2.3 アンケート分析

 アンケート調査では大きく4つの内容について調査した。
まず、対象の「基本データ」である。つぎに、今までの活用実践のなかで教師が感じたことを「先生の学校におけるWWW活用の授業について」として質問した。さらにレイティングシステムを使用する前と後で児童・生徒の様子を「WWW活用の授業等での児童・生徒の興味・関心について」として聞いている。最後に先生方の「レイティングシステムを使用の意見」を聞いている。

基本データ
 全回答のそろっている14件について分析した。なお、以下の“=数字”は各項目の実数を示す。

調査日時:1998年2月5日〜2月22日
調査方法:メールによる配布・回収
調査協力者:全員男性、年齢不明
学校種:小学校=3 中学校=2 高校=2 教育センター=7
使用機種:Win95系=13 Mac系=1
フィルタリングソフト:IFS=11 MS-IE=2 IFS&MS-IE=1
レイティングシステム:Safty Online=12 RSACi=1 Safty Online&RSACi=1
使用目的: 教科利用(数学・英語・技術・理科・コンピュータ・情報基礎・情報技術基礎 各1)
  委員会活動(グローブ)コンピュータクラブ無線クラブ
  天文クラブ許可証有りの生徒教室内の自由な使用(小学校)
  教職員研修
使用場所: 余裕教室,普通教室(他はコンピュータ室と思われる)
使用場面: 内容:研修=7 情報収集=3 休み時間授業中=2 海外交流
     生徒によるHP作成 環境教育 数学関係
件数が少ないため各項目の実数/14(%)で整理した。

◎「先生の学校におけるWWW活用の授業について」の質問(第1問〜第4問)

問1. WWWを授業等で利用する際の道徳的指導について、
 1. 学校で利用規程(またはガイドラインなど)を定め、説明している。4/14(28.6%)
 2. 管理者等の専門的な教師が使い方やマナーを指導している。10/14(71.4%)
 3. 個々の教師に任されている。0/14
 4. 児童・生徒に自由に使わせている。0/14
 5. その他。0/14

問2. 授業等でのWWW活用場面について。
 1. 授業等の導入場面に利用。2/14(14.3%)
 2. 授業等の展開場面に利用。1/14(7.1%)
 3. 授業等のまとめ場面に利用。0/14
 4. 授業等の全般で利用。10/14(71.4%)
 5. その他。1/14(7.1%)

問3. WWWの利用方法について。
 1. 児童・生徒に外部の検索サイトを自由に利用させている。5/14(35.7%)
 2. 教育センター等の外部教育関連ホームページのリンク集を利用させている。7/14(50%)
 3. 学校のホームページからリンクしたwwwを利用させている。1/14(7.1%)
 4. その他。1/14(7.1%)
  ある程度のサイトを決めて利用させる

問4. 今までのWWW活用授業等で問題となった点や注意している点。
 1. 特に問題点や注意点について感じていない。7/14(50%)
 2. 問題点・注意点。7/14(50%)
● 時間がかかる ● 偶然に問題サイトにつながらないか=2
● 教師の意図に反して,ゲームや芸能人のべ一ジを見る
● 情報が多すぎて、正確で適切な情報をみつけにくい
● サーチエンジンでアダルトサイトもリストされる
であった。
これまでのインターネット利用における全体の状況をまとめると、
 WWW閲覧の道徳的指導は、おおむね担当教師が指導しており、学校で使用規定を作っているところは多くない。
 授業等でのWWW活用は、授業の一部での利用ではなく、1時間全部をWWWに使用する形態が71.4%であった。
 WWWの利用方法では半数以上で教育用のリンク集を活用している。
 いままでのWWW活用で問題を感じた教師と感じていない教師は、おおよそ半々で、その問題点は前述されたものである。

◎「WWW活用の授業等での児童・生徒の興味・関心について」(第5問〜第9問)

問5. レイティングシステムを使用することによりレイティングシステムを使用しなかった場合と比べてWWW活用の場面で児童・生徒の興味・関心に影響があったでしよう
か。
 1. より興味・関心を示した。2/14(14.3%)
 2. どちらともいえない。8/14(57.1%)
 3. 使用しない場合より興味・関心を示さなっかた。3/14(21.4%)
 4. その他。1/14(7.1%)
  ● 速度が遅くなったことによる不満が多かった。

問6. [問5で“1.より興味・関心を示した"を選んだ人]で(2名)
 児童・生徒がWWW活用に興味・関心を示した理由(複数回答可)
 1. 見たい情報を手軽に見ることができる。2
 2. 知りたいことが手軽に調べられる。0
 3. 画面で分かりやすく説明してある。1
 4. 学習活動等に変化が出てきた。0
 5. 学習活動等に参加しているという意識がでてきた。1
 6. その他。0

問7. [問5で“3.使用しない場合より興味・関心を示さなかった"を選んだ人]で (3名)
 児童・生徒がWWW活用に興味・関心を示さなかった理由(複数回答可)
 1. 欲しい情報が手に入らない。2
 2. 表示に時間がかかる。3
 3. 使う時間が短かい。0
 4. 一部の児童・生徒に専有される。0
 5. 使い方がわからない。0
 6. コンピュータに馴染めない。0
 7. その他。0

間8. レイティングシステムを使用した場合と使用しなかった場合と比べて、WWW活用授業等での児童.・生徒の理解状況の影響は
 1. 効果があがった。2/13(15.4%)
  ○ 安心して使える。
 2. どちらともいえない。9/13(69.2%)
 3. 効果があがらなかった。2/13(15.4%)
  ● HPの表示がおそくなった。
 4. その他。0/13

問9. 今後の授業等でレイティングシステムを活用してWWWの授業について
 1. 増やしたい。9/14(64.3%)
  ○ 調べ学習などで=2 ○ 研修等で自由に使ってもらう
  ○ インターネットの利点、自由に検索させたい ○ 安心、予定外の指導者の場合
  ○ 情報の収集や選択といった学習を安心して行える。
 2. あまり変わらない。3/14(21.4%)
 3. 減らしたい。1/14(7.1%)
  ● フィルタリングが完全にできない
 4. その他。1/14(7.1%)
 環境が整えば検討したい。

 全体として、生徒の興味関心については問5、問8で、どちらともいえないとの答えが半数を超えており、レイティングシステの評価は現段階では難しい状況である。しかし、WWWを活用していくうえで、レイティングシステムに関する期待は大きいことがわかる。

◎「レイティングシステムを使用の意見」の質問(第10問)〜第15問まで)

問10. 授業等の準備段階でのレイティングシステムの影響
 1. 柔軟な設定ができ、便利になった。3/14(21.4%)
  ○ 自作のリンク集が不要 ○ 価値観の違いに対応できる
  ○ 学年等に合わせて設定できる点。特に講習会で便利
 2. あまり変わらない。5/14(35.7%)
 3. 準備が複雑になった。5/14(35.7%)
  ● レイティング基準の設定・4 ● ユーザー管理
 4.その他。1/14(7.1%)

間11. 授業実施中の操作に関するレイティングシステムの影響
 1. 操作が簡単で、便利になった。1/14(7.1%)
 2. あまり変わらない。8/14(71.4%)
 3. 操作が複雑になった。3/14(21.4%)
  ● 利用者からの問い合わせ・2 ● 思いがけない警告がでる
 4. その他。0/14

問12. ネットワーク等コンピュータ管理に関する仕事の増減について
 1. 減る。1/14(7.1%)
 2. あまり変わらない。4/14(28.6%)
 3. 増える。9/14(64.3%)
 4. その他。0/14

問13. レイティングシステムを使用して、困ったことや問題
 表示時間がかかる=5
 フィルタリングのかかり方が様々。
 必要なものまで削除される。
 インストール後の変更があると,クライアントの台数分実施しなければならない。
 性教育,いじめなど有用なサイトもフィルタリングされる。
 レイティングシステムそのものに生徒が興味を持ち実験をすすめる。

問14. レイティングシスナムヘの期待・感想に関して
(1) レイティングシステムにより授業に有害な情報を排除できる。
 1. そう思う8/14(64.3%)
 2. どちらともいえない4/14(28.6%)
 3. そう思わない2114(14.3%)
(2) レイティングシステムにより授業に有効な情報を入手できる。
 1. そう思う5/14(35.7%)
 2. どちらともいえない9/14(64.3%)
 3. そう思わない0/14
(3) レイティングシステムは授業の理解を深めるために有効である。
 1. そう思う3/14(21.4%)
 2. どちらともいえない9/14(64.3%)
 3. そう思わない2/14(14.3%)
(4) レイティングシステムを今後も使いたい。
 1. そう思う11/14(78.6%)
 2. どちらともいえない2/14(14.3%)
 3. そう思わない1/14(7.1%)
(5) レイティングシステムをもっとみんなに教えてあげたい。
 1. そう思う11/14(78.6%)
 2. どちらともいえない3/14(21.4%)
 3. そう思わない0/14

問15. レイティングシステムに対する要望
 教育上好ましい情報を提供できるシステムがほしい。
 学校のProxyサーバー上で利用者の一括管理ができるように。
 システムの更新が必要。
 速度の改善。
 インストールの設定をわかりやすく。

これらのことから,レイティングシステムを使用した場合
 準備管理のために仕事が増加した。
 授業段階での操作性には問題はなかった。
 現段階では授業にレイティングシステムの有効性は見いだせないが、
 教師の安心感のため,学校という立場のために、
 レイティングシステムを使いたいと思っており、かつ啓蒙使用と考えている。

レイティングシステムの今後の改善点として希望することは、
 「速度の向上」と「管理の省力化」、「インストールの簡略化」などの希望があった。
 今回は短期間での調査であったことから,長期利用後における問題点は把握できなかった。

今後の検討課題である。

[目次へ戻る] [次のページへ]