これまでの100校プロジェクトを通じて対象校が培ってきたノウハウを基に、地域での教育ネットワーク運営形態のいくつかの類型を取り上げ、その類型毎に地域特性を加味して、ネットワークの教育利用実践事例や技術的な問題解決の助言を提供し、今後の地域での教育ネットワーク利用の普及を促進する。
本ワーキンググループは上記、目的を果たすために企画の立案及び実施に関する討議を行うために組織した。
(1)地域展開ワーキンググループ委員(敬称略:50音順)
区分 |
氏 名 |
所 属 |
主査 |
林 英輔 |
山梨大学 工学部 教授 |
副主査 |
中山 雅哉 |
東京大学 大型計算機センター 助教授 |
委員 |
大串 繁樹 |
佐賀県教育センター 研修三課 情報システム係長 |
委員 |
折田 一人 |
前橋市立第四中学校 教諭 |
委員 |
河津 文昭 |
大分県立日田林工高等学校 教諭 |
委員 |
田中 邦明 |
京都府立工業高等学校 教諭 |
委員 |
田村 順一 |
神奈川県立第二教育センター 企画情報班 指導主事 |
委員 |
出口 和生 |
横浜市立本町小学校 教諭 |
委員 |
初鹿 義彦 |
山梨県総合教育センター 情報研修部 研修主事 |
委員 |
藤井 修二 |
富山県総合教育センター 教育情報部 研究主事 |
委員 |
渡部 昌邦 |
福島県教育庁 総務課 管理主事 |
(2)ワーキンググループ会議
(a)第1回会議 5月30日(金) 16:00〜18:00
教育センターを中心に運営される教育センター型、複数の学校間で運営される学校交流型、学校及びボランティアの活動が中心のグループ交流型の3種の教育ネットワーク形態に対して、それぞれ、100校対象校を中心に企画を実施することとし、教育ネットワークの活動が実施、あるいはこれから実施される地域から選定することとした。
地域の選定及び企画内容は次回の会議で検討することとした。
(b)第2回会議 6月17日(火) 15:00〜18:00
すでに研究会活動を行っている地域の活動について検討し、教育センター型は2地域(山梨県、佐賀県)、学校交流型は1地域(福島県)を選定した。
全国的な教育ネットワークの活動を把握するために、教育ネットワークの現状の調査内容等の検討を次回より行うこととした。
(c)第3回会議 8月29日(金) 17:00〜21:00
グループ交流型の企画を検討し、日田地域を実施企画として選定することとした。
実施企画に対する支援としては研修会等への講師の派遣支援を行うこととした。
教育ネットワークの現状の調査項目や調査内容について検討し、次回に詳細な検討することとした。
(d)第4回会議10月21日(火) 18:00〜21:00
各企画の実施状況の確認を行った。(おおむね計画通り)
調査項目、調査内容について詳細を検討し、東京都23区も調査対象地域に追加した。調査時期については、年内にアンケートを回収し、ヒアリング対象地域を選定することとした。
(e)第5回会議 1月13日(火) 18:00〜21:00
報告書の目次案及び内容について検討を行った
教育ネットワークの調査の経過報告(ヒアリング:5地域)
(f)第6回会議 2月23日(月) 18:00〜21:00
報告書のまとめについて検討を行った。
教育ネットワークの地域における展開・普及を図るために重要な基盤として次に2つが考えられる。
・情報通信インフラの整備
・情報通信インフラの運用と利用を支援する組織
情報通信インフラの整備については文部省及び各地方自治体における種々の施策により、順次整備されてきており、ここ数年でかなり充実されてくるものと思われる。
しかしながら、個々の教育ネットワークの状況については個別に報告されるものの、教育ネットワークの整備状況、整備計画などを広範囲に調査した報告はなされていないのが現状である。
そこで、教育ネットワークの整備を担当するであろう各地の教育委員会に対して、その地域での教育ネットワークの現状、あるいは計画を調査し、教育ネットワークが現在、どのように運営、計画されているかを把握するための調査を行うこととした。
特に、県レベルですでに教育ネットワークが運用、利用されている地域、あるいは特徴のある運営を行っている地域についてその構築・運用方法、およびその活動等について調査、検討することとした。
さらに、教育ネットワークの実際の運用・利用事例として、教育センターを中心とした活動、複数の学校間の接続を中心とした活動および学校と地域のボランティアを中心としたの活動の3種の代表的な教育ネットワーク活動を取り上げ、その推進方法等をその活動を通して、調査することとした。
(a)教育センター型地域展開
現時点で学校教育での情報インフラの整備・運用・活用に重要な役割を果たす組織としては自治体、主に教育センター等の教育委員会管轄の組織が考えられるため、教育センター等を中心としたネットワークの教育利用の実践を行うことにより、教育センター等を核としたネットワークの効果、課題を明らかにする。そのため、教育センター型の実践を行う地域として以下の2つの活動を取り上げることとした。
・ボトムアップ型教育ネットワークが整備されている山梨県総合教育センターを中心とした活動
・トップダウン型教育ネットワークが整備されている佐賀県での教育センターを中心とした活動
(b)学校交流型地域展開
小規模な教育ネットワークであれば、学校の自助努力により構築することができる可能性があるため、その構築、運用を実験として位置づけ、学校とその隣接する学校、地区での数校程度の学校間ネットワークの構築・運用実験を取り上げ、その教育利用の実践事例とする。そのため、学校交流型の実践を行う地域として以下の活動を取り上げることとした。
・葛尾中学校を中心に東北インターネット協議会の技術支援を期待できる、あぶくま地域の学校間ネットワークの構築・運用実験
(c)グループ交流型地域展開
地域の活性化をめざす地域ボランティアあるいはPTA等による学校との交流等を通した活動による教育ネットワークへの支援や運営する形態が発生しつつあるため、その形態で実践している地域を取り上げ、その活動を事例を収集し課題を明らかにする。そのため、グループ交流型の実践を行う地域として以下の活動を取り上げることとした。
・日田インターネットの会と日田林工高等学校及び大分県の教職員のメーリングリストedu-oitaのメンバーによる地域ボランティアの学校教育支援活動
1.4.1 実施体制
(1)体制図
(2)地域展開の実施概念図
1.4.2 地域展開に対する支援内容について
(1)地域での研修会・研究会等に対する講師の派遣
地域展開の実施に際して、開催される研修会及び研究会に対して、講演内容に適切な講師を選定・派遣し研修会及び研究会を支援した。
a.山梨県教育センター
・山梨県スクールネット研究会
(11月14日)
学校における校内小規模LANの構築について
(有)テクノフォレスト 坂本 太 氏
(2月19日)
山梨子ども風土記の作成に関わって
山梨大学教育学部附属小学校 情報視聴覚教育主任 石川 等 氏
山梨の地質のデータのウェッブ教材化
田富南小学校 教諭 山梨地学会幹事 志村 祐二 氏
山梨の伝統産業のウェッブ教材化
竜王西小学校 教諭 志村 香代子氏
谷村工業高校における地域展開とインターネットの活用
谷村工業高校 教諭 電子情報科科長 手塚 芳一 氏
谷村工業高校 教諭 電子情報科 長谷川 準 氏
アイオワプロジェクトでの実践事例
巨摩高等学校 教諭 齊藤 雅樹 氏
(3月14日)
山梨県の教育ネットワークの現状とインターネットの教育利用のあり方について
山梨大学工学部 教授 林 英輔 氏
b.佐賀県教育センター
・研究会の開催
(12月13日)
検討項目:トップダウン型ネットワークの効果と問題点
教育担当者に対する教育ネットワークの啓蒙と教育について
佐賀大学理工学部 教授 近藤 弘樹 氏
佐賀県立神埼清明高等学校 大島 正豊 氏
伊万里市立伊万里中学校 古川 美樹 氏
・研修会
(1月5日〜1月7日、1月13日)
伝統工芸学習のためのユーザサイドデータベース
鳥栖小学校 教諭 岡嶋 智子 氏
テレビ会議システムを利用した交流学習
厳木小学校平之分校 教諭 渡辺 顕 氏
小学校におけるコンピュータ活用
御船が丘小学校 教諭 竹内 智道 氏
授業における通信ネットワーク活用
嘉瀬小学校 教諭 江口 浩文 氏
c.あぶくま地域ネットワーク研究会
・研修会
(11月11日)
「地域内教育用イントラネットの活用について」(その1)
東北インターネット協議会 斎藤 武夫 氏
(12月15日)
「地域内教育用イントラネットの活用について」(その2)
三春町立御木沢小学校 新田 展弘 氏
(1月24日)
「地域内教育用イントラネットの活用について」(その3)
東北インターネット協議会 本田 修啓 氏
東北インターネット協議会 渡邉 孝之 氏
d.日田インターネットの会
・研究会
(2月25日)
国際環境プロジェクトの取り組み発表
大分県立緒方工業高校 教諭 塚田 清隆 氏
諭吉の里ネット活動とこれから
諭吉の里ネットネットワークアドバイサー 日隈 芳典 氏
(2)メーリングリストの情報の整理と提供
100校プロジェクトで運営されており、新100校プロジェクトでも運用されている主要なメーリングリストとメールアドレスの交信内容をにはインターネットの活用、利用において有効な情報が数多く蓄積されている。
上記の交信記録から今後、インターネットの教育利用を始めようとする人のために役立つと思われる情報を整理し、Q&Aの形にまとめた。
2.は、日本における教育ネットワークの状況と問題の把握のための調査として、教育ネットワークの設置、管理・運営の主体となる教育委員会や教育センターにおける教育ネットワークの構築、活用状況を調査し、問題別にそのノウハウをまとめ、今後の教育ネットワーク構築の際の問題解決の資料となることを目的にまとめている。
3.は教育センターを中心とした地域が2地域、学校を中心にした地域及びボランティアとの連携による教育ネットワークの構築をめざす地域が各1地域の計4地域における、その地域の状況と共に実践活動の事例を報告する。
さらに、2.、3.を鳥瞰した形で、教育ネットワークについて、現時点での総括を4.に示し、今後の教育ネットワークがどのように展開すべきかを展望する。