E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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実践事例の報告  福井県立福井商業高等学校

「Fukusho Internet Community」から「Fukusho Independent Corporation 」の構築に向けて
− インターネット・国際交流・多地点のテレビ会議電子商取引・電子メールを利用した複合的学習情報空間の構築 −

商業高校・商業
福井県立福井商業高等学校
商業科 田嶋基史
tajima@fukusho-ch.ed.jp
http://www.fukusho-ch.ed.jp
キーワード 商業高校, 商業, インターネット, 電子商取引, 総合学習, 電子メール, 学校間交流

1. インターネット活用の意図
 21世紀のインターネットの利用は,64kでのダイヤルアップから光ファイバーの高速回線を利用した大容量のデータを転送する時代に突入している。本校でも光ファイバーの接続を機会に今年度,ネットワーク推進委員会」を中心として,各教科や各校務分掌でインターネットの授業展開を模索していった。生徒が授業でも放課後の活動に意欲的に取りくんでいけるプロジェクト「FIC project」を立ち上げた。「FIC project」とはFukusho Internet Communityの頭文字をとり「FIC project」とネーミングした。
 FIC中心メンバーはコンピュータ部や商業研究部が中心としてインターネット活動の様々な企画と運営を実施していった。内容としては,福井商業高校で校内LANや,電子会議室,Webやサーバーなどの運営を中心になって行ってきた。そしてFICや教職員,ボランティアの方々の努力もあって,急速に校内LANが整備された。それらを用いたサービスが拡充していくに従い,これらの安定的な運用の重要性が叫ばれるようになった。
 それによって,今までの部活動の延長のようなFICの活動では,到底対応しきれなくり,ネットワークの運用やその活用をもっと積極的に,組織的に行っていく必要性がでてきた。
 そうした問題を解決する方策として,FICを「校内仮想企業」として組織し,民間企業のようなやり方で,様々なサービスを提供しようとする試みが始められていった。
 インターネット,そしてIT(情報技術)は,様々な未知の可能性を有している。しかし,旧来のやり方では,その可能性を十分に発見できない問題点を含んでいる。今年度FICはそうした旧来からの手法や組織へ,方向転換し,「Fukusho Independent Corporation」として活動していった。

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2. 目的・内容

(1) 全校生徒情報リテラシーの重要性を理解させていく。
(2) 総合的学習の時間を見据えながら商業高校での「課題研究」あるいは「総合実践」などの時間を利用し,電子商取引を通じて経営分析を養う力を身につけ,自分のコンテンツをしっかりとプレゼンテーションしていく能力を育成する。
(3) アジア高校生インターネット国際交流プロジェクトやワールドユースミーティングでの共同製作内容を構築し,国際交流から小・中・高校との連携を中心に関係が密になるように実施していく。
(4) ネットデイを実施していくことで生徒および職員が,校内の情報通信機器に触れる機会を設け,また校内にネットワークを敷設することにより地域と学校との連携を図っていく。

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3. 本校の機器構成。
 本校では情報棟(第2電算室PC20台・第5電算室PC20台・第4電算室PC40台)がすべてLANで接続されている。接続形態は100base-Tである。インターネットには1.5Mbpsの光ファイバー接続をしている。なお校内情報用にファイルサーバ2台,プロキシーサーバ1台WEB用サーバが1台あり,上記のプロジェクトを推進するにあたり職員室はもとより,各職員先生の部屋にもパソコンがつながれている
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4. インターネット授業実践の内容
2000年度 
(1) 「ワールドユースミーティング IN 名古屋」に参加
2000年7月22日〜23日
主催 名古屋国際センター 共催 コンピュータ教育開発センター(CEC)
(ホームページ)http://www.japannet.gr.jp/nic/ http://www.cec.or.jp/
(2) 「アジア高校生インターネット交流プロジェクトIN台湾」に参加
2000年12月23日〜26日
主催 コンピュータ教育開発センター(CEC)ワールドユース実行委員会
(ホームページ)http://www.japannet.gr.jp/w2000/
(3) 校内LAN構築(Netday実施による生徒・教員・FIB(Fukui Internet trouble Busters)など地域との連携を図る。
(4) 3校間の電子商取引の実験(1998年〜2000年)
共同web作成 模擬取引 Cu-seemeによる「リアルタイムセッションの実施
なお校内情報用にファイルサーバ2台,プロキシーサーバ1台WEB用サーバが1台あり,上記のプロジェクトを推進するにあたり職員室はもとより,各職員先生の部屋にもパソコンがつながれている。
2001年度 

(1) 「ワールドユースミーティング IN 名古屋」に参加
2001年7月27日
主催 名古屋国際センター 共催 コンピュータ教育開発センター(CEC)
(ホームページ)http://www.japannet.gr.jp/nic/ http://www.cec.or.jp/
(2) 「アジア高校生インターネット交流プロジェクトIN台湾」に参加
2001年12月23日〜26日
主催 ワールドユース実行委員会(ホームページ)http://www.japannet.gr.jp/w2000/
校内LAN構築(Netday実施による生徒・教員・FIB(Fukui Internet trouble Busters)など地域との連携を図る。
(4) 3校間の電子商取引の実験(1998年〜2000年)
共同web作成 模擬取引 Cu-seemeによる「リアルタイムセッションの実施
なお校内情報用にファイルサーバ2台,プロキシーサーバ1台WEB用サーバが1台あり,上記のプロジェクトを推進するにあたり職員室はもとより,各職員先生の部屋にもパソコンがつながれている。

(a)電子商取引の実践(3年課題研究)
インターネットを利用して電子商取引を実際のインターネット上で行い,日本および海外の学校と特産物などの取引を行う。それを通して各会社に利益追求のシミュレーションや経営分析を行わせる。なお電子商取引については,テレビ会議システムやネットミーティングを利用して,双方向のリアル画像交換をおこなう。
昨年から進めている愛知県西陵商業高等学校と川崎商業高校との電子商取引をweb上進めているわけであるが今年度は,学校行事などの運営など生徒が考えたアイディアや企画などをCD-Rにしてプロダクトとして販売していくデータベースを構築した。来年度に向けてその販売ルートについて考え,企業活動に載せていく予定である。
(1) 3校点での意見交換などのやりとりを円滑にするためリアルタイム系リフレクターを利用する。
(2) 企業家精神を育成していく観点から生徒が電子商取引を通じ,経営ソフトを利用して財務諸表の分析力や経営分析を行なうための意思決定能力を養わせる。
(3) そこでのデータをサーバにデータベース化し,情報を共有できる環境を構築すると共に,WEBに挙げていく。
(評価)
この授業では商業科・国際経済科・情報処理科・流通経済科など様々な学科の生徒が受講している。それぞれの学科の生徒が自分の持ち味をいかしながら班の中での役割を遂行していき,経営分析を実施していた。
(反省点)
 今年はまず,勘定科目を過不足なく設定させていくこと,そして取り扱う商品について各会社のホームページを作成し,他の学校間交流に向けて準備していくことを目標にした。会計処理を会計処理ソフトで作成して,実施していったのであるが,その作成やソフトの習得および,それを利用しての運用形態など実際の取引をもとに財務諸表を作成していく作業に時間がかかり,なかなか取引に進めなかった。また今回は,それぞれの学科の持ち味を考え情報処理科ではデータベースを構築,商業科では商品コンテンツのWEB化などを作成していきながら学科間同士のコラボレーションをしながら情報交換をしていった。お互いの意見やアイディアをどのように伝えていくか生徒同士の池交換を実施していく時間がすくなかった。

(b)インターネット教育実践の研修(国際経済科 全学年 英語科教員)
1年生(英語T)

年間を通じて週1単位のPCを利用した授業展開(基礎編)(年20回)
ワールドユースミーティングやアジアインターネット国際交流で海外の高校生と意見交換する上でまず身近な,台湾,韓国シンガポールなどアジア諸国の日常生活を情報検索の段階で調査し,レポートにまとめて提出させていく。
1) ネットワークエチケット(4回)
具体例を挙げながら生徒に人間社会と同様に守るべきエチケットあることを理解させる。
2) 電子メール講習会(4回)
イントラネットの環境で電子メールの利用の仕方について習得させる。危険なメールやウィルスについて具体例をあげ,なぜ悪いのか意見交換させる。簡単な挨拶文や英語での言い回しを,例文を通して理解させる。
英文検索データベース(CEC協同企画プロジェクト)などを利用しながら,まず英文メールに必要な内容を理解し,検索をかけながら,相手に送るメールを作成していく。
WEB上での情報検索を実施していくにあたり,インターネットエクスプローラの利用の仕方を教えていく。
3) 電子メールの実践(12回)
7月にワールドユースミーティングIN名古屋が実施されるのでこの時期に継続して交流を続けている,台湾のAJETのメンバー(高校生・大学生)とネットワークの交流を実践していく。
また実際に大会運営について1年生の役割分担を把握して実行にうつしていく。
2年生(オーラルイングリッシュB)
年間を通じて週1単位のコンピュータを利用した授業展開(年 27回)
4月〜7月
・ネットワークエチケット(1回) 1年生と同様
・電子メール実践(4回)     1年生と同様
・WEBページ作成(テーマ:日本と台湾との文化比較)(7回)
9月〜12月
プレゼンテーションソフトの習得(12回)
 上記のテーマに基づいて班ごとにプレゼンテーションにまとめていく。
<1> プレゼンテーションソフトにまとめていく。
<2> 映像や写真のまとめ
<3> 英訳の展開
<4> アンケート集計
学期末にプレゼンテーションの内容を文書として提出していく。
その中で一番評価の高い班のメンバーが12月のアジア高校生インターネット国際交流に参加していく。
1月〜3月  
英語による学校内プレゼンテーション大会(3回)
3年生(オーラルコミュニケーション)
年間を通じて週1単位のコンピュータを利用した授業展開(年 27回)
4月〜7月
・ネットワークエチケット(1回) 1年生と同様
・テレビ会議によるリアルタイムセッション(4回)
 ワールドユースミーティングに向けてのプレゼンテーションの展開打ち合わせ 
・WEBページ作成(テーマ:日本と台湾との外交・環境問題・テロリズム)(7回)
 ワールドユースミーティングの大会では3年生が大会の事務局を運営する
9月〜12月
プレゼンテーションソフトの習得(12回)
上記のテーマに基づいて班ごとにプレゼンテーションにまとめていく。
1月  
英語による学校内プレゼンテーション大会(2回)
なおこのプレゼンテーションには国際経済科の全学年と興味のある多学科の生徒,および教職員に広くアナウンスして実施し,校内において実践報告を実施していく。

(校内発表会の様子)
(職員の先生方に対して校内発表会の様子)
(アジアインターネット国際交流in台湾2001)
(ワールドユースミーティングin名古屋)

(評価)
座学が中心の英語教育からテーマを決めてプレゼンテーションする総合実践の学習には生徒はとても生き生きと学習していった。今までのreading.Writing.hearing.といった時間ごとに独立していた授業がこのPCを用いた授業で共同作業するときの能力とプレゼンテーション能力が育成され,統合された能力がついたといえる。
ワールドユースやアジア国際交流では福井商業国際経済科の生徒70名が事務局を担当した。それぞれがプロジェクト成功の一員として協力していた。
(反省点)
1年生の段階ではキーボード操作やタイピングを十分に時間をとり,習得させていかないと1時間の中でメールの送信や返答まで進めていくことはむずかいしいと思った。
3年生では,プレゼンテーションを実施するさい自己評価表と他の班のプレゼンテーションを評価する評価表を観点別に項目を分けて作成した。これにより生徒は,発表に対して集中するようなった。プレゼンテーションにかける時間が限られているため,効果的に相手に伝えるにはどうしたらよいかなど生徒に考察させる時間がとれなかった。
こういった授業を充実させていくにはますます,教員間の連携が必要だと感じた。

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5. まとめ
光ファイバーという高速回線を利用し,インターネットの教育利用を様々な角度から進めてきた。インターネット活動を打ち出して5年目である。様々メディアを使いこなす生徒増えていく中,それぞれの学科で深化させていく能力をいかに共有し,コラボレーションしていくかがこれからはとても重要なことである。生徒の存在能力を目に見える形でデータベース化していきながら適材適所でその能力を発揮できる場所を与えていくコーディネート力が今後は要求されてくる。仮想企業として学校全体が「起業」していく精神をもって常に時代のニーズに対応していく柔軟性とチャレンジ精神をもってこれからもいま進めている内容をさらに充実させていきたいと思う。

ワンポイントアドバイス
今年,「Fukusho Internet Community」からFukusho Independent Corporation 」の構築に向け様々な取り組みをしてきた。物事を進めていくときには「教職員の理解を得る」とこととわかりやすい文章と図解での説明を繰り返し,根気強く説得していくことである。
また生徒が出したアイディアについてはできるだけ実現の方向にいくよいう担当者は考慮していく必要がある。そのために仮想企業としての組織作りを徹底して練っていきながら生徒との意志疎通をしていく必要があると感じた。

http://www.japannet.gr.jp/w2001/
http://www.seiryo.ed.jp/asia/
http://tajima.fukusho-ch.ed.jp
http://is.im.mri.co.jp/~english/system.html
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