E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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実践事例の報告  名古屋市立若宮商業高校

高校生の家と学校と教室で
− 親・子・担任のインターネット協働作業 −

名古屋市立若宮商業高校 教諭 影戸 誠
http://www.kageto.jp/cec/
makoto@kgeto.jp
キーワード 家族 切れる10代 インターネット 家族との共同作業 家族アンケート

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1. はじめに

 高校生レベルになると親子の会話や接点が少なく,協働の場は皆無となる。
 このような環境に「ページ作り」「他の家庭との交流」「クラスとの交流」をインターネットを通して実現すれば,なによりも「時間の共有」が可能となる。
・学校とクラスと家庭の連携のもと「共同作品」作る楽しみ
・同じ世代を生きる親同士の情報交換の喜び
・クラス担任と親との交流の喜び
・海外と「家族」といったテーマを中心に話し合う喜び
 「切れる10代」が問題となりつつある今,インターネットという新しいメディアでかれらの居場所である「家庭」「学校」「教室」をつなぎ,協働作業を学校の授業に連動させて保証することによって,コミュニケーションの蘇生を促す。

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2. 企画のねらい

・背景 
 本校ではインターネット利用により,生徒のリテラシーも高まってきた。自宅でもパソコンを購入し親子でメールアカウントをそれぞれに持ち,インターネットの利用が増えている。しかしながら,家でホームページを作ることなどかなりの力量が必要とされ,実際ページをもっている家庭はほとんどない。
 また,高校生レベルになると親子の会話や接点が少なく,協働の場は皆無となる。
 このような環境に「ページ作り」「他の家庭との交流」「クラスとの交流」をインターネットを通して実現すれば,なによりも「時間の共有」が可能となる。

・企画実践の必要性,新規性,汎用性,波及効果
 家庭との連携の下,子どもを育てていこうとする願いは誰もが持つものの,実際にそのような場は高校では提供されていない。

・新規性
  「切れる10代」が問題となりつつある今,インターネットという新しいメディアでかれらの居場所である「家庭」「学校」「教室」をつなぎ,協働作業を学校の授業に連動させて保証することによって,コミュニケーションの蘇生を促す。

・汎用性
 これから4万校の学校がインターネットにつながれて行くが,その「家庭」へのつながりは今のところ考慮されていない。
 すべての国民にインターネットリテラシをという「ミレニアムプロジェクト」の先行プロジェクトと手を組み,その成果をwebで公開していく。
  高校生ともなると個人写真など,公開に対する規制は小さく取り組む対象としては適している。

・波及効果
 総合学習の中のテーマとして取り組めるよう,その手順,フォーマットなど公開をしていく。

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3. 実施体制

・実施体制
校内インターネット委員会の指導助言を受け推進した。
「授業 インターネット研修」の中で実施する

・実施スケジュール
5月 企画説明 生徒と保護者
6月 海外の家族って? テレビ会議 イタリア・イギリス・アメリカ
7月 ワールドユースミーティングへの参加 家族って海外では?
8月 データ収集 「海外旅行」「家での生活」「小さいころの写真」など
9月 家族ポスター制作,聞き取り調査「名前への願い」
   「こんな子に育って欲しい」などのテーマ
10−12月 ポスター制作 プレゼンテーション
1月 保護者へのアンケート 報告書制作

・実施環境
128k専用線 windouwsNT ftpサーバ WWWサーバなど

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4. 実践内容
イタリアなどとのTV会議
イタリアなどとのTV会議
発表する本校生徒
発表する本校生徒

・海外の家族 テレビ会議の実施
 イタリアの教育省からテレビ会議の要請があった。この機会を通して,海外の家族の調査を行うこととした。
 テレビ会議は当然英語で行われたが,質問事項を整理し,相手からの回答は,録画し,後にテープ起こしを行った。
 中でもイタリアの高校生との会話は印象深いものであった。昼休みはなるべき家族と取るようにしていること,夕食は毎日8時過ぎに家族そろって取ることなどである。
 このような形で,「家族の時間」を日常生活のリズムの中に組み込み,,絆を大切にしているとのことであった。

・ワールドユースミーティングへの参加(海外での家族)
 7月に国内12校,海外7校と連携したワールドユースミーティングというイベントがあった。この事務局として生徒たちは受付など他校の生徒と連携して会を盛り上げた。
 この機会をとおして,ドイツ,イギリス,台湾,今国などからやってきた教師,生徒とと「家族」について話し合った。すぐににこやかに話し始める海外のゲストたちに,が日本での自分たちの生活が「家族」中心ではなく,友達中心で動いている「特殊生」について考えさせる機会となり,さらには2学期からの家族ポスター作りに意欲を持って取り組むこととなった。

・作品としてのポスター作り
 当初はホームページと考えていたが,ページ制作とあわせてポスター作りを行った。
 家族と話し合いながら小さいころの写真やエピソード集めた。「私は小さい頃の写真はありません,見たことがありません」などと言っていた生徒も「段ボール一杯ありました」と顔を紅潮させて報告にくる場面もあった。

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5. 生徒の動き

・リテラシー
 ホームページ作りを行ったもののB0版への画像貼り付け,印刷はかなりのコンピュータスキルを必要とした。小さな写真の拡大,効果的な切り取り,画素数の計算など目標が明確なことから「飽きやすい」と評させる生徒たちであるが根気強く作り上げていった。

・プレゼンテーション
 作品完成後生徒たちはプレゼンテーションに取り組んだ。相互評価の一助として使ったものであるが,あわせてこれは「家族への説明」として使われた。
 紙面の都合からこれらはホームページ上からご覧いただきたい。

・まとめの制作
 自分が深く関わったことは,集中力をもって取り組む。最後には報告書を一人一人書き上げた。作品制作の過程で家族との会話が同様に進み自分自身の歴史を振り返ることができたのかをまとめた。
 またコンピュータがゲームや,効率を追い求めるためだけにあるのではなく,何よりも自分の生活を創造的に展開するツールであることに気付いたようだ。

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6. 保護者の反応

 保護者がどのようにこの企画の中で反応したのか,アンケートを取ってみた。

---アンケート例---
保護者のみなさまへ

                                            インターネット研修担当 影戸 誠
                                            若宮商業高校教諭

                     

 現在インターネット研修という科目の中で,家族のポスター作りをおこなっています。既に自宅まで持ち帰り,それぞれの成果をご家族のみなさまに披露したことと思います。 作品のできばえはいかがでしょうか。 保護者の方からご指導頂けれればと思います。
 下記アンケートにご協力のほど宜しくお願い致します。

1 生徒の作品をみて思ったこと ○をおつけ下さい
 できばえはどうでしたか   かなりよい  よい 普通  何ともいえない 悪い
 作品の説明を受けましたか   受けた   受けない
 作品をもとに話ができましたか  かなり話した  少し話した  全く話さなかった
 家族テーマの作品作りに対して   良い企画   何ともいえない  さけるべき
 パソコン活用の技術        感心した  何ともいえない  評価できない
 親として作品を見たときうれしかったですか かなり 少し 普通 あまり 全然
 学校での作品を他に見るようなことがありましたか
               たくさんある たまにある あまりない ほとんどない

配った後ほぼ1週間でその結果を得た。題材が「家族」ということで反応も早かった。

できばえはどうでしたか
作品の説明を受けましたか
作品をもとに話ができましたか
家族テーマの作品作りに対して
パソコン活用の技術
学校での作品を他に見るようなことがありましたか

また保護者からの意見かとして次のようなものをいただいた。
・昔の写真がほしいというので何に使うのかと思っていましたが,出来上がった作品を見て見びっくり,こんな事ができるのかとおもいました。
・我が家では一番目につくところに父親がいただいた日にはりました。
・家でパソコンといえばゲーム機として使っていただけですが,このような立派な作品を見せていただきパソコンのすばらしさと,あわせて娘の成長を感じました。
・こんなにすごいものが出来上がるとは驚きでした。

調査に関する考察
 小学校・中学までのは保護者との連絡は頻繁にあるが,高校に入ると急激に減ってします。一方アカウンタビリティー(accountability)なる言葉も高校現場には入ってきている。保護者への説明責任である。生徒は学校と家庭が連携してと述べられてきつつあるが,「授業」と「学校」をつなぐ試みはなされていない。
 今回のこのCECへのプロジェクトに参加することによって,この質問表を作成してみたが,保護者の学校教育への期待の片鱗を感じることができ,授業への意欲が教師・生徒とも高まった。
 学校と家をつなぐネットワークの活用を今後も考えていきたい。

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7. 今後に向けて

 今回の企画への参加によって次の様なことが明確になった。
・教材そのものが生徒・家族に取って意味あるものであること
・情報を集めるー>作品を作るー>,発表するー>まとめる一連のうごきの中で道具としてのインターネットスキルが身に付いていく
・教師の発想が変わって初めて,授業,生徒が変わっていく。

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CEC