E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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実践事例の報告  横浜市立川和東小学校

「子ども仕様簡易モバイルノートによる授業実践」
〜教室の内でも外でもノート感覚で使える小学生用モバイルツール〜

第5学年社会科・総合的な学習の時間
横浜市立川和東小学校
出口和生
kazuo@yokohama-exit.com
キーワード:小学校,5年,社会,総合,モバイル,無線LAN

●インターネット利用の意図
 「家電感覚の操作性と軽量さ,優れたバッテリー持続性と無線LAN接続性,極めつけはタッチパネル!と小学校向けの仕様」であるにもかかわらず,ビジネス用途に重点が置かれているのがWindows-CE機である。このハードウェアを小学校向けの情報端末にするために小さなツールをカスタマイズ・インストールすることにより,教室内インターネット・家庭持ち帰り端末などの手軽な「小学生モバイルツール」を構成・授業内外での実践を行った。

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1. 教室の中でも外でも
教室の中でも外でも 本校は平成13年3月の時点で,「職員室」「パソコン室」「図書室」の校内ネットワークは敷設されていた。しかし,パソコン室と図書室は特別棟に位置していて,一般教室へのインターネット接続は困難を極めていた。そこで,「教室の中でも外でも」を実現させるために,各教室においてインターネットや校内サーバへの接続が可能になるネットワーク工事を行った。
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2. 校内プロキシーサーバの設置
 INS64一回線でインターネットを複数台で使えるようにするためには,校内にプロキシーサーバを設置するのが近道となる。サーバマシンの負担や金銭面のことなどを考え,LINUXでサーバを構築することが望ましい。しかし,ここで気をつけなければならないことがある。それはLINUXマシンを誰が扱うのかということである。視聴覚担当教員がLINUX操作を覚えて設定しメンテナンスをするのでは破綻を来すと考えられる。そこで,寄贈されたマシンをベースとして,LINUX構築業者にシステム設定を依頼して,サーバマシンを構築した。
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3. 普通教室で自由にインターネットを

 パソコン特別室ではなく普通教室でインターネット接続することは可能になった。後は教室に設置するパソコンが手配できれば良いのだが,学校には余剰パソコンはない。かと言って,パソコン室のパソコンを特定教室に持っていくこともできない。そこで当面は,実践担当者が私物の旧式パソコンを教室に設置することで対応せざるを得ないことになった。
 次に教室でのインターネット接続端末台数を増やすことを考えると,デスクトップパソコンの有線LANでは普通教室のパソコンを使わない授業の際に邪魔になる。また,授業形態によってダイナミックに配置が変更される児童の机上で使うことを考えると,ネットワークケーブルを教室内で引くことは現実的ではない。「好きなときに好きな机の配置で」を実現するには,ノートパソコンでの無線LANでなければならない。

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4. 子どもたちが普通教室で自由に触れるパソコンを

 子どもたちが「普通教室で自由に」触れるパソコンの条件は以下のように考えられる。
・ノート型でできる限り軽量。そして無線LANでインターネット接続ができる。
・起動時間が短い。または,常時電源オンでもバッテリーが持続する。
・万一,システム異常やいたずらなどがあってもすぐに修復ができる。
・操作が簡単な子ども用のソフトウェアがインストールされている。
 この条件を満たすパソコンにWindowsCEマシンがある。再起動に10秒弱の時間しかかからず,バッテリー駆動時間も4〜10数時間ある。リセットボタンを押すだけで元の状態に戻すことができ,標準でタッチパネル操作が使えることも子ども用としては大きなポイントになる。

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5. モバイル15台で実践開始

モバイル15台で実践開始 WindowsCEマシンは,新品で5〜10万円。中古品ならば2万円程度ということであり,本企画により15台のモバイル機を導入することができた。また無線LANアダプタは旧式2Mの物だが主旨に賛同していただいたメーカより貸与を受けることができた。
 現在,社会科の資料収集をインターネットで行ったり,国語科の作文を家庭に持ち帰ってワープロ入力したり,日直が交代でデジタル学級日記をつけたりしている。

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6. 具体的実践1

(1)川和東まつりで私たちの取り組みを伝えよう(総合的な学習の時間)
(2)児童の実態と本活動設定の意図
・年間活動としての「ケナフ栽培」
・年間活動としての「コンピュータ活用」
 情報教育・コンピュータ活用に関しては,子供たちのテーマとして大上段に構えて扱うのではなく,活動を支援する知識・ツールとして日常的に触れ・慣れ・親しむことを目指していくこととした。そのためには視聴覚室を定期的に活用し機材や場になれるこことや,日常的に教室でコンピュータ・インターネット活用を目にし,自分で行うことを目指していきたい。
・インターネット利用環境
視聴覚室に13台の端末がある。しかし,一般教室とは離れた場所にあるため,本企画の校内LAN工事とモバイル端末設置により,実践学級では10台のモバイル端末によるインターネット活用が可能となっている。
(3)本活動全体の目標
・クラス・学年・学校・地域の人との「励まし合い」「ふれあい」を行う。
・学び方や考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む。
・環境問題について常に心の中で意識し,自分たちにできる活動を工夫して行う。
・チームでの分担活動を明確にし,一人一人が責任感を持って行動する。
・インターネットから必要な情報を収集して,自分たちの活動に生かす。
(4)本活動の流れ

(5)本時のねらい
・同じチームの友達やクラス全体で「励まし合い」「ふれあい」を行う。
・自分たちのチームの活動をよりよくするために主体的,創造的に工夫を行う。
・チームでの分担活動を明確にし,一人一人が責任を持って活動する。
(6)本時の展開

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7. 具体的実践2

・モバイル学級日誌&web学級日誌で私たちの歩みを記録しよう(特活〜課外)
具体的実践2 本企画により,教室内で自由に使えるモバイルパソコンとインターネット環境が構築できたため,日直や係活動の一環として「デジタル学級日誌」をつけることを続けている。
 モバイル機は家庭に持ち帰っての文章入力をクラス記録用に,デスクトップ機は全国とインターネットでつながる「web学級日誌」用に分担活用されている。

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8. 具体的実践3

・全国の伝統的工芸品をみんなに紹介しよう(社会)
具体的実践3 教室内のどこでも無線LANインターネットが可能な環境が構築されたため,通常授業の中で参考書や資料集と同じ扱いとしてのインターネット活用が進んだ。
 右の画像は,伝統的工芸品について資料集など文献で調べている子たちの後ろで,モバイルインターネット端末で調べている子どもたちである。

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9. 具体的実践4

・インターネットで学校ホームページをつくろう(特活クラブ活動)
具体的実践4 簡単に移動可能なモバイル機のため,パソコンクラブのときには視聴覚室に全てを集めている。インターネットはどの端末でも無線LANにより活用可能である。
 設置や技術サポートに地域コンピュータ企業の方々にお手伝いいただいている。(画像の大人はボランティアの方々である。)

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10. 成果と課題

 本企画により,学校中どこでも「無線LANモバイルインターネット」が可能となったことで,子どもたちの活動や発想の広がりが認められた。特に社会科や総合の時間の調査活動では,教室内でのインターネット活用がたいへん多くなった。ただ,モバイル機の性能が限られているためインターネット閲覧以上の活動に発展しにくかった。

●ワンポイント・アドバイス
・いつでもどこでも誰でも使えるインターネット環境が子どもたちを変える。

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