(1) 情報メディアによる表現方法の多様化と仲間意識の向上
過去2年間の交流学習の経験から,すでに子供たち自身がNetMeetingによるテレビ会議の有効性を認識していた。だからこそ,ジャカルタ日本人学校や山形県の鳥海小学校とのテレビ会議で,各自がパフォーマンスや特技を披露するなどインターネットでの間接交流においても多種多様な表現方法で,自分をアピールする行動へと発展することができたのである。また,メール,ホームページ,手紙,ビデオなどその都度どの手段をつかって相手に伝えるのがいいのかを子供たちが判断し,行動できるようになり,以前よりも頻繁に交流することができるようになった。
このように,直接会わなくてもインターネットによるリアルな交流で,子供同士が積極的に自己表現し,相手とかかわろうとすることが分かった。
(2) イベントから日常へのコミュニケーションの変化
従来の交流学習は,子供たちにとって一つ一つのやりとりがイベントとしての単発的な活動として意識され交流を継続することが難しかったことがある。2,3か校の学校との交流で交流対象を明確化でき,「自分たちの未来の学校をプレゼンしよう」と常に相手を意識した交流が可能となった。このように相手を明確化することにより,インターネットでも日常的なコミュニケーションが可能であることが分かった。
(3) 個人内の振り返りとDVDでの思い出作り
今までは,発信した情報を振り返ることがほとんどなかった。今回「未来にも残したい学校のあり方」という明確なテーマを一人一人がもっていたため,積極的に他校の友達から「ホームページの印象や工夫した方がいい点はありませんか」などとメールでアンケートをお願いする場面も見られた。このように,自分の情報の価値を高めるために,常に自分の情報を振り返える必要性があることを子供たちが認識してきたのである。
また,ホームページと映像中心で記録を残してきたことで,DVDで高画質な状態の思い出として残すことができた。
今後の課題として残るのは,成果が数値的な形で表すのが難しかったことがある。子供たちの内面の変化,成長の記録についてもできるだけ,数値的なデータで表されるような客観的資料による考察が必要である。
ワンポイントアドバイス
・子供同士,教師同士が協力しあえる交流学習は,2,3か校で行った方がよい。
・NetMeetingなど微妙な条件で動くソフトは,単純なシステムとバックアップ体制を。
・DVD-Rへの書き出しがうまくいかないときは,システムの再インストールが有効。
・活動ごとの子供の評価を数値的な方法で行うと変容のグラフ化ができる。
・時と場と気持ちによりメディアを選択し,活用できる力をつけることが大切
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