、music 5名、cars4名となった。各グループ、リーダーと書記を決め、リーダーは話し合いの司会やメール送信・受信の責任者として、書記は話し合いの内容を書き、フロッピーに保存する責任者となった。

(4)交流状況
 自己紹介とテーマについてグループの意見をまとめ、フロッピーに保存するまでに時間がかかり、現在やっとメールを送れるようになったという状況である。担当教員の体調不良や突然の停電によるアクシデントなどもあって、思うように授業時間が確保できなかった。担当教員が1月27日に同志社国際高校の授業を参観させていただきその内容をビデオに収録した。ビデオは授業で生徒に見せ、生徒に刺激を与えることができた。現在授業の感想をまとめ、メールを送ろうとしている。

(5)インターネットの活用方法
 本校のパソコン教室はパソコン25台、うちインターネットができるものは5台で、ビデオやプロジェクターなどの視聴覚機器が同室にないため、パソコンが1つの道具やメディアとはなっていない。今年度当初よりクラスを3つのグループに分け、理科を学習するグループ、英語でメールや文章を作成するグループ、インターネットの学習をするグループとし、週ごとに替わる方法をとった。これでは1時間の授業内容を全員に理解させるのに約1カ月かかり、次のステップに進むときにはもう1回同じことを説明しなければならない。放課後、時間を取ってしようとしたができなかった。

(6)交流前後の教師、生徒などの意識の変化
 まだ交流が十分にできていないが、インターネットを利用した新しい授業の試みは生徒と教員の関心を引いているようである。最初はメールを送ることができた時、様様なホームページの出来映えに感動するが、この感動を授業に継続させる工夫がいる。
自分の表現したものが成果となってあらわれるので、積極的に学習に取り組めるようになった。コンピュータ教室の授業を楽しみにしている生徒もいる。先進校の授業は生徒や教員にも刺激を与え、新しい授業の創造、総合学習を導入した教育課程の確立に向けて少しずつではあるが進みつつある。

(7)評価(効果と課題)
  短期間で成果をあげようとしたので、生徒や担当教員に負担を強いることとなったがお互い興味をもって参加していたので、今後につながる試みとなった。とにかく時間がなかった。本校の実情を考えるともう少し時間がほしかった。ビデオの交換や本校ホームページに掲載することも間に合わなかった。また研究グループ会議の内容を担当教員に理解してもらい、具体化するのに時間がかかった。しかし担当教員が先進 校の授業を参観してから、意識統一ができるようになり、現在本格的に進みつつある。
教育課程での位置づけや設備環境など課題は多いが、活動を継続していければと思う。

3.3.6.4 帝塚山学院泉ヶ丘高等学校

三村 浩一(Koichi Mimura)
Phone: 06-852-3066/050-796-7664
E-mail: mmimura@pc.highway.ne.jp
URL: home2.highway.or.jp/mmimura/

(1)はじめに(プロジェクト参加前の状況)
 本校は100校プロジェクト参加校ということもあって、1995年後半のインターネットサーバー導入以来、英語科(国際科を中心に)はインターネットを使った教育を模索し、実践している。とりわけ、E-mailを使った交流については、それ以前からパソコン通信を利用して北アイルランドと行っており、強い関心を持っている。1997年の9月にPCL教室が設置され、50台のパソコンからインターネットにアクセスでき、メールの送受信が可能な状況が生まれ、インターネットを使った教育実践のハード面に大きな後押しができた。これを機会に私は普通科の1年生の一部を対象にライティングの指導の一環として、E-mailを使った海外との交流を始めることにした。
 普通科1年は男子のみの4クラス、160名であるが、初めから全員の指導は手にあまるので、まず担任のクラス(4組47名)からスタートした。交流相手はカナダのSt Margaret Schoolという女子の国際学校で、同じ年齢の10年生の生徒である。これは同僚の辻先生の紹介によるもので、47人分のアドレスを送ってもらい、本校の生徒にアドレスを発行するところから実践を始めた。
 次に、メールソフトを何にするかが大きな問題となった。本校のPCL教室の生徒のパソコンにはOffice97とInternet Explorerがプリインストールされているが、1つのパソコンを複数の生徒が利用するために、複数ユーザ利用に対応したメールソフトを使う必要がある。Outlook97にはこの機能があるものの、使い方が難しいので、Almailというシェアウェアを使用することにした。
  Almailを各パソコンにインストールした後、生徒にデータ収納用のフロッピーを与えて、セットアップをさせるのであるが、大多数の生徒がWindowsに慣れておらず、セットアップだけに1、2時間を要した。そのあと自己紹介文の下書きをさせ、それをチェックしたあとパソコンに打ち込み送信させた。人数が多いので、指導が大変であったが、何とか全員が交流相手に最初のメッセージを送ることができた。その後は昼休みを利用してメールのやりとりを行っている。

(2) プロジェクト参加とねらい
 メール指導を他のクラスに広げようと考えていたときに、このプロジェクトの話があった。プロジェクトの趣旨、特にホームページを使った発信型の学習形態に興味を抱き、参加を申し込んだ。生徒に新しいメディアであるインターネットを能動的に利用する機会を与えたいというのが最も大きな理由であった。もちろん指導する私も決してこの分野においては素人の域を出ておらず、生徒を指導しながら自分でもホームページの作成などを学ばなくてはならないので、それなりの覚悟が必要であった。

(3)テーマの選択と自己紹介文の作成
 今回は別のクラス(1組42名)をこのプロジェクトに参加させることにした。本プロジェクトのコーディネータである同志社国際高校のWeintraub先生の指示に従って、テーマを選ばせて、メールグループに自己紹介文を送ることから始めた。テーマについてはsportsとmusicが圧倒的に多く、16名と12名の生徒が選んだ。あとはtelevision, religionが3名、privacy, nations, filmが2名、women/men, comicsが1名であった。自己紹介文については4組の生徒と同じように下書きをさせて、大きなミスだけを添削して、そのあと入力させた。生徒は英語を書くことにはまだまだ慣れていないので、できるだけ添削をしたいと考えている。授業を2時間この作業にあてた。それでも終わらない生徒は昼休みや放課後を利用してほぼ全員が何とか年末までには自己紹介文を送り終えた。生徒のアドレスとテーマは一覧表にしてWeintraub先生にメールで送った。Me and Mediaのホームページに指導教員の私と生徒が紹介されている。

(4)交流の状況
  年が明けると生徒の自己紹介文に対する反応が少しずつ入ってきた。昼休みや放課後PCL教室を開放して生徒にメールのやりとりをさせている。生徒はつたない英語ながらも、積極的に取り組んでいる。スロバニアの生徒に送ったメールを紹介する。

Hi, Lucia!

Thank you for your letter. What band is the prodigy? I don't know about Slovak music. Please tell me more about Slovak music. I practice playing the bass guitar every day. My playing the bass improves a little. My favorite Japanese band is Mr. Children. They are four men. They use acoustic guitar. I like the sound of acoustic guitar. I want to make songs with guitar. If you have a good idea, please tell me your idea.

I want to hear from you. Masahiro

(5)交流前後の生徒の意識の変化
 インターネット時代と言いながらも普通の高校生はまだ新しいメディアについては知らない。今回の経験は生徒にとっては新鮮で驚きに満ちたものだった。普段の授業以上に熱心に取り組んでいる。英語を書くことに対する関心も高まってきたようで、エッセイコンテスト(朝日新聞主催)の参加者を募ったところ20名の生徒が600語の英文のエッセイを書いてきた。いくつかは本校のホームページで公開している。

(6)今後の課題
 メールのやりとりだけでなく、ホームページを立ち上げて意見・主張を発信したい。
テーマごとにグループを作って、本校の紹介やテーマの研究成果を英語で世界に向けて公開することを3月の目標にしている。

3.3.6.5 愛知県南山国際高等学校・中学校

田浦 武英
(taura@nanzan-intlhs.toyota.aichi.jp)

(1)参加に至る経緯
  本校は、帰国子女を専門に受け入れる高等学校・中学校として
1993年に愛知県豊田市に設立された。それ以前は名古屋市昭和区の南山高等学校・中学校国際部であったが、施設の老朽化や生徒数の増加のために移転・独立をした。現在の生徒数は高等学校が約400名、中学校が約200名である。6年間の一貫教育であるが、帰国の時期がさまざまであるため、随時編入を行っており、ほぼ1ヶ月に2回の編入試験を実施している。
  中学
1年生では約50名の入学生があるが、卒業時には約3倍ほどの人数になる。また生徒の中には、帰国子女だけでなく海外から保護者とともに日本に来た外国人も若干含まれている。生徒の多くが英語圏から帰国しているため英語に堪能な生徒も多い。
 本校では、設立時に生徒用として視聴覚教室とメディアセンター(図書館やコンピュータルームなどの機能を持つセンター)に各
30台のパーソナルコンピュータを設置した。100校プロジェクトに参加することでインターネットへの接続が可能になり、現在ではこれらのコンピュータの多くからインターネットへの接続が可能になっている。
  中学校では、週1時間コンピュータの授業を行っている。また高校
2年生でも週1時間コンピュータの授業を行っている。その中で電子メールの使い方やホームページの作成などの授業を行っている。生徒のほとんどは、電子メールを使うことができる。昼休み、放課後などに電子メールを出している生徒も多い。英語の授業でハワイの学校と電子メールの交換を行っているクラスもある。
 こうした中で
Me and Mediaプロジェクトを紹介され参加することにした。プロジェクトの目的などに興味を持ち参加を決めた。
  参加を決めた時期が遅かったため他校に比べて遅れてしまったが、来年度へ続ける形で継続参加していきたいと考えている。

(2)ねらい
  インターネットが社会や学校の中で浸透していくにつれて、それを教育にどのように活用していくかが問われ始めている。電子メールでお互いの情報をやり取りしたり、ホームページで情報検索するだけでなく、これからはインターネットを通じて議論をしたり、その結果をホームページで公表したり、能動的な活用ができるのではないかと考えている。

(3)テーマの選定
 今回はすでにサブテーマが決まっており、参加生徒が
2名と少ないのですでにあるテーマのうちから生徒の希望で「music」に決めた。メディアというとかなり漠然としてしまっているイメージがあるようで一番サブテーマの中で興味がある分野を選んだ。

(4)参加の状況
 現在
2名の生徒が課外活動として参加している。3学期に声をかけた生徒の中で積極的に参加する意志のある生徒である。
 現在の状況は、メーリングリストへの登録が終了し、自己紹介を行ったところである。まだ参加して間がないので実際の交流はできていない。
 今後は、現在の参加生徒を中心にもう少し多くの生徒を参加させたいと考えている。

(5)今後の課題
 今年度は、時間的に参加が遅れたためほとんど交流ができなかった。
 また参加者数も
2名とすくないため、来年度はさらに参加者を増やすことを考えている。
  現在は、課外活動として昼休みや放課後に活動することを考えているが、授業でできないかという点でも考えていきたい。

3.3.7 まとめ

美馬のゆり(みま・のゆり)
川村学園女子大学教育学部情報教育学科

3.3.7.1インターネットを利用した国際交流の課題(現状)
 Me and Mediaプロジェクトは、1992年より同志社国際中高等学校のワイントラウブ教諭が中心となって行ってる教育実践で、100校プロジェクトが開始された当初から参加している。今回の新100校プロジェクトでは、国際化の重点企画プロジェクトとして位置づけられ、参加校の募集が行われた。
 このプロジェクトでは、「情報はメディアによって伝えられ、その意味は人間によって作り上げられたものであり、自分自身で作ることもできる」という広い意味でのメディア理解のための学習環境を提供している。国内外の参加校、特に国外はESP(European Schools Project) に参加している国々の生徒とのインターネットを通した意見交換を積極的に行い、メディアの様々な意味、メディアの重要性や創造性を追及し、メディアが自己形成に及ぼす影響などのテーマについて、現在でも議論を進めている。
 今回の企画で起こった問題の主要なものは、(1) 日本側の参加校の募集と決定が遅れたこと、(2) ESPの参加校の学年度が9月始まりであること、(3) 以上の2点の問題があるにもかかわらず一定の成果を2月までに出さなければならないこと、の3点である。これらの問題は、今後国際交流に関連するプロジェクトを継続していく上の共通の問題であり、これらは相互に関連している。
これらを解決する方法としてまず、プロジェクトの継続を保証する体制づくりである。そのような仕組みを作った上で、予算を組み、実施していく必要がある。年度を越え、計画することができれば、海外の国々との学年度の時期のずれは、参加校のカリキュラムの組み方で解決していくことができる。またこのずれは、日本側で5月の時点でプロジェクトの実施と参加校が決定していれば、海外の学校が夏休みにはいる前に各担当教諭と話し合う時間が持つことができ、9月の学年開始と同時に始めることができる。
以上のことが解決されれば、プロジェクトの成果をある程度まとまったものとして2月に報告することもできると考えられる。

3.3.7.2 インターネットを利用した国際交流の教育的有効性

 国際交流の目的は、以下の3点に代表される。(1) 文化や価値観の違いを知り、相手を理解する、(2) 自分の考えを伝えるために有効な表現方法、コミュニケーション方法を考える、(3) 価値観の違いから自分の価値観を問い直し、自分を知る。またインターネットの教育的利用の利点は、教室から離れた地域との手紙のやりとりやデータベースへのアクセスが可能になることで、教師と子どもだけであった教室を他の文化へ開き、様々な価値観や視点を持ち込むことになることである。このインターネットの利点は、まさに上記の国際交流の目的に合致する。

 インターネット利用の国際交流は、現在起っているいくつかの教育における問題を解決する可能性を持っている。その問題のひとつは、「相手意識の希薄性」である。現在「情報発信」の名のもとに、学校のホームページを作り、絵や写真などの作品、調べ学習の成果などを展示、公開するということが多くの学校で行われている。これは、はっきりしない相手に向けての作文課題と似ている。このように相手意識の希薄なものは、本当のコミュニケーションとはなり得ない。誰に対して自分の作品を作っているのかその相手、目的がはっきりしないのである。
 もうひとつは、「調べ学習」の問題である。インターネットの教育的利用の利点として情報の検索がある。インターネットに公開しているところであれば、世界中の図書館、博物館などの資料にアクセスすることも、実際に研究を進めている宇宙探査や海底探査などの「生の」データを採ってくることもできる。しかしながら調べ学習の目的は、関係のある資料をいくつか見つけ、そこから必要な部分を抜き出し、きれいに並べること、編集することが目的ではない。収集したデータをどう分析し、どう解釈するか、どのような問題が背後に隠れているかを探し出すこと、自分なりの仮説や結論を導き出すことが重要であり、この点が忘れられている実践がかなり多く行われている。
 以上のような問題を解決する糸口を、国際交流によるインターネット利用にみることができる。交流する相手がはっきりしており、共通の課題についての議論するために、データ収集や考察を行い、そこから独自の理論を構築し、検証する機会が与えられるのである。そしてそれは、「異文化理解」や「コミュニケーション能力の向上」という目的を越え、「自分自身の理解、自分の獲得」につながっている。コミュニケートするということは、外から見れば、互いに他者に向けた言葉のやりとりをしているように見える。しかしその裏には、「自分」を他者の立場から見直すという営みを同時に含んでいる。これは「他者」を意識して語ろうとする瞬間から、「相手の目にうつる自分」を対象化して考えることになるからである。したがって、コミュニケーションとは、他者との対話であると同時に、自己との対話でもある。

3.3.7.3 国際交流におけるインターネット活用方法の考察(今後)

 1990年代に入ってから、Computer Support for Collaborative Learning (CSCL)という考え方がコンピュータを利用した教育の中で注目されている。これは、それぞれのメンバーが相互作用を受けながら協調的に活動する学習の場において、コンピュータを利用しようとするものである。学習の場面に対し、協調的という用語を使用する背景には、学習とは個人の中で起こるものではなく、そもそも共同的なものなのであるということが含まれている。この共同作業にネットワークの機能は欠かせないものとなっている。この学習観の背景には、ロシアの心理学者であるヴィゴツキーの「発達の最近接領域」の概念から生まれた、学習活動を支えるスキャフォールディング(足場)理論や、さらに認知科学の分野の思考や学習に関する状況的学習論や、教育学における社会的構成主義も影響している。
 Me and Mediaプロジェクトの根底には、生徒の自発的な探求を重視し、学習グループやメールでの討論を通じた相互作用のもとに「学習は社会的に構成されるもの」とする社会的構成主義の学習観がある。学習者がプロジェクト名であるMe and Media、つまり自分とメディアの関係をもとに自分自身を問い直す場を提供し、結果として何かが成果として完成する、あるいは知識として身につくことを期待するのではなく、その学習の過程を重視するのである。

 インターネットを利用した教育実践が多々行われているが、基礎となる人間観・学習観がなければ、ただのインターネット利用の試みに終わってしまう。子どもたちは表現することやコミュニケーションを通じて、自分自身と向き合うことができる。そのような場を提供する道具としてコンピュータは存在する。認知心理学や教育学の理論的、思想的背景を意識しつつ、学校関係者、研究者、システム設計者などが一体となって、学びの場をデザインしていく必要がある。それはコンピュータの効果的利用のみにとどまらず、学習観・教育観の変革、ひいては大きな教育改革へと導くのである。

 


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