学校でのインターネットの活用については、1996年7月の中央教育審議会の第1次答申や、1997年の経済構造の変革と創造のための行動計画の閣議決定、文部省の教育改革プログラムなどで、近い将来、全国の学校がインターネットを接続することを打ち出していたが、具体的な時期については明らかにされていなかった。しかし、1997年11月の文部省の発表では、2001年までに全中学校・高等学校、養護学校が、2003年までに全小学校がインターネットで結ばれることになった。
このように教育現場でのインターネットのインフラの整備は、従来の教育の内容と方法に大きな変革の奔流を引き起こす可能性がある。
パソコンが学校に導入された当初は、DOS+BASICの環境であったため比較的容易にプログラムの作成ができた。また、それほど多くの市販のソフトウェアがなく、市販のソフトウェアを購入するための予算がなかった。さらに、新鮮さもあって多くの自作ソフトウェアが開発された。
やがてWindows環境になり高度な技能を必要とし、内容的にも複雑で多機能なソフトウェアが要求されるようになり、購入予算も増えていくにしたがって自作よりも市販のソフトウェアの割合が増加していった。しかし、インターネットという環境が整備されつつある現在、自作の教育ソフトウェアを共同で作成したり利用する仕組みを整備する必要が生じてきた。
市販のソフトウェアは一人の開発者が開発することは極めて少ない。多くの開発者が共同で作成している。これからは自作のソフトウェアもこうした共同開発が必要とされるのである。すべての学校がインターネットで結ばれるようになれば、自作ソフトウェアを異なる学校の先生とうしで共同で作成することができるのである。
また、共有利用においてもインターネットは非常によい環境である。従来、フロッピーディスクなどの記憶媒体を郵送することによって自作のソフトウェアを配布していた。また、実行する前にはインストール作業が必要であった。しかし、インターネットを使えば、利用だけであればダウンロードやインストールの必要がない。ホームページを閲覧するだけで簡単にプログラムを実行させることができるのである。
本企画では、このようなインターネットを利用した新しい環境による自作のソフトウェアの共同作成、共有利用などのあり方に関する調査・研究を行った。