E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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特別支援教育ネットワーク・センターの実践研究

2. 特別支援教育ネットワーク・センターについて
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2.1 ハードウェア,ソフトウェア,ネットワークを含む利用環境

 本センターはインターネット上にホームページを開設した(http://www.apricoweb.ne.jp/senc2001/)。
 教員,保護者等(相談者)は,インターネットに接続し,本センターのホームページを通じて対象の子どもの障害の状態,利用したい情報技術等を記載し,相談を申し込むという手順となっている。したがって,相談者は,インターネットへの接続,Webブラウザの動作環境が整っていれば,本センターを利用できる。

図1.本センターの利用環境
図1.本センターの利用環境
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2.2 インターネットを利用した教育実践活動の概要とスケジュール

 本実践研究では,特別な教育的支援を必要とする子どもたち,その援助者である教員や保護者等を対象に,情報技術活用の支援窓口となる本センターのホームページを開設し,以下のa.〜c.を実施した。
a.特別支援教育における情報技術の情報提供
  本情報提供は,「リンク集」「相談事例」から構成した。

  • 「リンク集」
    支援機器(ハード・ソフト),障害児向け学習用ソフトウェア,情報技術活用実践事例等のリンク集を構築した。
  • 「相談事例」
    平成12年度の相談及び本実践研究の相談の中で,事例(質問,対応,結果等)を公開した。

b.特別支援教育における情報技術活用の支援
  本支援は,「電子メール等を利用した間接的な支援」,「ハード・ソフトの貸出」,「訪問等による直接的な支援」から構成した。なお,平成12年度と同様,1)〜6)の手順で実施した。

1)教員,保護者等(相談者)は,本センターのホームページを通じて対象の子どもの障害状態,利用したい情報技術等を記載し,相談を申し込む。
2)その相談に対して,情報技術の利用に経験や知識のある教員などの複数の支援スタッフがメーリングリスト(平成12年度に開設した[senc-ML]メーリングリストを継続使用)により協議し,具体的なハード・ソフトを含めた支援機器の紹介,その利用方法,利用の事例,地域リソース等の情報を相談者に提供する。
3)相談者が支援機器を試用することが困難な場合は,管理センター(徳島県立ひのみね養護学校)より,適切な支援機器を貸与する。
4)相談者がハード・ソフト等のセットップや詳しい利用方法の援助が必要なときには,可能な範囲で支援スタッフが相談者を訪問して支援する。
5)情報技術の使い方や有効性が確認された時点(貸与期間は1ヶ月)で,ハード・ソフト等の購入等に関する情報を提供する。
6)ハード・ソフト等の購入後も必要に応じて継続して支援する。

c.本センターと盲・聾・養護学校,都道府県の特殊教育センター・教育委員会,各研究会等との連携
  本実践研究の中で,他機関と支援に関して情報交換,相互協力等の連携について検討した。
  全体のスケジュール(実績)を,表1に記す。また,本センターのホームページの構成と各画面を表2及び図2〜9に記す。

表1.全体スケジュール(実績)
H13年           H14年
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
▼7/20 本センター用ホームページ,本プロジェクト実践状況用ホームページの公開

▼9/7 リンク集の公開
▼9/28 相談事例2件公開
▼11/16 相談事例2件公開
▼12/1 相談事例2件公開

情報技術活用の支援(H13年4月より継続) 

・電子メール等を利用した間接的な支援 :92件
・ハード・ソフトの貸出             :48件/86ハード・ソフト
・訪問支援                    :1件

他機関との連携検討
表2.本センターのホームページの構成
 
タイトル
内 容
トップページ/相談の申し込み 相談フォームの必要事項を記入して,相談を申し込みます。

相談に対する回答の流れ

相談メールの送信から回答のフィードバック迄の流れを説明しています。
貸出支援機器一覧 貸出機器(ハード・ソフト),手順,期間等について説明しています。
相談事例 これまでの相談事例6件を公開しています。

あなたの声 本センターに対する要望等を受け付けています。

本センター概要

本センター実践研究の詳細,支援スタッフ等について説明しています。

便利なリンク集

特別支援教育における情報技術に関する情報を紹介しています。
パソコン活用事例 特殊学級,養護学校における事例,リンクを紹介しています。
 
図2.トップページ/相談の申し込み
図2.トップページ/相談の申し込み
図3.相談に対する回答の流れ
図3.相談に対する回答の流れ
図4.貸出支援機器一覧
図4.貸出支援機器一覧
図5.相談事例
図5.相談事例
図6.あなたの声
図6.あなたの声
図7.本センター概要
図7.本センター概要
図8.便利なリンク集
図8.便利なリンク集
図9.パソコン活用事例
図9.パソコン活用事例
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2.3 教育的または技術的先進性から見た評価指標

 教育相談というキーワードでは,以前よりインターネット上で相談活動を行っている機関がいくつか見られる。しかしそれらはカウンセリングを中心とした教育相談をインターネット上に持ち込んだものであり,電子メールを利用するゆえに,文字によるコミュニケーションが持つ問題点(言外の気持ちを汲み取ることができない,相手の表情が読めない等)が言われている。しかし,本センターが行っている特別支援教育における情報技術の活用に関する相談においては,上記相談と比較して対象者が持つ教育ニーズは明確であり,どんな支援機器が適してるのか,どんな利用方法があるのか,支援機器が高価であるため購入前に試用したいといった内容が中心である。
  このようなインターネット上のセンターを他に概観すると,「こころWeb(http://www.kokoroweb.org/)」が行っている電子福祉機器相談センターが挙げられる。しかし,電子福祉機器相談センターでは電子福祉機器に関する相談センターであるのに対して,本センターは特別支援教育における情報技術の活用に関する相談センターであり,教育の分野に対象を求めている。また,相談だけではなく,支援機器の貸出,可能な範囲での訪問支援もサポートしている。支援スタッフは教育関係者が多く,より教育に密着した相談支援を可能としている。単に支援機器利用の相談にとどまらず,機器を使ってどのような内容を取り上げるのか,その教育の内容についても支援を行っている。そのためは支援機器に関するノウハウだけではなく,対象者(児)の発達段階や障害の状況などについての知識が要求され,依頼内容の言外に含まれている必要な事項について推測する力も求められている。
  相談活動の場をインターネット上に求めたことで,相談の依頼は地理的には広範囲,相談内容も多岐にわたることとなった。そのため支援スタッフについても,国内の広い範囲に必要となり,幅広い分野の支援スタッフが要求される状況にある。しかし,相談者と同様に,支援スタッフについてもインターネットを使うことによって,広範囲から集めることができた。これだけの規模の支援スタッフを地域型の相談センターで持つことは難しく,ノウハウの集積という点から考えると,インターネットがもたらす恩恵は大きいものと考えることができよう。
  上記を踏まえ,本実践研究の先進性として,次の点をあげることができる。

  • インターネットを利用し,全国各地の支援スタッフが,地域を限定しない広範囲からの相談に対して支援を実施
  • 「電子メール等を利用した間接的な支援」,「支援機器の貸出」,「訪問等による直接的な支援」をサポート
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