1.1 ねらい
同じ学区にある茅野市立東部中学校(以下東部中)の知的障害児学級「若草学級」(以下若草学級)とは,例年,秋の焼き芋交流など,年に2回ほどの交流を行ってきた。若草学級の子どもたちは,全員本校の卒業生であり,6年生のYくんとはとても仲良しであった。そこで,この関係をさらに深めるとともに,本校知的障害児学級「玉川学級」(以下玉川学級)に在籍する,4年生・2年生・1年生の友だちへと関係を広めることで,将来,同じ地域に住む仲間として,助け合える関係が生まれるきっかけになるのではないかと考えた。
しかし,例年のように年2回の活動だけでは友だちとの結びつきを深めていくのは難しいと思われるので,より継続的な活動を位置づける必要がある。そこで,今年は交流会の回数を3回とし,さらに,電子メールを用いることで,お互いの意識が途切れることなく,交流を継続させることができるのではないかと考えた。
この交流とは別に長野県の南部に位置する飯田市の山本小学校から,知的障害児学級「花の木学級」(以下花の木学級)の子どもさんとの交流を呼びかけられた。まったく知らない子どもたちの関わり合いに,コンピュータは有効に利用できるかを,子どもたちの姿から検証してみたい。
1.2 指導目標
・子どもたちが電子メールに興味をもち,その送受信ができる。
・文字や写真を用いたメールを作成することができる。
・交流相手のことを知り,相手のことを考えながら電子メールを書いたり活動の計画を立てたりすることができる。
・交流会への期待をもち,交流相手と一緒に楽しく過ごすことができる。
1.3 利用場面
交流会の打ち合わせや身近でおきた出来事の情報交換を行う場面で,電子メールや電子掲示板(メーリングリスト)を利用してきた。
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※『ATOKスマイル』は株式会社ジャストシステムの登録商標です。
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1.4 利用環境
(1) 文字の入力
6年生のYくん,4年生のNくん,2年生のMくんは,昨年度よりコンピュータに触れてきた。主にワープロソフトを利用し,文字の入力はキーボードによるカナ入力やジャストシステム社の「ATOKスマイル」を利用し,マウスでの文字入力を行ってきた。
1年生のYさんは,コンピュータに触れるのがはじめてであったので,助成金でタッチパネルのモニターを購入し,気軽にコンピュータに触れられる環境を整えた。現在では,マウスでの入力もできるようになってきた。
(2) 子どもたちの利用ソフト
今回の実践では主にシャープシステムプロダクト社の「スタディノート」を利用した。グループウェアーソフトであり,「ノート」「電子メール」「電子掲示板」「データベース」などの機能がある。今回は,この中で,「ノート」「電子メール」「電子掲示板」の機能を,その時々に応じて利用した。
「ノート」は表現に関わる部分をつかさどり,文章表現や描画表現,映像や音声を用いた活動表現を行うことができる。「電子メール」は特定の友だちとの情報交換。電子掲示板は大勢の友だちとの情報交換に適し,メーリングリスト的な機能を持つ。
1.5 稼働環境
プロジェクトがスタートした当初は,コンピュータ室に20台のコンピュータと,各校舎の2階にコンピュータが1台ずつ設置されていた。
子どもたちが普段生活する教室にはコンピュータがなかったため,電子メールを打つためには,そのたびに別の校舎の2階にあるコンピュータ室に行かなければならなかった。日常的に電子メールを利用できる環境を整えたいと考え,今回の助成金を使って,教室内へコンピュータを導入した。また,HUBを購入し,2階廊下にあるパソコンから,15mほど離れた1階の教室まで,子どもたちと一緒に配線をした。
その後,8月に平成13年度地域イントラネット基盤整備事業により,コンピュータ室に40台のコンピュータが導入され,各教室に情報コンセントが設置されることになり,快適にインターネットを利用する環境が整った。
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