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理論編:なぜ浮かぶの?

 翼(つばさ)の表面効果は、翼と地面・水面との干渉(かんしょう)効果のことです。鳥や飛行機のような翼を持った物体が飛行するには、自分の重さと同じだけの力を翼によって作り出さなければなりません。この力を揚力(ようりょく)と呼んでいます。また、空気中を運動するとさまざまな抵抗(ていこう)を受けます。これが抗力(こうりょく)です。
 さて、飛行物体が高い位置で飛行する際の、流体力学/空気力学によって揚力/抗力の様子は詳しく調べられていましたが、地面・水面ぎりぎりのところではどうなのかということは、あまり聞いたことがないかと思います。

  学問的に表面効果を最初に研究した人はウィーゼルベルガーで1929年に抵抗減少を報告しています。その後、この表面効果は急速に研究されるようになりました。一連の研究によって、翼が地面・水面に近付けば、揚力が増し、抵抗が減ることが判りました。乗物・輸送手段としての飛行機は、出来るだけ重いものを、出来るだけ少ない力で運んでやりたいのですから、この表面効果はとても都合のよい干渉効果です。
  表面効果滑走体の構造を持つ乗り物ができれば、翼が地面・水面に近いことを利用して、翼端で翼と地面・水面との間に板を垂らして空気の回り込みを防ぐこともできます。この板を翼端板または端板と呼びます。こうして、より一段と抵抗を少なくすることができます。また、翼を長くする必要がありませんから、構造的にも楽になり、地上での取扱いにも便利になります。
 自然界を振り返って見ますと、ハクチョウやカモ、ペリカンといった大型の水鳥、トビウオやトビイカ等は明らかに翼の表面効果を利用していますし、カラスなどの普通の鳥も水面上を飛ぶときには、水面スレスレまで降りてきて表面効果を利用していることがあります。

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