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学年 |
クラス |
生徒数 |
実施日 |
合計授業時間 |
第1学年 |
1クラス |
40名 |
平成15年10月16日、23日、11月6日 |
420分 |
学年 |
教科名 |
単元 |
第1学年 |
公民 現代社会 |
(1) 現代に生きる私たちの課題 |
学年 |
教科名 |
単元 |
第1学年 |
家庭 家庭基礎 |
(3) 消費生活と環境 |
学年 |
教科名 |
単元 |
第1学年 |
家庭 家庭総合 |
(5) 消費生活と資源、環境 |
学年 |
教科名 |
単元 |
第1学年 |
家庭 生活技術 |
(2) 消費生活と環境 |
学年 |
教科名 |
単元 |
第1学年 |
学校設定教科 産業社会と人間 |
情報化社会と産業 |
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私たちの日常生活は様々な素材に囲まれている。その中のひとつ、身近で不可欠な「ガラス」という素材。今回の授業では、ガラス産業とその製品、そしてリサイクルについて学習する。日常的に使用しているガラス製品の製造過程と環境負荷の関係を理解するとともに、企業の考える「持続可能な生産」にも着目する。さらにIT分野やナノテクノロジーとの融合で活躍するガラス製品に言及し、ガラス産業を通して「環境と未来」を学び、産業社会と人間との関わりを考え、発表することをねらいとする。
授業は、総合学科で1年次に必須の「産業社会と人間」を中心に、「現代社会」で扱う「企業活動と環境」、「家庭」で扱う「消費生活と環境」にリンクするものとし、今後産業界と高等学校の交流授業に有用な授業内容およびIT教材を構築する。
高等学校の授業実施については、ガラス産業連合会の事務局が内容に応じて人選し、派遣要請を受けた傘下の各団体及びその構成企業の社会人講師が行う。職業意識を育む初期段階で産業界の講師による授業を受け、その産業の現場を見学することで、産業と環境について自ら考え、実りある職業観を確立する一助としたい。
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・ 認知的目標:授業をきっかけに、ガラス素材や製品による今後の環境問題への影響や産業への役割を認識することができる。
・ 情意的目標:身の回りにあるガラス製品やガラス素材に対する興味関心を深め、その特性やリサイクルの意味、地球環境の大切さを理解し、日常生活の中で行動に結びつけていくことができる。
・ 技術的目標:目的にあったテーマを選択し、各自の目標や役割に関連する資料を本やインターネットを使って収集し発表ができるとともに、他者の発表を積極的に理解するよう努める。
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実施単位 |
テーマ |
1回目 |
ガラスの組成・特徴・企業の環境への取り組み、先端技術 |
実施場所 |
筑波大学附属坂戸高校
コンピュータ室 |
実施時間 |
135分 |
講師 |
ガラス産業連合会 黒田良一 (日本山村硝子株式会社) |
使用教材 |
Microsoft(R)PowerPoint(R), VHSビデオ, Webコンテンツ, ワークシート |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
身近に存在するが故に改めて目を向けることの少ない「ガラス」という素材に関心を向けるため、第1回目の授業に先立ち、宿題を出す。ガラスそのものへの理解を深めたあと、ガラス産業や企業の環境への取り組み、流通や消費者の役割、未来への展望と、テーマを拡げていった。
講義の補完として、パワーポイントやビデオ、Webへのアクセスなど理解を促すツールを使用。
様々なガラス製品や原料、カレットなど実物も多数教室に展示し、生徒に触って実感してもらえる状況をつくった。
■内容
事前に出した宿題:
@ 自宅にあるガラス製品の種類とその数を書き出してみよう。
A 宿題1以外で、知っているガラス製品を書き出してみよう。
により、ガラスについて知っていることの発言を求めた。その答えを踏まえてガラスが活用されている分野を紹介し導入とした。
環境についての項目では、黒田講師の勤めるガラスびん会社がつくる環境負荷低減に配慮した製品を見せながら、開発者自身である講師からその開発秘話をきく。
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実施単位 |
テーマ |
2回目 |
ガラス製造およびリサイクル工程の見学 |
実施場所 |
日本山村硝子株式会社東京工場(相模原市)
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実施時間 |
150分(除移動時間) |
講師 |
ガラス産業連合会 瀬戸邦秀
(日本山村硝子株式会社東京工場) |
使用教材 |
ワークシート(A4版) |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
ガラスの製造、リサイクル工場を併設した工場の現場担当者が、ガラスの製造、リサイクルのながれを説明。製造工場見学に際しては、実際の熱さや騒音を実感してもらうため、耳栓などはつけずに見学。製造現場であるため、異物混入防止の配慮として荷物は持たず、軍手、ヘルメット、ビニール靴覆いを配布し、商品の品質を保つための商品管理の徹底についても講義。プロとしての厳しさと就労意識についても講義。
■内容
学校での授業終了後、バスでガラス工場に移動。
バスの中でも、ガラスに関連するビデオを視聴し、ガラスへの関心をさらに深めてもらう。
工場では、工場見学の際に使用しているパワーポイントにより、工場の概要、ガラスの製造工程、工場が行うリサイクルの流れを講義。
工場見学の心得と注意のあと、ヘルメットなどを着用し工場内部へ。はじめにリサイクル工程として、リサイクルに使用される回収びんヤード、ガラス原料を見学。リサイクルのために必要な選別作業として、機械や人手で行われる異物の選別工程でその実際を見学。製造工程では、高温で溶けたガラスが瞬時に移動しガラスの型に流し込まれる現場や、できたばかりのガラスの不良品との選別、機械により行われるラベル貼り、倉庫に移動し完全自動化された製品の搬出の現場を見学。全ての箇所に説明員を配し、工程の詳しい説明を受ける。
配布された資料:会社案内、環境報告書、東京工場概要、工場案内、毎日小学生新聞、ガラス産業連合会リーフレット
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実施単位 |
テーマ |
4回目 |
グループごとの発表と相互評価、講師の講評 |
実施場所 |
筑波大学附属坂戸高校
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実施時間 |
135分 |
講師 |
ガラス産業連合会 黒田良一 (日本山村硝子株式会社) |
使用教材 |
ワークシート(A4版) |
授業の進行・内容 |
授業の様子 |
■進行
1回目の社会人講師による講義、2回目の工場見学を踏まえてグループごとに調べ学習を行い、パワーポイントでまとめたツールを活用しながらグループごとに発表を行う。授業を実施した筑波大学附属坂戸高校は、かねてより「産業理解」の単元のもと、グループごとに担当する産業を与えられ、担当産業の企業を経営するという授業を行っているため、今回も各グループの担当する産業とガラスの関わりを研究発表テーマとした。
■内容
自分のグループが担当する企業とガラスのかかわりの中からテーマを設定し、発表内容をまとめたパワーポイントを用いてプレゼンテーションをした。
1.情報通信:kaji-kaji communication
「通信 and ガラス 〜光通信〜」
2.建設:キッコーマン建設
「より良い暮らしを求めて」
3.銀行:大脇銀行
「環境に取り組む企業と銀行の関わり」
4.小売:SSTマート
「ガラス商品から受ける商品のイメージ
〜ペットボトルとガラスの違い〜」
5.医薬品:タロー製薬
「ガラスとの関わり」
6.輸送機器:筑坂自動車
「車に使われるガラスについて」
7.食品:鰍vAKABA
「商品をのせる食器について」
8.電気機器:正井エンターテインメント
「電気とガラスのコラボに挑戦」
発表後、生徒からの質疑応答・感想があり、社会人講師から講評があった。講評は、講師の専門分野であるガラス製品や産業のみにとどまらず、プレゼンテーションに関しても、よかった点、工夫が必要と思われる点、講師からの提案など、全般にわたる講評をいただいた。
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パソコン教室でのデータの取り込み作業風景

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・ ガラス素材や製品の特性、産業について理解
ガラス産業とその製品、リサイクル、さらに従来の枠を超えて新しい分野で進化し続けるガラスの未来への展望について学習し、日常的に使用しているガラス製品の製造過程と環境負荷の関係を理解するとともに、産業界の具体的な環境への取組みの理解を深めた。
家庭内のガラス製品から地球規模の環境問題に目を向け、自分たちの豊かな生活と環境負荷の関わりに着目した。
・ 自分たちに密接に関係している環境問題への認識と行動できる意識の醸成
ごみ問題、地球温暖化、環境ホルモンなど、環境問題と関連させながらガラスの優位性を理解し、生活と密接につながる問題として、自ら考え行動する消費者としての意識を喚起した。
・ ITなどを活用したプレゼンテーション能力の向上
筑波大学附属坂戸高校では、1年生の年度始めの自己紹介をパワーポイントで行っていることから、最後の授業の研究発表は、グループごとにわかれてパワーポイントにより発表することとした。パワーポイントでのテキスト打ち込み、画像の掲載、アニメーション機能の活用など、IT機器の利用において基礎になるリテラシーの向上を大幅に図ることができた。また、技術面だけでなく、レイアウトや背景画、配色など、見やすさとしての工夫を凝らした演出をしており、期待以上の成果があった。
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発表資料
<1年A組の生徒によるパワーポイント画面>
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実施場所 |
筑波大学附属坂戸高校 コンピュータ室および1年A組教室
日本山村硝子東京工場 |
使用した機器 |
デスクトップPC、プロジェクター、ビデオデッキ、スクリーン |
教材タイトル |
ガラス産業からみる環境と未来 |
教材仕様 |
Microsoft(R)PowerPoint(R) 37画面
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教材概要 |
身近な素材である「ガラス」について、その組成・特徴、ガラス産業の推移や企業の環境負荷低減のための技術開発やリサイクルの取り組みなどについて、5つの項目で展開。画像やグラフイラストのヴィジュアル資料として講義の補完をし、それぞれのスライドにはノートがつけられ、講義のポイントを記載。
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教材タイトル |
未来を拓くガラス産業〜ガラスの先端技術〜 |
教材仕様 |
VHS ビデオ 約10分 |
教材概要 |
あらゆる分野で活用され、開発が続けられる高機能化ガラスと、ナノテクノロジーとの融合により従来の枠を超えて進化しつづけるガラスが拓く未来への展望を紹介。
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教材タイトル |
ガラスの環境探偵団 |
教材仕様 |
HTMLデータ 5画面 |
教材概要 |
ガラス産業連合会ホームページ内にあるガラス環境貢献度測定コンテンツ。自分とガラスの関わり、家庭で使用しているガラスの環境負荷の度合いの目安が測れ、実感できるコンテンツ。
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教材タイトル |
ガラスの画像集 |
教材仕様 |
HTMLデータ 90画面 |
教材概要 |
ガラス産業連合会ホームページ内に構築されたガラス関連画像集。12のジャンルに別れ、それぞれ複数枚収納。
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所 属 |
氏 名 |
授業での説明 |
ガラス産業連合会 (日本山村硝子) |
黒田良一
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講師 |
ガラス産業連合会
(日本山村硝子) |
瀬戸邦秀
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工場見学担当 |
ガラス産業連合会 |
宮本雅子
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IT活用指導 |
株式会社NHKソフトウェア |
長江俊介
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IT活用指導 |
株式会社NHKソフトウェア |
高野二美
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IT活用指導、授業調整 |
■授業実施者
(産業界講師)から |
- 今回、「産業理解」に関する授業を高校で行っていることを知った。今後は資料提供、工場見学の受入、講師派遣など、産業界が積極的に行っていけると良い。
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■担任から |
- 生徒たちに、学校における学習と実社会を結びつけてイメージしてもらうことが重要であり、そのためには産学連携はきわめて有意義であると思う。
- 産学の連携は重要であり、インターネット環境などを利用して、連絡を密にしていけると良い。
- 今後も学校の内部だけではなく、広く社会の刺激を取り入れていきたい。生徒にも授業だけでなく、いろいろな知識や経験を積んで欲しい。
- 学校教育にもっとゆとりがあり、企業が教育にもっと門戸を開き、連携していけると良い。
- クラス単位ではなく、少人数のグループ単位で行えるとより効果的である。
- 産業界の新しい技術や情報を聞き、現場の方の話を聞けるのは貴重な体験だった。
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■生徒から |
- 今まではガラスというものがあまりに身近すぎて、見のがしがちだったけど、今回の授業を受けて、自分の飲んだものの入っていたビンがどんなビンなのかを見てみたりするようになった。 断熱材など、見えないところにかくれていたことも知ることができた。
- 道路、アスファルトにガラスがあるのかを見るようになった。
- ガラスびんの作られ方を間近で見れた。ガラスの種類(ワンウェイビンなど)がわかった。
- 思わぬ所にガラスがつかわれていて驚いた。例えば光ファイバーなんかは聞いたことしかなかったから印象に残った。
- リターナルビンの話をきいたので、リサイクルに積極的に協力していきたいと思います。ビンのふたやラベルをはずしたりと、細かい所にも気を付けたいです。
- リユースする。環境を意識する。埋め立て地が増えるいきおいを少しでもくい止めるため、ガラスに注目してみる。
- もっとガラスのことを調べて、どんなことをしたら環境のためになるのかとか、もっと知識をつけることから始め、それから、自分がどうするべきかを考えたいと思う。ガラスは環境によいというように、他にも環境にやさしいものはたくさんあるはずなので、それらを 自分の生活にいかしながら生きていきたい。
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■教育関係の立場から |
- 日常余り意識しないで使っている「ガラス」というものに目を向けてもらう良いきっかけになったと思う。
- 短期間で成果を求めず、継続していくことが重要だと思う。
- 既成のものを与えられる社会の中で、さわる、つくるなどの機会を増やし、実体験や創作の楽しさを経験していって欲しい。
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