1. 4 実験の実施

実験実施の日時および参加児童および関係者の参加は、以下の通りである。
・日時: 平成10年1月28日 (水)9:30〜11:10
 ほぼ予定の時間で終了した。
・参加児童:
 神応小学校32人(4年生15人、5年生8人、6年生9人)
 林間小学校34人(6年生)
・担任の教師及ぴ学校関係者、研究グループ委員、技術WGの主査、事務局及ぴ関係者が参加。


1.4.1 実験のサポート体制

 実験当日、誰が誰の指示に従えぱよいのか、その役割を明確にするため、総括責任者、現場責任者、授業担当者(教師)、操作担当者(オペレータ1、オペ一レタ2)の体制表を作成した。
 また、予備実験で明らかになったように、本実験は盛りだくさんでスケジュール的に厳しく、教師、サポート要員を含めて、自分の役割、全体の授業の流れを把握しておくことが大切である。従って、授業の全体の流れ、及びそれに応じた各人の役割を記した「授業タイムテーブル及び関係者役割」を事前に用意し、実験参加者間で共有した。さらにサポート要員に至っては、授業で利用する画面を操作するという立場上、場面に応じた適切な操作がより重要であり、授業の進行を妨げるようなことがあってはならない。従って、実際に操作を行うオペレータ1、操作担当者用には、さらに詳細な手順書「オペレータ1及び操作担当者用手順書」を配布し、注意をはらった。


1.4.2 授業の状況

 新しいメディアを用いた目新しさも手伝ってか、全体的に児童も興味をもって参加していたと言える。スケジュール的にも、システムトラブルによる若干の時間的な遅れはあったものの、先生方の協力によりほぼ予定通りに進められた。
 両校とも会場につくなり、実験がはじまるまでの間、発表の練習を熱心に行っていた。ぽぽ定刻通り、先生の挨拶により実験がはじまると、まずは両校からの発表である。神応小側では、発表用のWeb画面の操作も児童が行ったが、慣れた手つきで、場面に応じて適切に無理なく行っていたようである。
 途中、音声の品質が極端に悪くなったり、コンピュータをリセットせざるをえない事態に陥った場面もあり(1.4.3参照)、その際にはやや集中力を失いかける様子も見受けられたものの、全体的に見れば非常に熱心に発表に聞き入り、発表に関してわからないこと、思ったことを何枚も質問感想カードに記入していた。
 両校の発表が終わると、次は、相手校から寄せられた質問/感想の整理である。発表中に集められた質問/感想カードは、先生、児童による整理が行われるまでに、オペレータによりディジタル化された。これらのカードは1.3.5(3)で記述したように、赤丸、青丸、緑丸(順に、すぐに回答可能、調べれば回答可能、質問の意味を聞き直したい)に分類していった。実際に回答を行うのは児童であるため、これらの分類(色丸付け)は児童の意見に従ってオペレータ1、操作担当者が行った。その結果画面例を図1.4-1に示す。
 これらの画面から赤丸が付けられたもののみをホワイトボードの別ペ一ジに集約し、当該ペ一ジを表示しながら児童が回答を行った。回答の際、相手校からは該当する質問をした児童の映像が送信され、お互いにかすかな緊張の下、交流を行っていた。
 最後に、先生により実験を行ってみての簡単な言葉が述べられ、別れを惜しみつつ実験は終了した。

図1.4-1質問感想カードの整理状況

1.4.3 システムの状況

実験時のシステムに発生した特記事項を表1.4-1に示す。

表1.4-1 システムの状況特記事項
時間   特記事項
9:30以前 練習 神応側でアプリケーションエラー、リセット
9:30 はじめに  
9:35頃 林間小学校発表 神応側で林間の映像がストップ、リセット
10:05頃 神応小学校発表 音質悪化のためリセット
10:40頃 林間小学校質問整理  
10:45頃 両校質問整理  
11:00頃 林間小学校回答  
11:05頃 神応小学校回答  
11:10頃 おわりに  

  実験開始前、実験中と各一度ずつ、システムがハングアップした。双方で連絡を取り、コンピュータをリセットすることにより対応した。

 映像の送受信に関しては、一度ストップしてしまうというアクシデントが発生したものの、全体を通してリアルタイムに品質上の問題もなく送受信していた。
 音声は実験中も適宜スピーカの調整を行う必要があった。AV用の本格的なスピーカを用いたにもかかわらず、ちょっとしたボリュームコントロールでハウリングが発生してしまうなどした。音声に関しては、回線を通じた送受信の品質以前の問題として、これらの問題に難しさを感じた。また、一時、ボリュームコントロールによらず、音声の品質が著しく劣化した状態がしばらく続いた。しかし、コンピュータのリセット後には音質が改善されたことを考えると、本件及ぴ映像のストップはOSあるいはNetMeetingのソフトウェア的な問題に起因するものと考えられる(システムリソースの食いつぷし等)。しかし、取り扱いの難しさ、品質の問題は感じたものの、相手校とコミュニケーションするのに十分な音質、ボリュームは確保できたといえる。
 発表用のWeb画面の共有に関しては、体感的な待ち時間はなく、相手校の操作後、一瞬で表示された。ただし、NetMeetingでは、表示ウィンドウが更新されると、即座にその情報を通信相手に送ろうとするため、スクロールの方法によっては問題が生じた。画面をこまめにスクロールした場合には、その情報が逐次送信されるため、リモート側で追従するのが難しく、結果としてデジタルノイズののった見にくい画面となってしまう場面が見受けられた。

 質問感想カードは、高解像度での取り込み枚数も大きかったため、ファイルサイズとしては、6〜7Mbyteほどの大きさになったが、送受信/編集作業とも特に問題は生じず、順調に稼動していたと言える。

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