4 翻訳支援体制の確立

4.1 目的

 国際化の時代になり、世界各国との共生と我が国の発展のためには、異文化の理解、教育・文化・スポーツの国際交流などが一層大切になってきている。未来を担う子供たちの国際センス、国際理解を高める上で、異文化に触れ、交流を行い「他国を知る」ことは重要視されなければならない。
 一方、国際交流に際して、言葉の壁がその障害となることが多々あり、この言葉の壁を少しでも低くして、国際交流を進めようとしている学校に翻訳の負担を少なくし、海外の学校との交流を促進するという目的で、翻訳支援グループによる翻訳支援を試行した。小規模な翻訳支援体制を運用する本企画を通して、インターネットを利用した国際交流に必要となる、組織的な翻訳支援体制の運用方法について考察する。

4.2 体制作り

 KIDLINKに参加する小学校を中心に児童生徒のメールの翻訳支援を行うに当たり、翻訳支援体制を作るために翻訳グループを募集し、参加校および翻訳支援グループへの技術的支援のために掲示板を用意した。
 また、翻訳支援体制の運営に関しては、「KIDLINKへの参加」プロジェクトの実施で設置した研究グループに指導・助言等の支援をしていただいた。

4.2.1 翻訳支援グループの募集

 翻訳支援グループの募集の方針として、今回は下記の理由で一般公募は行わなかった。つまり、新しい試みであるので、翻訳支援グループのメンバーを、ある程度限定したグループにしたい意向もあり、国際化ワーキンググループに協力いただいている、学識経験者や学校の先生方等からの紹介を中心に個別に募集することにした。
 募集人員は当初10名程度として、状況により人員増を考えることとし、基本的に大学院生、大学生と家庭の主婦に的を絞って個別に当たった。
 (1)大学関係
  大学関係は、5つの大学の先生に紹介を依頼し、2つの大学から3名の学生(院生)の協力が得られた。
 (2)家庭の主婦
  家庭の主婦については、家にインターネット環境があり、ある程度英語ができるという条件もあり、また、そのような情報源を探すことに大変苦労した。
  結果的には、文化放送主催のパソコン教室運営者の方から情報を入手し、直接交渉し6名の参加希望を得ることができた。

4.2.2 オリエンテーション

 前述したように、9名の支援グループの方々に集まっていただき、オリエンテーションを開催し、主旨および依頼内容等を説明し、本プロジェクトの理解を得るとともに、正式な参加要請をした。
 後日、主婦グループより2名の辞退者があったり、学校現場、CEC等々との文化の違いとか、いつ頃、どの位の量を翻訳依頼するかの計画が示せなかったりしたために、正式な参加意志を得られないまま、プロジェクトが始まった。

4.2.3 参加校への支援

 KIDLINKを対象として、主に小学校向けに翻訳支援を実施するに当たり、翻訳用の掲示板をIPAの基盤センターに作成し、そこに依頼文を送り、翻訳グループに各自翻訳文を取ってもらい、翻訳結果を送ってもらっては、という案があったが、このやり方だと翻訳グループにコントローラーが必要になり、個々バラバラの支援者の場合は運用ができないので、この方法は採用しなかった。
 結果としては、参加校教師用の掲示板と翻訳グループ各自のメールアドレスを用いて実施することになった。
 やり方としては、次のような順序となった。
  @翻訳支援グループへの翻訳依頼作業は事務局が行う。
  A日本語で交流を行う学校は事務局に、まず翻訳依頼と翻訳してほしい文書をメールで事務局に送る。
  B事務局は適宜、翻訳支援グループの個人宛てに翻訳依頼と文書を転送する。
   地理的条件や応募者の意向などを考慮して、対象校を選定する。
  C翻訳者は学校からの依頼に従って、事務局を通して翻訳作業を行う。
  D翻訳できた文書は、翻訳グループの個人から、事務局に返送する。
  E翻訳できた文書は、事務局経由で依頼先校宛に転送(返却)する。  

また、「KIDLINKへの参加」プロジェクトで設置した、研究グループの委員から、交流の流れと内容のすべてが翻訳グループにもわかるように、参加校教師用メーリングリストに登録してはどうか。という案が出されたが、翻訳グループのメンバーに意向を聞いてはみたが、メリット・デメリット両面から今後検討する必要がある。

4.3 翻訳実施内容

 「KIDLINKへの参加」プロジェクトは、実質11月よりスタートしたために、2月までの翻訳依頼は、小学校4校で翻訳依頼件数も16件であり、3名の学生中心で十分処理できたため、主婦の方々に翻訳依頼するまでには至らなかった。
 新規にKIDLINKへ参加する学校は、学校紹介から始まった。また、既に交流している参加校は、学校生活・日常生活から始めた。

以下は、その内容の1部である。

> >Dear Friend,

> > Hello! My name is Andrew Gaditano and I live on Kauai.

  I like to play baseball, soccer and basketball. What school do you go?

How old are you and what grade are you in? Where do you live?  Do you live in a city or in a country? I have 2 brothers and 1 sister. How many brothers and sisters do you have? Do you live in Tokyo? My younger brother's name is Vanderbilt and my sister's name is Waihini Waimea and my older brother's name is Stromberg.

Do you watch NBA there?

> > Aloha, Andrew Gaditano

翻訳欄(英語から日本語へ)

 みなさんへ、
   こんにちは!僕の名前はアンデュー・ガディテゥノと言います。カウアイに住 んでいます。野球、サッカーそして、バスケットボールが好きです。
何の学校に通っていますか? 何歳ですか? 何年生ですか? どこに住んでいま すか? 都会に住んでいますか田舎の方に住んでいますか? 僕は二人の男の兄弟 と一人の女の姉妹がいます。何人の兄弟や姉妹がいますか?
東京に住んでいるのですか? 僕の弟の名前はヴァンダービルト、妹の名前はワイ ヒナワイメア、兄の名前はストランバーグと言います。日本でNBAを見ますか?

さよなら アンドュー・ガディタノ

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> >#001-3 依頼 1997.11.12
-----------------------------------------------
> >Dear Friend,

> > I am Lindsay Sugihara and I am here with my friend Norie Jane Edurise.

We both go to King Kaumuali'i School and are eleven years old.

I like to play soccer and go swimming and Norie likes to hang with her friends.

  I don't have any brothers or sisters, although Norie has one brother.

His name is Nathan. When I grow up I would like to be a professional soccer player. Norie would like to be a teacher.

> > Can we ask you some questions?

> >1) Do you have the same sports as us?

> >2) What would you like to be when you grow up?

> >3) Do you have a lot of friends?

> > We'll that's a lot of things about me and my friend Norie.

> > ALOHA, Norie Jane & Lindsay

> >-----------------------------------------------------------

翻訳欄(英語から日本語へ)

みなさんへ、
僕の名前はリンゼイ・スギハラと言います。ここに、友達のノリー ジェイン・エデゥリスと一緒にいます。僕たちはキングカウモリ小学校に通っています。11歳です。
僕は、サッカーをしたり、泳ぐことが好きです。ノリーは友達と一緒にいることが好きです。ノリーはナサンという名前のお兄さん(弟)が一人いますが、僕は一人っ子です。僕は大きくなったら、プロサッカーの選手になりたいです。ノリーは先生になりたいそうです。

  いくつか質問します。
1)僕たちの国にあるスポーツと同じスポーツが日本にはありますか?
2)大きくなったら何になりたいですか?
3)友達はたくさんいますか?
 
さよなら  ノリー ジェインとリンドセイより

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#008 依頼 1997.01.08 学校紹介
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福井大学教育学部附属小学校です。
日本のほぼ中心の福井県の福井平野のほぼ真ん中に位置しています。北には清流九頭竜川が流れ,東には白山をみることができます。県都福井市の発展とともに田園地帯であった所が,住宅街になった,明新地区にあります。
学校としては,「自己を拓き,ともに生きる力を育む」を研究主題にし,環境・国際・福祉などをテーマとした総合学習研究を中心に取り組んでいます。
また,学校では次のような子にそだってほしいと願いをもって取り組んでいます。
・深く考える子
・思いやりのある子
・たくましい子
交流としては次のようなことができないかなと思っております。
「遊びについて」
世界各地では,どのような遊びがあるのかを調べています。それをもとにした,交流ができればなと考えています。自然のものを使った遊び,伝承遊びのようなものになりますが,竹とんぼ,どんぐりごまなどの遊びをみつけていました。
環境調査について
その地域では,どのような環境問題があり,どのような取り組みをしているのか,意見交換などができればと考えています。酸性雨,水の調査などをしていますので,それらをもとにした情報交換ができればと思っています。

Introduction of school

 We go to the primary school attached to the faculty of education of Fukui University.

 Our school is located in almost the center of Fukui plain in Fukui Prefecture where is about center of Japan . The clean river, the river Kuzuryu runs through in the north and we can see Mt. haku in the east.

 Our school is located, where it used to be the rural area have become the residential street with development of Fukui city which is the seat of the prefectural government, in the Meishin district.

 As for our school, we decide the subject of researches " Develop ourself and bring up the ability to live together." and we research mainly synthetic study on the theme of the environment, international, and welfare. And our school teacher tackle it with the wish

to bring up like the following child.

  * The child of thinking deeply

  * The considerete child

  * The sturdy child

We want to do like following thing for interchange.

  * About the play

We examine what kind of play there are over the world. We want to interchange  with each other based on the examination. We find the plays used nature and

traditional plays, like plays with " Taketonbo" ( made of bamboo ) and

" Dongurigoma " ( the top made of acorn ).

   * About the examination of environment

We want to exchange views what environment problem there are in the area and

how you wrestle with their problem. We are examining for acid rain and water, so

we want to exchange informations based on their examination.

4.4 翻訳を依頼して

 インターネットの魅力は、なんといっても外国人と接することができるということにあるのではないでしょうか?教育の今日的課題とされる国際理解教育への大きなきっかけにすることができます。
 本校もこれまでにオーストラリアの学校やアメリカの学校、カナダの小学生とメールのやりとりをしたことがあります。都市や学校の紹介、物価の比較などをしたこともあります。しかし、何回かメールのやりとりをやっておわりということが多かったのが実状です。その大きな原因は、英語を話したり聞いたりすることができない、言葉の壁があるからです。
 そこで、今回のように翻訳ボランティアの支援を受けて、KIDLINKプロジェクトに参加する企画に対して大きな期待を持って、参加することにしました。子供たちにも自分たちの自己紹介を書かせ、英訳させたものをみせ、期待感を高めることができました。言葉の壁を乗り越えて、交流をすることができることを夢見ております。

4.5 翻訳を実践して

4.5.1 翻訳支援グループ・メンバー 1 

 翻訳作業、翻訳支援システムの感想がそれぞれあります。まず、翻訳作業ですが、私が担当した日本語の文章は分かりやすかったので、その小学校について何も知らなくても、元の日本文と翻訳した英文に大きなズレは生じなかったと思います。しかし、もっと良い方法は、実際にその学校を知っている人が英語に翻訳することだと思います。また、その学校を知る機会を翻訳者に提供することだと思います。特に、交流を深めて行く際には、その学校や、その地域について知識のある人のほうが元の日本文により近い英文へ翻訳できると思います。次に、翻訳支援のシステムについてですが、英語へ翻訳する人と日本文を書かれる先生が連絡を取れるようにした方が良いと思います。日本語を英語に翻訳する際、使われている日本語に当てはまる英語がない場合があります。その時、日本語を少し変えますが、(例えば、私が担当した日本文中に、「学区」という言葉がありました。しかし、「学区」に相当する英単語が見あたらなかったので、「小学校の近く」となおし翻訳しました。)翻訳者が日本語を少しなおしても、日本語で書かれた文章がもともと言おうとしていることと変わりはないかどうかについて、日本文を書かれた先生に確認できた方が良いと思うからです。
 ところで、翻訳活動と直接関係はありませんが、よその学校と交流するにあたって提案があります。それは、文字だけで交流するのではなく、他の手段(例えば、ホームページを開設してそこを見てもらう)も用いてより多くの情報を発信することで、学校間の交流が盛んになるということです。交流相手校が見つかったら各学校の裁量で電子メールとそれ以外の手段(例えば、写真、子どもたちの描いた絵など)を用いてコミュニケーションを取るようになると思います。しかし、交流を始めるファーストステップである紹介文が文章だけでは、情報量が少なかったように思います。よく言われることですが、電子メールはコミュニケーションの一つの手段に過ぎないからです。ホームページを作ることや、多くの情報を公開するためにすることは、忙しい学校の先生にさらに負担をかけることになるかと思いますが、学校外との交流は子どもにとって、とても価値のある体験になると思います。ぜひ、これからも続けていってください。

4.5.2 翻訳支援グループ・メンバー 2

 Kidlinkでスペイン語の翻訳を頼まれました。日本の学校が自国のペルーの学校と交流することが分かったとき、積極的に参加したいと思いました。このプロジェクトではペルーの女の子が書いた手紙をスペイン語から日本語に訳すことになりました。
 手紙の翻訳で、一番難しいと感じたことは文法的な間違えが多くて伝えたいことがわかりにくかったことです。もし女の子の状況、(何故日本にいるのか、どのぐらい日本に残る予定かなど)が分かっていたら、文法的な間違えがあっても、理解できたと思います。手紙は直接Kidlinkに参加している国から送っていると思っていました。 いつ海外の学校と交流するのですか? 世界の問題をテーマとして話し合って交流するのではなかったのですか?
 ペルーの場合は日本語を勉強をしている学校があります。言葉の問題を超えたければこの学校と交流をしやすいと思います。ペルーの学生は日本語の練習として手紙を書かせられます。日本の学校はスペイン語を習っていませんので同じようにできませんが英語の場合はできると思います。Kidlinkのホームページも日本語と英語だけではなく、スペイン語とポルトガル語も入れてほしいです。

4.5.3 翻訳支援グループ・メンバー 3

 この「新100校プロジェクト」は、インターネットを利用しての国際交流ということで、大変興味深い企画でした。またそういった子どもたちの国際交流の場面に翻訳者として参加できたことを嬉しく思います。
 私は主に日本語を英語に翻訳しましたが、その送ったメールに対して外国の参加校がどのような反応を示したのか、私はそれを知りたいと思いました。確かに”翻訳する”のが仕事ですが、一方通行ではなく、そのメールをしっかり解読できたのか、そしてどのように感じたのか、その”対話”の様子を知ることができたら、翻訳支援者としてももっと国際交流に貢献できるのではないかと思いました。又、翻訳を依頼される際、地名等は読み仮名を外人の氏名にはスペリングと性別も付け加えて頂くと正しく訳すことができると思います。
 とても楽しい内容ばかりで、知りえることも多く勉強になりました。また、参加させていただきたく思います。

4.6 評価(効果、課題)

 海外の学校との交流をするとなるとどうしても英語に頼らざるを得ないのが現状である。英語を教科として学習している中学ならば、生きた教材として、この海外の学校との交流にも取り組めるであろう。しかし、小学校の場合には、担任が子ども達の
メッセージを翻訳出来るケースはよほどの事がない限り、期待できないであろう。そこで、翻訳のサポートシステムを利用して、英語が使えない小学校でも、海外の学校との交流を積極的に始めてもらおうという企画である。
 文学作品の翻訳が多い日本ではあるが、子ども達のメッセージを翻訳するというしかけはまだできあがっていない。
 ・子ども達は一般にきちんとした文を書いている訳ではい。
 ・子ども特有の物の言い方があったり、話題も多岐に富み、翻訳者が臨機応変に応して翻訳していくのが難しい。
 ・継続して交流していく際に、話題が発展・深化していく訳であるが、翻訳者は必ずしもその流れを理解している訳ではない。
・そしてなによりも、子ども自身に理解される翻訳文を訳し出すのは難しい。以上のように色々問題がある。では、どんな翻訳支援体制を作っていったらいいのか。
 今回、学校紹介、自己紹介、更には海外からのメッセージの翻訳の支援を受けた。つまり、それほどシビアな状況にはなっていない段階の文であった。それでも、地名、人名の表記が難しかったり、子ども達の生活に対する事前の知識がない所での翻訳の難しさはよく理解できた。
 また、翻訳してもらった文をそのまま子ども達に渡していたのだが、この点でも色々問題があった。説明抜きでは、内容が理解できず、その手紙に対する返事を書くのが難しかった。翻訳者からは、「この翻訳文を使って、先生方が、お子さんに話してあげてください」というコメントがあった。しかし、英語が分からない教員である者の一人として、翻訳された内容にコメントを付けると言っても、付けようがないと思われる。やはり、翻訳は翻訳で、子ども達にも理解出来る言葉と内容で書き出してもらいたいと思った。
 しかし、翻訳支援を受けてはじめて海外の学校との交流が可能となる小学校は多いと思う。今後も研究支援を期待したい。

4.7 まとめ

 小学校では、英語に堪能な先生が少ない学校が多く、もっと多くの翻訳依頼があると予想したが、参加校の校内事情により交流が進展しない学校が少なくなく、翻訳依頼のあった学校4校16件中、1校が13件を占め他の3校は各1件(学校紹介など)であった。これは、交流期間が始まって間もないことと、日本側の学校の取り組みが始まったばかりであるためと考えられる。
 今後、小中学校で交流のカリキュラムや指導体制の準備が進むと、小学校を中心に翻訳依頼が増えると予想される。
 国際交流推進のための、翻訳支援体制の組織的運用方法として、次の例が考えられる。


(1)翻訳協力者の確保

 @学校の児童生徒の保護者に翻訳を依頼する。
  保護者会などで翻訳依頼の協力をお願いすると良い。その際、児童生徒の手紙であるので、完璧な翻訳でなくても良いことを伝えると、保護者も協力しやすい。
 利点・児童生徒のメールに対する親近感が高く、理解が得やすい。
 欠点・英語に堪能な保護者が少ない場合もある。
   ・メールが使えない保護者が少なくないが、手書きの翻訳文を児童生徒がコンピュータに入力すれば問題はないであろう。
  A近隣の高校の英語科教諭に相談して、高校生に翻訳を依頼する。
 利点・理解が得られれば、高校生は自分の英語力を生かせる。
   ・ 近隣の高校であれば、直接児童生徒に会って翻訳の指導を受けることもできる。
B地方自治体に属する国際交流協会等に、翻訳者を紹介していただく。
  利点・優秀な翻訳者やボランティアを紹介していただける。
  欠点・翻訳の謝礼が必要になる場合がある。(学校予算で支出が可能か)
C教育委員会の帰国子女相談室等に、翻訳者を紹介していただく。
利点・優秀な翻訳者やボランティアを紹介していただける。
欠点・翻訳の謝礼が必要になる場合がある。(学校予算で支出が可能か)

(2)簡単で確実な翻訳システム作りの案

●日本の学校から外国の学校へ
@学校から翻訳者に児童生徒のメールを送る
A翻訳したメールは、翻訳者が外国の交流先の学校の先生に送る。
●外国の学校から日本の学校へ
@外国の学校の先生には、メールを翻訳者と日本の学校の両方に送ってもらう。
学校の先生は、英文が完全に読めなくても返事が帰ってきたことがわかる。
A翻訳者は、翻訳したメールを日本の学校の先生に送る。
このシステムの長所は、翻訳者が交流の流れをすべて把握できるので、翻訳がしやすくなる。また、日本語の分かりにくいところなど先生と相談しやすくなる。
短所は、翻訳量が多い場合には複数の翻訳者が必要となるので、翻訳の分担をする調整役が必要となる。

(3)翻訳を依頼する場合に検討すべき事柄

  1. 年間の翻訳依頼の時期、翻訳量を翻訳者に伝えないと、翻訳者は返事ができない場合が多い。そのため、「2学期は10,11,12月に毎週1回、生徒10人から一人当たり○○○程度の手紙の翻訳をお願いします。これが生徒の手紙の見本です。」と具体的に説明できるように準備しておくと良い。
  2. 翻訳者も旅行や仕事で翻訳ができない場合があります。翻訳依頼のメールを送る前に、電話等で翻訳が可能か確認する。また、手違いで翻訳依頼のメールが届かない場合もあるので、「メールを受け取ったら、『翻訳依頼を受け取りました』という返事を必ず返してください」とお願いする。また、おおまかな期限「2〜3日で」「1週間後までに」などと伝えると良い。
  3. ボランティアの翻訳協力でも、金額が少なくとも謝礼はしたいので、教育委員会と相談するとよい。

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