3.3.1.4 地域ネットワークの構築条件

(1)学校、行政、民間の協力体制

 地域の発展は、地域の一体化が条件であるように、地域ネットワークの形成においても行政、教育、一般市民(関係団体含む)等のコンセンサスが何よりも重要だと思われる。地域のネットワーク化、コンピュータ化、データベース化などを成功させるためには、それらのニーズとシーズに通じるリーダー、あるいはオーガナイザー(組織者または調整者)、つまり、情報化アドバイザーの役割が非常に重要であると思われる。しかしながら、日田地域のような小規模な地域においてはアドバイサー的な人材は極めて少ない。したがって、小地域において情報ネットワークの構築を進める上で学校、行政、民間のそれぞれの立場での協力体制が不可欠である。

 日田林工高のような職業系高等学校においては「生涯教育」や「地域の中の学校」という観点から学校の開放を行い施設設備や人的提供を行っている。今回、100校プロジェクトの一環としても積極的に日田林工高の施設設備を利用して一般および教育関係へのインターネット研修会、講習会等を開催してきた。また、メーリングリストなどの提供やメーリングリスト上での技術サポートや家庭に出向いての接続の設定や技術サポートを行ってきた。また、学校外での講習会などに講師として積極的に参加し、これからの日田地区のインターネット環境や方向性を明示したり、日田インターネットの会の世話人会等にも積極的に参加し、「学校と地域」「学校と日田インターネットの会」の関係を築いてきた。また、逆に日田林工高に対してサーバの管理等技術面でのサポートを受けるなど密接な関係が生まれ地域のインターネットの拠点としての役割が増大してきている。

 

(2)市民運動の高まり

 日田インターネットの会が設立され、メーリングリストを中心に現在の日田地域のインターネット環境および有効活用について積極的な論議があった。その中で見いだした課題は下記のとおりである。

 ・接続環境の問題(インフラ整備)
  市内料金で利用可能なアクセスポイントの不足(ダイヤルアップ)
   (豊の国ネット8回線、他プロバイダ8回線のみ)
 ・インターネットの活用方法が趣味的な範囲におわり、有効的な活用がなされていないため継続しない。
 ・インターネットに対する各分野(商工観光、教育、医療福祉)などの組織や取り組みが明確になっていない。

 これらの問題を解決しなければ「日田地域でのインターネットの普及はない」という論議がメーリングリスト上でなされた。そして、この解決策の一つとして日田インターネットの会では「公開シンポジューム」を開催し、啓蒙と今後の方向性を見出すことにした。テーマを「インターネットは日田を活性化させるか?」とし、また、サブテーマを「商工観光、教育、医療福祉など、日田の現状と未来」とした。そして、各分野から積極的にインターネットを活用している方をパネリストに招くことにした。教育関係については、西日本新聞本社メディア部原田真紀部長、また、県内の積極的なインターネット活用校を招くことにした。幸いなことに「大分県」「大分県情報化委員会準備会」「(社)大分県地域経済情報センター」「NTT」「ニューコアラ」などの共催を得ることができた。また、日田林工高も共催として積極的に取り組むことにした。当日は200名を越える参加者があり「地域ネットワークの有効性」「各分野での有効利用」「これからの方向性」などが討論された。




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