プロローグ

 中学生から習いはじめた英語,映画やテレビで接する英語,どんな生徒でも「あんなにしゃべれたらいいな」と思いながら,授業を受けていることと思います。単語も覚え,文法も習い…しかし,学習をした英語を試す場がありません。「通じた!」と喜びを体験できる場が今までありませんでした。

 友美さんは高校の2年生。あまりインターネットには興味ありません。電子メールも難しそうで…。どう書いていいかも分かりません。しかし,ある日初めて英語でメールを送ってみました。その日の内に返事かやってきたのです。インターネットって速いんだ!そして自信のなかった英語が通じている。

 彼女のインターネット体験が始まりました。交流を通していろんな事が見えてくるようになりました。その国に生きている人の声はその国を正確に伝えてくれます。多くある共通点,将来についてのビジョン,同じ世代の持つ喜び,夢・・。いつの間にか教科書やテレビの情報で得た「国」から「私と日々インターネットで接している人の住む国」となりました。

 また何気なく聞いていたその国の出来事,経済状態や事件などもすべてあの人の生活と結びつくこととなりました。「大きな台風があったようだけど…」「すごい!マラソンで優勝したんだ!」と心配したり,喜んだり,メールの機会もどんどん増えていきます。

 そのような交流が続くと次に友美さんは,顔がみたい!直接話してみたい!と思うようになりました。

 インターネットはこんなことも簡単に実現します。実際の場面では「How do you do?」「…」次の言葉が出てきません。英会話の学習の目的もしっかりとつかめるようになりました。

 小学生もいろんな国のことを学習します。

 コーヒーの産地,いろんな気候の国々,でも実感がわきません。教科書の中の「国」は教科書を閉じると同時にその国の扉も閉じてしまいます。

 しかし先生が英語を訳してくれるボランティアの人を見つけてきてくれました。その人は自宅にいながら私たちの質問や感想を英語に直してくれるのです。インターネットの機能が「質問してみたい」という私たちの願いを実現してくれ,国の扉が応援してくれる人の手で開いたのです。ボランティアの人によって,自分の海外への質問の返事がどんどん届けられるのです。海外の人との日常的な交流によって子どもたちは何を手にするのでしょうか。

 インドネシアに住む日本人の人からのメールで子どもたちは多くを学びます。

 「年中暑く,服装もほとんど変わらず時間の流れがあまり感じられません。祭りなどで時の流れを掴むしかないように思われます。日本の四季って本当に大切だって事がこちらにいるとよく分かります。」

 このようなメールを受け取ったとき,四季を持つ国,日本について初めて考え始めることが出来るのではないでしょうか。自分の姿を自分で見ることはできません。海外の姿は自分「日本」を映す出す鏡となってくれます。自然との一体感の中で生活している自分達について考える良い機会となります。

 交流の中で,ともに生きている友達を通して他国を知る。その支えで自分を掘り起こし,自分発見を進めながらさらに他国に働きかけていく・・。そんな活動が期待できます。

 今までほとんどの生徒にとって,外国は遠く,「国際化」は文字だけの世界のようでした。しかしパソコンの前に座るとき,画面の向こう側は「海外」です。インターネットによって,全ての生徒に「生活圏の中に外国」が実現され,新しい視点を得ることができるようになったのです。


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