(1)エジプトについて調べる。
JRC部の活動としてインターネットでエジプトについて調べた。「エジプト」で検索し,大使館関係や観光旅行社,大学の研究室等のサイトで主に調べたが,エジプトとなると個人でサイトを開いている人も多く,ミイラの作り方等というサイトもあった。子どもたちは興味を引かれていたが,個人のサイトになると,どこまで本当かという信頼性の問題も発生し,子どもとともに大人も考えさせられた部分であった。
プリントアウトし,模造紙に貼って学年全体の生徒で見られるようにした。
(2)自画像を刷る。名札兼メッセージカードを書く。
「オレだって刻みつけたい何かがある。」というスローガンのもと,15年間生きてきた自分を見つめ,それを自画像という形で表した。下絵を描いた後,版木に彫り,刷った。
英語の授業で簡単なアラビア語をプリントで学んだ後,B6版の大きさの紙に自己紹介とエジプトへのメッセージを英語と一部アラビア語を交え書いた。顔の見える交流を目指し顔写真(又は似顔絵)も片隅に貼った。それを自分の版画の下に名札代わりに貼った。
(3)エジプトで作品紹介とワークショップをする。
2001年12月29日(土)より2002年1月5日(土)の約1週間(正味),神教諭とコーディネーターの松田氏がエジプトを訪問し,下記の学校で交流を行った(主にカイロ近郊)。
1) エル・アルスーン校(El Alsoon School)
− ギザ市サッカラ,私立校
2) アッバース・アル・アッカド・ランゲージ校(Abbas Al Akkad Language School)
−ナセルシティ,公立校
3) イブン・エル・ナフィース・ランゲージ校(Ibn El Nafees Language School)
−ナセルシティ,公立校
*1)〜3)とも幼稚園から高校までの一貫教育校で男女共学。
4) ヘルワン大学美術教育学部,ザマレック
5)ルクソール大学美術学部,ルクソール市
*4)〜5)とも美術の教員を育てる学部
本校から持参した版画の自画像を紹介・展示した後,紙版画のワークショップをエジプトの生徒たちとともに実施。紙版画を選んだのは,表現の技法において日本的なものであり,かつ1時間程度の時間で仕上げられるものであること,授業準備が簡単であり,使用する道具が日常の生活の中にあるもので携行可能であること,の2つの観点からである。又,今回持参した作品は木版画の作品であったため,版画というコンセプトで活動できれば,関連性を,持った取り組みとすることができる,というねらいもあった。
子供達は未知の表現を楽しむように前向きに取り組んでいた。通訳を介しての授業だったので,いつものように子供達と言葉のキャッチボールをしながら表現へと向かわせることができないのがもどかしかった。しかし子供達はいきいきとした表情で紙を切り,台紙にはりつけていく。そんな子供達の熱意におされ,こちらも身振り手振りそして片言の英語で,時には制作に手を貸しながら「ハンガ,ハンガ」と口走りながら授業を進めていく。子供達も「ハンガ,ハンガ」と答えてくれる。文字通り美術を介してのコミュニケーションである。言葉が通じない違和感はなくなっていた。
製版が終わると最後の刷りである。インクをつけバレンでこする。刷り紙を版から離すとそこに形が浮き上がる。輪郭線を囲む,紙の地色のぼんやりとした面,一瞬のうちにたちあわれる予測不能な世界に,子供達の表情がぱっと明るくなる。この瞬間は日本の子供もエジプトの子供も変わらない。
(4)エジプトの作品とメッセージを紹介する。
帰国後,美術の授業でエジプトの写真や資料とともにエジプトの生徒の版画を紹介し,その制作風景をビデオで紹介した。生徒はピラミッドなどの象徴的な写真はもちろんだが,そこに暮らす生徒に自分の作品が紹介されている風景を非常に新鮮に受け取ったようだ。又,日本の子どもにとってはなじみのある紙版画に描かれたエジプトが非常に興味深く感じられたようだった。この後,エジプトの子ども達の版画を現地でデジタルカメラで撮影した作者本人の写真とともに,「エジプト交流美術展」と銘打って校舎内の廊下に展示する(2月1週間程度)。表現の違いは文化の違いということを体感させたい。
(5)エジプトの生徒と電子メールを交換する。
交流先の学校のうち,学校としてメールアドレスを持っているEl Alsoon School とIbn El Nafees Language
Schoolの2校とメール交換を行う。この2校と本校ともアドレスは生徒個人持ち,と言うわけではなく,学校に1つなので,運用面を考えてepalsのシステムを使うこととする。
日本側からスタートし,内容としてはエジプトの紙版画の感想,自分の暮らしぶりを含めた自己紹介,相手への質問とした。相手からの返答はまだであるが生徒たちの卒業までの短い時間内でも2〜3往復はさせたい,と思っている。
学校紹介ホームページを開くべく活動してきたが,諸事情で間に合わなかったため,ほぼ同内容の物を当該校宛にパワーポイントの形で送ることにする。
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