3.1.2 佐賀県教育センターにおける活動
教員の智恵の交流を目的として平成6年11月よりパソコン通信を中心に運用が開始された「佐賀県教育情報システム“EDU−QUAKIEさが”」も、本年度からは「インターネット活用教育推進事業」としてインターネットの本格運用を始めた。“EDUーQUAKEさが”の運用状況と今後の計画等について報告する。
3.1.2.2 佐賀県教育情報システム“EDUーQUAKEさが”の運用状況について
(1)経緯
平成3年11月に佐賀県教育情報システム検討委員会を設置し、本県教育長から教育情報システムの在り方について諮問がなされ、平成4年12月に答申が出される。平成5年度は調査研究を行い、平成6年11月にパソコン通信を中心とする「佐賀県教育情報システム“EDU−QUAKEさが”」の運用を開始する。インターネットについては調査研究として、平成7年4月にE−mailのサービスを始め、平成7年10月に教育センターのホームページを立ち上げるとともにダイヤルアップIP接続のサービスの試行も開始した。平成9年度には「インターネット活用教育推進事業」として本格運用を開始し、10月にシステム更新を行う。
(2)インターネット活用教育推進事業の目的
県内の小・中・県立学校と全国・世界の学校、研究機関等をインターネットで結び、インターネットを活用した教育の推進及び教育情報の交流の充実を図り、 本県の教育の充実発展に資することを目的とするもので、次のような事項を支援する。
・多様で豊かな学習環境の提供
・教師の経験的知識の蓄積・流通
・教育研究機関等との交流の促進
・教材等の蓄積・流通の促進
・教育行政等の情報の蓄積・流通の効率化
図3.1.2−1 “EDU−QUAKEさが”イメージ図
(3)推進体制
本システムのスムーズな運用と活用を図るために次のような体制を取った。
a.佐賀県教育情報システム運営協議会(平成6年度〜平成8年度)
本システムの運営について協議を行うために平成6年より平成8年まで年間2回実施した。協議内容は、@本県の学校教育における教育情報システムの運営の構想に関することA教育情報データベースに関することB教育情報ネットワークに関すること等である。また、協議会の委員は@学識経験者(主に大学関係者)A教育行政関係者(学校教育課、生涯学習課)、B学校教育関係者Cワークショップ代表者である。
平成10年度ではシステム活用推進協議会を開催する予定である。
b.教育情報システム担当者の設置と研修会
学校内の利用者を支援するため、学校の校務分掌に教育情報システム担当者の設置を要請する。担当者は、本システムの取扱の講習や相談、各種調査など学校における情報教育の要となる業務を行う。教育センターから本システムに係わる内容の連絡・通知は担当者を通しておこなう。
教育情報システム担当者研修会は、担当者としての役割について認識を深め、本システムの利用技術の向上と教育活用を推進するのに必要な資質の向上を目的として、平成6年度から実施する。
研修会では、本システムの説明や教育利用についての講義の他に、学校ホームページの作成、メールの利用、ネットサーフィンなどの実習を取り入れている。本年度は、システムの更新を行ったこともあり、システム利用での変更点や設定の変更方法及び、インターネットを教育活用している先生方の実践発表を研修内容とした。
c.教育センターの講座
本年度の情報に係わる研修では、校内研修指導者を育成することを目的として次の内容に主眼をおいた講座を開設した。@コンピュータリテラシーについてAコンピュータの授業活用についてB情報通信ネットワークについて。これら全ての講座において、インターネットに関わる内容を実施した。
また、情報以外の教科別講座においても、インターネットの教科利用をその内容に盛り込んだ。
d.教育情報だよりの配布
本システムの運用状況について広く理解し、活用しいただくために、平成6年度から平成8年度まで6回作成し、各学校に配布を行った。
(4)運用状況(インターネットのみ)
a.県下の学校の接続状況
教育センターと各学校との接続状況は、本年度9月末の調査で小学校62%、中学校69%、県立学校89%、全体で68%である。県立学校へは平成6年度のパソコン通信開設時にモデムと電話回線を配布していることもあり接続率は高い。
表3.1.2−1 インターネット接続状況
|
平成8年9月 |
平成9年3月 |
平成9年9月 |
小学校(177校中) |
45
|
58
|
110
|
中学校 (95校中) |
34
|
37
|
66
|
県立学校(44校中) |
24
|
31
|
39
|
b.IDの発給状況
各学校、教育事務所等の教育機関へのIDの発給の他に、県内の教育関係機関に属する希望者にIDの発給を行っている。インターネットのID発給数は、12月末で2,707。パソコン通信の発給数を合わせると5,031であり、小・中・県立学校に勤務する教職員の約60%が“EDU−QUAKEさが”のIDを持つことになる。

図3.1.2−2 インターネットID発給数
c.アクセス状況
月ごとにアクセス数はのびている。とくに平成9年10月の伸びは急激であり、前月の約1.8倍になっている。これは機器更新の際、電話回線を増やすなどの改善によるものである。

図3.1.2−3 インターネットアクセス状況
d.ホームページから転送されたファイル数
“EDU−QUAKEさが”のホームページから転送されたファイル数も機器の更新とともにホームページを更新したこともあり急激に伸びた。
図3.1.2−4 ホームページから転送されるファイル数
e.学校のホームページ開設数
学校のホームページ開設数は、小・中・県立学校あわせて66で学校設置数の約21%にあたる。
表3.1.2−2 学校のホームページ数
小 学 校(177校中) |
28 |
中 学 校( 95校中) |
17 |
県立学校( 44校中) |
21 |
合 計(326校中) |
66 |
“EDU−QUAKEさが”のホームページ 学校のホームページ
http://www.saga-ed.go.jp/

図3.1.2−7 図3.1.2−8
太良町立多良小学校のホームページ 伊万里市立山代中学校のホームページ
f.ワークシップ
ワークショップとは、特定のテーマのもとで話し合いや活動を行うグループのことで、「知恵のネットワーク“EDU−QUAKEさが”」における、知恵を生産するネットワーク上の研究グループである。教育に関する様々な情報(教材、指導案、資料等)の蓄積、共有、交換を目的とする自主的研究活動の場である。
教師向けと児童生徒向けのあわせて13のワークショップを開設している。一例を挙げると「環境問題の部屋」(図3.1.2−10)、「たんけん佐賀」、「視覚障害者支援Swan」(図3.1.2−11)、「教育情報宝探し」(図3.1.2−12)などがある。パソコン通信においても81のワークショップを開設しているが、インターネットへの移植を進めている。
図3.1.2−9ワークショップのページ 図3.1.2−10

図3.1.2−11 図3.1.2−12
g.教育用情報データベース(図3.1.2−13)
“EDU−QUAKIEさが”のホームページに開設しているデータベースには次のものがある。
・ソフトウェアライブラリセンター所有のソフトウェア検索のページ
(図3.1.2−14)
・佐賀県教育センター図書検索のページ
・佐賀県教育センター長期研修報告書(要約)
・佐賀県教職員内地留学論文の要約
・教育センター所有研究紀要検索のページ(図3.1.2−15)
・実践事例検索のページ(図3.1.2−16)
データベースとは言ってもまだデータ量が少ないものもあり、今後その収集と登録方法に改善が求められる。

図3.1.2−13 図3.1.2−14

図3.1.2−15 図3.1.2−16
h.佐賀県内学校関係情報のページ(図3.1.2−17)
学校教育課から学校や生徒・保護者向けに開設したページには次のものがある。
・県立学校体験入学の実施概要
・研究発表予定期日一覧
・県外から佐賀県の高等学校へ受験転学を希望する生徒・保護者の皆さんへ
・高校進学のための HIGH-SHOOL INFOMATION
図3.1.2−17
i.教育利用(実践事例)
インターネットの教育利用への取り組み状況についていくらか事例をあげてみる。
・地域の環境調査を行い、その成果を環境情報として発信。
(図3.1.2−18)
・ろう学校の生徒のメールを使っての交流活動(図3.1.2−19)
・へき地・少人数学級の児童たちが国語の学習を通しての交流学習
(図3.1.2−20)
・外国の生徒とメールを使っての英語学習
・課題研究で学校のホームページを作成(図3.1.2−21)
・CU−SeeMeを使った合同学習(図3.1.2−22)
その他、調べ学習への活用などインターネットを使っての学習活動が盛んに行われるようになった。

図3.1.2−18 図3.1.2−19
唐津市立鬼塚小学校のみじかな環境調べ 県立ろう学校のなかよしボード

図3.1.2−20 図3.1.2−21
厳木町立厳木小学校平之分校の国語のへや 県立多久工業高校のホームページ
図3.1.2−22
有明町立有明中学校と武雄市立武雄
北中学校のCU−SeeMeを使った合同学習