E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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「全国発芽マップ実践企画」実施報告書

3. 企画の評価
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3.1 「集い」参加者を対象とした調査

3.1.1 調査の目的と問題の所在

 全国発芽マップの集いには,全国発芽マップ2001の参加者と,この企画に関心のある参加者が集まり,face to face情報交換を行う。この「集い」の目的は,2000年度の「集い」と同様に,以下のようなものである。
(1) プロジェクト参加校の教師が,一堂に会して直接対話を行いつつ問題点を共有し今後の活動への見通しを持つ。
(2) 本企画における先進的な教育実践の内容に,未参加の教師が触れる機会を作り,不況拡大を図る。
(3) 本企画に参加していない教師と対話し,今後の活動への新たな視点を得る。
そこで,「集い」というface to faceな企画の効果を評価し,さらに今後の活動への示唆を得るために,「集い」の参加者を対象とする調査を実施することにした。

3.1.2 調査方法

 調査は無記名式の質問紙法で実施した。調査用紙は「集い」の会場で配布し,「集い」の終了時に会場で回収下。質問は,以下のような内容から構成されている。
I. 回答者についいて
II. 「集い」のプログラムについて
 (1) 講演について
 (2) 事例発表について
 (3) パネルディスカッションについて
III. 全国発芽マップへの参加が,児童・生徒や教師に何をもたらすか
IV. 全国発芽マップの新企画について
 (1) 掲示板システム
 (2) 植物の成長記録ボード
 (3) スモールプロジェクト
V. これからのことについて
VI. 全国発芽マップの今後の展開について

 具体的な質問内容を,以下に示す。

---------------------------------------------------------------

全国発芽マップの集い2001 参加者アンケート
 本日は,「全国発芽マップの集い2001」に,ご参加ありがとうございます。プロジェクトの今後に生かすために,いくつかの質問を用意させていただきました。大変お手数ですが,ご記入いただき,回収用の箱にお入れ下さい。

2001.12.8
全国発芽マップ プロジェクト委員会

I. ご自身について,教えて下さい。
1. 勤務先などは以下のどれですか? 当てはまるものに○をつけてください。
 学校関係 (1)幼稚園  (2)小学校  (3)中学校 (4)高等学校 (5)盲・聾・養護学校 (6)大学
 学生など  (7)短期大学生 (8)四年制大学生 (9)大学院生
 その他のお仕事 (10) (                     )

2. 年齢を教えて下さい。      (        ) 歳

3. 性別を教えて下さい。      (1)男性  (2)女性

4. 「全国発芽マップ」には参加していますか?
 (1)過去に参加したが,現在は参加していない  (2)参加したことはない   (3)現在参加している 

II. 本日のプログラムについて教えて下さい。
1. 大島純氏による講演について感想をお聞かせ下さい。

 

2. 事例発表(鵜飼節夫,河畑南美子,井柳強の各氏)について感想をお聞かせ下さい。

 

1. パネルディスカッション(奥村高明,木野田毅,宮脇公治,根井誠,中西英,大島純の各氏)について感想をお聞かせ下さい。

III. 全国発芽マップへの参加は,児童・生徒や教師に何をもたらすと思いますか? 次のそれぞれのことがらについて,「そう思う」と「そうは思わない」で答えて下さい。

1 児童・生徒が植物成長の地域差を認識する (1)そう思う (2)そうは思わない
2 児童・生徒に観察をする習慣ができる (1)そう思う (2)そうは思わない
3 児童・生徒の学習意欲が向上する (1)そう思う (2)そうは思わない
4 児童・生徒の学習方法に変化が起こる (1)そう思う (2)そうは思わない
5 教師自身が環境問題を考えるきっかけとなる (1)そう思う (2)そうは思わない
6 児童・生徒が環境問題を考えるきっかけとなる (1)そう思う (2)そうは思わない
7 教師が他の学校の教師と交流する (1)そう思う (2)そうは思わない
8 児童・生徒が他の学校の児童・生徒と交流する (1)そう思う (2)そうは思わない

IV. 全国発芽マップの新企画についてお尋ねします。

1 全国発芽マップの電子掲示板が

a 授業の役にたつと思う (1)そう思う (2)そうは思わない (3)見たことがないのでわからない
b 子どもたちの対話を促進すると思う (1)そう思う (2)そうは思わない (3)見たことがないのでわからない

2 全国発芽マップの植物の成長記録ボードが

a 授業の役にたつと思う (1)そう思う (2)そうは思わない (3)見たことがないのでわからない
b 子どもたちの対話を促進すると思う (1)そう思う (2)そうは思わない (3)見たことがないのでわからない

3 スモールプロジェクトが

a 授業の役にたつと思う (1)そう思う (2)そうは思わない (3)見たことがないのでわからない
b 子どもたちの対話を促進すると思う (1)そう思う (2)そうは思わない (3)見たことがないのでわからない

V. これからのことについて,お答え下さい。

1. 「全国発芽マップの集い」に参加して,インターネットを利用する教育に見通しをもてましたか?

                             (1)はい    (2)いいえ

2. 来年度の全国発芽マップに参加するとしたら,どんな植物を育ててみたいですか。
 一つか二つお答え下さい。            (         ) (         )

3. 来年度の全国発芽マップに参加するとしたら,取り組んでみたいことは何ですか。
 取り組みたいことに○をつけて下さい。いくつでもかまいません。
(1)植物の成長比較   (2)植物を使った食べ物づくり  (3)植物繊維を使った紙作り
(4)植物繊維を使った布づくり  (5)ホームページの作成 (6)電子メールのやりとり  
(7)手紙のやりとり   (8)テレビ会議         (9)直接会っての交流
(10)電子掲示板を利用した活動    (11)植物の成長記録を利用した活動 
(12)その他(                                    )

Y. 「全国発芽マップ」の今後の展開について,ご意見をお聞かせ下さい。

 御協力ありがとうございました。

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3.1.3 調査対象

 調査対象は,2001年12月8日の「全国発芽マップの集い2001」の参加者全員であり,調査用紙を約80名に配布した。
 このうち,371名から回答が回収され,37名分の回答を分析対象とした。
 全国発芽マップの集いの参加者の所属を表3-1-1に示す。

表3-1-1 「集い」参加者所属内訳

所属等

人数

幼稚園

1

小学校

11

中学校

5

高等学校

1

中高一貫校

1

大学

5

大学生

10

その他

3

合計

37

参加者の年代は,図3-1-1のような内訳であった。
 図3-1-1 全国発芽マップの集い2001参加者の年齢構成(学生を除く)
図3-1-1 全国発芽マップの集い2001参加者の年齢構成(学生を除く)

3.1.4 調査結果及び考察

I. 回答者の特性
 回答者を,所属等,全国発芽マップへの参加状況によって分類したところ,表3-1-2のような内訳となった。

表3-1-2 「集い」参加者調査の回答者の内訳

所属等

過去に参加していたが現在は参加していない

参加したことはない

現在参加している

未記入

幼稚園

 

1
女性1

 

 

 

小学校

1
男性1

4
男性1,女性3

6
男性4,女性2

 

 

中学校

 

2
男性1,女性1

3
男性1,女性1

 

 

高等学校

 

 

1
男性1

 

 

中高一貫学校

 

 

1
男性1

 

 

大学

 

4
男性2,女性2

 

1
女性1

 

大学生

 

10
男性1,女性9

 

 

 

その他

 

3
男性3

 

 

 

1

24

11

1

37

II. 集いのプログラムについて
 集いのプログラムについての回答を順に掲げる。まずは,認知心理学者の大島純氏の講演についての感想を表3-1-3に掲げる。

表3-1-3 「大島氏による講演について感想をお聞かせください。」への回答

基礎知識がないと話がわからないと思った

とても勉強になった。

理論的に説明していただけた

難しかったです

理論がたりないことに気づいた。

コンパクトであり,わかりやすかった。

デザイン学習について知りました。

コンピュータの活用で学習での理解が深まるということは,そうだと思うが,モデル(原子配列のモデル)の理解に関して必ずしも,パソコンでもなくてもできるような気もした。   

発芽マップに限らず,今後の情報教育のあり方を考えさせる示唆に富む内容であった。

学習にITをもち入ることで,理解度がより上がるということがわかった。たしかに,写真でみるよりも,パソコンで3Dを使い,立体的にみる方がわかりやすいだろう。

いくら機械がそろっていうからといって,それをどう使うかが大事,という事が考えさせられました。

このような集いの場で,委員会に対して提案するような講演内容とは思っていなかったのでビックリしました。このような場で提案するということは,よほど委員会の活動のことを思っているのだなあと感じ,感謝しなければいけないと思った。

IT教育の意義:利点等について,考えることがあるが,今回の講演をきいて,改めて,それについて考えることができた。今後の発芽マップ・プロジェクトへの期待とともに,私自身もみていきたいと思う。

これからの時代,ITを活用した教育はとても,重要なものとなってくる。それらについて,自分の中でもっと,ITについて考えていくことが大事だと感じるとともに,今後のITの発展を見ていき,考えを深めていきたい。

講演の内容は大変よかった。「学びの共同体」について,もう少し聞きたかった。

おなかにずしんと来るぐらい,お話の内容が体に入っていく様でした。普段,自分の中で疑問に思っていてもどう解答すればわからなかったことの糸口を見つけられた思いでした。

このプロジェクトの意義について,分かりやすく伝わってきました。

「学びの共同体」という話をきき,よかったと思います。

「学びの共同体」としての学習の在り方がわかりやすくて良かった。学習をデザインすることについては,30分の時間では,よく理解できないので時間不足を感じた。

ITが子ども達の感じたこと,思いをより豊かに表現するための大きな媒介となっていることがよく分かった。自分の考えを自分の中にとどめておくだけでなく,外部の人にも知ってもらうことでよりその考えが深まっていくということを大島氏の講演で改めて気づくことができたと思う。

子どもたちにとってITはとても身近なものとなっています。自分を主張する手立てともなるし,自分の知識の素,貯蔵庫として活用していますし,人と関わる技術を体得しています。今後ますます様々な活用が期待できるものだと思います。(あまりまとまっていなくてすいません)

机の論ということも多く,実践報告にはかなわない(理論としては共感できるが)

少しわからない点がありました。すみません。すこし難しかったです。

時間が伸びてすいません(本人談)

時間が足りなくて,ちょっと最後の方が,ものたりなかったです

 昨年の美馬のゆり氏の講演と同様に「学びの共同体」について理解したという感想がある。また,IT活用について考えた人が多かったのが,今年度の特徴である。
 感想の中で取り上げられた事項は以下の表3-1-4の通りである。

表3-1-4 講演への感想で取り上げられた内容

学び

デザイン学習(2),知識(3),学びの共同体(3)

情報

コンピュータ(1),パソコン(2),IT(4)

 次に,3件の「事例発表」についての感想を表3-1-5に掲げる。事例発表は,鵜飼節夫氏,川畑南美子氏,井柳強氏の3名によるものであった。
表3-1-5 「事例発表について感想をお聞かせください。」への回答

画像とかがあったので,わかりやすくおもしろかった。(あと,発表者の人の出身地がバラバラだったので,方言が激しくおもしろかった。ああいうのは方言で話してもらった方がその場の状況が伝わると思う。

井柳先生のバイタリティーに学ぶ

詳しく話して頂き,興味と見通しをもつことができました

大変参考になりました。

それぞれの実践の内容が具体的でよかった

各校の活動を具体的に知ることができ,メール内容をはっきりとつかむことができました。

ケナフの利用法があんなにたくさんあるとは思わなかった。ケナフを通して,国際交流,学校間の交流ができることがすばらしいと思う。それから国際交流の中で,言葉が分からないとおもしろくという発想で,外国語の勉強をすれば,今行っている外国語の学習よりも興味深く取り組めると思った。

収穫後どうしようかと思って参加したので,とても参考になりました。

ケナフは一度家で育てたことがありますが,とても成長が早くて驚きました。成長しすぎて邪魔になるということで捨ててしまいましたが,今日3人の先生方の発表を聞いて,とてももったいないことをしたなあ〜と思いました。ケナフがこんなにもいろんなものに利用できるとは思ってもいませんでした。特に,ケナフの葉を乾燥させて他の野菜にまくと成長が早く,とても大きく育つということにはびっくりしました。全国発芽マップの活動がもっと広まっていけばいいと思いました。

井柳さんのケナフを地中に入れて,他の植物が育つ,ということが興味深かったです

鵜飼先生・・・ケナフを使った料理という発想やホームステイという発想はすごいなあと思った。子どもたちへの愛情を感じ,おそらく相思相愛だろうなあと思った。 河畑先生・・・聴者を楽しませながら発表していたので,まず発表の上手さを感じた。また,ケナフをすべて使うという発想はすごいと思った。 井柳先生・・・子どもたちの自然な発想を大切にしている所がすごいと思う。また,世界規模の活動もすごいと思う。進んだ考えであると思う。

どの先生方も,活動を楽しんでやっておられるのがよく伝わった。きっと子どもたちも目を輝かせながら,活動しているのだろう。それぞれ,内容は異なっているけれども,活動を通して,子どもの興味に沿って広めていくという点では同じだと思った。普段の授業よりも意欲のある達成度のあることだろうから,子どもの心の中にいつまでも残ることだろう。

ケナフを使った具体的な実践例がたくさん紹介され,新しい視点で”ケナフ”をとらえることことができた。また,国際交流をされている地球クラブの活動は,子どもたちが,共に,互いの国を学ぶだけでなく,心を心の交流が果たされており,とてもすばらしい活動だと感じた。

活動の広がりに感動しました。 利用についても工夫しだいで素晴らしい利用の仕方があることに驚きました。

パワフル!! こんなにもしつこく(失礼ですが)やると見つけられるものがすごいと思いました。 自分のやっていることのなんと浅かったことかと思い知らされました。

地球クラブの活動の様子が分かり易く説明されてました。何のための活動か目的をしっかりをもたれているので,分かりました。 給食交流,同名校交流「中郷小」ネットワークが心に残りました。 河畑先生の発表そののものに親しみがあり,併せて内容に聞き入ることができました。

ケナフを使って,子供達の交流,教育等に多大な成果があったと思われる。今後も発芽マップについて捉進していただきたい。

とくに井柳先生のパワフルな発表に圧倒されました。とてもよかったです。

インパクトがありました

それぞれ,違った事例で,ケナフを素材としてはいるものの,その活用についてはいろいろな考え方ができると思われた。かかわり方の違いが,今後のスモールプロジェクトの企画としてたいへん参考になった。できれば,失敗や困ったことも発表してもらうとより参考になるのだが・・・

それぞれの先生方の取り組みがよくわかりました。掲示板だけではわからなかったことなどもわかり,今後の活動につながると思いました ありがとうございました。

私たちが知らなかったさまざまな活動が全国でなされていることを知り非常に勉強になった。発芽マップに参加することで子ども子ども達の自主活動能力というものは確実に成長しているように思う。自らが疑問を感じ,それをみんなで解決していこうとする姿勢が,各学校の話やビデオの映像を見て非常によく感じられた。

すべてのものを使い切る,というのはとても大切なことですね。実践されているだけあって,とても楽しく聞かせて頂きました。子どもたちの興味に沿った活動は子どもたちにとっても実り多い体験だと思います。井柳先生の,学校教育では生かされない子どもの発想に基づく事例(ケナフには植物を早く大きくする成分がある,というもの)は,あらためて子どもの発想の豊かさに気付くと同時に,それを殺してしまわないような指導を行っていきたいと思いました。教師も共に学んでいく姿がとても印象的でした。

子どもがすごくしっかりと参加していて楽しい活動だなあと感じました。先生方も「しなくては」ではなくて「したいからしてる」という感じで,いいなあと思います。

非常に興味深く聞くことができた。アイデアの豊かさをそれぞれの先生が持っていらっしゃることが素晴らしい。

実際に自分もやってみたいと思えるような楽しそうな事例だと思いました。河畑先生の『How to ケナフ』の本がほしいと思いました。

どれもそれぞれの活動の楽しさが伝わってきました。自分でもケナフや落花生を育ててみたいです。

非常に貴重な事例でした。

井柳さんの発表は特に興味深かったです。栽培のプロセスの中で出てくる不思議を科学的に探求できるような発展を今後期待したいです。

 事例報告への感想で取り上げられた事項を表3-1-6に示す。
表3-1-6 事例報告の感想で取り上げられた事項

活動

交流(4),利用(3),実践(3)

教師

発想(3),パワフル(2),アイディア(2)

 交流についての着目が多い。また,発表者の発想,パワー,アイデアが共感を呼んでいる。
 今年度の3件の事例報告は,いすれもケナフを利用した教育実践に関するものであった。参加者の中には,ケナフを栽培しても,それを十分に生かす方法を分からないという声がもともとあったが,今回の3件の事例報告から,ケナフを利用した多様な教育実践のあり方を知ることができたという反応が多かった。
 インターネットでの情報交換だけでは伝わらなかった,具体的な実践の姿が共有されたことが回答から読みとれる。

 次に,パネルディスカッションに対する感想を表3-1-7に掲げる。

表3-1-7 「パネルディスカッッションについてお聞かせください」への回答

ディスカッションというには少し(かない?)さみしいものを感じた。

木野田先生の悩みは私も同じです。

スモールプロジェクト間のネットワークの大切さがわかった

実践発表がよかったです。

大変参考になりました。

もう少し,ディスカションの時間が・・・

発芽マップをすることで,自分で課題をみつけたり,そのために観察するということは,すばらしいことだと思った。インターネットの学習ではなくて,使っているうちに使い方がわかるということが大切だと思った。他の学校とも交流する時に,一番良いものがインターネットの活用だと実感した。この活動を通して,先生が学ぶことの大切さというものを感じた。

メールで参加していましたが,先生方の顔が拝見できてよかったです。

スモールプロジェクトがこの会議でどういうものか改めて考えさせられました

全国発芽マップが,本当に全国で,あるいは世界でいろんな形で取り組まれているということがわかった。パソコンを使うことで一番良いと感じたものは,いろんな学校と交流できるということもあるが,子ども達が自ら学ぼうとする気持ちが育つとうことだ。他校とやり取りをするためにパソコンの使い方を覚えたい,と自分からやる気を持って実践すれば,そのことは絶対忘れないし,身に付くだろう。

宮脇先生の,「ビートプロ」のさとうだいこんの話をもっとくわしく知りたかったです。

中学校の事情を聞いた時は現実の学校生活を感じた。中西先生の話を聞いて,発芽マップ=ケナフ栽培という考えを直すことができた。子どもたちが「食べる」ということに感心を持つということに興味を持った。大島先生がこれからの発芽マップの位置づけをしたと思った。

いろいろな学校で,様々な取り組みがなされているのを,今回始めて知ったので,驚いたと同時に,私も,そのような活動を率先して行きたいと思った。

様々な方々の取り組みを実際,聞かせていただき,自分も,今後,是非全国発芽マップに,参加してみたいと思った。

あいかわらず,根井先生は熱い!! 昨年は,face to face  今年は,学習のきずな!!

貴重な御意見ありがとうございました。

各氏の実践の中で,子どもたちの喜びや感動が伝わってきました。参考になりました。

スモールプロジェクトそれぞれの内容,活動の様子がよくわかりました。いつも同じ掲示板へしか行っていませんでしたが,他のプロジェクトにも関心をもちました。

どの事例からも,子ども達がむりやりこの活動に参加させられているのではなく,自然に内から沸く興味を学習につなげながら活動にとりくんでいるという様子がよく分かった。子どもだけでなく教師も共に学んでいる姿がよく見られて,このプロジェクトのよさがとても表れていたものだったと思う。

プロジェクト同士のつながり,ということについてまだまだ課題が多く残っていることを知りました。しかし,色々な画像,ビデオを見せて頂きましたが,何よりも子どもたちの笑顔が印象的でした。育てる楽しさや人と関わっていく楽しさ,疑問を持ちそれを解決していく楽しさがこのプロジェクトのおもしろさなのだと思います。

ディスカッションの時間が短すぎる。情報環境の整備(pc等)は,現場から,どんどん声をあげるべき。これからの世代を担う児童・生徒の情報リテラシーの向上は重要である。

中学校では何か活動をするということがむずかしいんだと感じました。小学校ではいろいろな活動が担任の頑張りしだいでできると思い,私もやってみたいと思いました。

先生方も練りに練られておられるんですね。改善をくりかえしよりよいものになってほしいです。HP見たいです。

時間が短いとたいへんですね。

もう少し長い時間が欲しかったです。

 バネルディスカッションへの感想で取り上げられた事項を表3-1-8にまとめた。
3-1-8 パネルディスカッションの感想で取り上げられた事項

つながり

ネットワーク,インターネット,Face To Face

その他

学習のきずな,情報リテラシー

バネルディスカッションには,多様な意見が寄せられ,特に多かったものははっきりしない。
 また,協議の時間不足を指摘する声があった。しかし,実践の具体像をお互いに知ることができて,今後の実践につながるものであったことも読みとれる。

III. 全国発芽マップが児童・生徒や教師にもたらすものについて
 全国発芽マップへの参加が児童・生徒や教師に何をもたらすかに関する質問への回答を,表3-1-9に掲げる。

表3-1-9 全国発芽マップへの参加が児童・生徒や教師にもたらすもの

 

そう思う

そうは思わない

その他

3-1 児童・生徒が植物の地域差を認識する

36

1

0

3-2 児童・生徒に観察をする習慣ができる

32

5

0

3-3 児童・生徒の学習意欲が向上する

34

2

1

3-4 児童・生徒の学習方法に変化が起こる

35

2

0

3-5 教師自身が環境問題を考えるきっかけとなる

30

6

1

3-6 児童・生徒が環境問題を考えるきっかけとなる

31

4

2

3-7 教師が他の学校と交流する

37

0

0

3-8 児童・生徒が他の学校の児童・生徒と交流する

35

1

1

 表から,ほとんどの「集い」参加者が,「全国発芽マップへの参加が児童・生徒や教師にもたらすもの」について,肯定的に回答していることが分かる。しかし,「児童・生徒に観察する習慣ができる」「教師自身が環境問題を考えるきっかけとなる」「児童生徒が環境問題を考えるきっかけとなる」については,「そうは思わない」という回答が4〜6人ある。
 ケナフの栽培をきっかけとして環境問題を取り上げようとする教師がいる一方で,かならずしも環境教育と結びつくとは限らないと考える人もいることを示している。

IV. 全国発芽マップの新企画について
 表3-1-10に,全国発芽マップの新企画としての「電子掲示板」「植物成長記録ボード」「スモールプロジェクト」がもたらすものについての回答の集計結果を掲げる。「もたらすもの」としては「授業の役に立つ」と「子どもたちの対話を促進する」の二つの観点で質問した。

表3-1-10. 全国発芽マップの新企画がもたらすもの

 

そう思う

そうは思わない

見たことがないので分からない

無回答

1a. 電子掲示板が授業の役に立つ

22

2

12

1

1b. 電子掲示板が子どもたちの対話を促進する

22

2

10

3

2a. 植物成長記録ボードが授業の役に立つ

29

1

5

2

2b. 植物成長記録ボードが子どもたちの対話を促進する

24

3

7

3

3a. スモールプロジェクトが授業の役に立つ

30

0

4

3

3b. スモールプロジェクトが子どもたちの対話を促進する

28

2

5

2

 まず,電子掲示板システムについては,「見たことがないので分からない」という回答が,回答の3分の1程度見られた。これは,「集い」の参加者には,全国発芽マップの参加者ではない人が半数程度含まれていることから,致し方のないことであろう。
 植物成長記録ボードとスモールプロジェクトについては,電子掲示板よりも「分からない」という回答は少ない。
 全体的に見ると,「そうは思わない」という回答は少なく,どちらかというと,肯定的な回答が多い。

V. これからの全国発芽マップ
1. 「集い」に参加して,インターネットを利用する教育に見通しが持てたかどうか
 表3-1-11に「集い」に参加して,インターネットを利用する教育に見通しが持てたかどうかに集計結果を掲げる。

表3-1-11. 「集い」に参加して,インターネットを利用する教育に見通しが持てたかどうか

 

そう思う

そうは思わない

その他

無回答

「集い」に参加して,インターネットを利用する教育に見通しが持てましたか

32

1

2

2

 37人中32人が「見通しが持てた」と回答しており,2001年度の「集い」がインターネット利用教育への見通しに貢献できたことを示している。昨年は,32人中22しか「見通しが持てた」と回答していないことと比較すると,今年度の集いが昨年よりも改善されたものであったことをうかがわせる。しかし,これは集いが変化したというだけでなく,参加者の方が1年間のうちにインターネット利用教育についての理解を深めたことの影響も考えられる。

2. 来年度に育ててみたい植物

 図3-1-12に,育ててみたい植物についての回答の集計結果を掲げる。

この結果をみると,中心植物の「ケナフ」と,スモールプロジェクトの「綿」の差が少なくなったことが分かる。また,種々の植物が挙げられていることから,今後のスモールプロジェクトで選ばれる植物の可能性が広がっていることが分かる。しかし,大根,米,落花生,カボチャなどのようにくり返し提案される植物が多く,ある程度の限界も表れている。

表3-1-12. 来年度育ててみたい植物

玄米

1

ケナフ

7

綿

5

大根

3

トマト

1

ビート

1

へびきゅうり

2

こんにゃくいも

1

外国にしかない植物

1

2

ハーブ

1

ローズマリー

1

リーク

1

大豆

1

ケナフのような地球にやさしい植物

1

美しい花,子どもが興味をを持つ実をつける植物

1

さとうきび

1

エンドウマメ

1

ラッカセイ

3

野菜:くだもの

1

ズッキーニ

1

年内を通して成長するもの

1

カボチャ

2

イチゴ

1

無記入

9

3. 来年度取り組みたいこと

 表3-1-13に来年度取り組みたいことについての回答の集計結果を掲げる。

表3-1-13. 来年度に取り組みたいこと

 

回答数

(1) 植物の成長比較

11

(2) 植物を使った食べ物づくり

26

(3) 植物繊維を使った紙作り

14

(4) 植物繊維を使った布づくり

6

(5) ホームページの作成

10

(6) 電子メールのやりとり

15

(7) 手紙のやりとり

6

(8) テレビ会議

10

(9) 直接会っての交流

14

(10) 電子掲示板を利用した活動

9

(11) 植物の成長記録を利用した活動

5

(12) その他

2

図1-1-2は,それをグラフに表したものである。昨年度と同様に,植物を使った食べ物作りや紙作りの活動の人気が高い。

 新システムとして導入した「電子掲示板」や「植物の成長記録」の利用が,あんがい少ないことにも注目すべきである。これは,来年度への課題となる。

図3-1-2 来年度に取り組みたいこと

図3-1-3は,これを昨年度「集い」の参加者の回答と比較したものである。

図3-1-2 昨年度の回答との比較

 昨年度と比較すると,食物を使った食べ物づくりや,植物繊維を使った紙作りをやりたいという参加者の増加が著しい。これらは,川畑先生の提案の影響と思われ。
 また,直接会っての交流をやりたい参加者も増加している。これは,鵜飼先生の事例報告で,修学旅行での学校訪問を実現した話が聞けたことの影響であろう。

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3.2 参加校を対象とした調査

3.2.1 調査の目的と問題の所在

 2001年度の全国発芽マップの活動について評価するため,例年12月に参加校を対象としたメーリングリスト調査を実施している。
 これは,当該年度の全国発芽マップの活動について,参加校からの意見という形での評価を行うためである。また,一年間の活動を踏まえて次年度への希望を集めることで,活動内容を改善する目的がある。
 そこで,今年度も,従来のやり方に倣って,すべての参加校を対象とした電子メールによる調査を実施することにした。

3.2.2 調査方法

 調査はメーリングリストを利用して実施した。すべての参加校の教師が加入しているメーリングリストに,質問内容を配布し,無記名式の回答を指定したメールアドレスに返送するよう,依頼した。
 質問事項は,次のような事項である。

I. 学校等について
II. 全国発芽マップへの参加が児童・生徒や教師にもたらしたものについて
III. 全国発芽マップ2001での新企画について
  1. 全国発芽マップの電子掲示板について
  2. 全国発芽マップの植物の成長記録ボードについて
  3. スモールプロジェクトについて
  4. メーリングリストについて
VI. 取り組みについて
V. 今後について

 回答形式は,選択法と自由記述法である。以下のような質問内容を,2001年12月20日に,参加校の教師用メーリングリストに流した。この際,調査は宮崎大学の大学院生と4年生から流すという形式を取り,集計結果は卒業論文とプロジェクト報告書の両方に利用されることを明記した。
 調査項目配布後,締め切りを1月11日まで延長し,調査への回答の催促を2002年1月7日にメーリングリストに流した。

3.2.3 調査対象

 調査対象は,2001年12月20日の時点で「全国発芽マップ」の教師用メーリングストに登録されていた教師である。この時点で加入校数は202校であった。
 多くの学校の3学期が始まって1週間が経過した時点まで回答の受付を続け,2002年1月14日に終了した。この時点での回答数は,37件であったので,この26件の回答を有効回答と見なし,集計対象とした。
 26件という回答件数は,2000度の調査の37件と比較すると回収率が低い。

3.2.4 調査結果と考察

 有効回答が得られた学校種の内訳を,表3-2-1に示す。

表3-2-1. 回答学校種

学校種

校数

小学校

18

中学校

5

中・高一貫学校

1

養護学校

1

その他

1

合計

26

「その他」は公民館活動
 表3-2-2に,回答者が所属する学校規模の内訳を掲げる。
表3-2-2. 回答者の学校規模の内訳

学校規模

校数

(1) 10人未満

1

(2) 10人〜49人

5

(3) 50人〜99人

3

(4) 100人〜199人

2

(5) 200人〜299人

5

(6) 300人〜399人

3

(7) 400人〜499人

1

(8) 500人〜599人

2

(9) 600人〜699人

3

(10) 700人〜799人

1

合計

26

 表3-2-2を見ると,26校中9校は100人未満の学校であり,調査の回答者の所属校には比較的小さな学校が多いことが分かる。回答者には,全国発芽マップで活躍している学校が多いこととあわせて考えると,全国発芽マップは小規模校で実践しやすい企画である可能性を示唆している。

 表3-2-3に回答者の参加のべ年数を掲げる。

表3-2-3. 回答者の参加のべ年数の内訳

参加のべ年数

人数

1年

5

2年

8

3年

6

4年

2

5年

1

6年

1

7年

3

合計

26

 のべ参加年数が3年以内と,短い参加者が多い。

3.2.5 調査結果の全体的考察と課題

3.2.5.1 学校等について

3.2.5.2 全国発芽マップへの参加が児童・生徒や教師にもたらしたもの

 表3-2-4に,全国発芽マップが児童・生徒や教師にもたらしたものについての回答の集計結果を掲げる。

表3-2-4. 全国発芽マップへの参加が児童・生徒や教師にもたらしたもの

 

そう思う

そうは思わない

わからない

(1) 児童・生徒が植物成長の地域差を認識できる

24

0

2

(2) 児童・生徒に観察を行う習慣ができる

20

5

1

(3) 児童・生徒の学習意欲に変化が起こる

21

1

4

(4) 児童・生徒の学習方法に変化が起こる

18

2

6

(5) 教師自身が環境問題を考えるきっかけとなる

24

1

1

(6) 児童・生徒が環境問題を考えるきっかけとなる

21

1

4

(7) 教師が他の学校の教師と交流する

24

1

1

(8) 児童・生徒が他の学校の児童・生徒と交流する

20

3

3

 この表から,ほとんどの項目について肯定的な回答が多いことが分かる。しかし,観察を行う習慣がつくかどうかについては否定的な回答が5件あり,全国発芽マップの当初の目論見の一つとしての「植物の観察」が実現されるとは限らないことが表れている。
 学習方法の変化や,環境問題を考えるきっかけについても「わからない」がそれぞれ6件,4件あり,必ずしも肯定する教師ばかりではないことが分かる。

3.2.5.3 全国発芽マップの電子掲示板について

 以下に,2001年度から利用が開始された全国発芽マップの電子掲示板についての回答結果について検討する。
 表3-2-5は,全国発芽マップの電子掲示板が,授業の役に立つかどうかと,子どもたちの対話を促進すると思うかどうかについての集計結果である。
 これによると,かなりの割合の教師が,授業の役に立つし,子どもの対話を促進すると考えている。しかし,子どもの対話については,「そうは思わない」が3名,「分からない」が5名おり,このことについて懐疑的な教師の存在を示している。

表3-2-5. 全国発芽マップの電子掲示板について

 

(1)授業の役にたつと思う

(2)子どもたちの対話を促進すると思う

そう思う

22

18

そうは思わない

1

3

わからない

3

5

 表3-2-6と表3-2-7は,電子掲示板を見る頻度と,これまでに見た回数である。

 「ほぼ毎日」が6人,「週に3から4回」が4人で,これらを合計すると10人の教師が1週間のうちに何度も電子掲示板を見ていることになる。週に1回の6人を加えると,16人が一週間に最低一度は電子掲示板を見ている。

 このように,ひんぱんに掲示板を見る教師と,それ以外の教師の間には,全国発芽マップへの参加の仕方に違いがありそうである。

 表3-2-7を見ると,これまでに電子掲示板を見たことがない教師が1人,1から9回くらいの教師が6人いる。これらの教師は,電子掲示板の利用を中心に据えずに全国発芽マップに参加する教師である。参加の形態が,必ずしも掲示板を中心にしたものだけではないことをうかがわせる。

表3-2-6 電子掲示板を見る頻度

 

(3)電子掲示板をどの程度見ましたか

ほぼ毎日

6

週に3〜4回

4

週に1回くらい

6

もっと少ない

10

表3-2-7 電子掲示板を見た回数

 

(4)電子掲示板を,のべ何回くらい見ましたか

10回以上

19

1〜9回くらい

6

見たことがない

1

表3-2-8に電子掲示板への書き込み経験についての集計結果を掲げる。

 15人の教師は2回以上書き込んだことがあり,掲示板への能動的な参加者と言える。一方,書き込みをしたことがない教師が26人中に8人もいる。これは,メーリングリストに参加していても,書き込みをしない教師がいるのと同様に,見るだけの参加という形態があることを示している。

表3-2-8 電子掲示板への書き込み経験

 

(5)電子掲示板に書き込んだことがありますか

2回以上投稿した

15

1回だけ投稿した

2

一度も投稿したことはない

8

図3-2-9に,主に見た電子掲示板の集計結果を示す。

 落花生プロジェクトと,BK(ブルーケナフ)情報部が,意外にも少ない。一方,「ケナフから広がる夢 〜ぼくのたね,わたしの夢〜」や「全国発芽マップ何でも掲示板」が多い。比較的自由な内容の書き込める掲示板のアクセスが多いようである。

表3-2-9 主に見た電子掲示板

 

(6)どの電子掲示板を主に見ましたか。いくつ選んでもかまいません。

1. ケナフから広がる夢 〜ぼくのたね,わたしの夢〜

16

2. 全国紙創り21

11

3. ケナフ料理・お菓子づくりマッププロジェクト

8

4. ケナフクラフトバザール

9

5. 全国発芽マップ何でも掲示板

17

6. 綿マッププロジェクト

12

7. 落花生プロジェクト

4

8. BK(ブルーケナフ)情報部

3

表3-2-10に,掲示板を利用した子どもの活動の有無についての集計結果を掲げる。これによると,10人の教師が掲示板を利用した子どもの活動をしていないことが分かる。前にも述べたように,全国発芽マップの参加形態には,掲示板の利用を重視するものとそうでないものがあることが分かる。
表3-2-10 掲示板を利用した子どもの活動の有無

 

(7)掲示板を利用して子ども達に活動をさせましたか

はい

15

いいえ

10

無回答

1

3.2.5.4 植物成長記録ボードについて

 本節では,2001年度から導入された植物の成長記録ボードに関する回答の集計結果について検討する。
 表3-2-11は,植物の成長記録ボードが,授業の役に立ったかどうかと,子どもたちの対話を促進するかどうかについての回答の集計結果である。
 ここには,電子掲示板と同様の傾向が表れている。つまり,人は肯定的だが,10人が「分からない」と答えている。

表3-2-11 植物の成長記録ボードについて

 

(1)授業の役にたつと思う

(2)子どもたちの対話を促進すると思う

そう思う

15

15

そうは思わない

1

1

わからない

10

10

 表3-2-12で,植物成長記録ボードを見た頻度を調べると,26人中20人の教師がしゅぅに1度未満しか見ていない。掲示板を見る頻度と比較すると,著しく低い頻度である。
表3-2-12 成長記録ボードを見た頻度

 

(3)成長記録ボードをどの程度見ましたか

ほぼ毎日

1

週に3〜4回

1

週に1回くらい

4

もっと少ない

20

 表3-2-13で,植物成長記録ボードをこれまでに何回見たかを調べると,10回以上の教師は8人で,大半が1〜9回くらい,そして5人が「見たことがない」と答えている。
 このように,植物の成長記録ボードは,電子掲示板と比較すると,使用する教師の数が少ない上に,使用頻度もそれほど高くないことが示されている。

表3-2-13 成長記録ボードを見た回数

 

(4)成長記録ボードを,のべ何回くらい見ましたか

10回以上

8

1〜9回くらい

12

見たことがない

5

3.2.5.5 スモールプロジェクトについて

  2001年度から導入された電子掲示板を用いた新企画に「スモールプジェクト」がある。表3-2-14は,これについての回答の集計結果である。
 それによると,多くの教師が「授業の役に立つ」「子どもたちの対話を促進する」と考えているが,そうは考えない教師もわずかながら存在する。これは,電子掲示板に対する意見と同じような傾向である。

表3-2-14 スモールプロジェクトについて

 

スモールプロジェクトが

 

 

(1)授業の役にたつと思う

(2)子どもたちの対話を促進すると思う

そう思う

23

21

そうは思わない

1

4

わからない

1

1

3.2.5.6 メーリングリストについて

 表3-2-15にメールチェックのサイクルについての集計結果を示す。これによると,26人の教師のうち24人が「ほぼ毎日」を選んでいる。これを前述の掲示板や植物成長記録ボードを見るかどうかと比較すると,掲示板などを見ていなくても,メールチェックだけは行う教師がかなりいることを示している。毎日メールを見るような教師だからメーリングリスト調査に回答したのかもしれないが,教師がメールを重視していることが読みとれる。
 表3-2-16でメーリングリストへの投稿経験を見ても,20人が2回以上投稿しており,電子掲示板の書き込みよりもメールを出した経験のある教師が多いことが分かる。
 長年にわたって活動の中心を占めてきたメーリングリストは,いまでも欠かせない道具である。

表3-2-15 メールチェックのサイクル

 

(1)メールチェックのサイクルはどの程度ですか

ほぼ毎日

24

週に3〜4回

1

週に1回くらい

1

もっと少ない

0

表3-2-16 メーリングリストへの投稿経験

 

(2)メーリングリストに投稿したことがありますか

2回以上投稿した

20

1回だけ投稿した

3

一度もない

3

3.2.5.7 取り組みについて
表3-2-17 今年度の全国発芽マップで取り組んだこと

1. 植物の成長比較

17

2. 植物を使った食べ物づくり

11

3. 植物繊維を使った紙作り

18

4. 植物繊維を使った布づくり

3

5. ホームページの作成

11

6. 電子メールのやりとり

11

7. 手紙のやりとり

7

8. テレビ会議

3

9. 直接会っての交流

3

10. 電子掲示板を使った活動

11

11. 成長記録ボードを使った活動

8

12. その他

6

表3-2-18 来年度の全国発芽マップで取り組みたいこと

1. 植物の成長比較

18

2. 植物を使った食べ物づくり

12

3. 植物繊維を使った紙作り

11

4. 植物繊維を使った布づくり

4

5. ホームページの作成

12

6. 電子メールのやりとり

12

7. 手紙のやりとり

8

8. テレビ会議

8

9. 直接会っての交流

7

10. 電子掲示板を使った活動

12

11. 成長記録ボードを使った活動

10

12. その他

3

3.2.5.8 今後について
表3-2-19 今後の見通し

 

(1)「全国発芽マップ」への参加によって,インターネットを利用する教育についての見通しを持てましたか

はい

21

いいえ

0

どちらでもない

4

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3.3 電子掲示板利用の分析
3.3.1 分析の目的と問題の所在
3.3.2 分析対象と方法
3.3.3 分析対象

3.3.4 分析結果と考察

 電子掲示板の分析は,2001年5月〜12月の書き込みを対象に行った。電子掲示板については,今年が最初の試みである。まず,各掲示板にどれくらいの数の書き込みがあったか。書き込み件数を下図に示した(図2-5)。

図2-5. 各掲示板の書き込み件数(5月〜12月)
図2-5. 各掲示板の書き込み件数(5月〜12月)
 5月から12月まで掲示板には1803件の書き込みがあった。その約1/3は『全国発芽マップ何でも掲示板』に書き込みがされたことがわかる。次に,電子掲示板への5月から12月まで月ごとの書き込み件数を次のページに示した(図2-6)。
図2-6 月別 電子掲示板への書き込み件数(5月〜12月)
図2-6 月別 電子掲示板への書き込み件数(5月〜12月)
 上の図から書き込みが多かった月は6月と10月であることがわかる。では,この書き込みの内容はなんだったのだろうか。全国発芽マップ2000のメーリングリストの話題について川野(2000)は「種まき」「発芽」「成長」「開花」「採種」「自然災害」「紙すき」「紙すき以外」の8種類に分類している。これについて,「紙すき以外」を「その他」として,2001年度の電子掲示板の書き込みの分類をした。分類した図を次のページに載せた(図2-7)。
図2-7. 電子掲示板の話題の分類
図2-7. 電子掲示板の話題の分類
 話題として分類できるもので一番書き込みが多かったものは,「成長」である。「その他」の話題については第5章で触れることにするため,ここでは触れない。図2-6と図2-7から特徴の出ているものを強調させたものを図2-8として次のページに示した。
図2-8. 月ごとの話題と件数
図2-8. 月ごとの話題と件数

 これらのことから言えるのは,6月の書き込みの多い理由として「成長」についての話題が多かったこと,10月は9月と分類できる話題と書き込み件数に差はあまり見られないが,分類できなかった「その他」についての書き込みで差が出た。話題は植物の成長過程に従って移り変わっていくことがわかる。
 では,どういう人々がこの電子掲示板に書き込みをしたのか。この電子掲示板では,書き込みの中に自分に合ったアイコンを選択することになっている。このアイコン別の書き込み件数を調べることにした(図2-10)。アイコンは全部で8種類ある1)(図2-9)。

男の子 女の子 男の先生 女の先生 おじいちゃん おばあちゃん おにいさん おねえさん

図2-9. 電子掲示板のアイコン
 図2-10. アイコン別 電子掲示板への書き込み件
図2-10. アイコン別 電子掲示板への書き込み件数

 上の図から教師や子どもの書き込みが活発だったことがわかる。ただ,実際に書き込んだ人とアイコンが必ずしも一致しているとは言えないものもあり,これはおおよその数値となる。
 この電子掲示板の設置に関して,『児童・生徒が直接やりとりできる』ことを目的としている。では今回,子どもたちは電子掲示板上で会話をしていたのだろうか。このことについては,書き込みに対しての返信数で比較を行うことにした。次のページにグラフで示した(図2-11)。

図2-11. 書き込みへの返信件数(電子掲示板上での会話)
図2-11. 書き込みへの返信件数(電子掲示板上での会話)
 上の図から,全体に比べて子どもたちの電子掲示板上での会話は少なかったことがわかる。子どもたちの電子掲示板上の会話は活発ではなかったが,分析を行っていく中で,自分なりに一つの推測を立った。それは,ある一人の子どもの書き込みから考えたことである。その書き込みを次のページに載せた(図2-12)。
図2-12. ある子どもの書き込み
図2-12. ある子どもの書き込み

 この書き込みは,2001年12月12日にある女の子が載せたものである。この書き込みの内容は,だちょうの卵を使って料理をしたというものである。この書き込みに対して子どもから多くの返信があった。
 私はこの書き込みから,子どもたちは文字だけの書き込みより,写真が載っている書き込みにより多く興味を持ったのではないだろうかと考えた。その判断として,写真が載っている書き込みに対して子どもたちがどれくらい返信をしているのかを調べた。返信が多いほど,子どもたちはその書き込みに興味を持っているということになる。集計したグラフを次のページに載せた(図2-13)。

図2-13. 写真の載っている書き込みに対する返信の割合
図2-13. 写真の載っている書き込みに対する返信の割合

 上の図から子どもたちは,写真の載せてある書き込みに対しての返信が全体に比べて多いことがわかる。子どもたちは視覚で入ってくるものに興味・関心をもつということが読み取れる。子どもたちは写真の中から自分で疑問をみつけることができたことがわかる。
 まだ,今年から電子掲示板が開始されたのではっきりと断定はできないが,子どもたちの電子掲示板上での会話を促進するための一つの方法として,子どもたちの書き込みの中に写真を載せることが挙げられる。これは来年以降への課題である。

<引用・参考文献>
(1) 全国発芽マップホームページ

  http://www.fes.miyazaki-u.ac.jp/HomePage/kyoudoupuro/hatuga13/hatuga13.html

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