E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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実践事例の報告  三木市立教育センター

地域の音風景を紹介しよう
― 自分たちが住んでいる地域の様々な音をお互いに紹介しよう ―

小学校 クラブ活動 総合的な学習の時間
三木市立教育センター 梶本佳照
me730457@ns.miki.ed.jp
http://www.miki.ed.jp/center2/
協力校 三木市立三樹小学校
キーワード インターネット,音,地域調べ,情報教育,総合的な学習の時間,交流学習

インターネット利用の意図
 地域の音を紹介する場合,従来なら音のデータをカセットテープ等に録音して,それを相手に送り聞いてもらう方法をとることが多かったのではないだろうか。この場合,録音した場所と音を対応させる為には別途地図を添付する必要が生じる。また,多くの人に聞いてもらいたい場合,カセットテープの本数もそれだけ多く必要になってくる。録音した音を順次増やしていくことも大変な作業になる。しかし,インターネットのWebページで公開することにより,これらの問題は一挙に解決する。Webページであれば,どこからでも見ることができ,クライアントサイドイメージマップを使用すれば,Webページ上の地図画像の特定の場所に,そこで収録した音をリンクさせることも簡単にできる。このように今回の実践には,インターネットはなくてはならないものであるとともにインターネットがあったからこそ,このような実践ができたと言える。

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1. はじめに
 自分たちが住んでいる地域を紹介する場合,今までは写真画像やビデオ映像を使用することにより視覚に訴えて紹介する場合がほとんどであった。そこには,音という要素は映像に付属したものという認識があったのではないだろうか。もちろん模造紙上でまとめる場合は,音を表現することはできない。まとめにコンピュータを使用するようになってきた最近でも文字と画像や映像が中心である。しかし,地域で聞くことができる音(風景の音)には,画像以上に地域の様子を伝えることができたり,創造を掻き立てたり心を和ませたりするものがあるのではないだろうかと考えた。そこで,地域の様々な音を地図上にまとめてWebページとして公開して発信したり交換することにより地域の様子を知ったり再認識をする機会とした。
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2. 使用した機器等の説明

 使用した機器及びソフトは,どの学校で実践をする場合でも容易に手に入るものを使用した。

写真1
写真1

2.1 録音機器等 
 音の収録は,音質の良さと携帯に便利な点からMDレコーダを主に用いた(写真1)。地域の写真は,デジタルカメラを用いて撮影した。デジタルカメラ及びMDレコーダも児童が十分操作することができる。

2.2 Webページに公開する音の形式
 Webページに公開する音の形式は,再生時のデータの軽さと汎用性から今回はRealPlayer形式とMP3形式の2つを用いた。

2.3 音の変換に利用したソフトウエア
 MDレコーダからコンピュータへの音データの取り込み及び編集は,DigiOnSound Light(写真2)を使用し,RealPlayer形式への変換は,RealProducer Basic 8.5(写真3)を使用した。

写真2
写真3
写真2
写真3
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3. 具体的実践

 この実践は,コンピュータクラブ員と指導に来られているボランティアの方々(約5名)を中心に行った。音の収録は,クラブ員を中心に行ったが収録しにくい場所や時間帯の場合は,指導者やボランティアの方々にお願いした。収録した音の「場所の紹介ページ」は,6年生も作成に加わった。

3.1 指導計画
 単元名 地域(校区)の音マップを作ろう(クラブ活動)

 

学習活動

教師のてだて





1 地域を音で紹介しよう。
 ・地域の特徴ある音について考える。
 ・思いついた音を発表する。

 

・地域を音で紹介することを提案する。
・音の収録範囲は,校区を中心に考えることを伝える。
・サンプルで収録して来た音を聞かせて,音で地域を紹介することに興味を持たせる。





2 音を収録する。
・グループごとに収録する場所と音を決める。
・収録する場所へ行き録音と写真を撮影する。

 

 

3 音の場所を紹介するWebページを作成する。


・希望に偏りが生じると思われるので調整する。
・時間的及び場所的に児童が収録しにくい音は,指導者が録音する。
・ある程度活動が進んだ過程で,ボランティアの方にも収録する音と場所について意見を聞く。
・収録に参加できなかった部員にも希望する場所のWebページを制作させる。
・使用する画像の大きさは,指導者が事前に小さくしておく。
インターネットの活用






4 Webページの感想を交流する。
 ・自分たちで感想を交換する。
 ・地域やボランティアの人・他地域の人の感想を聞く。
 ・他の学校からの感想も聞く。


5 Webページの修正と音の追加

 

・地図上に音をリンクさせると共に作成したWebページを掲載する。
・Webページの感想を聞く過程で地域に対する認識を新たにさせる。
インターネットの活用

・感想の中に新たな音の追加意見もあると思われるのでそれに基づき音を追加していく。
インターネットの活用

 以下に活動の展開を記述する。

3.2 学習の展開
(1)  収録する音を決めよう

1) 児童が思い浮かべた音
 収録する音は,三樹小校区を中心に考えることとし,クラブ員と録音する音を相談した。その結果,次の音が候補に上がった。
 ア 三木祭り
 イ 金物資料館
 ウ 神戸電鉄(三木駅)
 エ 三木鉄道(三木駅)
 オ 三樹小学校校庭
 カ 中央公民館前信号
 これらの音をクラブ員で分担し録音することにした。三樹小校区は,大宮八幡宮の秋祭りが大変盛んで各町ごとに神輿を競い合い,児童も祭りが近づき太鼓の音が聞こえてくるとそわそわしてくる程である。その為,三樹小校区の音となると真っ先に三木祭りが思い浮かぶようである。

2) 地域の人が思い浮かべた音
 次に,地域の人は,どのような音を思い浮かべるのかコンピュータクラブにボランティアに来ていただいている方々(約5名)に意見を聞いてみた。その結果次のような音が候補に上がった。
 ア 学校に関する音(教室,休み時間,運動会等)
 イ 企業に関する音(金物を作る音,金物を使う音等)
 ウ 地域にいる生物の音(鳥の鳴き声等)
 エ 地域の人・先生・生徒の声(何かのテーマについての発言)
 オ 鍛冶屋の音(大宮町内には数軒の昔ながらの鍛冶屋さんが残っています。)
 カ 祭りの太鼓の音
 キ 神戸電鉄が鉄橋をわたる音(この鉄橋は川の上でカーブしているめずらしい鉄橋です。)
 ク 神戸電鉄の車内アナウンス
 ケ 美嚢川の流れる音
 コ 鬼追いの太鼓とかけ声(1月20日 月輪寺と大宮八幡宮の共催)
 これらの音も追加して収録することとした。また,児童が場所や時間的に収録しにくい音は,ボランティアの方や指導者で収録されることになった。ボランティアの方々も校区を紹介する音を考える過程で,住んでいる校区の様子を改めて思い浮かべておられた。
 また,音の収録と同時にその場所の写真もデジタルカメラで撮影しておき,その場所を紹介するWebページの資料とした。

(2) 音の場所を紹介するWebページを作成しよう
 各グループ(2名)ごとに音を決めてそれを紹介するWebページを作成していった。児童の希望は,やはり三木祭りが多く,祭りが生活に密着していることを改めて感じた。
 Webページ作成ソフトは児童向けの作成ソフトを使用したので,楽しみながら自分の感覚をそのまま表現したようなページを作成していた。また,パソコンクラブの活動時間には,ボランティアの方(写真4)も参加してもらい児童の補助をしてもらった。校区の音マップの部分(写真5)は,音の加工とクライアントサイトイメージマップの作成方法が児童にはわかりにくいので,指導者の方で作成した。児童の作成したWebページは,地図の下にリンクさせて見るようにした(写真6)。

写真4
写真5
写真4
写真5
写真6
写真6
写真7
写真7

(3) Webページの感想を聞こう
 作成したWebページを見られた感想を次の方々に聞いてみた。
 ア 校区外で三木市を余り知らない方
 イ 三樹小校区の保護者
 ウ ボランティアの方
 エ 三樹小学校の児童
 その結果,知っていない場所は,「想像が膨らんで,そこに行ってみたいと思った。」
 「ほかの人のを見ていて,三木市はいろいろな音がたくさんあるなあと思いました。」「うまく文もまとめていた。」「音が小さくてわかりにくいものがある。」「音が聞こえてきて,大変おもしろかった。」「キャラクターを使って,説明しているのがよかった。」(写真7)全体を通して,「発想が面白い。」「鬼追いとか,金物作りなどは三木特有なので特徴がでるし,文化の勉強にもなる。」というように音マップのページが印象に残ったという感想をもらった。
 児童も,音で紹介することに大変興味をもって取り組んでいた。取材をはじめWebページの作成も楽しんで作業を進め,自分たちで絵を描いたり文字を書いたり工夫していた。
 さらに,完成したWebページを見る中で自分たち自身も校区を再認識した感想をもっていた。

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4. 成果と課題

 音で校区を紹介しようということで,実践を始めたが児童をはじめ大人も普段余り音というものを意識していなかった為,最初戸惑いがあった。しかし,活動の過程で改めて地域の音に目が向いたようであった。現段階では,他の地域との交流にまで実践が進んでいないが,他の地域と交流し,お互いに比較することによって自分たちの地域の特徴がより深くわかってくると思われる。また,音の場所を追加していく必要もある。
 音マップのページの感想を聞いていく中で,ぜひ自分の学校でも取り組みたいのでいっしょに交流しようという感想ももらった。音マップは,作成したら終わりなのではなく作成が始まりなのである。

ワンポイントアドバイス
 RealPlayer形式の音データをWebページから指定して再生させる場合,その音データである「*.rm」を直接指定するのではなく,「メタファイル」という「中間ファイル(*.ram)」を作成しておきこのファイルに音ファイルを記述し,Webページからは,このファイルを指定するという方法を取ります。
 「*.ram」ファイルはテキストファイルで,例えば「akimaturi.ram」というramファイルの中に次のように記述しておいて
 pnm://www.miki.ed.jp/esquare2/otohukei/akimaturi/image/mikosi1.rm (mikosi1.rm が実際の音データです。)
このファイルをWebページで  
 a href="akimaturi.ram" というように指定します。

参考文献
赤枝輝昌/畑島賢正編集(2001):はじめてのストリーミングWebで動画をみせよう!(エーアイ出版)
西袋 豊編集(2001):最新ホームページ演出&作成テク(宝島社)

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