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三重県立四日市工業高等学校 熊谷守恭 四日市市では,昭和35年頃より,コンビナートに隣接する地域に集中して呼吸器系疾患が発生し,硫黄酸化物による大気汚染が深刻な社会問題となった。このような公害問題を早急に解決すべく行政を中心に調査や対策が行われ,昭和39年にばい煙規制法,昭和41年に水質保全法・工場排水規正法の適用,昭和42年の三重県公害防止条例の施行,昭和43年の大気汚染防止法,昭和46年の水質汚濁防止法の施行など各種の規制が行われたが決して十分なものとは言えなかった。 <平成11年度 四日市市の環境保全より抜粋> また,化学物質を製造し,または取り扱う事業者が自己決定・自己責任の原則に基づき化学物質の開発から製造・使用・最終消費を経て廃棄に至る全ライフサイクルにわたって,安全・健康・環境面の対策を実行し改善を図っていく自主管理活動であるレスポンシブル・ケア(四日市地区レスポンシブル・ケア)の地域対話により,四日市地区加盟企業の環境保全の取り組みの説明を受けるなど,地域住民との対話が実現している。 課外活動の中で,レインゴーランドを使用し,1mm毎の完全分取による雨水のpHとEC(電気伝導度)の測定を行い,降雨のpH自動測定装置(PC8801制御による自作)により測定した降雨の時刻と降水量,pHのデータを,レインゴーランドで測定した値と比べながら,測定精度を高める。 授業(工業化学実習)で行うコンピュータ処理(Microsoft Excelによる集計とグラフ作成)では,処理操作の技能を重点にしたため,評価が難しいが,課題研究では取り組み状況や成果がはっきりわかるので評価しやすい。取り組み状況と成果では,いかに魅力あるテーマを見つけられるかが重要であり,評価は取り組み状況に重点を置く。また,課題研究が平成15年度からの新カリキュラムでは,総合的学習として取り組むことになるため,評価の必要が無くなる。 三重県環境学習情報センター(http://www.eco.pref.mie.jp/forum/center/center1.htm)では,県民に開かれた環境学習,情報の拠点として,平成11年8月にオープンし,見学自由の展示ホール,研修室,分析実習室,図書コーナー,インターネット端末があり,県民が環境にやさしい行動を起こすきっかけとなる,さまざまな支援をしているので,積極的に利用したい。 酸性雨の調査は,雨水の採取・測定・コンピュータ処理・データ分析の順序がある。雨水を取る機会は,毎週の授業では無理があるし,測定も早急にする必要があるため,授業で行うのはコンピュータ処理になってしまう。 |
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奈良県立登美ケ丘高等学校 本校では,平成10年度〜12年度まで文部科学省の事業である「学校情報化推進のためのネットワーク活用方法研究開発事業」に取り組んだことをきっかけに,理科では,「環境」をテーマに,ネットワークを活用した課題研究を実施している。 本校では2年生(文型・英語型)の生物で,課題研究の時間を設け,実験実習を含めた課題研究を1クラス6グループにわけ,教員3人のティームティーチングで実施している。課題研究「環境」のテーマの中で,酸性雨は1班,窒素酸化物については2班が調査・測定を担当し,期間中の測定を行った(9月〜2月)。測定結果をもとに他校との比較・検討を行い,中間発表,ホームページ作成へとつなげた。窒素酸化物については,測定と共にさらに植物への影響なども考えた。 2年 生物 課題研究(年間計画)週4時間(内2時間は講義) (1)求める評価のあり方
上記の実現のために理科教員全員で共通理解をして評価を行い,下図のように評価の多様化・複数化を行う。 |
図1 |
(2)発表時における留意点 (表1・2)
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表1
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表2
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(3)グループ担当教員の個人評価
(4)教員の自己評価
理科教員全員の,協力支援体制ができている。今後,近辺の学校とのデータの比較活用および,共同研究をおこなってみたい。TV会議などの利用も考えられるのではないか。また,チャットやメール・掲示板など生徒同士の交流の場も増やせるとよいと考えている。 プロジェクト実践に当たって利用した資料・ホームページ等
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松山東雲中学・高等学校 國原 幸一朗
本校は1998年度より本企画に参加しているが,継続した観測やパソコンを活用した学習を通して,環境問題をより身近な問題として捉えるようになるとともに,環境保護のために,これからどうすればよいかを考え,実践する能力を高めていきたいと思っている。ネットワークを利用し,様々な情報を収集・交換することによって,環境問題をより深く多面的に考察できるようになるが,それだけでなく,新教育課程で実施される「総合的な学習」でも,本企画の成果を活用することができるのではないか。今年度は,本校で土曜日(第1・3・5週)に実施している選択講座を受講する生徒が観測や文化祭の展示を行い,高校1年の現代社会や高校3年の政治経済の授業で酸性雨について学習したが,本稿では,地理歴史科の選択「地理B」(高校3年,9名)の授業実践について紹介する。 対象の生徒は,高校1年の時に「国際・情報」(=英語科)で,パソコンを利用して酸性雨について学習した。授業では,まず(1)ビデオ(キリンビール株式会社・毎日ビデオライブラリー(1997)「未来からの電子メール」)を視聴して,様々な地球環境問題のイメージをつかませ,ワークシートにそれぞれの問題の原因と影響について書かせた。次に(2)冬休みの課題とした「環境問題に関する新聞」を相互に評価し合い,得点(3段階)とよかったところを書かせた。生徒間の評価は甘かったが,構成や配色・レイアウト・内容の豊富さと分かりやすさがすぐれているものが高得点となった。さらに,(3)地球環境問題の中で酸性雨を重点化し,インターネットを利用して,酸性雨調査をしているグループの名前と活動内容,外国の酸性雨の現状と被害,測定方法などを調べさせた。その後,レインゴーランドや測定機器を教室に持ち込んで,生徒に計測させた。酸性雨の原因や影響については,ある程度のことを生徒は知っていたが,さらにどこまで深められるか,測定値の意味を理解させることが課題となった。授業後に観測活動に参加してみたいと言った生徒が数名いた。しかし,担当者が公務や学校行事などで十分に指導できず,結局は担当者が中心となった取り組みとなった。生徒が継続して観測し,環境問題への関心を高められるようになることと,地理歴史・公民(社会)科で観測と授業を関連づけることのむずかしさを実感した。このクラスはホームページを検索して,Word文書にまとめる作業をいくつかの科目で行っているので,ホームページを見て調べるという学習だけではうまくいかなくなっている。興味をもつ内容については詳しく調べ,教員を驚かすこともあるが,その内容は授業内容としたいこととや授業のねらいと合致しないことも多く,授業展開や学習方法において工夫が求められている。地理の授業におけるパソコンの活用という点から,(1)各地の測定値を比較し,地域差に着目する。(2)地域差の地理的要因とそれらの関連性をふまえ,(3)環境問題への関心を高める,(4)環境保護への実践につながる,(5)WordやExcel・ホームページなどを活用して資料活用能力を高める,(4)地理的ものの見方・考え方を育てることを学習のねらいとした。 |
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(1)酸性雨のリンク集づくり (2)本校の観測結果より (3)全国参加校のpH値を分析 |
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(4)生徒の意見
(5)授業後の感想
(1)酸性雨とは何か,(2)酸性雨の原因,(3)酸性雨の影響,(4)酸性雨対策についての知識の定着度をみるために,これまで客観テストやワークシートを作成したりしたが,本授業においては客観的知識を身につけるだけでなく,(1)環境問題への関心と実践へつなげようという意識が高まったか,(2)地図や統計図表などの見方と作成方法が理解できたか,その結果,地理的ものの見方・考え方が育成されたか,(3)インターネットの操作方法が分かるようになり,レポート作成において著作権などを配慮することができるようになったなども評価の対象とした。学習意欲・態度・技能は授業や作文などからも推測できるが,多くの生徒が「授業はよかった」と評価してくれた。ただ授業実践が環境保護への実践につながるかが課題で,統計図表の作成・活用方法の理解と地理的ものの見方・考え方については,様々な教育活動と関連させながら,年間計画全体として評価されるべきなのかも知れない。授業では操作上のトラブルや手違いが多く,緻密で用意周到な計画が必要であった。 定点観測とインターネット,パソコン地図による作業は,環境問題をより身近な問題としてとらえるきっかけとなった。機器を用いて体験させることにより,酸性雨に対する興味や関心が高められた。私のような社会科の教員が本企画に参加し実践できたのも,多くの方のおかげである。測定等で分からないときはメールで教えてもらい,春休みには広島大学附属福山中学・高等学校を訪問して,平賀先生とお会いし,激励された。 授業後,(1)年間指導計画の中で,インターネットを活用した環境問題解決学習をどう位置づけるか,(2)生徒が積極的に活動し,実践力を高めるためにどうすればよいか,(3)パソコンやインターネットに関する系統的知識や技能を習得するプログラムをどのようにカリキュラムの中に関連づけるか,(4)他教科の学習内容や既習内容を整理し,体系化する必要性などを課題として取り組んでいかなければならないと感じた。 観測は,達成感が得られないと継続しない。生徒に観測させ,複数の教員が実践活動に関わる場合,分かりやすい作業手順と責任の明確化が必要である。観測データのもつ意味の理解から,環境保護への実践にどう結びつけるかは,クラスや学年・教科・科目によってアプローチの仕方が異なり,多教科の教員の話し合いが必要となる。教科・科目・学校を超え,地域や大学などとの連携をはかるため,もっとメーリングリストを活用すべきであった。そこでの情報交換を活発にするために酸性雨調査に限定しないテーマで議論したり,学習に役立つ画像や種々の観測データ,授業実践例などを広く公開したりすることが必要となる。しかしまだ,インターネットが身近な存在でない学校や教員が多い。身構えないで自然に道具として利用できるものであってほしい。しかし,そうはいってもインターネットを通して,多くの方々と情報交換できるようになった。インターネットの情報は正しいとは限らないが,様々なソフトの画面を同時に開き,見比べながら情報を整理・加工してまとめ,自分の考えを体系化していくような授業や教育活動が増えると思う。生徒が負担にならない作業と進度・興味や関心を高めるような授業内容や方法などの工夫によって,成果が上がり,継続できることを本企画を通して強く感じた。夢はふくらみ,理想と現実のギャップを感じることもあるが,一歩一歩,着実に歩み,大きな成果を実らせたいと思う。 |
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