E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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ア・ラ・カルト方式による学社協働「こめのくに」

8.資料
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8.1 シンポジウム発表記録

新潟大学教育実践総合センター開所記念シンポジウム
第2部 「21世紀の教材を拓く」
協働で構成するWeb教材『こめのくに』を事例に

日 時 平成13年12月2日
会 場 新潟大学教育人間科学部
参加者 教員,院生,学生,一般100名
司会 渡邉正親(新潟県立生涯学習推進センター所長)
指定討論 水越敏行(関西大学総合情報学部教授)
影戸 誠(名古屋市立若宮商業高校教諭)
話題提供 「こめのくにの概要」 内山 渉(新潟大学教育人間科学部技官)
「地域との協働」 木嶋達平(新井市立新井中央小学校教諭)
「海外校との協働」 篠田賢一(長岡市立表町小学校教諭)
「国内校との協働」 東海林新司(山形県山辺町立鳥海小学校教諭)
「こめのくにの可能性」 茂呂良彦(下越教育事務所情報教育主事)

話題提供

司会:
 私は生涯学習推進センターというところにいる渡邉と申します。発表者の中のタイトルのおしりに協働,協働,協働とあるのが,生涯学習と関わりがあるのかなと思っております。私は時間が正確にいきたいので,これからレジュメにあるとおり順番に,内山さん,木嶋さん,篠田さん,東海林さん,茂呂さんに発表していただきます。制限時間は1人10分ということで進めさせていただきます。それが終わりましたら,影戸先生,水越先生にそれぞれ発表いただいた事例のコメントをいただきたいと思っております。発表の時間を長くするために,私は今2分以内で話そうと思っております。厳密にピッピッピット鳴るようになっていますので,発表者の方よろしくお願いいたします。
 今日午前中のお話の中で皆さん気が付かれたと思うんですが,情報教育の研究会の発表会というと,メディアのことがたくさん話されるんですが,私が一番感心したのは,情けを報(し)るという,最初は生田先生から出たお話なんですけれども,そういう人の気持ちを伝えたり,人の気持ちをふんだり,それが情報教育なんじゃないかと最近言われるようになってきました。そのあたりが,これから新潟県内のベテランの人たちが発表しますので,どこが情けを,人の気持ちを伝えたり受けたりしているかというあたりに焦点をあてて聞いていただきたいと思います。それでは,トップバッターの内山さんお願いします。

「こめのくにの概要」  内山 渉

内山:
 失礼します。新潟大学の内山です。今日は厳しく時間制限されているので,3分クッキングみたいにやらなくてはいけないので,よろしくお願いします。
 最初に,「こめのくに」ってご存知の方いらっしゃいますか?ページを見たことのある人?ホームページのアドレスはそちらに刷り込んでありますので,明日以降ご覧になってください。
 「こめのくに」というのは,まず実物をご覧にいれないと話ができませんので,ちょっとご覧いただいています。実は,こういったホームページのことを言っているのです。いわゆるWeb教材です。このプロジェクトをなぜやっているのかというと,新指導要領とかですね,学校に今盛んに大学よりすごいネットワークがどんどん入っています。こんな時代になると,学習のスタイルがだいぶ変わってくるだろうと,同時にそういった速いネットワークを使ってですね,どんな教材が提示できるか,これからの教材は何なのだろうかということで,このプロジェクトはスタートしています。教材といってもわかりやすい事例でご紹介しませんと,教材を作るほうも見るほうもわかりにくいかと思いますので,例えば新潟県の場合,このプロジェクトですと,身近な暮らしということで,稲作と暮らしをやっています。新潟県ですと,地域性と専門性,歴史とか文化とか風土とか民俗とかとたくさんあるんですが,ほとんど稲作と関係している。使える教科は何かといいますと,総合学習をメインにして,社会科とか理科とか家庭科ですね,あと食とかもありますね,そういったところで使える教材にしようということです。誰を対象にしているのかといいますと,小,中学生とか,ぜひ先生方にも使っていただきたいと思います。
 第2部のテーマは「21世紀の教材を拓く」なので,これは本当に21世紀の教材として拓かれているかを検証しなければなりませんので,そのへんをお話したいと思います。先ほど,渡邉所長よりご紹介をいただいたように,協働がこの教材を作っています。どんな協働をやっているのかといいますと,役割分担とか専門性ということで,新潟県はいろんな機関があります。ちなみにサーバーは大学にはありません。新潟駅前にありまして,実は新潟駅前に直接いっているんじゃなくて,いったん東京にいって,東京から新潟にいって,そのデータが戻ってきています。次に何が出る予定かをお話しますと,このプロジェクトをやっていく中ではですね,学校はもちろんのこと,農協さんとか農家個人の方とか,土地改良区とか博物館,資料館,視聴覚ライブラリー,あとアドバイザーとして教育センターの方々が県内広く参加されております。新潟県,大変広いですので,全体でどうやって作業やっているのかといいますと,ネットワークをうまく使ってコラボレーションをやっていこうということです。
 この教材の特徴は「動的な教材」ということです。動的な教材とは,単純にWebの特徴でもあります。つまり,テキストとか写真,ビデオなどのマルチメディアの利用。それと,全体の再構成,再構築が簡単にできるよということです。これらが動的な教材としてのひとつの特徴だと思います。二番目として,例えば教材作成と実践テーマの併行ということで,教材のサイトがあって教材を作るのが当たり前なんですが,その他に各学校で例えば,米の食味検定をしてみようとか,現場で同時に実践しているんですよ。具体的にはプロジェクトのほうで,やれそうなテーマの具体案を用意しまして,各学校の実情に即して一つか二つ選んで,発展学習として実践していただいています。そして,その成果を教材を作ることにも利用しています。例えばこの辺のビデオとかは,私どもで探して公開していますが例えば明治,大正,昭和,平成の米作りを一覧表にしています。脱穀の方法,など,映像で見られるようになれます。ということで,学校でやっている実践テーマは教材を作っていることにも随時当てはめて使っていけるということです。そのための実践をしていただいているということもあります。待ち伏せ作戦でなく動的な教材として,メールマガジンなど配信していますので,読みたい方は無料なので,どうぞ,お申し込みください。つまり,プッシュとプルですね,お客さんを待っているのではなく積極的に情報を現場に送っています。
 これからの教材ということなんですが,情報の種類と提示,サイトの意味合いとしてこれはポータルサイトですね,これはすでに95年から,ユキダスというページを開設しております。これは昨年ワンシーズンで10万回ぐらい取り上げられておりまして,雪国のことならここにくればわかるよというように,米のことならこめのくににいけばわかるよということをめざしております。そして昨今いわれている,ブロードバンドで,文字よりも映像で,理解するほうが早くて理解しやすいだろうということです。後,インデックス型ですね,goo,yahoo,などの情報検索サイト,カテゴリー別に検索する方法と全文検索できる二つがありますが明確な目的があれば,このようなものを使っていくとよいと思われます。次に企画物ですね,一個一個の断片的な情報は見られるのですが,もっと全体的な視点で,情報が見たいといった場合に。たとえば,情報同士のつながりが見たい場合にこのようにまとめて提示しているところもあります,これらのような検索技術はこれからの,情報選択が必要な時代にスモールモデルとして情報教育には欠かせないと思われます。
 こめのくには,インターネットの教育利用の技法開発,マルチメディアを盛り込んだ,随時変形していくWeb教材であるということであります。もうひとつは,教育現場で,地域的な実践研究の実証をしています。教材を作ってお見せしているだけではなく,例えば,こちらで示した,テーマを実践していただいて,それを併行してやっております,地域性として,稲作をやっているところが多くありますので,これはできるということです。成果はこちらで,技法とか,教材を作る面でフィードバックしております。そして,こういった活動をささえている,バックボーンとして,協働というテーマでやっております。また,学校と社会,学校同士のつながりを変えて,バックボーンの協働が動いております。
 これで,今日お集まりの先生方で21世紀の教材を拓くということはご判断をゆだねるということで私の報告を終わらせていただきます。

司会:
 どうもありがとうございました。それでは次に「地域との協働」ということで新井中央小学校の木嶋先生お願いします。

「地域との協働」 木嶋 達平

木嶋:
 こんにちは。新井市新井中央小学校の木嶋達平と申します。よろしくお願いします。今日は実際に学校でどんなことをしているのかということを,具体的なデジカメ写真を通しながらお伝えしていきたいと思います。地域を土台としてということで,田んぼを中心に,その周りに人,情報,環境,体験を置いた図をかいてみました。今年はこのようでしたが,教材は入れ替わりが可能ですので中心は田んぼとは限りません。田んぼというのは,先ほどの内山先生のお話にもありましたが,文化などいろいろなものと結びついています。今回は,この中から環境という部分を抜き出して実践してみました。環境は地域にありますし,体験に結びついた活動,人も地域に結びついています。そういったものを,メディアや自分の足で集めてくるというスタイルをとりました。
 最初に春の段階に地域の田んぼにお邪魔させていただいて田植え体験をするところから始まります。ここから地域とのつながりが出てくるのですし,地域を中心とした体験活動,出会いということになります。その中で子どもたちは田んぼの周りの環境に目を向け始めました。とりあえず田んぼの周りの生き物調査を始めます。ところが,自分たちの田んぼには生き物がいなかったのです。田んぼに入る前に子どもたちは教師に「蛭に気をつけなさい」といわれて怖がっていたのですが,蛭一匹いませんでした。その後から,子どもたちは課題意識として,なぜ自分たちの田んぼには生き物がいないんだろうと疑問を持ち,追及が始まりました。そして,とりあえずもう少しガサガサやってみたら,生き物が出てきたんです。じゃ,もうちょっと広げて自分たちの校区の田んぼにはいるんだろうか,ということで,校区のことなら校区の人に聞くのが良いだろうと地域のおばあちゃんに子どもたちがインタビューに行きました。デジカメと大きなテープレコーダーを運んで聞きにいきました。そうすると新たな情報が手に入るわけです。実は昔は蛍がいたんだよとか,めだかがいたんだよとか情報を手に入れることができます。じゃあ,なぜ昔いたものがいないんだろうということで,ホームページや本,「たった一つの地球」ですかNHKの,それらを活用しながら,調べ学習が進んでいきます。
 皆さん,このほうき,何に使うか分かりますか?これ蛍を捕まえるときに使うほうきだそうです。昔はこうやって蛍を捕ったんだよ,この中央小学校の校区にも蛍がたくさんいたんだよっておじいちゃんが本当に得意げに話してくれます。こういった感じで地域の人たちの話を聞きにまわっていきます。
 そうしていくうちに,地域といっても広げてみたら新井市全体になるわけです。新井市全体で考えたらどうだろということで,市役所に聞いてみたり,昨年の六年生も同じようなことを調査しているんで聞いてみると,新井市の水原というところの田んぼにめだかが泳いでいるということが分かりました。じゃあ行ってみようということで,調査をしに行くわけです。これは地域に出かけたときの情報です。人,場所,どういうことが分かったかなどが書いてあります。
 いろいろな情報を子どもたちは拾ってきますし,教師だけでこれだけの情報を提供するのは不可能です。まして私は新井市の住人でもありませんし,そういったことは,地域の人に学ぶのが一番です。ただ,教師がその場に出て行かなければなりません。そこがポイントになってくると思います。
 教師が教室でずっと授業しているだけではこういう活動は成立しません。自分も苦労して,電話をかけてアポを取って,「子どもたちが何時に伺いますがよろしいですか」という,裏の活動をしなければなりません。子どもがいきなり行って,「すいません,めだかについて教えてください」というのは不審ですし,ありえません。ですからこういう活動をする場合には裏で膨大なサポートが必要になってくるわけです。たくさんの情報が集まってきますので,まとめていかないと思考が広がってわけがわからなくなってしまいます。そういう部分でもまた教師がサポートしていくわけです。
 水原の調査を出してみました。これは天水田といって一年中田んぼに水が張ってあります。十年間水を変えなければ,一人前だよと言っていましたが,用水がないんです。なので,雨水をどれだけ溜めておけるかが勝負になってきます。水が抜かれませんので,めだかが生きていくことができるんです。あと,用水では農薬は流れていってしまいますが,天水田は溜まってしまうので農薬を最小限に抑えてあり,非常に環境に気をつけないといけません。まちがえて,落ちた子がいたんですけど,ズブズブと底なし沼のように沈んでいくような場所です。最近レッドデータブックなんかに載ってるめだかですけど,うじゃうじゃいるんです。網ですくうと百匹ぐらい入ってくるような感じです。これも同じ地域なんです。ちょっと広げた同じ新井市なんです。
 そうしているうちに,専門家の人の協力が必要になってきます。私たちの校区に上越教育大学の濁川先生がいらっしゃったので連絡を取って,子どもたちの前でお話をしてください,とお願いしました。そうしましたら,昔は鯰を釣ったんだとか,生き物がいなくなってきている理由などの専門的な知識も与えてくださいました。
 こちらは,キャンプのときのものです。キャンプ地にわざと棚田の広がる安塚町を選びました。そこの先生にまたいろいろ教えていただきました。そこで休耕田に入ったんですけど,中央小学校とはぜんぜん比較にならない生物の多様性,それを支える環境というのを体験を通して,また人を通して学ぶことができました。これが休耕田です。入ると気持ち悪いです。足突っ込むと食われそうな感じがします。こういったことをしていきました。
 地域を土台としてやっていくと,地域の人に学ぶことができますし,それから,地域の環境を見直すこともできます。そして最初は地域,校区,もう少し広い上越エリア,それから全国へというように広がりをもてます。また,私は今までも地域にこだわって活動を進めてきたわけですけども,小学校段階では地域というのは子どもたちが活動しやすく,情報が集めやすい,そしてそれをかえすこともできて,フィールドとしては非常にいいのかなという気がしました。ちなみに,隣の豊原小学校と掲示板で交流もしています。
 地域を土台としてということで,私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

司会:
 ありがとうございました。時間が大幅に伸びておりますが,ここで最初の発表と二番目の発表のつながりを一言だけ述べたいと思います。子どもたちが調べ学習をしていく中で,昔のことはおばあちゃんに聞き,どうやって調べればいいのか,自分たちの特徴はどうかということはWeb上で調べます。そういったバックボーンを内山さんの大学のほうでやっているということです。今度は話を広げて,海外の話になります。「海外校との協働」ということで篠田さん,お願いします。

「海外校との協働」 篠田 賢一

篠田:
 長岡市立表町小学校の篠田といいます。21世紀の教育課題ということで,最初にキーワードを3つあげてみたいと思います。1つはgive and takeです。もう1つがcommunicationです。これは人と人との情報のやり取りだけではなくて,心のやり取りも含んでいます。もう1つがreality,現実味をいかに子どもたちに持たせるかという3つのキーワードを基に話を進めていきたいと思います。
 5年生の社会科というと米作りがあるわけですが,表町小は駅前にありまして近くに田んぼがありません。バスで出かけて,田植えをさせてもらって秋になると稲刈りをするという,その中間のまったく無い学校です。その中間部分をどうやって作るかということで取り組んだのが,こめのくにです。写真にありますが,縦8m,横3mの小さな花壇を田んぼにすることから始めました。普段田んぼを見ていない子どもたちですから,田んぼ作りというのは初めてですし,海外でも米を作っているということを知らないところからのスタートでした。
 海外校との協働というのは3つあります。海外の米作りを知ろう,これは世界100ヵ校くらいある日本人学校から3校を選んでアンケートしたものです。2番目がジャカルタ日本人学校との試食です。プラス,複数校,複数学年ということでいろいろな学校の協力を得ながら,5年生だけでなく,6年生も試食等に参加しました。3つ目がインターネットの検索による海外の食調べです。私自身ケニアのナイロビ日本人学校に3年ほどいましたので,つながりを持って,何かあるときにそこの先生方に協力していただいています。それに,次に発表があります鳥海小学校からいかれた,ジャカルタ日本人学校の先生,新潟県からいっている,ペルーにある日本人学校の先生にも協力していただきました。私が日本人学校にいたときも,鳥海小とのプロジェクトはありましたので,結局こういった人と人とのつながりでプロジェクトは進んでいるということです。
 そういったプロジェクトをするとき,日本人学校というのは身近な外国ということで,いろいろな依頼が来ます。その依頼で一番簡単なのは,メールでの依頼です。しかし,これはgive and takeのtakeばかりなんです。持っていくだけで,あなたは何を望んでいるんですかと聞いてくれる学校はありません。私が鳥海小とのつながりを持って今まで来ているというのは,メールでの打診に加えて国際電話で直接依頼があったからです。本当に交流したいのであるなら,コストを惜しまないというような情熱がないと本気が伝わってきません。その後,もし本当によければ校長の名前の入った文章を取り交わすというのも必要かなと思います。そして,アンケートをいただいたら,そのお礼をまた国際電話でやる,プラス,メールで返事を書くということも非常に基本的なことですが忘れがちです。また,いただいたアンケートをこのように報告していますということで,HTML化することによって,情報の共有ができます。そして,海外の米作りを知ろうということで始まりました。
 教材の価値ということについてお話します。やはりプロジェクトをやるには,お金がかかります。ですから,そのかかった分だけ,メリットがなくてはなりません。今まで私たちの学校では,5年生は田植えと稲刈りの中間がありませんでしたので,その点でメリットもありましたし,こめのくにによって海外とのつながりを持てるというメリットもあります。2番目に計画のゆとりですが,海外を相手にするということで向こうも忙しいわけですから,締め切りを1ヶ月にするというようにじっくりと取り組んでいくゆとりが必要だと思います。今インターネットが普及しており,ある程度の情報は検索で得られますが,現地の人が現地のいろんな手段を使って調べるというのは,+αの情報があるわけです。計画にゆとりがある中でアンケートをもらうというのは,教材の価値を高めるというのにつながると思います。
 二番目のジャカルタとの試食講義です。6月に6年生がジャカルタの子とお互いを紹介しあうという活動がありました。当校も日本米を送ろうかと思ったのですが,この辺が協働ということになりますが,鳥海小の方から米を送ってもらいました。10月の家庭科の「ごはんと味噌汁」では,6年生がジャカルタ米を使った調理実習をやりました。複数学年ということで,11月に5年生との試食検定です。子どもたちが作った小さな田んぼで収穫したお米やニホンバレ,魚沼産コシヒカリ,ジャカルタ米などを使った試食検定をしたわけです。5年生の食味検定はニホンバレを使ってきちんとした方法でやったわけですが,すでにやっていた新発田市の小学校からノウハウを得てやるということで,いきなり高い壁からではなく,非常にやりやすい環境にできたことも,協働のひとつではないかと思います。ごらんのように,保護者からも食味をしていただきました。
 3つ目のアフリカ南部の食調べは,ついこの前終わったばかりですが,メディアリテラシーを高めるためにやったというわけです。子どもたちもずいぶんインターネットの検索は心得ています。そこで,「アフリカの南部の食を1時間で調べなさい。」という課題を与えました。ただし条件があって,インターネットという情報は全部が正しいわけではありませんから,必ず複数のサイトで見てみようとやったわけです。
 最後,この3つのキーワードであります。give and take,協力というのは,自分もプロジェクトに参加すると相手に求めるものがはっきりと分かるわけです。だから今度自分が頼まれたときに,こういうことしてあげようかなという,心と心のつながりであると思います。で,communication,国際電話はお金がかかるからやめようではなく,生の声を伝えることで親近感をもてます。そして,reality,小学校ですので体験が必要ですし,五感を通したもの,それから,今このインターネット,ブロードバンド,同時テレビ回路もできますので,この3つのキーワードを教育課題という風に,私としては挙げました。以上で発表を終わります。

司会:
 はい,ありがとうございました。それでは次に,山形からおいでになっている東海林さんにお願いします。「国内校との協働」ということでお願いします。

「国内校との協働」 東海林 新司

東海林:
 山形の鳥海小から来た東海林と申します。よろしくお願いします。ビデオを先に見ていただきます。これは夏休みに子どもたちがヘリコプターに乗ったときの映像から作ったものです。

(ビデオ映像の解説)
・ 僕がヘリコプターに乗ったときは,風が強くて怖かったです。なんだかエレベーターに乗っているような気分でした。
・ この川は私たち大蕨の水源です。近くには牧場やゴルフ場があります。ヘリコプターに乗って下を見ると,田んぼがきれいに見えました。
・ ここは大蕨の棚田です。僕の家もこの辺にあります。お父さんとヘリコプターに乗りました。風が吹くと揺れて怖かったです。
・ ここは鳥海小学校です。中中学校と一緒の建物です。全校生徒は合わせて33人です。鳥海山で冬,スキーをします。学校の周りには家は1件もありません。中地区の戸数は約100戸です。山形市や朝日町に働きに行く人が多いですが,家では稲作や畑作をしています。

 大事な時間を3分ほど使ってしまいましたが,鳥海小学校の場所等がご理解いただけたと思います。山間僻地ですから,非常に子どもたちゆったりした気持ちで生活していて,自然豊かな中でいいんです。しかし,保育所から中学卒業まで12年間,学級集団というか学年の集団が同じなものですから,走れば誰が速い,勉強は誰が一番呑み込みが早い目と目で言葉が行き交っているような状況です。その中で社会的経験が不足しがち,集団が固定化してしまうというようなところから,ほかの学校,地域の中,外,学校の中,外といった人とのかかわりが重要なポイントになってきます。私の前任者も,鳥の調査で何校かと手紙のやり取りをしていたようですが,私が赴任したとき,ちょうど学校のほうでインターネットが使えるようになりましたので,それを生かしながらやってきました。
 これまでどんなことをやってきたかといいますと,先ほど篠田先生のお話にもあったように,そばウガリプロジェクトでナイロビ日本人学校と,それからコーンプロジェクト,ポテトロード,今年は豆で国内外の学校と交流しています。すべて食べ物です。食事にかかわるものを持ってくると子どもたちの興味が非常にわくということ,作物を育てることによって年間を見通した活動ができるということ,できたものを交流の手段という形で使えるということで進めてきたわけです。地域に積極的に出て行って調査をして,それを基に他校との交流を発展させようということで,キーワードは「広げよう知識と人の輪」です。今までは作物ができて,その感想を述べ合って終わりという風だったのですが,昨年はその中間部分を新潟大学の内山先生にご指導いただいて,DVDにすることができ,9月の段階でそのDVDを使ってお互いの交流校で見て,そこから次の段階の交流をすることができました。9,2,3月と3種類のDVDを作って今年のことを含めて,篠田先生方と共にいろいろなことをやってきたわけです。
 手段はいろいろとありまして,必ずしも電子メールばかりではなく手紙,電話,FAX を使い,子どもに関しては,「僕はFAX専門だよ」という子もいるように,使えるものすべて使って活動してきました。
 こめのくに係わり合いで,棚田について併設する中中学校といろいろ情報交換しました。資料の7ページをご覧ください。これは私の知り合いの中国に住んでいる人に手紙を送りまして,省ごとの主食を調査してもらいました。田んぼがある,米を食べる,小麦畑がある,小麦を食べるについて話を聞いてこれに書いてもらいました。他と書いてあるのがありますが,例えば西藏自治区ですが,この辺では肉といっていました。一概に中国は米を食べると全部ひっくるめてはいけない。その辺は国が広いのかなと思いました。その裏に鳥海小学校の皆さんへということで中国語で手紙がきております。うちの学校は今年「豆」で活動していますので,その情報も入れてもらいました。また,アジア地域の地図が書いてあるものもありますが,それはこめのくにの係わり合いで中中学校の子どもたちがインターネットや書物で調べたものです。
 最後に,あまり関係ないのですが,面白人形という芝居を中学校の総合的学習でやっているように多面的にも取り組んでいます。
 うちの学校には「さとやまだより」というものがあります。今年から自分で田んぼを作りまして,子どもたちも一緒にやったのですが,先生の田んぼだということで草取りをしたり,虫捕まえをしたり稲刈りをしたりといろいろやってきました。地域全部を挙げて,棚田の保全ということで努力しております。
 ささっとかいつまんで話をしたんですが,国内の学校と協働でいろいろなことをやる,私は平成9年に初めて浜松の学校と協働したわけです。その時,電話1本入れて向こうの先生にお邪魔しますということであらかた話は伝えておいたのですが,浜松まで出向きまして,一年間交流させてくださいとお願いしました。また篠田先生がアフリカから一時帰国された際,新潟の湯之谷村まで行き,今後どのように交流していくか話し合いました。
 私のキーワードは「情熱」ということで,先生がやってみたいというのを子どもは見ている,逆に子どもがやってみたいというものをかなえてあげるというのも教師の仕事かなと思います。そのためには,熱き心が必要であるということで私の話を終わらせたいと思います。

司会:
 はい,ありがとうございました。では,発表の最後になります。こめのくにの可能性ということで,茂呂さんお願いします。

「こめのくにの可能性」 茂呂 良彦

茂呂:
 では,お話させていただきます。下越教育事務所の茂呂と申します。私は今,学校現場には勤めていないので,実際の子どもたちの活動ではない面からお話したいと思います。
 一つ目は,こめのくにで学習が拓かれるというお話です。学習のスタートとしてのポータルサイトという意味でのこめのくにということです。スタートとはどういうイメージかというと,こんな感じで考えてみました。スタートとしてのポータルサイトということで考えていかなければいけないことは,三人の先生方のお話にあったように,インターンネットには長所と短所があるということです。長所としては,情報の獲得,これは学習観にもよると思いますけど,情報を収集して知識を増やすことが重要という学習観に基づけば,情報を得ることが大切だということになります。発信ということから考えると,知識を構造化するという学習観になると思います。三つ目はコミュニケーションを通じてお互いの考えを知り合い,自分の考えを作り上げていく,そういう意味での学習観,どれが大事とは言えないと思います。私は三つとも大事だと思っております。
 そして,二つ目は協働。三つ目は学習はゼロからは始まらないということです。三つ目の学習はゼロからは始まらないということからお話したいというのは,来年度から総合的な学習の時間が本格的に実施されます。小学校三年生から高校三年生まで行われるわけです。ともすれば子どもたちに学習を優先させて,その後にわかったことは何かと問う場合があるのですが,ゼロから学習は始まりません。誰かに教わらなければ,学習はスタートしませんよね。真似から始まるわけです。いいところを持っている他の学校の子どもたちがどういう活動をしているか,それを跡なぞりをしながら,学習を進めていくことが大事なのではないかと思っています。
 では二つ目の協働についてですが,先月の20日,西川町の小学校と県立の歴史博物館との協働という形で行われた出前授業についてお話したいと思います。ペーパークラフトで新田開発を学ぼうというタイトルで,西蒲原郡の水抜き耕地についての話です。江戸時代の後半から,今の西川町のあたりはとても水害に見舞われやすく,農民はとても苦しんでいたわけですね。農民の苦しみを庄屋が幕府に願い出たのですが,なかなか工事が許可されませんでした。やっと工事が許可されて,当時としては異例だったのですが庄屋のお金で工事をするということが行われました。それをペーパークラフトと実際見学をしながらということが新潟きょういく通信さんがお作りになったものがありますので,ちょっと見てもらいます。
 というわけなんですが,これも一つの協働の形だと考えています。決して私がやったわけではありません。こめのくにというプロジェクトを中核に行ったわけですね。もう一つは,学習の中間点でのポータルサイトという考え方,イメージとしてはこういう形です。それぞれの行っている学習が,こめのくにというサイトを中核としていったん収斂をしていき,さらに他の人たちと比べることによってさらに広がっていくという,そういう意味での広がり。ひとつは自分を知るためには,他と比べなくてはいけないということです。これは単に人と比べるということではなくて,自分の今いるポジションを知るためには,自分はこれからどういう風に歩んでいかなくてはいけないか,そして今までどういう風に歩んできて,これからどうしていくかということを知るためには他の人がどうなっているかという部分を見なければ,後は,自分がどれくらい成長してきたかをみるしかないわけです。
 二つ目は疑似体験。三つ目は学習ナビゲーションと学習共有という形のお話をしたいと思います。疑似体験についてなんですが,例えば四年生社会科の地域の人たちの工夫とか,五年生の理科の発芽と成長という単元,そして六年生の縄文時代や,国語のわらぐつの中の神様,五年生家庭科の主食,中学二年生の社会科,家庭科の食物領域などという形で疑似体験もあると思います。六年生国語のわらぐつの中の神様というものがあります。子どもたちはわらぐつを知っているのでしょうか。古い教科書を持ってきましたが,今まで六年生といっていましたが失礼,この話しは五年生の教科書にのっています。こんな文がありました。「お父さんが作るのを見るとたやすくできるようですが,自分でやってみるとなかなか思うように行きません。でも,みつさんは少しばかり格好が悪くても履く人が履きやすいように,暖かいように,少しでも長持ちするように心をこめてしっかりとわらを編んでいきました。」という部分なのですが,でも皆さん,皆さんはわらぐつを編んだことがおありでしょうか。私はありません。わらないをしている所をたった一回見たことがあるだけです。それを子どもたちに,心をこめてしっかりと編むというのが本当にわかるかどうか,疑似体験ならできると思います。大事なことは,バーチャルな体験で終わってしまうのではなくて,それをもう一度自分の所に持ってくるということが大切だと思います。三つ目の学習ナビゲーションと学習共有の話ですが,子どもたちと一緒に歩んでいって,その子どもたちと感動を共有しながら成長していくパートナーという存在というものもあるのではないかという,それが実は一緒に学んでいる友だちなのではないでしょうか。以上で私の話を終わりたいと思います。ありがとうございました。

指定討論

影戸 誠:
 どうも再びです。お疲れだと思うんでビシバシと一緒にやっていきたいと思います。
 本当にああいうシステムがあると学校の先生は使いたいなぁと言う。私は今,内山先生のコンセプトと全く同じものをやっているんです。で,提供するものをちょっとだけお見せします。例えばデータベースがいろんな形で提供されるわけですね。これは画像データベースなんですけども,いろんな海外日本人学校の教育素材をですね,日本から見れるようにしようという海外デンタルコンテンツというコンテンツなんです。これはナイロビの日本人学校のデータを日本からですね日本のサイトからとれるようにと。で,データベース型の提供はいろいろあるんですが,1つ私のほうから提案なんですが,私今ちょっと作ってみたんです。これは文部省のほうからでてる生徒がまとめれるようなツールはないだろうかというので,データベースなり「こめのくに」から得られた情報を生徒が自分の考えをまとめるためのツール。それもあわせて提供したいなぁと,してほしいなぁというのが1つの大きな流れです。
 さっき内山さんのお話の間にインターネットで「こめのくに」のページにアクセスしましてそれでですね,「貼る」というだけでここにプレゼンテーションファイルの方に貼られちゃうわけですね。こういう風に,1ページ目,2ページ目,あるいは3ページ目と。こういうことでプレゼンテーションファイルなんですが,小学校用のプレゼンテーションが簡単にこうできちゃうと,だから生徒がしゃべる時間をきちっと保障してくれる,そういうイーダム的なものを「こめのくに」はなってくれるんじゃないかなと大変期待しております。
 やっぱりこれだなと思いますね。地域の良さ,協働の良さってのは実体験だろうなと。メダカが100匹すくえるっていうその体験は本当にいろんなところで生きるのだろうなと思います。水越先生のお話の中にもあるんですが,映像教材ってのは限界があるんですね。小学校4年生のときにみなさん一緒に勉強しましたよ。川の上流っていう,滝が,川の流れが速くって。実際に行ってみると,滝の音はゴウゴウっとなるし,神秘で冷っとした感じがあるんですね。なんかすごい神秘的だと。ビデオで見ちゃうと,あぁそうかうんうんテストはできるよと。そうじゃなくて本当にこう実体験ってものだけが,本当に力になってくるんじゃないかなという感覚があります。それをうまく生かされて,その後ネットワークもうまく生かされていて大変感動しました。
 で,先程言ったこの日本人学校のホームページ,12月8日にできるんですけども,赤堀先生中心で文部省の海外協力課のプロジェクトでやってるんですが,篠田先生おっしゃったように,特にニューヨーク日本人学校なんか依頼ばっかりだというんですよね。もう依頼ばっかりで,本当に現地にとってお返事書くだけで疲れちゃうというニューヨークのがあるんですね。そのかわり,アルゼンチンとかブエノスアイレスなんかではリクエストが少なくて,重宝してるという話もあるんですが,とにかく日本人学校を今どんどんどんどんはねることも,つながってくるんじゃないかなと思います。
 やっぱり,ここで勉強さしてもらいましたDVDの活用ということできちっとやっていることの見える,そして次にやる先生,次に学ぼうとする生徒たちが到達のイメージができる。それと,乗り越えようという形がきちっきちっといく。これいいなぁと思いました。本当に。そうですよね。先生のところの生徒さんたちは本当に幸せじゃないかなと。
 で,最後に「こめのくに」の可能性ということで言われたのですが,本当に意外に感動を共有するというようなことが,意外になくなっちゃってる。なんかそういうところにもう一回焦点をあてたりとか,生徒今一番感動してるこの言葉見て思ったのですが,「運は川の中を流れてくる,長い間水に浸かっていたから,それをずっとあっためる辛抱強さが必要だろう。この2つによって運というものが,自分の中で花開くんだよ。」っていう言葉が,これはホンダの社長の言葉なんですけど,そういったことが,この「こめのくに」の可能性の中で実際に場面としてあればですね,先生も生徒も本当に生きていける。僕はそういうのを生きる力と思うんですよ。やったらできたと。あれができたんだからやろう。くじけそうになったら,誰かがサポートしてくれる。ネットワークからでも直接でも,そういうことができる力なんじゃないかなと思います。
 本当にいろいろ勉強させていただきました。ありがとうございました。終わります。

司会:
 はい。突然のお話でもこれだけまとめられて発表されるというすごい情報の加工といいますか,発信力じゃないかと思いますが。それでは,水越先生お願いします。

水越 敏行:
 私,ご発表を聴いてですね,私自身は大変感無量のものがあります。なぜかっていうと,実はNHKで今「おこめ」っていう番組を作ってるんですね。その企画を去年の決めたのが7月31日東京なんです。急に決めたんじゃないんです。もうずっと討議してて,総合的な学習を支えるのが,「たった一つの地球」とか「地球のための大百科」とかやってるんだけど,もっと社会科とか理科の教科に密着したもので,かつ総合等でできるものはないかっていうのを討議して,結局「今日もまたいいのができなかった。」ってんで私月に3回ぐらい東京に通って最終の新幹線で寂しく大阪へ帰るというのをやっとんたんですね。とうとうもう7月の最後になって放送部長が「もう今日決めなきゃだめですよ。」ということを言われて,でやっと「米にしましょう。」と,「そのお米ってのは社会科の番組じゃなかったか。」ったら「いやもう社会科もくそもないです。これはこれでいきましょう。」ということになってやったと。で,今年の4月から始めたんです。したがって,7月に決めてますから,田植えの時期とか農薬を撒く時期なんてのは,全然撮影できなかったわけです。おわかりになると思うんですね。だから,前にNHKがもっておるあれで,全部作っていたんですけども,そんな形で「たった一つの地球」の他にも「おこめ」ってのを小学校5か6年生を対象に今流しています。でただその番組と15分番組20本,で15分番組20本の他に動画クリップをおいて,いつでも子ども達が必要なやつをめくれるように,最後に学校間の交流をやれるようにという,いわば番組とクリップと交流という3段階で行っていく番組を走らしたわけですね。
 それに非常に自分なりに苦労しておりましたので,それが新潟でね,こういう形で,さすがに日本の米どころですからこんな形でやられているっていうのは,私にとっては全然知らなかったんですね。で,ものすごくある意味では刺激を受けたし,と同時に私自身もこれからもっと学ばなきゃいけなかったと思っております。ただ,これをやる時にですね,私今お聴きしているとやっぱり誰先生だかおっしゃったように,バスで行って田植えはする,バスで行っては稲刈りはする,真ん中が抜けている。こういうことをおっしゃいましたが,やっぱりその辺の危険性は随分あるんですね。ですから,むしろそのプロセスがとっても大事だということと,それから東京の子どもと七尾,石川県の七尾と交流するときはやっぱり農薬の問題が大論争になるわけです。「農薬なんかいらん」というし,片方は「農薬なんかなかったら全然兼業農家は成り立たない」というふうに言っていわば大口論になるわけですね。
 そんなようなことをやっているわけですが,ちょっと急いでやりますので,これは富山の小学校,ここの隣の県なんですが,この間発表会がありまして,このお米の研究発表をやっている場面ですが,ちょっと関係のあるところだけ2つ3つ画像を見てもらいますが,新潟のものと比べていただきたいと思うんですね。これまぁ発表しておりますけれども,「お米につく害虫のようなものをどういうふうにするか」ってなことをここで発表しているわけなんですけれども,こういう世界のおいしい米の食文化なんかを比べてやってますが,こういう調べ学習の発表の仕方もいろいろありますが,ここの学校の特徴はですね,実物を使っているというところが大事なところでありまして,例えば"農薬をまいたコシヒカリ","農薬をまかないササニシキ"というような形でですね,米の実物の展示をやってるんですね。
 言いたいのは,交流学習のときはテーマがしっかりしてないと交流はできない。だからテーマなしにただ単に話し合いましょうでは2回くらい続いてアウトになってしまう。だからやっぱり交流するときにはテーマを絞って,で圧倒的に都会の子どもは不利なんですね,そうなってくると。テーマがないわけですから,農業の。例えば新潟の子どもとやったりする時。そうすると,東京や京都の子どもはマーケットへ行って,いったいどれくらいのお米が,例えば魚沼コシヒカリってのが5kgなんぼと,そういうのはでるんですが,その魚沼コシヒカリが5kgなんぼというのは出るんだけどもその後,どういうのがでてくるのか。というとですが,魚沼コシヒカリがなんぼいくらということよりも,農薬が使ってあるかどうかというような掲示が全くそこにはされてないと。農薬があるのかどうか,てなことの掲示が全くないというようなことになりますと,結局,大都会の奥様方はお買いになるときに,何をメインにして買われるかっていうと,結局それはブランド米かどうか,ということをあれして買っているようだけだと。まあこういうふうにして,テレビ会員をやっているんですけれども,テーマをうんと絞り込んでやるとですね,こういうようなかなりゆとりをもった交流ができるのではないかというふうに,私は思います。
 それからもう1つは,こんな発表をどんどんやってますけども,できればこんなふうな表に書くということとか,それからこの人はデジカメで子どもたちのあれを写しておられますけども,ここの小学校は随分あれに書くのが大事にしておられるように思いますが,それと他にですね,やっぱり子どもたちは1人1人みんな共通に調べられることと,それから自分のこだわり学習ってのがありますから,できれば共通にできるものとこだわり。これなんか見てください。左側は世界のお米,右側は日本のお米。これは現物を並べてます。こういうふうに。世界のお米と日本のお米,両方現物を並べてそれを比べてそしてどうだ,というような本当にそれで料理がどんなものが考えれるか,てなことをやっておりますが,こういうような発表の仕方やまとめ方もそれは大変大事かと。発表のポイントなんてのも,実に詳しく書いてありますから,こういうことを1つの学校の習慣にしておいて,「こめのくに」なんかを使ってやっていくことが,大事なんじゃないかというふうに私は思ってお聴きしました。
 これは当時の発表会の模様ですけれどもできれば,こういうふうにですね,お米のカレンダーなんかも4月,5月,6月,こんな風にやって,7月,8月,9月,10月どんなことやったか,これが全部,どこにツイスイをやってどこに草刈りをしてってのが全部書き上げてある。このようなことを,具体的に体験して,それを基にしてまた友達の学校と交流する。できれば近い学校とやった方がいいってのが,僕の意見です。遠い学校と交流することもいい。海外の日本人学校大いに結構。だけれども近いところとやれば,オンラインでやってるだけじゃなくて,ダイレクトにエクスチェンジができる。直接この学校へ行って交流ができる。だから遠いところだと結局web上の交流だけですんでしまう。そんなことを考えると,別に新潟同士だとか,どこだからっていうことではなくて,そういうふうな直接の交流がしていけるような,そういうあれをしていかれたらどうかというのが,私の意見です。
 いずれにしましても,非常に私今日は,お米って言うことを,ここでこんなことをやっていることを,全く僕知らなかったです。私どもが今まで1年間やってきたデータなり資料を今まとめて本に出すことにしていますが,ここの資料なんかをまた勉強してもらって,さしてもらって,来年度の「おこめ」って番組は来年も続きますので,是非ともそういうときに,乗り入れをさしていただくようなことができればありがたいなというふうに思っています。ありがとうございました。

司会:
 ありがとうございました。ただ機械で伝え合うということよりも,実物の体験や,あるいはそれを子どもたちに肌で感じさせるっていうこと。これが昔から私も水越先生の話を何度かはお聴きしたんですけれども,私は実はアナログ時代の人間です。ビデオの画像,画面はどうやって構成したらいいだろうかとか,こういうことを水越先生の前で言うと恥ずかしい話なんですが。でも最近はカメラが便利になればなるほど,カメラで伝えることがものすごく下手になってると思います。画面をどういうふうに切ってやったら。
 今日のお話の中にも4コマ漫画っていう話がでてきましたけれども,4コマ漫画で田植えの様子だったり,あるいは桶屋さんの職人さんの桶を作っている様子を伝えるのに,どうすればよいだろうか。大変難しい課題だと思います。最近ちょっと気がついたのですけれども,漫画は日本の平安時代からあるっていうこと,あるいはもっと昔からあるということ。みなさん鳥獣戯画だとか,何とか絵物語とかってのよくご覧になるんじゃないかと思うんですが,あの中には本当に言葉を,言葉で書いても読めない人たちに伝えるわけですから,ものすごいインパクトがあります。あの鳥獣戯画が蛙やウサギや猿がいるんですけれども,私が一番感心したのは,あのかかれている動物の目線です。目は口ほどにものをいいとかいろいろなことをいうんですけども,ものすごいインパクトがあります。是非ご覧になってください。今現在の漫画も目線がものすごく,描く人はたぶん注意して描いていると思います。で,そういうところにいろんな技術や情報があるんですが,今まであったこの「こめのくに」プロジェクトは要するに,機械でやれるところは機械で便利な所をうんと使っていこう。それにプラス人間がどうしなきゃならないのか,人間がどう繋がらなきゃならないのか,ということを,…あっ,これは余計なことなのでいいんですけれども,これ私の勝手なメモなんです。こういうふうに勝手にしちゃうんです。一番最初のは大変失礼なんですが,水越先生の「適切なメディアの選択と問題解決」,あっ,これ後藤さんのでした。違いました。1番上が水越先生からのキーワード,「コミュニケーション能力,含みあるコミュニケーション能力」,書ききれなかったんですが,最後は山形県からきておられる,東海林さんの「情熱,自分から出かける熱き心,これが教師になきゃダメなんだ」。それぞれが,このキーワードが言ってる本人も分からないぐらいの,私の勝手なメモなんですけれども。ということと,実はこれではなくて最後に,時間がきたようなんですが,1つ見ていただきたいものがあるんですが,時間が今2分ほど過ぎてますが,みなさんに1つだけ見てもらいたいものがあったんです。
 愛知県の小牧市という小牧中学校というところがあります。Yahooかgooで「小牧中学校」と検索するとすぐにでてきます。そこのホ−ムページには,あっここにありますね。その中で「先生の部屋」とかってのがあるんですが,先生が中で子どもたちにできることをいろいろ書いてるんです。理科の先生が理科の実験,あたりまえのことなんですよね。で,ある先生が,心配事だとか失恋の相談だとか,先生ができることが書いてあるんです。それから「地域の人の部屋」では,地域の人がやれることが書いてあるんです。私はこういう事を教えられますよ,こういう相談にのりますよ,ていうのがあるんです。それから「注文部屋」っていうのがここにありまして,「注文部屋」っていうのは,地域のお祭りをやるとか,ドブ掃除をやるとかいうのに中学生に土日にきてくれないかって注文を出すわけです。で,子どもたちが手を挙げてそこに参加すると。で,その終わった結果が地域の人がまたweb上にのせたり,あるいは子どもたちの感想がそこにのっかると。というこれ大変なホームページなんですが,本当に地域の人と一緒になってやる,いわゆる協働というんでしょうかね。そういう意味で動いているホームページです。是非時間があったらこういう協働もあるんだというのを見ていただければと思います。
 5分ほど超過してしまいましたが,最後にまとめにならないまとめになって申し訳ありません。以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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8.2 企画特集にかかわる主な協力機関・協力者一覧

 JA新潟経済連,JA全農にいがた米穀部長岡精米工場,JA鳥屋野農協,JA越後吉田,JA全農しが(滋賀県),JAおうみ冨士(滋賀県),四国航空,西川町病害虫防除協議会,亀田町郷土資料館,亀田町公民館,亀田郷土地改良区,新潟県三市南蒲地域視聴覚教育協議会,魚沼農業振興協議会魚沼米振興部会,植物防疫魚沼地域協議会,魚沼米改良協会,北・南・中魚沼農業改良普及センター,新潟県魚沼農政事務所,新潟県立歴史博物館,新潟県立生涯学習推進センタ,[番場清作氏ほか新潟県新発田市の農家のみなさん,野嶋義騎氏,野沢恒夫氏,高杉和憲氏,近藤正毅氏,新目 巌氏,小林乃里氏,川村優子氏ほか新潟県西蒲原郡西川町の農家のみなさん,吉川近志氏,mosmos氏,インターネットの本屋さん「まぐまぐ」,ネクストインターネット,日本電子計算株式会社新潟支店,新潟大学学生,大学院生のみなさん

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