E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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実践事例の報告  修学旅行.net

修学旅行.net
〜各地を繋ぐ修学旅行〜

脇田俊幸(立命館中学校・高等学校)
杉崎忠久(奈良県立大淀高等学校)
竹中章勝(日産学園京都自動車工業専門学校)
丹波信夫(半田市立亀崎小学校)
小学校〜専門学校 課外活動(クラブ活動・修学旅行)
キーワード 修学旅行・テレビ会議・事前活動・事後活動・記録
(1) 修学旅行生と現地生徒との交流活動 情報提供を通して地元を知る
半田市立亀崎小学校とのテレビ会議を通じて

インターネット利用の意図
 京都・奈良を始めとして修学旅行に取り組む児童生徒の旅行先を知るための事前学習としてWWWを利用した情報検索が用いられている。時には「修学旅行先に関する様々な質問」も送られてくることもある。
 それに加え事前に修学旅行生が旅行先の_今の_情報を得るためには現地の学校の生徒からのインターネットを経由した情報提供(テレビ会議を含む)による学習活動が有効と考えた。逆にテレビ会議への準備を通して現地の学校の生徒が地域・地元を知るきっかけになり,視野が広がるのではないかと考え京都・奈良の複数の学校にも声をかけ,この企画を立ち上げた。

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1. 単元名:修学旅行.net 課外活動・総合的な学習の時間
 地域情報の発信活動を通じて自分たちのいる地域を知り,自分たちの視野を広げる。
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2. 指導計画:

2−1 立命館中学校
 立命館中学校情報メディア部の全体活動として様々な方法で京都の情報提供を計画した。

1学期中

教員の事前準備と打ち合わせ

6/19に日産学園で会合。その後は主にMLで議論。

7月30日〜8月2日

リンク集づくり1
(ご近所探検ページづくり1)

インターネットを利用して
深草地域(学校周辺)を探索

9月中

リンク集づくり2(未完成)

9月末の文化祭へ向けて作品づくりの一貫として

10月19日

デジカメ利用講座
(Webページ作成講座も兼ねて)

深草地域(学校周辺)を探索
デジカメ,画像加工の習得

10月20日
10月22〜23日

テレビ会議対策会議

クラブミーティングを行い,亀崎小学校からの質問対策会議

10月26日

テレビ会議 de 交流活動

NetMeetingを利用して

2−2 日産学園京都自動車工業専門学校
 当校のような専門学校は普段小中学生との交流は皆無に等しい。またネットワーク上でのテレビ会議を行う事も初めてだったので,まず,相手を知るために事前にWeb等を利用して,交流先の学校を知ることから始め,テレビ会議による交流を実施した。

2−3 亀崎小学校
 昨年度から修学旅行について京都の学校と交流を始めたところである。今年度子供たちは京都でタクシーを使って18の班別行動で研修を行った。その研修の前の事前学習としてインターネットを利用した調べ学習と残った疑問点を解決することを題材にテレビ会議システムを使って現地校との更なる交流を計画した。

2−4 奈良県立大淀高等学校
 メーリングリストを利用して亀崎小学校への情報提供を準備していたが,奈良方面の参加人数が少なく,行動区域が限られたことで,活用を見合わせた。今後修学旅行コースに近い県北部の学校に参加を呼び掛け,情報提供していければよいと考えている。

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3. 学習の展開:テレビ会議を中心に

3−0 事前準備(全体)
実践を行う前に「ryokou」というメーリングリスト上で計画を相談した。また,6月19日に日産学園京都自動車工業専門学校において事前打合を行った。

3−1 実践(立命館)
・リンク集づくり
 「小学社会6年」,「社会科資料集6年」,「京都府の歴史散歩 上中下」に取り上げられている項目を参考に京都府各地域の『名所・旧跡』を取り扱ったwebページを各自のBookmarkを集めて作成した。まだwebサーバを立ち上げていなかったので,担当者同士のメールを経由して亀崎小学校の子どもたちに情報提供を実施した。
・近隣の取材とwebページづくり
 立命館中学校の近辺を取材して情報メディア部の生徒がwebページづくりを行った。現在はクラブ内のみで著作権や肖像権について検討中である。
・テレビ会議の情宣活動
 亀崎小学校からの質問内容を含む右のプリントをクラブ会議で配布し,質問に対する模範回答を持っている知識,前述の資料,観光雑誌等を参考に作成しテレビ会議に備えた。これらの資料は本番でも大活躍した。

3−2 実践(亀崎小学校)
 京都でタクシーを使って男女別で5・6人ずつの班別に研修をすることになり,9月5日にその班を決定した。この班別にWebページ検索などを活用して調査した。そこで出た疑問を質問事項として日産学園京都自動車工業専門学校と立命館中学校に提供した。子どもたちは両校からの回答を元に研修先を練り直し,研修内容が一層充実した。


亀崎小学校からの質問事項(まとめ)
 主な行き先は金閣寺,銀閣寺,清水寺,三十三間堂,二条城,などだった。
京都の観光名所 ・おすすめのおみやげ ・流行っているギャグ
京都で流行っている遊び ・観光地周辺でおすすめの食べ物屋

3−3 実践 テレビ会議の内容から 日産学園京都自動車工業専門学校
 10月26日15:00より20人の学生(全員男性)で1台のカメラを利用して,TV会議を始めた。予想外の質問も多かったが,約30分間の交流で,当初は様子をうかがっているのかとても消極的であり,小学生の方が,「質問しても良いですか?」「よくわかりました,ありがとうございました。」など会話の方法を良く学習していることに触発され,中盤からは,当校の学生からも質問をすることもできるようになった。

立命館中学校 声はOKですか?
亀崎小学校 聞こえません!!
亀崎小学校  金閣寺周辺でおいしいうどんやさんは?
立命館中学校  立命館大学の生協 亀崎小学校 私たちも入れるの?
立命館中学校  どうぞ,平和ミュージアムもあります。(宣伝)
亀崎小学校   ぜひいきたいです。

3−4 実践 テレビ会議の内容から 立命館中学校
 10月26日15:35より亀崎小学校と2本立てでテレビ会議を実施した。
 直前に実験をしたにも関わらず立命館中学校からの音声が通らなかった。やむを得ずテレビ会議システムのチャット機能を利用した。質問は食事に関わる質問が多く,大いに答えに悩んだ。金閣寺周辺の情報を紹介している時に,たまたま「立命館大学平和ミュージアム」を紹介したところ,亀崎小学校の子どもたち数班に訪問していただけた。この件を後日生徒たちに報告したところ「立命館の生徒しか答えられない名所があるんだ。」という意見が出た。また,ある生徒はおみやげの質問に答えるため前もっておみやげを購入し,宣伝がわりのパフォーマンスをしたが,非常によく考えた内容であったため,たくさんのよい反応が返ってきた。

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4. 成果と課題

4−1(考察とまとめ) 日産学園京都自動車工業専門学校
 今回の様な異世代の交流は初めての学生が多く,
 ・小さい子どもに話すときは言葉を選んで話す必要がある。
 ・京都に住んでいながら自分の地域の事は案外知らないものだ。
 ・ネットワークで比較的にきれいな画像で会話ができる。
のような感想が出された。その後,京都の名所のまとめや,「はたらくくるま」など,自分たちの専門,地域性を生かしたプレゼンテーション資料を作成した。
 今回のプロジェクトに参加して,他の地域,他の年代との交流に対して積極的な行動が起こった。また異年代と話す時,他地域の人々など,小さなグループの中での行動が多くなりがちな学生時代において貴重な経験になった。

4−2(考察とまとめ) 立命館中学校
 他の学校の生徒と話すのはほとんどなく,かつインターネットを利用した交流であったからか参加者が少々興奮気味だったが,テレビ会議が進むにつれてなるべく積極的に質問に答えようという姿勢が生まれていった。また,教員側だけでなく生徒側にも綿密な準備をして対応することでいい反応が返ってくることがわかり,今後の情報発信の内容の更なる向上が期待される。

4−3 全体と今後について
 全体として修学旅行生の欲している情報が判明し,どのように接すればいいかという経験も積めた。今後は更に修学旅行生との交流活動を活発にするための場を作りたい。そのために他の学校の担当者も利用できるようにしたwebサーバをインターネット上に構築しようとしているところである。(他校の担当者と共同で作業できるように考えている。)今後コンテンツとして修学旅行に必須のリンク集,必要な情報提供,質問を受け付ける仕組みを作って学校による学校のための学校の「修学旅行」ポータルサイトにしていきたい。

ワンポイントアドバイス

・ よく言われていることだが,テレビ会議の準備は直前に本番と同じ環境で実験する必要があります。それでも駄目だった場合の次の対応を講じておくべきである。
・ 事前にある程度時間をかけて質問事項をメールや掲示板で知っておき,それについて調べ紹介しあうという手法を取ったほうがさまざまなパフォーマンスを付け加えるといった効果的な交流ができるだろう。
・ 質問する側,受ける側ともに想定問答を作成しておくと更にスムーズになる。
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(2)ニュージーランド研修旅行でのデジタルカメラを用いた記録と報告集作成

インターネット利用の意図
 立命館中学校の3年生の修学旅行はより2週間にわたる長期のニュージーランド研修を行った。今年度はこの研修を引率者がデジタルカメラで記録し,研修後に生徒が作成する報告集に利用できるように企画した。
 今年度の研修日程は学年全体6クラスが2班に分かれ,以下の通り実施された。
第1班(1,2,3組):2001年11月20日(火)〜12月4日(火)
第2班(4,5,6組):2001年11月21日(水)〜12月5日(水)
 また各クラスはそれぞれ2グループに分かれ,12の学校に分散して研修を行った。

 また引率教員(酒井・杉原)によるニュージーランド研修のインターネットを利用したリアルタイム報告が実施された。今年度の記録は以下のURLに紹介されている。

 http://www.ritsumei.ac.jp/fkc/nz/

 研修のデジタルカメラでの記録は,今後全クラスで研修記録を現地より報告するための試行という意図で企画している。

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1. 単元名:ニュージーランド研修旅行の報告集 情報,英語&総合的な学習の時間
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2. 指導計画:
 中学校3年生はニュージーランド研修終了後,各自英語版と日本語版の報告を作成した。この時に自分もしくは同級生が撮影した写真もしくはデジタルカメラの画像を加工し利用する。最終的には全員の分を集めて報告集にする予定である。(2002年3月発行予定である。)

時期

内容

主な担当者

研修後のHW(12月中)

日本語の報告を入力。添削指導。仮印刷

担任。2時間

英語授業(1月〜2月)

英語の報告を入力。添削。画像の貼り付け。

英語担当者。2時間

情報授業(1月〜2月)

画像の加工,貼り付け,印刷。

情報担当者。3時間

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3. 学習の展開:

〔研修中〕 引率教員が現地のプロバイダに接続し,画像と報告を学校に送信しました。プロバイダになかなかつながらず,大変だった。
〔研修後のHW〕 ニュージーランド研修が終わったところで,中3の生徒を集め日本語版の報告をワープロ入力する作業をして保存・仮印刷させた。採点期間中のホームワークの時間を活用した。このとき担任が責任を持って生徒の作業につき,内容の添削(誤字・脱字,段落の下げ,適切な改行,内容のわかりやすいタイトル,人権に関わる内容のチェック,標準語を使うなど)を担当した。
〔英語授業〕 ニュージーランドで撮影した写真を事前に英語の授業で提出してもらった。英語の授業では英語版の報告を入力した。内容,文法チェック・スペルチェックは英語授業担当者が行い,入学試験などで時間的な余裕がないため,やむを得ず修正も教員が行った。
〔情報授業〕 英語の授業で提出した写真を情報授業担当者(脇田)がスキャンし画像データに変換,サーバに蓄積し利用する人に提供した。この画像とデジタルカメラの画像を情報の授業時に各クラスに紹介し,この中から利用する画像を選択,加工,ワープロ文書に貼り付け,印刷した。若干の内容チェックも担当した。

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4. 成果と課題:

 報告集を作成するときには印刷作業の都合上,実物写真のあるものはそれと差し替えることになった。逆にこうなるとデジタルカメラの画像は何らかの理由で自分の写っている写真のない生徒に対してのバックアップとして非常に重要になった。ニュージーランド研修における記録の質・量ともに向上したといえる。
 サーバに蓄積した研修旅行の画像をプロジェクターで紹介し,自分たちの手で観賞することが中学3年生にとって研修を振り返るいい機会になった。下級生の研修旅行に対してのよい動機付けにも利用され,良い影響を与えている。
 操作ミスでデジタルカメラの画像が消えてしまったクラスがあった。出発前にデジタルカメラ操作の講習会をした方がよかったと思われる。

〔来年度以降の展望〕 機材の確保(PDAなど),回線の品質確保,操作性の簡便化さえクリアできればリアルタイム報告をすべてのクラスに展開することは可能である。これによって,記録としてはもちろん保護者へ安心感を届けるとことにもなる。

ワンポイントアドバイス

・ 写真の取り扱いを作業が始まってから変えざるを得なった。研修計画の第1段階から最終的な報告書の仕様を決定しておいた方が作業する時になって困らない。そのために学年会,授業担当者間で事前に共通認識を作る場を設けたい。
・ 発展としてPDF形式に変換してAdobe Acrobat ReaderとともにCD-Rで配布することも十分考えられる。
・ デジタルカメラの扱い(撮影,再生,充電など)は可能な限り事前に慣れておきたい。
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