4.2 成果と課題
(1)等価性の発見
形態の相似性については,もともと直感的理解がなされていたようであるが,機能性との関連性については理解がされていなかったといえる(表1)。しかし,授業後では形態性と機能性の面での関連性について思考することができるようになり,形態の抽象化および等価性の発見について効果が見られた。
(2)視点の変化
教材を用いた学習により,視点の変化,模倣と創造について理解し,問題解決に適用できるようになった(表2)。しかし,中には模倣と創造が反対の関係にあると考え,同じものとしては認識できないという少数意見もあった。
(3)TRIZの手法
利用してみようという興味をもった生徒が半数以上いた(表4・表5)。その反面,理解できなかった,面倒くさいという理由で利用しようと思わない生徒もいた。
(4)まとめ
創造性の育成に関して効果を上げられたと考えられる。特に,「等価性の発見」および「視点の変化」では大きな効果を上げ,各人が何らかの意識をもてたようである。
TRIZの利用では新製品という題材を取り上げた。発明や新製品にはかなりの生徒が興味をもっているが,その必要性や,改良の根拠を深く考えようとしない傾向がある。生徒に問題解決の一手法としてTRIZを用いるメリットを認識させ,創造的に考える習慣をつけさせることで,今後さらなる教育効果が期待できる。
(5)課題
創造性の育成は授業の中で教えることで身に付くことではない。日々の生活の中で習慣化することにより効果を期待できる。今後どのように定着させていくかが大きな課題である。そのためにどのような方法が考えられるか検討中である。
また,TRIZの概念や用語については技術用語や難しい言葉も多く,そのために理解できないという点もあった。さらにソフトウェアとしてのTRIZに対しては抵抗がある生徒もいた。今後はTRIZマトリックスの各発達段階に応じた用語の変更,簡略化した形でのWebでの提供も行っていく必要性が感じられる。
ワンポイント・アドバイス
各生徒の意見を尊重するという形式の場合,生徒の人数に制限をつけたほうがよい。また,物の本質をみる一つの方法としてTRIZという手法があることを知り,日々の生活の中でも活用できるようにすると良いだろう。
参考文献・URL資料
市川亀久彌 「創造性の科学」 日本放送出版協会 昭和45年5月25日発行
大阪学院大学 中川 徹 TRIZホームページ
http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/
株式会社三菱総合研究所 知識創造研究チーム TechOptimizer体験版
Igor Mejuev氏 (高エネルギー研客員研究員)のTRIZ 矛盾マトリクスのツール (日本語版) http://almond.kek.jp/~mejuev/Triz/index_j.html
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