教育の国際化に関して、特に教員の果たす役割が重要であることは、論を待たない。さらに、平成9年1月の教育改革プログラムの中でも教員の国際交流、協力の機会を充実していくことが示されている。
一方、外国人児童・生徒の増加に伴い、その教育に携わる教員も増えており、一国の教育がその国の教員だけによって行われるという時代から、教員の国際化が求められる時代にもなっている。
未来を担う子供たちの国際センス、国際理解を高める上で、その直接の影響力を有する教員自身も異文化に触れ、交流を行い「他国を知る」ことは、重視されなければならない。
このプロジェクトでは、小学生及び中学生の子供たちが、それぞれの年齢層に応じたコミュニケーションが可能な方法(E-mailによる日本語、英語またはマルチメディアによる美術作品や音声等)でKIDLINKの海外交流プロジェクトに参加し、日常生活、学校生活、学習内容または国の文化等に関する意見交換を行うことにより、国際感覚を養い、国際理解を深める。
3.4.2 KIDLINKの概要
KIDLINKは、世界の15才までの子ども達が集まるネットワークである。1990年5月のスタート以来、六大陸の114カ国からおよそ10万人の子ども達がその活動に参加してきた。活動は主に電子メールによるものである。しかし、オンラインチャットもなかなか盛んだし、MIDIの音楽の話題でも盛り上がっている。また、世界各地ではボランティアが子ども達の活動を支えている。
KIDLINKは現在、英語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、北欧語、ドイツ語、アイスランド語、ヘブライ語、フランス語、イタリア語、トルコ語そしてマケドニア語によってその活動が展開されている。「普段、自分達が使っている言葉でKIDLINKに参加出来るよう」、もっと多くの言語をサポートしようと思っている。
KIDLINKの活動に参加できるのは、15才以下の子ども達です。次の4つの質問に答える事で、全てのKIDLINKの活動に参加する事が出来るようになる。
これらの4つの質問の回答をRESPONSE@LISTSERV.NODAK.EDU宛に送ってもらう事になる。
主な活動の場は、「キッドカフェ」、「キッドプロジェ」、「キッドフォラム」、というメーリングリスト、「グラフィックスによる交流の場」、そして世界の友達と同時にお話が出きる「リアルタイムチャット」である。これらの活動に参加するには、KIDLINKの4つの質問の回答を送った後、それぞれ登録をする必要がある。詳しくはKIDLINKのホームページを見てくただきたい。
(http://www.kidlink.org/japanese/general/)
もちろん、大人用のメーリングリストも各種ある。その中心がKIDLEADERで、子ども達の世界的な対話を活性化しようと話し合っている場所である。現在では、「キッドカフェ活性化専用」のメーリングリスト、「オンラインチャット活性化専用」のメーリングリスト等で更に細かく子ども達の活動を支えていくようになっている。
これまで言葉の壁のため日本からの参加が少なかった。 しかし、今回の新100校プロジェクト国際化重点企画「KIDLINKへの参加」プロジェクトのおかげで、少しずつ日本のKIDLINKが活性化されていくのがありがたく思っている。
3.4.3.1 研究グループ設置の主旨
本プロジェクトを円滑に進めるために、参加校に対して、KIDLINKへの参加方法の指導、国際交流の活動内容の検討、決定、指導および活動結果のとりまとめ等について、適切なアドバイスをもらう目的で設置した。
本研究グループを設置するに当たっては、学識経験者、学校現場の経験者からの支援・協力を得ることにし、国際化ワーキンググループの承認の下に設立した。
この研究グループは、平成9年10月25日をもって発足した。
3.4.3.2 研究グループの委員構成
研究グループの委員の構成員は、下記の通りである。
・主査 | 田中 博之 | 大阪教育大学助教授 | ||
・委員 | 山内 祐平 | 茨城大学人文学部コミュニケーション学科講師 | ||
・委員 | 井口 豊重 | 武蔵野市立第六中学校教諭 | ||
・委員 | 島崎 勇 | 大和市立林間小学校教諭 | ||
・委員 | 坊野 博範 | 相模原市立東林小学校教諭 | ||
・委員 | 折田 一人 | 前橋市立第四中学校教諭 |
以下はその主な内容である。
(1)第1回「KIDLINKへの参加」および「翻訳支援体制の確立」
プロジェクト研究グループ、参加校および翻訳支援グループメンバーによる
合同会議 (10/25/97)
・新100校プロジェクトの概要
・本プロジェクトの主旨、内容
・研究グループ、参加校、翻訳支援グループ紹介
・今後のスケジュール
・活動内容
・KIDLINK解説
(2)第2回研究グループ会議 (11/08/97)
・具体的な活動
・役割分担
・メーリングリスト、掲示板の立ち上げと活用
・翻訳依頼の内容および運営
(3)第3回研究グループ会議 (01/10/98)
・参加校の活動状況の報告
・今後のスケジュール確認
・報告書について
(4)第4回研究グループ会議 (03/14/98)
・参加校の活動状況の報告
・報告書
・まとめ
・その他
7月下旬から10月下旬までの期間、「KIDLINKへの参加」の公募を、CECのホームページ上に貼りだした。長期にわたって貼りだしたのは、応募校がなかったからである。この公募では、本プロジェクトの提案校からのみの参加希望であり、実質的には、応募ゼロであった。
したがって、公募中に併行して、新100校プロジェクト参加校を中心に事務局より個別に参加依頼を行わざるを得なかった。また、CECとのつながりがある、他の活動グループに参加している先生や、個人的につながりのある先生に働きかけを行った。
結果的には、新100校プロジェクト参加校より4校(小学校2校、中学校2校)で、参加校以外から5校(小学校2校、中学校3校)の合計9校の参加校が得られた。 参加が得られなかった主な理由として、以下のものが挙げられる。
(1)他の活動が忙しくて、国際交流どころではない。
(2)国際交流活動そのものを行ってない。
(3)他の教師の協力が得られない。
最終的に決定した参加校と担当教員は、以下の通りである。
・神奈川県大和市立林間小学校 | 島崎 勇 教諭 |
・神奈川県相模原市立東林小学校 | 坊野 博範教諭 |
・群馬県前橋市立第四中学校 | 折田 一人教諭 |
・埼玉県狭山市立狭山台南小学校 | 松沢 忠明教諭 |
・福井県福井市立円山小学校 | 乾 昭治教頭 |
・福井県福井大学教育学部附属小学校 | 宇野 秀夫教諭 |
・山梨県韮山町立韮山中学校 | 内藤 淳 教諭 |
・静岡県清水国際学園清水国際中学・高等学校 | 井柳 強 教諭 |
・山口県阿東町立生雲中学校 | 御幡 正章教諭 |
国際交流企画支援対象校において、交流を行うための電子掲示板、ホームページの作成を行う。また、その作成のための技術的支援、運用支援を行う。
以上の2つが当初からの目論見であった。
当プロジェクトへの参加校への支援として、まず第一に、
(1)教師用の電子掲示板を、
(2)児童・生徒用の電子掲示板を情報処理振興事業協会の基盤センター(藤沢)に作成した。
研究グループ会議で、この2つの掲示板でスタートし、後はプロジェクトを走らせながら対処していくことになった。
プロジェクトが走り出し、交流が少しずつだが、電子掲示板に載るようになり、次に考えたのが、
(3)自動転送用の電子掲示板と、
(4)Web(ホームページ)の開設である。
この電子掲示板、Webの仕組みは、以下のような順序で運用される。
@情報処理振興事業協会の基盤センター上にメーリングリストを作成した。
Aメーリングリストの日本の参加校(仮にA)と海外相手校(仮にa)のペア9組を設定した。
Cどの参加校もメーリングリスト(同一アドレス、例えば、100kid@cec.or.jp)宛にメールを送信する。
DAが送信したメールはaへ、Bが送信したメールはbへと、メーリングリスト宛に送信したメールは自動的に交流相手校へと転送される。
Eメールの履歴は、各ペアごとに、時系列にWeb化されていく(1日1回)。
F公開用のWebのアドレスにデータを送付することにより、公開用ホームページに貼り付ける。
この電子掲示板、Webの仕組みは、以下のような順序で運用される。この掲示板の特徴・機能は、次のように考えられる。
こういう仕組みを構築することによって、初めて海外の学校と交流を行う学校が、このホームページを見て新しい取り組みやプロジェクトに参加して交流の幅を広げていけるように考えた。