3.2.1.5 今後の課題

 前章までに,あぶくま地域展開プロジェクトにおける地域内イントラネットの構築と学校内ネットワークの構築実験について報告を行った。今後の課題を以下に示す。

@研修カリキュラムの整備
Aネットディのマニュアル化
Bトラブルの事例とその対策のマニュアル化(トラブルシュート集)
Cボランティアとの連携による運用方法の検討
D人材の育成,技術移転のシステムの検討
E地域における文化と空間の共有を基にした教育実践の試み

 @の研修カリキュラムとは,教育の直接の担い手である教師を対象としたもので,学校において最低限押さえなくてはならない技術以外に,ネットワーク環境を有効に活用して教育環境を改善するための研修も含まれる。また,ネットワークにおいて危険から子どもたちを守るための知恵(ネチケット)等についても研修を行う必要がある。
 Aのネットディとは,ネットディパックを用いた教員とボランティアによる学校内ネットワーク構築会のことである。このマニュアルでは,ネットワークシステムの技術的情報だけではなく,学校内の体制の作り方や,ボランティアとの協力のあり方などについても述べる予定である。
 Bのトラブルシュート集は,完全とは言えない現在のネットワーク機器を安定して使用するためのノウハウ集と位置付けたい。このような各校や各担当において小規模に蓄積されているばかりである。ノウハウを広く共有することで各校の運用管理者の負荷を減じたい。また,School-TechMLのような全国規模の技術支援窓口の整備に可能な限り協力して行きたい。
 Cは,初等中等教育機関は全国で約4万を超える学校が存在するため,国や地方自治体が手当しネットワーク環境の整備を進めなければならないが,ネットワーク施工,運用のための業者や技術者の数も不足することは明白である。したがって,教育に関して見識があり,ネットワーク環境の活用方法や構築技術をもったボランティアの協力が必要となるであろう。このとき,学校の教師とボランティアのよりよい協調関係を保つために,ボランティアの役割と限界,ボランティアが求める学校と教師のあり方を明確にしなければならない。
 Dは,Cで述べた業者や技術者不足に対応するためにも,地域のインターネットプロバイダや電気電話設備会社に教育現場が求めるネットワーク環境を理解してもらい,連繋,技術移転をはかる必要があるということである。
 Eは,あぶくま地域展開プロジェクトの目的の一つである。本年度は地域内イントラネットの構築および地域内の教師の研修会を通して,その基盤を整備するにとどまった。来年度はこの基盤を活用した教育実践を推し進めていく。




[目次へ戻る] [次のページへ]