1.情報リテラシーの育成
ア.背景
高等学校においては平成15年度から新教科「情報」が設置されるが,情報が必修でない現教育課程の生徒たち(今年度を含む2年間の間に入学してくる生徒たち)に対しては,意識してこれらを学習する機会を設けてあげる必要がある。
またII,IIIを実践する前段階として,情報モラルの育成は欠かすことのできない内容である。したがって特定のクラスだけではなく,全1年生に実施する必要があった。教育課程上に必修として位置づいていない現状の中で,相応の時間数を捻出し,かつ担当者を割り当てるための工夫を行いながら,実践した。
イ.指導目標
インターネットの利便性や効果的な活用方法については,「光の部分」としてさまざまな場面で体験・学習することができる時代となった。情報関連の科目に限らず,教科学習でインターネットを使うことは,決して特別なことではなくなっている。むしろ家庭や中学校での体験から,生徒の方が進んでインターネット活用を望む場面なども見られるようになった。
一方その「影の部分」については,話題として取りざたされることも多いが,各教科分散型の情報教育中心の現行教育課程では,まとまって学習する機会は意識して作っていかなければならない。今回のオリエンテーションでは,インターネットの光と影の部分について理解し,学校生活において快適安全に利用できるリテラシーを身につけることを目標にしている。
ウ.実施形態
全1年生に10時間程度のオリエンテーションを行うには,LHRや放課後の利用ではうまく運営ができないと考えた。高等学校では各教科分散型で場面に応じて情報機器を活用することになっている。その視点から,5教科(国語,社会,数学,理科,英語)の授業時間を2時間づつ使わせていただいた。
指導担当者は,「新校準備委員会」が担当した。この委員会は前述のフレキシブルスクールを立ち上げるために作られた組織で,8名の委員が所属している。オリエンテーションの流れ,使用プリントの準備,授業の調整等,企画運営をこの組織で行った。 平成15年度の新教育課程実施を目前にして,情報科目を必修科目として教育課程上に位置づけるのは困難が予想される。今回とった形式は,担当者の確保がうまくいけば,授業展開としては実現しやすいものと考える。
エ.利用環境・稼動環境
今回はインターネットの活用が中心であるので,特別必要なソフトウエアや周辺機器は無かった。しかし30人〜40人生徒が一斉にアクセスしてもストレスを感じない,インターネット環境が必要となる。このオリエンテーションの最中にISDNからADSLに接続環境を変更した。ISDNの場合は10台づつ順番にインターネット接続をさせたりする工夫が必要で,授業の流れも途切れがちであったが,ADSL環境になってからは,問題なく実施できた。
2.指導計画・指導案
|