3.2 ソフトウェア開発の技術的背景

 本企画で取り扱う技術的な背景として、いくつかの要素を説明する。
 ブラウザソフトウェアの代表的なものとしてNetscape杜のNavigatorやCommunicator、マイクロソフトウェア社のInternetExplorerが利用されている。これらのブラウザソフトウェアの中で動的にソフトウェアが動作する手法としてアニメーションgifの表示やプラグインがあり、HTMLの中でプログラムを記述しブラウザソフトウェアが解釈しながら動作するスクリプト言語やWebサーバからプログラムファイルをロードしながら実行するJavaやActiveX等の実行形態がある。

(1) アニメーションgif
 複数のgif形式の画像を表示時間等の制御情報を加えて結合し、1枚のgif画像ファイルを作り、ブラウザソフトウェア上から表示する。
 容易にアニメーションが作成でき、表示方法も一般の画像の表示と同じで容易である。しかし、画像のサイズが大きくなるとファイルの容量も大きくなり、ロードに時間がかかる事や、単純な画像の繰返し動作のみで、特定の条件や利用者の指示による動作の変更等が出来ないなど制約が多い。単純な教材に向いている。

(2) プラグイン
 ブラウザソフトウェアにプラグイン・ソフトウェアを追加して機能追加を図る。現在150種類以上のプラグインソフトウェアがあり、それぞれのプラグインに対応した開発ツールで作成されたデータをWeb上で表示することが可能。
  代表的なものとして動画表示のアップル・クイックタイムやショックウェーブなどがあり、動画ファイルの表示や音声の再生、プレゼンテーションの再生などプログラム的な表現が可能。

(3) スクリプト言語
 ブラウザソフトウェアは、HTML言語を拡張する言語として、スクリプト言語をサポートし、実行時に記述された言語を解釈しプログラム的動作が出来る。
 スクリプト言語は、HTML言語の中でテキストの形でソースプログラムが記述しされ、ブラウザソフトウェアがそのぺージを解釈しながら動作するため、手軽なプログラム言語といえる。.但し、複雑なプログラムはソース量が多くなり適さない。
 代表的なスクリプト言語として、ネットスケープ社のJavaスクリプトとマイクロソフト社のVBスクリプトが挙げられる。

・JavaScript:ネットスケープ社のNavigator,Coaounicator上で動作することの出来るJavaに近いスクリプト言語。マイクロソフト社のIntemetExplorerのVer4.O以上においてActiveScriptの名称でECMA-262準拠のJavaScriptが動作する。
・VBScript:マイクロソフト社のIntemetExplorer上で動作するVisualBasic系のスクリプト言語。
 スクリプト言語を利用する場合、動作する言語は、対応するブラウザソフトウェアに依存し、各ブラウザソフトウェア及びそのバージョンに注意する必要がある。

(4) java,ActivX等のプログラム
 利用者側のブラウザソフトウェアでプログラムを実行する仕組みとしてサンマイクロシステムズ社の作成したJavaとマイクロソフト社が作成したActiveXがある。
 JavaとAxtiveXは言語仕様も出来上がるソフトウェアの形式、実行する方法全てが異なる。Javaについては別途説明する。
 AxtiveXは、Web上で動作アクションが行われると利用者側のパソコンにインストールされたActiveX対応モジュールを実行し、動作する。ActiveXの良い面として、一般のアプリケーションソフトウェアと同様に木目細かいプログラム動作が行えることである。欠点として動作する環境がマイクロソフト社が提供するOS及ぴブラウザソフトウェア上だけであり互換性に課題が残ることや、利用者側のパソコンを自由にアクセスすることが出来るため、悪意のActiveX対応モジュールがインストールされた場合、利用者側パソコンのセキュリティに問題が起こると等が挙げられる。
 また、ActiveXに対応するモジュールを作成するためには、C++等の開発環境と専門的な知識が必要である。現在、マイクロソフト社では、学校の先生が開発するような面においては、ダイナミックHTMLとスクリプト言語の利用を勧めている。

(5) CGI(CommonGateWayInterface)
 サーバ側のソフトウェアをコミュニケーションを取りながら表示を変化させる方法としてCGIがある。
 CGIは、Webサーバにパラメータ付きでプログラム名を指定し、サーバ側では要求されたプログラム名十パラメータにより、ぺージをその場でユーザの指示に合わせて自動生成し、クライアント側転送し、受信したクライアント側で個別のぺージが表示される。

 このような形でクライアント側とWebサーバ側がコミュニケーションを取りながら動作を行うことが出来る。
 CGIは、データの収集、アンケートの集計、Webサーバにあるデータベースや集計データの検索表示やグラフ化表示、数秒間毎に表示されるチャットなどに利用されている。
 サーバ側のCGIソフトウェアを作成する言語としてPerlやJavaが多く利用されている。

(6) Java
 Javaは、サン・マイクロシステムズ社が開発した言語で、インターネソト上のソフトウェア開発言語としてクライアント側プログラムの実行やサーバ側のプログラムの実行で多くの人々から支持されている。

1) Javaの実行形態
  Javaの実行形態として現在インターネット上では次の4つの形態で利用されている。

・アプリケーションソフトウェア
コンパイルされたJavaの中間言語ファイル(以下Classと言う)を開発キットに添付されている実行プログラム(インタープリタ)で実行し、スタンドアロンのプログラムとして実行する形態。
・アップレットソフトウェア
コンパイルされたClassを、Webサーバ上に置き、端末側からWebを呼びだすと、そのWebに記述された実行するClassを端末側のブラウザソフトウェアが解釈(インタープリタ)して実行する。
・サーバソフトウェア
Webサーバやデータベースサーバ上で、端末側の指示に従ってデータの登録や検索処理を行い、必要とする反応を返す。
・サーバ・クライアントソフトウェア
上記の端末側のソフトウェアとサーバ側のソフトウェアをWebを通じたり、直接結びデータの交換を行う形態。

2) Javaの特徴
利点
 実行するコンピュータに依存しない。
 オブジェクト思考の整然とした言語体系
 セキュリティが高い
 言語仕様やソースプログラムがすべて公開されている

難点
 教育用ソフトウェアを作成するには機能が多すぎる。
 米国で作成された言語で日本語化、日本語資料等の入手にタイムラグが発生
 部品化に対応するJavaBearnsの仕様が難解
 言語仕様の改定速度が速い

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