3.2 学習内容
(1) 1学期
1学期は,お金の持つ基本的な役割を理解するために,参加者を下記三つのグループに振り分け,テーマに沿ったグループ・ワークを展開した。なお,グループ・ワークにおける導入部ではメンターによって作成された資料を元に各テーマにおける基礎事項を学んだ。
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図2 授業風景(1学期)
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<1> 『日本のお金と歴史』チーム(5名)
<2> 『会社と株とお金』チーム(5名)
<3> 『為替』チーム(5名)
1) 学習内容T(各グループ共通)
◎インターネットを利用した調べ学習
◎ネットワークを利用したコミュニケーション
◎ネットワーク環境:利用方法の理解,活用
◎学習成果を共有するため,学習発表(図2)
2) 活動内容U(グループ別)
<1> 『日本のお金と歴史』チーム
・日本のお金について,その成り立ち,役割,使われ方を学んだ。
・昔のお金と今のお金の違いについて考えた。
<2> 『会社と株とお金』チーム
・会社を構成する要素と機能について学んだ。
・会社と社会との関係について,各人なりにイメージし,学習した。
・自分の最も関心のあるところから,必要な知識を吸収した。
<3> 『為替』チーム
・為替の基礎事項を学習した。
・全国学生対抗円ダービーへの参加した。
・今,話題となっている(為替をめぐる)問題について考えた。
なお,為替チームは参加した円ダービーにおいて最終エントリーの260チーム中32位,中学生のみでは5位という好成績を得た。
(2) 2学期
2学期は,日本経済新聞社が主催する「日経STOCKリーグ」(以下,STOCKリーグ)に参加した。STOCKリーグは,中学生から大学生までを対象にした株式学習コンテストであり,インターネットを活用して,実際の株価に基づいて株の模擬売買を行いがら,経済や金融の仕組みや働きを理解することを目的に行われているものである。本授業では株式取引を実際の株価変動に基づいて行うことにより,現代社会と経済との関係を理解を図ることができるのではないかという期待が持たれた。また,コンテスト形式の学習を行うことにより,よい意味での競争意識が生まれ,学習意欲が向上するのではないか等の考えからSTOCKリーグを採用した。
学習形態については,1学期と同様に3つのグループに分かれ,グループ学習の形態をとった。ただし,基礎事項の修得を目的とした1学期とは異なり,教師もしくはメンターによる指導は極力減らし,学習目的に対し,各グループでディスカッションを中心にして自主的に学習を進めていく形をとり,それを教師・メンターが支援するようにした。
具体的な活動内容は以下の通りである。
1) バーチャル株式の体験学習
10月1日より11月30日までの2ヶ月間,仮想資金100万円を利用し,インターネットを利用したバーチャル株式売買を体験した。この学習を通し,新聞やTVニュースなどで報じられていること株価の関係性について,理解した。
2) 自主テーマによるポートフォリオ学習
「バーチャル株式の体験学習」で理解したことを生かし,各グループで独自の投資テーマを設定し,仮想資金500万円以内でそれぞれのテーマに沿った銘柄選定を行った。この学習を通して,今までの学習内容を生かしながら,グループで議論をし,意思決定(テーマ決定,銘柄選定)を行うというグループ学習プロセスを経験した。なお,各グループが設定したテーマは以下の通り。(なお,グループ名は生徒が独自に設定した。)
■チョモランマ班:「福祉」
■MONEY班:「健康な生活を送るために」
■ワールドポート班:「この冬,各家庭で子どもが夢を創るために楽しめるもの」
3) レポート作成
「バーチャル株式の体験学習」及び「自主テーマによるポートフォリオ学習」について,各グループでレポートを作成した。1学期では,口頭発表によって学習内容をまとめたが,2学期ではレポート執筆を通して学習内容をまとめた。なお,書くべき項目については,あらかじめ設定し,その項目に沿って,レポート執筆を行った。
(3) 実施体制
1) 指導体制
以下のメンバーを中心とした教員の参加・協力
● 校 長
● 社会科担当教員1名
● 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の大学院生による下記二つのプロジェクトから,学習テーマの選定,授業方法・環境整備の企画立案,実践参加を含めた全面的な協力を得た。
◎『Mag21プロジェクト』指導教員:斎藤信男(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科長c)
◎『モービル広域ネットワークプロジェクト』指導教員:村井純(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
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