E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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特別支援教育ネットワーク・センターの実践研究

3. 研究の経過
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3.1 教育実践活動の実施体制
 平成13年7月以降,以下の実施体制(表3)を確立し,本実践研究を推進した。また,特別支援教育委員会を年4回開催し,本実践研究の検討を行った。
表3.実施体制

役割

所属機関・氏名

管理・運営・情報提供・支援等

富士通株式会社

プロジェクト責任者:e-Japanソリューション事業部担当部長  山中計一

プロジェクトリーダ:教育文化ソリューション部    伊藤智之

プロジェクト担当者:教育文化ソリューション部  長谷川すみれ

委員(支援スタッフも兼ねる)

 

明治学院大学文学部教授               金子 健

群馬県総合教育センター主任指導主事         松本 廣

東京都立綾瀬ろう学校教諭              伊藤 守

大東文化大学文学部教育学科講師          苅宿俊文

東京都立江戸川養護学校校長            三室秀雄

神奈川県立鶴見養護学校教頭            田村順一

東京都立光明養護学校教諭             金森克浩

徳島県立ひのみね養護学校教諭            島 治伸

佐賀県教育センター指導主事            小野龍智

国立特殊教育総合研究所教育工学研究室主任研究官  大杉成喜

支援スタッフ

全国各地域10名

ML/HP作成・管理

富士通アプリコ株式会社

プロジェクト責任者:Webソリューション部部長    太田繁喜

プロジェクトリーダ:Webソリューション部課長   一ノ瀬正義

プロジェクト担当者:Webソリューション部      阿形知英

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3.2 要件調査

(1)特別支援教育の情報機器および情報技術に関する要件
  平成12年度「特殊教育支援機器活用相談ネットワーク・センターの実践研究」の実績, 及び,本実践研究を通して,視覚障害のある子どもの場合,画面の情報を音声,点字で出力するハードウェア・ソフトウェア,画面を拡大するソフトウェアが必要となった。肢体不自由のある子どもの場合,キーボードやマウスの代替入力装置,多様な操作スイッチとそれに対応したインターフェースおよびソフトウェアが必要となった。知的障害のある子どもの場合,タッチスクリーン,基礎的な概念やかず・ことばを学習するソフトウェアが必要となった。また,肢体不自由のある子どもや知的障害のある子どものコミュニケーションでは,VOCA(Voice Output Communication Aid)のニーズが高く,障害および利用目的に応じたVOCAが必要となった。

(2)特別支援教育を支援するための仕組み作りに関する要件
  特別支援教育における情報技術の活用を支援するには,次の3課題の解決が要件となる。

  • 障害のある子どもたちが利用可能な情報技術に関する情報が不十分である。
  • 実際に試用してみないと障害のある子どもたちに有効な情報技術であるかどうかの判断が困難である。
  • 情報技術の利用には専門的な知識を必要とするため,支援者による直接サポートが必要である。

 そこで,本実践研究では,上記の3課題それぞれに対して,次の3支援で対応することが有効な仕組みであると判断し,実施した。

  • 相談内容について,支援スタッフが協議して対応する。(電子メール等を利用した間接的な支援)
  • 有効と判断できる支援機器を一定期間貸し出し,実際に試用してもらう(ハード・ソフトの貸出支援)。
  • 必要があれば,相談者を訪問し支援する(訪問等による直接的な支援)。

(3)特別支援教育のための「情報機器活用相談センター」のホームページに関する要件
  「情報機器活用相談センター」となる本センターのホームページに関しては,利用者を配慮し,情報技術活用に関する相談の申し込み,情報入手等のニーズに応じることが要件となる。
  本実践研究では,本センターのトップページを相談の申し込みとし,相談内容に関する必要事項を記入し,「送信」ボタンをクリックすると,支援スタッフのメーリングリストに相談が自動転送されるようにした。さらに,貸出支援機器については,貸出状況(貸出中・貸出可)をホームページ上で提示した。情報技術活用に関する情報については,過去の相談事例を公開し,また,情報技術活用に関するリンク集を構築することによって,利用者に有効な情報を提示した。

(4)支援者,協力者の役割と要件
  本実践研究における支援スタッフ(支援者・協力者)については,特別支援教育に携わり,且つ,特別支援教育における情報技術活用について実践を含めた知識・技術を所有していることが要件となる。
  本センター開設以降,委員の方を中心に要件を満たす支援スタッフを選出し,支援協力を依頼した。合計22名の支援スタッフの役割を以下に記す。

  • 本センターのホームページを通じて寄せられた相談に対して,メーリングリストにより協議する。その後,具体的な支援機器,その利用方法,利用の事例,地域リソース等の情報を相談者に電子メール等により提供する。
  • 本センターが所有している支援機器を,相談者へ貸し出す手配を行う。また,支援機器の管理を行う。
  • 可能な範囲で相談者を訪問して支援する。
  • 支援機器の購入後も必要に応じて継続して支援する。
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3.3 教育実践活動の対外的な公開,普及方法

 本センターのホームページを公開した平成13年7月20日(金)以降,表4に記す告知活動(本センターのパンフレットの配布,パネル展示,貸出支援機器の紹介等)を行った。また,以下の会報,協会誌においても本センターの情報を掲載し,普及を図った。

  • 日本リハビリテーション工学協会誌 Vol.16 No.4
  • 全国肢体不自由養護学校PTA連合会会報 第63号
表4.主な告知活動一覧

No

年/月/日

告 知 先

1

H13/7/29

関東甲越肢体不自由養護学校PTA連合会研究大会(山梨)

2

H13/8/2

日本肢体不自由教育研究大会(横浜)

3

H13/8/23

全国肢体不自由養護学校PTA連合会研究大会(滋賀)

4

H13/8/25-27

第16回リハ工学カンファレンス(岡山)

5

H13/9/21-23

第39回日本特殊教育学会(香川)

6

H13/10/2-6

CeatecJapan2001(千葉・幕張)

7

H13/10/4-6

全日本特殊教育研究連盟全国大会(北海道)

8

H13/10/10-11

全国盲学校校長会(山形)

9

H13/11/7-9

全国肢体不自由教育研究協議会(山形)

10

H13/11/7-9

全国病弱虚弱教育研究連盟研究協議会(兵庫)

11

H13/11/8-9

全国聾学校職業教育研究会 印刷・デザイン部会(神奈川)

12

H13/11/23-25

ATACカンファレンス2001(京都)

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3.4 情報提供

 本実践研究における情報技術活用に関する情報提供は,「リンク集」,「相談事例」から構成した。「リンク集」については,本センターの相談者のニーズを考慮し,支援機器(ハード・ソフト),障害児向け学習用ソフトウェア,情報技術活用実践事例等,特別支援教育における情報技術活用に役立つ内容を中心に構築した。リンク集の概要を表5に記す。
 「相談事例」は,平成12年度の相談事例2件,平成13年度の相談事例4件を公開した。なお,平成13年度の相談事例4件ついては,「3.6.1 相談支援事例」に詳細を記す。

表5.リンク集の概要

No

タイトル

概  要

リンク数

1

イベント情報

・情報技術活用関連を中心とした特別支援教育の研究会,セミナー等


(随時更新)

2

研究・実践

・センター・大学・養護学校の研究,実践等

13

・研究会・フォーラム・ボランティア

11

・アクセシビリティ,ユニバーサルデザイン等

5

3

機器・ソフト

・情報機器,支援機器,ソフト情報

23

・ダウンロード集(機器・ソフト・教材・素材)

12

・機器の見学・体験施設

5

4

個人・団体

・教育関係者・保護者個人のページ(活用事例,教材,教具,障害について等)

28

・国・政府・法人機関

15

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3.5 支援

 本実践研究における情報技術活用に関する支援実績(平成13年4月から平成14年1月末まで)を表6〜9に記す。また,支援スタッフ間のメーリングリストでは,相談も含めて639メールの情報交換が行われた。なお,本センターは平成13年7月20日(金)にホームページを公開しているが,平成12年度「特殊教育支援機器活用相談ネットワーク・センターの実践研究」から継続している。

表6.支援内訳

電子メール等を利用した間接的な支援

92件
(9.2件/月)

ハード・ソフトの貸出

48件
86ハード・ソフト

訪問等による直接的な支援

1件

※平成12年度「特殊教育支援機器活用相談ネットワーク・センターの実践研究(平成12年9月〜平成13年3月末)」での支援実績:41件(5.9件/月)

 

表7.相談者の内訳

教員(養護学校・特殊学級)

53

保護者

25

その他

14

 

表8.相談内容の内訳

視覚障害の出力装置関連

1

ソフト関連

27

操作スイッチ関連

9

入力装置関連

32

コミュニケーションエイド関連

27

その他

15

※1相談につき複数内容有り

 

表9.ハード・ソフトの貸出回数

マクトスModelDX

5回

キッズメール(仮称)

5回

小型ひらがなキーボード(50音配列)

4回

50音配列大型キーボード

4回

らくらくマウスII(ジョイスティック/USB)

4回

メッセージメイトMM40-150

4回

キッズタッチシリーズ(体験版)

4回

ことばの玉手箱(体験版)

4回

らくらくえにっき(体験版)

4回

なんでもスイッチ・ボックス

3回

タッチパネル(15inch)

3回

ジェリービーンスイッチ

3回

ユニバーサルアーム

3回

トーキングエイド

3回

チャットボックス

3回

ステップバイステップwithレベル

3回

ワンステップコミュニケーター

3回

Dynamo

3回

ぽんぽんランドmini

3回

らくらくマウスII(8点/USB)

2回

Wing-USB

2回

Pスイッチ

2回

スイッチラッチアンドタイマー

2回

スイッチインターフェース(PC-AT)

1回

ペニー&ギルズジョイスティック(MAC)

1回

ペニー&ギルズトラックボール (MAC)

1回

ペニー&ギルズトラックボール(PC-AT)

1回

ディスカバーキネックス for Windows98版

1回

トーキングエイドオートスキャン

1回

テック/トーク

1回

テック/スピーク

1回

iMac

1回

iMate(USB・ADB変換コネクター)

1回

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3.6 支援の事例

 本実践研究では,特別な教育的支援を必要とする子どもたち(特殊教育諸学校や特殊学級の児童生徒等),その援助者である教員や保護者を対象に,インターネットを利用して情報技術活用の支援を行った。以降,相談支援事例,訪問支援事例,機器貸出支援事例を記す。

3.6.1 相談支援事例

 以下に相談支援事例を4件記す。

事例1. タッチパネル,入力スイッチ,キッズタッチシリーズに関する相談

相談者

幼児療育園職員

対象児童生徒

手指にも障害が有り,マウスやキーボードの操作が困難

相談内容

操作の関連性も把握できないのでタッチパネルや他の入力スイッチなど教えてください。ソフトは,富士通のキッズタッチシリーズから「いろんなせんかけるかな」や「ぬりえできるかな」など検討してみたいと考えているのですが。

本センターの対応

1.キッズタッチシリーズのタッチパネル,外部入力スイッチでの利用について,以下の回答をした。

  • 「ぬりえできるかな」
      画面に触ることができれば,楽しめると思います。色の選択は困難かもしれませんが,画面のどこかを触れば,音が鳴って画面の色が変わります。指で画面をなぞることができれば,音が鳴り,指の軌跡の線が描けます。 垂直なCRTの画面を,指で触る,なぞるという操作は問題ありませんか?
  • 「いろんなせんかけるかな?」
      このソフトは「目と手の協応」を目的としているので,画面をなぞる動作が必須です。但し,次のようなこともできます。 外部入力スイッチを押す→リンゴが自動的にカバの口まで移動する→カバがリンゴを食べ,「あ〜,おいしかった」という。
  • 「キッズタッチシリーズ」を外部入力スイッチと組み合わせて使用するのであれば,導入的には「かくれるのなーんだ」が適当です。接続は,パソコン--なんでもスイッチ・ボックス--ジェリービーンスイッチです。「かくれるのなーんだ」を起動→ジェリービーンスイッチを押す→隠れている絵が見えて,音が鳴る(例えば,リンゴの写真が出て,「りんご」の音声が再生する)。
  • 「外部入力スイッチ」と「コンピュータ」の組み合わせの使用は大丈夫でしょうか?つまり,スイッチを押す→コンピュータの画面が変わる,という操作と結果の対応が理解ができていないと使用は困難と思われます。

2.キッズタッチシリーズ体験版,タッチパネルを1ケ月間相談者に貸出した。

結果(相談者より受信したメールから)

 手始めに「いろんなせんひけるかな?」のソフトがお気に入りのようなので購入したいと思います。あのかばさんの「バナナが食べたいよー」がたいそう気に入ったのかそればかりやりたがります。どうしてもマウスだとカチカチするばかりになってしまい,ポインタを認識できていないようです。タッチパネルを試用してみて,調子よく楽しんでおります。ただ,子どもの指ですので設置面が小さいのか指だけが先に進んでしまうこともありますが・・・

 
事例2. 大型キーボードの試用

相談者

養護学校教員

対象児童生徒

上肢がうまく使えないため書字が困難。

相談内容

 書く手段を模索しながら,昨年度からトーキングエイドの大型キーボードを使用しており打鍵操作にだいぶ慣れてきています。しかし,学校で整備されているのは旧式であるため,本児が最近興味を示しているパソコンへの接続ができません。
  パソコンでは現在,なんでもスイッチボックスやフリーウェアのソフトキーボードを使用しているが,思うように実績が上がらず本人も興味関心が希薄になってきています。
  そこで,トーキングエイドの大型キーボードが本児にとって,将来的に表現手段になり得るかどうかをある程度時間をかけて試用させてみたいと考えています。

本センターの対応

1.支援スタッフが相談者と.大型キーボードの貸出期間を電子メールで調整した。
2.大型キーボードを1ケ月間相談者に貸出した。

結果(相談者より受信したメールから)

 対象児はもともと古いタイプのものをずっと使っていたのと,パソコンに触れる機会もあったのですんなりと教材に溶け込んだといった感じです。
  次年度の購入対象候補にも挙げられそうですし,保護者にも喜んで頂き,自前のものを用意したい旨も話していたようです。

 
事例3. ひもスイッチの利用とその手立てに関する相談
相談者 養護学校教員
対象児童生徒  発語はないが,周囲からの声かけや音はよく聞いていて好きなことには笑顔などで応答する。
相談内容

 今年4月から担任している児童のことでメールを出しました。宜しくお願いします。
  本児は肢体不自由で,まだ首がすわっておらず,意図的に体を動かすことが難しいです。右手でひもを引く(持たせてあげると),スプーンを口元まで運ぶ(食事の時)ことは可能です。周囲からの声かけに対しては,笑顔になったり体に力が入ったりすることで好き嫌いやしたいしたくないなどを表しているのですが,どうしても教師主導のかかわりになってしまいがちなので,本児の思いを何かの形で表出する手だてがないかと思っています。
  今,遊びの中でスイッチを引っ張って音や音楽を聞くことをしていますが,好きな音でも嫌いな音楽でも手を動かしてスイッチを引っ張るので,本当に音が聞きたくてスイッチを引っ張っているのかどうか(聞きたい気持ちが手を動かすことに表れているのかどうか)定かではありません。また,周囲の音はよく聞いているようなのですが,物を注視すること,欲しいものに手をのばすことがあまりなく,本児の思い(何がしたい,どうしたい等)をかかわり手がとらえようとする時,何を手がかりにしていくといいのか,どんな手だてをとっていくといいのか・・と悩んでいます。
  今,担任の教員の中では,例えばVOCAのような機器を利用してみたらどうかと話していますが,何か良い手だてがあったら是非教えていただきたいので宜しくお願いします。

本センターの対応

以下,支援スタッフからのアドバイス

  • ひもスイッチを操作しているようですね。文章から読みとれるところだと,スイッチを押すこと自体と,音が流れることの因果関係がつかめていないと思います。「今やっていること(この場合ひもを引くこと)」が「目的とされること(音が出ること)」との関係がつかめるまでは,好きな音や嫌いな音など条件を変えるのではなく,本人が理解できるまで「やって楽しいこと(この場合は好きな音)」を続ける方がいいと思います。私たちがいろいろな活動をやっている場合,状況をすぐに理解して判断できますが,障害の重い生徒の場合は特にその場の状況を理解するのに時間がかかるものですから,本人が混乱されるような提示の仕方は極力避けた方がいいと思います。
  • ひもスイッチを引くことと,このお子さんの意志表出との関連ですが当初は不分明であることが普通だと思います。喩えて言えば,発語・発声の初期に喃語を子どもは話しますが,喃語そのものに意味はなく,発声すること自体に快の感覚を得ていると見受けられたりします。つまり,スイッチを入れたら何かが起こる(この際は,何が起きたって楽しい)ということを楽しんじゃっているので,嫌いな音だって自分が出す音ならそれも楽しい。「できる」と言うこと自体が遊びになっているのではないでしょうか。私の担当している子どもは,掃除機の音を聞いただけで泣き出すほどに嫌いなのに,絵手紙で「お掃除して」と頼んだら平気で掃除機を掴んでゴシゴシしたくらいですから,子どものというか人間の心理という物は不思議なものです。
  • ものを注視することはとても高度なことだと思います。目の機能的に問題が無くても,ものをとらえて脳の中に構成するのは大変なことだと思います。それでも,生活の中で「お母さん」「食べ物」「音のでるもの」に向かって顔を向けることはないのでしょうか?全くそれらが無いのなら目の機能に問題があるかもしれないのですが,そうでなければそこら辺から手だてがあるのではと思います。また,「何がしたい」という思いを表出するのは,次のステップのような気がします。それよりは,楽しい経験,おもしろい経験をたくさんすることが大切です。
  • 逆説的な言い方になりますが,子どもの中にイメージが育っている度合いに応じて注視の度合いも強まります。分からないからよく見ようとするのではなく,分かっているからこそよく見ようとするのです。つまり,注視やよく聞くという行為は,目の前にあるものと既に自分の脳に作られているイメージとを対比し見比べるという作業をするためによく見,よく聞くことができるのだと思います。このように考えると,子どもがよく見るようにするには,よく見えるように見せるという(当然の工夫ですが)その場での工夫だけでは不十分です。子どもの中にイメージを作り上げるには薄い絵の具で何回もなぞりながら輪郭を表してくるような手だて,子どもの側から言えば経験が必要になります。私の担当しているグループの授業では,子どもに初めての作業を提示するときには,いきなり子どもにやらせることはしません。まずは,教員,あるいは,いつもの案内役の人形がそれをやって見せます。それも何回か。その繰り返しの中で子どもの中に見通しが育ってきたところで意欲的な子どもからやらせてみます。なるたけ失敗のない作業に練り上げておいて,できたら喝采を贈ります。次第に引っ込み思案だった子どもも喝采を浴びたくて「やってみたい」とおずおずと意思表示をします。この頃になって,やっと,「よく見る」という条件が整ってくるのです。つまり,「よく見る」というのは単に能力だけの問題ではなく,モチベーション,経験の問題でもあるのです。とりあえずは,与える物を常に簡潔な言葉で説明して,教員がお手本をとっても楽しそうに繰り返すということをやってみたらどうでしょうか。そこで,押しつけがましく無理にやらせようとうまくいきません。モチベーションがすっかりそこなわれてしまうからです。
  • VOCAではどのようなことを考えているのでしょうか?見ることが難しい子どもの場合でも「振動(電動マッサージ器)」「カゼ(扇風機)」など,いろいろな感覚刺激を好む場合もあります。それらのおもちゃなどの活用については,「マジカルトーイボックス」「こころリソースブック編集会の本」が参考になると思います。もちろんVOCAも有効ですが,当初はVOCAの操作によって教員が常に大きく(大げさにでもよいです)リアクションを返すという態勢が何よりも効果的です。多くの子どもの興味・関心の対象は人間ですし,学校では教員です。子どもの機器操作で人間を動かせたらそれは快適だと思います。教員のリアクションはおまけですから,機器の使用に慣れたらおまけなしでも機器を有効に使うようになるだろうと思われます。
結果(相談者より受信したメールから)

 1学期前半はひもスイッチを使って音を聞く遊び,後半はひもを引っ張って容器に入ったビー玉等を落として音を出したり水をとばしたりする遊び(本人がガシャンという音や水をかけられるのを楽しむので)をしました。ひもを引っ張って物を落とす遊びでは,物が落ちた後,不服そうな声や表情を出したり,水がこぼれた時に教師が「あー!!」と騒ぐのを聞いて喜んだりしていました。その反応の違いが何にあるのかまだ不明確ですが,自分がしたことに対して何かが起こるということは期待しているのだろうなと思っています。
  「見る」ということについては,本人の大好きなもの・・・おやつや鏡などからやってみようと思います。どのくらい見ているのかはわかりませんが,話しかけると目が合うことがあるし,給食のおかずの入った皿も提示すると(注視はしませんが)一瞬視線が動くので,見ようとしているように思われます。
  周囲の人の行動や反応をよく聞いていてやりとりを楽しむ子なので,VOCAが使えそうなら試してみたいと思います。相談から数ケ月が経過し,現在VOCAを使い始めています。

 
事例4. タッチパネル,ジェリービーンスイッチ,ぽんぽんランドの試用

相談者

養護学校教員

対象児童生徒

小学部在籍

相談内容

 昨年度に一度お借りし,とても使いやすかったので,再度になりますが,タッチパネル(15inch)を貸して頂きたいのですが・・・。
 それと,「ぽんぽんらんどmini(Vol.1)」のソフトも一度遊んでみたいと思い,同時にお借りできれば有り難いのですが。
 もう一点お聞きします。ジェリービーンスイッチについて,知識不足で初歩的なお聞きしてしまいますが,キーボード,あるいは,マウス接続で,マウスの代替が可能な道具なのでしょうか?簡易説明だけではよくわからなくて。私の養護学校は知的障害の児童が中心ですが,肢体不自由を併せ持つ子もいて,パワーポイントのアニメーションの操作がワンクリックで出来るような物なら一度利用してみたいな,と考えているのですが。

本センターの対応

1.ジェリービーンスイッチに関して以下の回答をした。

  • ジェリービーンスイッチを直接,パソコン本体のキーボード端子,マウス端子に接続できません。パソコン本体−(1)−アダプタ−(2)−ジェリービーンスイッチ の接続になります。(1)はアダプタによって異なります。例えば,「なんでもスイッチボックス」であればRS-232C,「スイッチインターフェースPro」であればPS/2(キーボード端子)。(2)は「ミニプラグ」形式です。アダプタに差し込むだけです。
  • 以下の利用イメージの場合,
    1)パワーポイントが起動
    2)スライドショウを実行
    3)1枚目のスライドが表示
    4)マウスクリック,あるいは,Enterキー入力,あるいは,SPACEキー入力する
    5)1枚目のスライドに設定されているアニメーションが実行される
    6)以降,3.〜5.の継続
     4)の部分をジェリービーンスイッチに割り当てることが可能。
     パソコン本体とジェリービーンスイッチの接続は「なんでもスイッチボックス」「スイッチインターフェースPro」「ディスカバーキネックスWin98」「オペレートナビ(EX)」の利用が可能です。

2.支援スタッフが相談者と貸出機器,期間を電子メールで調整した。
3.タッチパネル,スイッチインターフェースPro,ジェリービーンスイッチを1ケ月間相談者に貸出した。

結果(相談者より受信したメールから)

 簡単に報告させていただきます。「ぽんぽんランド」はそれぞれのゲームの展開が速くてスイッチをすばやく押す俊敏性(瞬発力)が要求されますね。金魚すくいやトンボ取り等,2〜3才レベルの知的障害児にはついていけるスピードではなかったです。
  スイッチインターフェースもタッチスクリーンがあるとそちらの方が断然使いやすいということもあって,ほとんど使用せずじまいで終わってしまいました。やはり肢体不自由児向けに開発されたものだなという実感ができました。
 タッチパネルはまたもや大人気でよく遊べました。当初は自由にキッズタッチシリーズのソフトやお絵かきソフトで,触れて良いことにしていましたが,段々と慣れてくるにしたがい,パソコン自体の扱いが荒っぽくなってきて,思い通りにソフトが進まなくなったり絵が画面一杯になると,ハードディスクのリセットボタンを押してしまったり,挙げ句は電源を抜いてしまったり,とエスカレートしてきたので,最近では私が監視している時だけ使用できるようにしていきました。
  周りの教師はそんな子ども達の行為に焦っていましたが,私は別にハードは壊れても良いからと自由にさせていました。しかし,やはりスタートと終了くらいは,できるようになってほしいという願いもあって,途中から制限し一緒に触るように心がけました。もちろん,ここまで手荒に使えるような状況になってきたのも,タッチパネルのおかげでパソコンの使用に自信がついてきたため,と確信しています。
  失敗・成功とも織り交ぜて,様々な試行ができたことは,この度の成果でもありました。ありがとうございました。

 

3.6.2 訪問支援事例

 平成13年8月,中国地方のある県に住む保護者の方から相談があった。脳性まひによる四肢障害のお子さんの生活場面や学習活動に関して,意思の伝達手段としてのパソコンの利用および操作スイッチ等に関しての相談であったが,ちょうどテレビ番組の視聴で知ったと言うことで「マクトス」の貸し出し希望もあった。
  支援スタッフと相談者との電子メールでのやりとりをもとに,支援スタッフのメーリングリストで協議を続けた結果,対象児の障害の状態や生活場面でのコミュニケーション手段の実態も段々と把握できてきたため,学校生活での支援を含めて「マクトス」よりも有効な入力方法の可能性が考えられるとの結論に達した。対象児自身は,言葉にならない音声の変化や視線の動き・四肢の粗大な動きで意思の表出ができており,それらの意思伝達方法をまわりの人もある程度理解できていたからである。
  しかし,細かい情報提供や実際の入力機器のフィッティングが,パソコンや支援機器に疎い保護者との電子メールでのやりとりでは難しいケースであることが分かったことと,継続的な支援体制が必要ではないかと言う意見が出たため,近畿地方と四国地方に住む支援スタッフ3名が,支援機器(表10)を持参し,休日を利用して相談者の自宅を訪問することになった。

表10.訪問支援時に準備した支援機器一覧

スイッチ類

ジェリービーンスイッチ

FDケース2個に繋いだピンポンブー

棒スイッチ

ひもスイッチ(支援スタッフ自作)

センサースイッチ

マクトスModelDX

コミュニケーションエイド

メッセージメイト

ソフト

MES(障害者とコンピュータ利用教育研究会)自作教材集

養護学校教員自作教材

 実際の訪問に関しては,訪問の意図(対象児の学習環境や生活環境の把握および支援機器のフィッティングの考え方を伝えること)を伝えてあったこともあり,通学している養護学校の現担任および元担任や視聴覚機器関係担当の教員も一緒に待ってくれていた。また,対象児の兄弟を含む家族全員が興味深そうに迎えてくれた。
  そこでまず,対象児の現在の意思の伝達の方法や身体状況の確認をし,新旧の担任から学校での生活や学習場面での様子を,家族からは同様に家庭での生活の様子をうかがった。その結果,スタッフ間で協議をしていた時の予想通り,

  • 不随運動があるものの安定したスイッチ操作が可能なこと
  • 対象児の学習意欲は高いものの,適切な支援がなされていなかったために,発信しているサインに対する周囲の受け止め方に若干の食い違いがおき,学習意欲が長続きしていないこと

などが分かった。
  これらのことから,スタッフ自作のひもスイッチやセンターの貸出機器である棒スイッチ,ジェリービーンスイッチなどを使用しながら,対象児の使いやすい固定方法の工夫の仕方や,ワンスイッチで遊べるコンピュータゲームのセットの仕方などについて,本人・家族・教員を交えた席で実際にどのように使うのかを伝えた。また,パソコンを使った指導や意思伝達に関しての話をしながら,それらに関わるフリーおよび体験版の学習ソフトを使って,実際にどのような使い方ができるのかを確認した。
  この過程で,視聴覚機器関係担当の教員が支援機器に関しての多少の予備知識があることも分かり,教員と保護者が連携をしながら学校及び家庭での支援を進めていけるように配慮することや,ATACカンファレンスや支援ネットなどに参加することで,支援機器の情報のみならず実際の使い方等の情報を集めていく方向で話がまとまってきた。また,パソコンを使って学習をすることとコミュニケーション手段としてのパソコン利用と言うことの両面から,いくつかのソフト(フリーおよび体験版)とマクトスを含む何種類かの入力スイッチを自宅に置いて帰ることになり,学校および家庭での学習・生活場面で実際にどのように使えるかをいろいろなシーンで試すことになった。
  この訪問支援活動を通じて感じられたことは,支援機器の情報とそれらの利用に関する情報が,障害のある子どもたちを支援する人に届いていない実態であった。特に,障害に応じた支援機器の活用という視点での情報が不足しており,何かのきっかけで知った特定の支援機器を何でも出来るかのように勘違いしていたり,支援機器についてのいくつかの知識を持ちながらも具体的な利用が出来ないままだったりした。そう言った意味で,今回の訪問支援活動は非常に有意義であったといえる。

3.6.3 機器貸出支援事例

 本センターの貸出支援機器を利用して行った授業例(指導計画および指導案を含む)を以下に記す。

(1)依頼までの様子
 A君は四肢の運動機能障害と弱視の為,手で文字を書くことが困難である。代替手段としてコンピュータを利用することにしたが,通常のキーボードでは手の操作や文字の大きさ等の関係で操作が困難であった。そこで,2点スイッチを用いたゲームを楽しんだり,インテリキー(大型のタブレット)を活用し,オーバーレイをシンプルなものから複雑なもの(ひらがな50音)へと練習していくうちに入力に慣れてきた。
 しかし,複雑なキー配置になると誤入力が多くなることや,操作をしながら画面を見ることが困難なため,誤入力の訂正には側についている者がサポートする必要があった。そこで,平成13年11月上旬から12月上旬,特別支援教育ネットワーク・センターより50音配列大型キーボードをお借りし試用した。

(2)指導計画

第1次

手紙を出そう。(文化祭の招待状)

3時間

第2次

メールを出そう。

2時間

第3次 

年賀状を書こう。(文化祭へお礼,素材選び)

3時間

(3)指導略案
  第1次 「手紙を出そう」(第1時〜第3時)
  目 標 ・文化祭の案内を文章にすることができる。
       ・画面の状態を把握しながら入力や訂正ができる。

 

学習活動

指導上の留意点

第1時

 

1.文化祭の招待状を送る人を決める。(お世話になったボランティアや先生)

2.内容を考える。
 ・挨拶
 ・伝えなければならない内容等
  →相手に正しく伝わるか
  →失礼がないか

3.パソコンで入力する。
  (50音配列大型キーボード)

・手紙の意味に気づけるよう配慮する。


・文章が思い浮かばない時は,前回に会った時のことを話させたり,選択肢を用意し選ばせる。
・受け取る相手の立場に立って考えること。さらに喜ばれるように内容を考えさせるよう配慮する。
・ポイントが押さえられておれば,必要最小限の助言にとどめておく。

・ユーザー補助(ハイコントラスト,フィルターキー)の設定をしておく。
・拗音,撥音などに注意させる。

第2時

 

 第1時より続いてパソコで入力する。画面の文章を確認する。


4.印刷する。
印刷したもので確認する。

・キーボードが大きいので可動域との関係や無理な姿勢がないか注意する。
・キーが見えにくい場合は,文字を印刷した紙をキーボードに入力しながら貼っていく。

第3時

5.第2時で作成した書類をもとに共通部分を残して別の招待状を作る。

削除,再入力を考えさせて,訂正が難しいようであれば,無理がないように支援する。

(4)授業を終えて

  • 文化祭の練習も盛り上がりを見せ,自分の活躍を見て欲しいという気持ちが高まっている時でもあり授業も積極的であった。今日中に手紙を書き上げるんだという意欲を持って授業に臨み,出来あがったときにはとても嬉しそうな笑顔がこぼれた。
  • キートップには,アルファベットなどひらがな以外の文字が書かれており,見やすくするためにキーに合わせて印刷した文字を両面テープで仮止めできるように用意した。実際にはキーの位置を覚えながら,貼っていく方法を取り入れた。
  • 視覚障害(弱視)と肢体障害を併せ持っていると,画面とキーの視線移動が難しい。特に訂正をするときには,音声フィードバックを加えても何が消去されたのかわかりにくいこともある。今回,手の操作の労力が軽減されていることで,キートップに手を置いてから視線を画面に移し,そして入力するという姿が自然と見受けられ,目標である自ら確認し訂正していこうという気持ちも高まった。

(5)まとめ
  単純に1つの入力支援機器をフィッティングできない場合もある。また,今回のように複数の機器を使用し,双方の長所をうまく生かすように工夫していく場合も多いと思う。その様な意味で,気軽にいろいろな機器を使えるための環境を作っていくことが大切だが,すぐに購入できないものが多い。今回,特別支援教育ネットワーク・センターから1ヶ月試用させてもらえたことで,すぐに授業にとりかかれたことはとても意義があると思う。

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3.7 他機関との連携

 本実践研究の中で,他機関との情報交換,相互協力等の連携について検討,調整し,ホームページ上での相互リンク,「こころWeb(http://www.kokoroweb.org/)」との連携を図った。本センターのホームページへ相互リンクしている主な機関の一覧を表11に記す。また,電子福祉機器相談センターを公開し,電子メールで相談を受け付けている「こころWeb」については,各々で対処できない相談があった場合,相談を依頼する相互協力の連携を図った。

表11.本センターのホームページへのリンク一覧

機関名

URL

群馬特殊教育センター

http://www.edu-c.pref.gunma.jp/center/tokusyu/index.html

千葉県特殊教育センター

http://www1.ice.or.jp/~tokuse/

マイクロソフトアクセシビリティサイト

http://www.microsoft.com/japan/enable/microsoft/resouces.htm

株式会社アメディア

http://www.amedia.co.jp/

東京都立光明養護学校

http://www.koumei-sfh.setagaya.tokyo.jp/

宮崎県立清武養護学校

http://www.miyazaki-c.ed.jp/kiyotake-sh/

障害者とコンピュータ利用教育研究会関東

http://isweb37.infoseek.co.jp/school/meskanto/

千葉,教育へのテクノロジー利用研究会

http://isweb37.infoseek.co.jp/school/tec_hp/

(財)鉄道弘済会 総合福祉センター 弘済学園

http://www.normanet.ne.jp/~ww500011/

といくらふと

http://homepage2.nifty.com/toycraft/

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3.8 支援機器の整備

 平成12年度の実践研究結果を踏まえ,貸出のニーズが高かったコミュニケーションエイド(表12)を各1個購入し,貸出支援機器に追加した。また,本センターの貸出支援機器の一覧を表13に記す。

表12.購入したコミュニケーションエイド

製品名

概 要

VOCAフレックス

小型・軽量で携帯性のあるVOCA。スマートガイドと呼ばれる分割キーをセットして使用する。スマートガイドには,キーの数によって4,8,16の3種類があり,そこに必要なメッセージを録音できる。それぞれのスマートガイド裏側に,識別バーコード付台紙(付属品51種類)を予め貼付しておくことで,それぞれのスマートガイドに対応した録音音声が自動的にセットされる。

テック/トーク

8メッセージ6レベル,計48のメッセージをデジタル録音できるVOCA。1メッセージあたりの録音時間は4秒。

テック/スピーク

32メッセージ2レベル,計64のメッセージをデジタル録音できるVOCA。1メッセージあたりの録音時間は2秒。

タイムログ

自閉症や知的障害を持つ人々の時間の理解を助ける装置。製品には60分を3分ステップで知らせるタイプ(LED20個),60分を5分ステップで知らせるタイプ(LED12個),20分を1分ステップで知らせるタイプ(LED20個)の3種類がある。時間設定のボタンが4つ(赤,黄,緑,青)あり,ボタンを押すことでタイマーがスタートする。発光ダイオードの数とアラーム音で時間の残りを知らせてくれる。

 
表13.貸出支援機器の一覧

分類

機 器 名

個数

入力装置関連の支援機器

スイッチインターフェース(MAC)

1

スイッチインターフェース(PC-AT)

1

なんでもスイッチ・ボックス(PC-AT/MAC)

1

小型ひらがなキーボード(50音配列)(PC-AT)

1

50音配列大型キーボード

1

ペニー&ギルズジョイスティック(MAC)

1

ペニー&ギルズジョイスティック(PC-AT)

1

ペニー&ギルズトラックボール (MAC)

1

ペニー&ギルズトラックボール(PC-AT)

1

らくらくマウスII(8点/USB)

1

らくらくマウスII(ジョイスティック/USB)

1

タッチパネル(15inch)

1

ディスカバーキネックス for Windows98版

1

キーラルゴ

1

トーキングエイドオートスキャン

1

オペレートナビEX Ver1.0(体験版)

3

ミニキーボード FKB1420

1

Wing-USB

2

ねずみくんのクリック

1

操作スイッチ関連の支援機器

マクトスModelDX

1

ISTセンサーセット

1

Pスイッチ

1

ストリングスイッチ

1

棒スイッチ

1

グラスプスイッチ

2

ジェリービーンスイッチ

12

ユニバーサルアーム

1

コミュニケーションエイド関連の支援機器

トーキングエイド

1

メッセージメイトMM40-150

1

チャットボックス

1

ステップバイステップwithレベル

1

ワンステップコミュニケーター

1

Dynamo

1

テック/トーク

1

テック/スピーチ

1

VOCAフレックス

1

その他の支援機器

1スイッチポラロイドカメラ

1

スイッチラッチアンドタイマー

1

電源リレー

1

タイムログ

1

ソフトウェア類

キッズメール(仮称)

キッズタッチシリーズ(体験版)

ことばの玉手箱(体験版)

らくらくえにっき(体験版)

ZoomText Xtra Level1(Ver7.0/体験版)

3

ぽんぽんランドmini(Vol.1)

1

声と言葉の練習機「あいちゃんのて」

1

テレビ会議システム一式(CU-SeeMePro+カメラ)

2

その他

iMac

1

iMate(USB・ADB変換コネクター)

1

※貸出依頼に随時対応してCD-Rで送付
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3.9 アンケートの実施・結果

 今後の本センターの運営及び支援活動向上の為,相談者(平成13年4月1日〜平成14年1月31日までの相談者で,かつ,支援が一通り終了している方)に以下のアンケートを電子メールで送付した。

――――――――――――――――アンケート――――――――――――――――

                    記入日:平成  年  月  日

                    所属機関:

                    氏  名:

質問1.相談に対する本センターからの回答・支援等によって,あなたの相談内
    容は?

    1.解決できた

    2.解決できなかった

    3.どちらともいえない

質問2.相談に対する本センターからの回答・支援等は,個人あるいは学校にお
    ける支援機器活用推進に役立ちましたか?

    1.役立った

    2.役立たなかった

    3.どちらともいえない

質問3.今後,本センターはあなたにとって?

    1.必要である

    2.必要でない

    3.どちらともいえない

質問4.今後,本センターは障害がある子ども,教師,保護者等にとって?

    1.必要である

    2.必要でない

    3.どちらともいえない

質問5.本センター貸出支援機器の貸出期間(1ケ月)は?

    1.適当である

    2.長い

    3.短い

    4.どちらともいえない

質問6.本センター貸出支援機器の種類及び数は?

    1.十分である

    2.不足している

    3.どちらともいえない

質問7.本センターへの要望,苦情等,ご自由にお書き下さい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

40名の相談者からの回答を得た。アンケート結果を以下に記す(表14,15)。

表14.アンケート結果(質問1〜6)

質 問

回答選択肢

回答人数

1.相談に対する本センターからの回答・支援等によって,あなたの相談内容は?

1.解決できた

29

2.解決できなかった

2

3.どちらともいえない

9

2.相談に対する本センターからの回答・支援等は,個人あるいは学校における支援機器活用推進に役立ちましたか?

1.役立った

34

2.役立たなかった

1

3.どちらともいえない

5

3.今後,本センターはあなたにとって?

1.必要である

40

2.必要でない

0

3.どちらともいえない

0

4.今後,本センターは障害がある子ども,教師,保護者等にとって?

1.必要である

40

2.必要でない

0

3.どちらともいえない

0

5.本センター貸出支援機器の貸出期間(1ケ月)は?

1.適当である

12

2.長い

2

3.短い

17

4.どちらともいえない

10

6.本センター貸出支援機器の種類及び数は?

1.十分である

8

2.不足している

13

3.どちらともいえない

19

 
表15.アンケート結果(質問7)

No

相談者

回答内容

1

教員

 よく活用するといったほどではありませんが,何か問題点があって困っているときに専門の先生に意見を聞けるというのはありがたいことです。これからもどうぞよろしくお願いします。
  貸し出し期間がもう少し長いと借りやすいなというのが印象です。学期の間貸していただけると,授業に取り入れやすいのですが。なかなか学校の予算ではすぐに買ってもらえるというわけにはいきません。

2

教員

 質問5の貸出期間について「短い」と回答しましたが,次の方のことを考えると1ヶ月で致し方ないと思っております。使用してみて成果があれば購入という方向も検討すべきところでしょうが,なにぶん高価な機器が多くて個人で持つのはかなりの負担を感じてしまい二の足を踏んでしまっています。ですから,こうしてお借りできるのはとても有り難い事と毎回感謝している次第です。
  ただ,一方では使い慣れたかな?と感じたころに返却していたことも多々あったので,できることなら次の予約が入っていない時には,さらに1ヶ月間延長できるというようなことが認めていただけるとしたら一層利用しやすくなるかもしれない,とも思いました。

3

教員

 購入する前に実際に試してみることが出来るのがありがたかった。お陰で迷うことなく小型のキーボードを購入することが出来た。今後も障害者がパソコンを使用する機会が増えるでしょうし,本来パソコンはそのような人のためにこそ存在するものだと思います。しかし,障害者が購入する周辺機器類が高価であり,また行政の補助対象外であったりすることに矛盾を感じる。今後も貴センターのご活躍を期待してやみません。

4

教員

 質問4でもコメントさせていただきましたが,ベストな環境としてはコンビニのような身近さ,百貨店のような品揃え,100円ショップのような低価格があればと保護者の方とお話ししています。もちろん,パソコン関連の周辺機器もおいてあることを想定しています。なので,インターネットとはあまり縁のない方にとってももっと身近な存在になる努力をしていただければと考えます。

5

その他

 貸出機器が,非常に高価で現実的ではありません。個人でも購入出来るものを貸し出していただきたいと願っています。

6

教員

 本校は小規模の分教室で機器がほとんどない状況ですので,センターがあることを本当に有り難いと思っています。 

7

その他

 担当の子どもの相談に対して,結局,情報源にはなったみたいで利用はしなかったみたいです。担当の子どもが住む地域のボランティア団体に支援してもらえるようになったみたいで,今のところいただいた情報はストック状態です。しかし,相談したことの返事がすぐ来て,感謝しております。インターネット上でこのような形で相談できて,返事がもらえることは有り難いと思っています。悩んでいる人にとって,うれしい情報があって,この機関は是非これからも続けていただきたく思っています。

8

教員

 障害のある子どもは千差万別です。それゆえ,一度実際に試用してみないと実用性があるかどうかわかりません。実用化するかどうか不明なものに貴重な予算や保護者のお金を使うことはできませんが,貴センターから貸し出していただいた機器を実際に使用してみてうまく使うことができると保護者にも理解してもらうこができ,家庭で購入することもお願いしやすくなります。昨年度,一度利用させていただき,筋ジストロフィー症の生徒は見通しがついたために,その後,家庭でも機器を購入してもらうことができ,メールやインターネットを使用した学習などQOLが向上しました。本当に助かりました。今後もよろしくお願いします。

9

その他

 パソコンの特殊入力機器を試用できる施設が地方では絶対的に不足している状況において, 貴センターの活動はたいへんありがたいものです。今後も活動の拡張と継続を希望したいと思います。

10

教員

 私は訪問教育部で肢体不自由と両耳全聾の子どもを教えています。○○○は肢体不自由や聾学校がなく,教育センターも知的障害のお子さんの研究が主です。訪問教育はとても人数が少なく,情報を広く集めようと思うとインターネットが中心になります。なので,私にとってはこのような相談機関があるととてもありがたいと思っています。

11

保護者

 スイッチ部分に関しては,たくさんの種類を貸し出ししてもらえ,本人が自分に適したスイッチを選ぶことが出来た。遊びのソフトではタイミングよく入力できたが,文字の入力となると文章の組み立てが出来ない。学校で学習していない。コトバックスのようなシンボルマークでコミュニケーションが取れるソフトを試してみたい。

12

保護者

 知っている人,ニーズがある人には非情に価値あるセンターではあるが,Majorityである知らない人,どうして良いか困っている人,ある種あきらめている人にとってもPUSH型で少しずつでも広まっていく事を期待しています。

13

保護者

 ネットワーク・センターの事を知り,相談のメールを送りましたら,すぐに返事を頂き対応の速さにびっくりしました。支援スタッフの方々もとても親切に対応して下さいました。そちらで機器の貸し出し等もされていると知り,心強く思っています。先日,学校から頂いた全国肢体不自由養護学校PTA連合会の会報にネットワーク・センターのPRが載っているのを見ましたが,まだ皆さんご存知ない方がたくさんいらしゃると思います。(私みたいにインターネットに詳しくない人もいますし・・)もっと,もっと,PRしてほしいです。

14

その他

 ハードも含めたご相談をしたかったつもりなのですが,ソフトに関するご返事のみを頂きました。ご返事は有り難かったのですが,やはりメールにおけるコミュニケーションの限界を感じました(良くあることなのですが…)。

15

教員

 先日は,教材の故障についての相談について,連絡先をお知らせいただきありがとうございました。おかげで故障して修理の連絡がつかずあきらめていた教材をなおすことができ,また,利用できるようになったこと喜んでいます。今後もいろいろな相談や支援機器の貸出等,利用させていただきたいと思っています。あえて要望として,支援機器の種類・数がもっと多いとよいと思いますし,貸出期間も2〜3ケ月あるとよいと思います。

16

保護者

 貸出期間については,基本1ヶ月で相談により延長可とかにできたらいいですね。障害の程度によって理解力と受け入れの力が違うので,十分なひともいるし短い人もいるでしょから。でも他に待っている人がいたら早く試させてあげたいし。というわけで,どちらともいえないにしました。
  支援機器の種類,数量ですが,今回ATACカンファレンスで出ていたタイムスケジュールを管理出来るものがあればいいな・・・と思います。知的に重い子は時間の見通しが立てにくいので,イライラして問題行動につながっていたりします。結構高いので使えるかどうか試してから買いたいですよね。

17

教員

 学校にあるコンピュータの環境が貸し出しをしていただく周辺装置のドライバーとあっていない場合があり,利用できないこともある。その場合はコンピュータも含めた形で借用できるとありがたいと思います。学校の先生方は必ずしもコンピュータ技術に詳しいとは限りませんのでよろしくお願いします。できましたらWindows98や2000に対応したソフトや機材をご用意いただきたいと考えます。

18

保護者

 いろいろなものが参考になっています。担任の先生といろいろ考える幅が広がりました。ゆっくりと進めています。本当にありがとうございました。

19

その他

 実際に試すことができ,御家族の方も納得して購入を決められました。ありがとうございました。

20

その他

 機器貸し出し及び情報提供など,とても助かりました。今後可能であれば,トラックボールなども幾つか種類があって,試すことができるといいと思いました。

21

教員

 「メールできるかな」に関して,メール以外のおてがみごっこ  で教材として使う場合に印刷できずに,活用できなかった。いろいろな活用法を子どもにあわせてできるような教材が良い。パソコンを児童が一台ずつ使いやすいような状況にはまだなっていないので,共有して楽しめる教材もまだ必要である。

22

その他

 おかげで,本人はこの機器の給付を受けることを承諾されました。
  まだ,ほかに数人のALSの方がおられます。これを機会に使ってみたいと考えておられるようなので,またお願いするかもしれません。

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