高度化の概要

 「高度化」では、ネットワークを教育に利用する場合の技術的な側面と教育的な側面の二つの側面から調査することとし、技術的な側面を「高度化技術」、教育的な側面を「高度化教育」としてそれぞれにワーキンググループを設置して実施した。

 「高度化技術」では、通信技術に代表される通信回線の高速化や、コンピュータ技術の高度化など、ネットワークの教育利用に伴う技術的な側面から、有害情報の効果的遮断や、高速回線の活用実験、および教育素材の活用の調査を実施した。

 「高度化教育」では、今後の情報教育を見据えた教育・学習を実践できるような、教育現場に根ざしたネットワークの利用企画を実施して、教育にネットワークを利用するための要件や教育的効果・問題点を調査した。

 また、特殊教育におけるインターネットの先進的な利用実験と、重複障害児童・生徒のインターネット利用を実現するためのハードウェア・ソフトウェアの要件等を調査した。


高度化技術ワーキンググループ、
高度化教育ワーキンググループの設置

 「高度化」の各企画が効果的・効率的に推進されるよう学識経験者等により構成する「高度化技術ワーキンググループ」と「高度化教育ワーキンググループ」を設置して、専門的な見地からの示唆を受けるとともに、特に教育利用の分野においてネットワークの先進的な活用についての集中的な議論と効果的な推進を図ることとした。

ワーキンググループの委員構成は以下のとおりである。

「高度化技術ワーキンググループ」委員名簿(敬称略:順不同)
区分 氏 名 所  属
主査 苗村 憲司 慶應義塾大学環境情報学部教授
委員 国分 明男 (財)ニューメディア開発協会理事
委員 高橋 邦夫 東金女子高等学校総務部長
委員 宮澤賀津雄 川崎市立川崎総合科学高等学校教諭

「高度化教育ワーキンググループ」委員名簿(敬称略:順不同)
区分 氏 名 所  属
主査 岡本 敏雄 電気通信大学大学院情報システム学研究科教授
委員 中村 直人 千葉工業大学情報ネットワーク学科助教授
委員 生田 孝至 新潟大学教育学部附属教育実践研究指導センター
委員 石原 一彦 大津市立平野小学校教諭
委員 苅宿 俊文 港区立神応小学校教諭
委員 鈴木 敏恵 (株)横浜建築研究所教育システム部長
委員 長澤  武 広島大学附属福山中・高等学校副校長
委員 三橋 秋彦 墨田区立墨田中学校教諭
委員 村瀬康一郎 岐阜大学教育学部
附属カリキュラム開発研究センター助教授


高度化の実施企画

1. 「高度化技術」の実施企画

 高速通信回線や高度ネットワーク機器を利用したネットワーク環境を導入することで、より一層高度なネットワークの活用実践を図ることを目的に、インターネットを教育現場で活用する際の有害情報の効果的な遮断や、高速回線の活用実験、および教師や児童生徒が作成する教育素材を収集・検索し、遠隔で利用するための環境の構築実験を実施し、インターネットを高度に教育へ活用するための試みを行った。

「高度化技術」で実施した企画は以下である。

(1) 高速回線を教育現場で効果的に活用するための方法について調査するため、1.5Mbpsの専用回線を利用した共同学習企画として「高速回線を用いた授業実践に関する企画」を実施した。

(2) インターネットを教育現場で活用する際に問題となる有害情報を効果的に遮断するための活用実験として、「教育用レイティングシステムに関する企画」をレイティングソフトウェアを利用して実施した。

(3) インターネット上で教育用素材を共同で作成・蓄積して、遠隔で共同利用する実験を通して共有可能な教育用ソフトウェアの効果的な作成方法および利用方法についての調査をするため、「ネットワーク上の教育ソフトウェアの共同作成と利用に関する企画」を実施した。

2. 「高度化教育」の実施企画

 ネットワークを利用した共同観測企画やインターネット上の一般データベースの教育的活用、および障害児童・生徒を対象としたインターネットの利用が可能な環境の実験・調査等、教育におけるネットワークの高度な活用を目指して以下の企画を実施した。

(1) 一つの事象を複数の学校同士が連携して、継続的に測定(観察)し、編集・比較することで地域の環境・条件や事象の変化等の特性を学習に活用する実験を通して、定点観測型企画の観測結果データを学習に有効活用するための方法を調査するため「定点観測結果データの活用に関する企画」を実施した。

(2) 新聞記事データベースを教育で活用することを通して、今後このようなデータベースを学校教育現場が活用していくための基礎的要件を調査することを目的に「既存データベースの活用に関する企画」を実施した。

(3) 視覚障害、知的障害、肢体不自由の3ケースに関して、インターネットの教育利用の実験を通した利用方法についての調査と、重複障害児童・生徒のインターネット利用に関わるハードウェア、ソフトウェアについての要件を調査するため「特殊教育におけるネットワーク利用に関する企画」を実施した。

「高度化技術」および「高度化教育」で実施した各企画の平成9年度の実施活動・成果をとりまとめたので以下に掲載する。

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