E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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実践事例の報告  茨城県つくば市立並木小学校

LAN,インターネットを通して,学年・学校の枠を越えて広がる研究学習
−グループウェアを活用し,30以上の学習テーマが同時進行する共同学習−

小学校第4・5・6学年,総合的な学習の時間
茨城県つくば市立並木小学校 野村光弘
http://www.namiki-e.ibk-tt-net.ed.jp
キーワード:校内LAN,インターネット,グループウェア,
共同学習,総合的な学習の時間,かかわり合い

インターネット利用の意図
 校内LANや電子掲示板,インターネット等の効果的かつ多様な活用を図り,次の学習活動を充実及び発展させたいと考える。
(1) データーベース,電子掲示板を活用した学年・学校の枠を越えた共同学習。
(2) 電子メール,テレビ会議システムを活用した,地域の人々や他校の児童とのかかわり合いを重視した環境学習。
(3) 学習テーマを全教科・領域に広げ,思う存分,各自の問題解決に取り組む学習。
 これらの教育活動を通して,「かかわり合い」をキーワードに,たくましく生きる児童(互いの思いや願いを認め,温かくかかわり合うことができる児童)の育成をめざす。

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1. 実践内容

1.1 第4学年 理科「季節と生きもの」
(1) 単元名・テーマ
 「願い」かなえよう −生きものの命を見つめて−
(2) ねらい
 春,夏,秋,冬の一年を通して,調査・観察の過程をデジタルカメラで撮影し,データベースにまとめ,電子掲示板やインターネットで情報発信し,同じ課題を持つ校内及び他校の児童との相互学習や共同学習を進める。
(3) 指導目標
 季節による動植物の成長や様子と環境との関わりについて興味を持ち,友達と協力し合って調べようとする。課題解決の過程で実験・観察のまとめを電子掲示板やインターネットで発信したり,図書やコンピュータを活用して情報収集を行い,多くの人との関わり合いと実践活動の中から生物を愛護する気持ちをもち,喜びや感動を伝え合い,考え合うことができる。
(4) 利用目標
 学習の過程でコンピュータネットワークを活用することで,多くの人々(異学年,他校,専門機関)とのかかわり合いを持ち,情報の収集・活用能力を高め,さらに飼育・栽培,観察・実験などの体験的な実践活動を通して試行錯誤しながら,児童が生き生きと活動することができる。
(5) 利用場面

【資料1アドバイスコース】
【資料2調査活動コース】
【資料3ネットワークコース】
学校ボランティアの活用
無線LANの活用
児童のアドバイスメール
(学校ボランティアの活用)
(無線LANの活用)
(児童のアドバイスメール)

1.2 第5・6学年 総合的な学習の時間
(1) 単元名・テーマ
 ぼくたち,私たち「なみき環境調査隊」 −行動は足もとから,思いは地球規模まで−
(2) ねらい
 校内ネットワークや電子メール,テレビ会議システム,インターネットライブ中継を活用して,地域の人々や他校の児童とのかかわり合いを重視した環境学習を行う。
(3) 指導目標
 並木小学校区の環境の実態をふまえ,その保全や改善へのこだわりを大切にしながら,よりよい環境づくりのために,身近な実践活動を繰り返し行うことができる。自分が考えた解決法で課題を追究し,研究テーマに迫ろうとすることができる。
(4) 利用目標
 視野を広げながら考えを深め,適切に判断し行動できる力を育むためには,学年や学校を越えた人々とのかかわり合いの場を多く設定することが必要である。そこで,次のような利用目標を設定した。インターネットや電子メール,テレビ会議システムやインターネットライブ中継はより多くの情報を迅速に得たり,逆に発信したりすることができる。このようなメディアを活用することで,児童と学校外の人々とのかかわりがより容易になり,物事を多角的に捉えることができると考えられる。
(5) 利用場面

【資料4 インターネットライブ中継】
【資料5 発表・アドバイスコース】
(市内の小中学校にライブ放送)
(研究内容を発表し,アドバイスを受ける児童)

1.3 利用環境
(1) 使用機種 
コンピュータ室    DOS/V機 42台
メディアルーム   東芝リブレット9台 DOS/V機9台
各教室 DOS/V機 各1台
職員室 DOS/V機 4台,ワイヤレスLANアクセスポイント 2台,ワイヤレスLAN用ノートパソコン 6台
(2) 周辺機器 
インターネットライブ中継サーバー B−BOX 1台
デジタルカメラ ソニーMAVIKA 14台,シャープインターネットビューカム 1台, ソニーデジタルビデオ 2台
スキャナ エプソンGT-7000 2台,プリンタ エプソンPM670他 15台 
スマートボード 2台
(3) 稼働環境 
 全コンピュータLAN接続,メディアルームの東芝リブレットは無線LAN,インターネットには,光ケーブルを使って専用線接続,ケーブルテレビ回線接続(ブロードバンド対応)
(4) 利用ソフト 
 シャープスタディノート,インターネットエクスプローラ5.0,がくげいランドセル,デジタル平凡社マイペディア,ひらがなナビ(富士通ラーニングメディア)

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2. 指導計画
活動内容(時間)
児 童 の 活 動
児童の意識
【 学習との出会い 】
4

5

6




7





課題探し
(理科5)
学習課題の決定
(8)
課題追究活動
(実験・観察,
飼育・栽培, 調査) (14)

情報発信(5)



1学期のまとめ
(3)
・理科「季節と生きもの」で,並木の自然に目を向け,課題探しをする。
・1年間,取り組む学習の課題を決定し,グループをつくる。

・学習の課題解決のための計画を立てる。
・自分たちの課題に基づいて,調べ,実験や観察方法を考える。
・必要な実験について,アドバイスを受けながら実験を開始する。


・調べ学習,実験,観察を進め,随時スタディノートに記入し,情報交換をする。
・1学期に調べたことや,実験・観察したことの結果をスタディノートにまとめ,電子掲示板に掲示する。
・1学期の反省をする。
 


思い,願い



調べる


まとめる


認め合う

【 見つめよう 】
9





10


11



12
 
2学期の計画

課題追究活動
(実験・観察,
飼育・栽培,調査) (12)
情報交換
(14)


中間発表会
(本時)
調査・製作活動
(14)
2学期のまとめ
(10)
・1学期の反省をもとに,2学期の学習計画を立てる。
(1学期にまとめたことをさらに深めた研究が進められるように話し合う。また,1学期の結果が思うようにでなかったグループは,なぜ,うまくいかなかったのか原因を調べ,課題解決の方法を考える。)


・課題解決のために,専門家や,研究機関にメールを送り,質問する。また,参考となるテーマで学習を進めている本校の高学年児童や,共通のテーマで学習をしている他の学校の児童とメールを使ってやりとりし,共同学習を進める。
これまで調査したことを,まとめ,発表する。
発表したことについて話し合ったり,アドバイスを受けたりして,友達との関わり合いを持つことによって,お互いの考えを深めあう。
・2学期に調べたことや活動したことをまとめ,3学期の活動内容を話し合う。

調べる


まとめる


伝える


話し合う


深め合う

【 みんなの願いをかなえよう 】
1


2

3
 
チャレンジなみき集会の準備
(17)
チャレンジなみき集会(2)
1年間のまとめ
(6)
・3学期の活動を確認する。
・チャレンジなみき集会で発表することをスタディノートや新聞にまとめる。
・保護者に1年間「チャレンジなみき」で学び深めてきたことを発表する。
・1年間の学習のまとめをする。
 



広げる


 
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3. 学習の展開
学習の流れ・指導上の留意点(★個への対応 ◎評価)
【5−1教室】 〜作成ゾーン〜  T1
「準備ができたら,作製を始めよう。」

リサイクル

◎意図した通りに作ることができたか。(観察)

新聞作り

◎発表や提案の準備ができたか。(スタディノート・模造紙)

【5−1廊下】 〜調査ゾーン〜

コンピュータでリサーチ


【メディアルーム】

「メディアルーム,CAI室のコンピュータも使って情報を集めたり,スタディノートにまとめたりしよう。」

 

【5−2教室】          T2
〜インターネットライブ中継ゾーン〜
 インターネットライブ中継と電子ビデオメールを併用し,互いの思いや願いを語り合い認め合う。


(共同学習相手校)
谷田部小学校,吉沼小学校,竹園東小学校など市内の小中学校

提案1

提案2

【5−2廊下】 〜資料ゾーン〜
「児童の作品や資料を展示しておく。」

T3・4

T2

T1

【5−3教室】           T3
〜発表・話し合いゾーン〜
「準備ができたら,発表を始めよう。」

◎発表をよく聞き,認め合えたか。(観察)

【5−3廊下】          T4
〜発表・話し合いゾーン〜

◎内容をわかりやすく伝えられたか(観察)

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4. 成果と課題

(1) LAN,インターネットの活用を通して
 本研究では,ネットワークとグループウェアの電子掲示板やデータベース機能の活用によって,時間や場所にとらわれないコミュニケーション活動を実現することができた。
 これにより児童の学習は,多くの人々(異学年,他校,専門機関)とのかかわり合いの中で情報の収集・活用能力を高め,飼育・栽培,観察・実験などの体験的な実践活動を通して,試行錯誤しながら自分の力で問題を解決していく力を身につけていった。
 さらに,今回活用したインターネットライブ中継サーバー(B−BOX)を,今後は地域社会に向けてどのように活用していくかが課題である。そのためには,本校の地域社会における役割というものを改めて見つめ直す必要がある。
(2) 児童の学習に対する主体的な取り組みや問題意識の向上について
 近隣公園での調査活動では,無線LANを活用し,公園の環境をその場で撮影したり,記録したりできるようにした。さらに,見つけたものをその場でインターネットやデジタル図鑑で検索する。グループで調査場所を分担し,メールで観察データのやり取りをするなど,常に問題意識を持ち,より具体的な観点で調査対象を捉えることができるようになった。
(3) 児童一人ひとりの具体的な評価について
 児童はそれぞれの目的を達成するため,様々な場所で,様々な活動を行っている。そこで,児童一人ひとりの活動過程を評価するためにグループウェアのデータベースの機能を活用し,デジタルポートフォリオを作成した。これにより,児童の学習活動の過程を把握することができ,評価はもちろん,より具体的な助言をするなど,的確な支援を与えることができた。

ワンポイント・アドバイス
 本研究で大変だったことが,30以上にも及ぶ児童の学習内容の把握である。しかし,TT間での念密な打ち合わせやデジタルポートフォリオの活用,電子掲示板を通した全職員のアドバイスにより,児童一人ひとりの評価及び,その場その場での具体的な指導が可能になった。
参加・協力校等の名称
竹園東小学校,吉沼小学校,谷田部小学校などつくば市小中学校。
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