産業界との協力授業
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新宿区立大久保中学校
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実践事例
ガラス産業からみる環境と未来
実施した教育機関・生徒数・実施日
■新宿区立大久保中学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第1学年 2クラス 44名 平成15年12月5日、10日、12日 200分

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実施した教科・単元
学年 教科名 単元
第1学年 技術家庭 技術分野A 「技術とものづくり」(1)イ技術環境・エネルギー、資源の関係

学年 教科名 単元
第1学年 技術家庭 家庭分野B 「家族と家庭生活」(4)イ自分の生活が環境に与える影響

学年 教科名 単元
第1学年 社会 公民 (2) ア私たちの生活と経済


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主催した教育機関
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授業概要
  私たちの日常生活は様々な素材に囲まれている。その中のひとつ、身近で不可欠な「ガラス」という素材。今回の授業では、ガラス産業とその製品、そしてリサイクルについて学習する。日常的に使用しているガラス製品の製造過程と環境負荷の関係を理解するとともに、企業の考える「持続可能な生産」にも着目する。授業は、技術家庭技術分野A「技術とものづくり」(1)イ技術と環境・エネルギー、資源の関係/技術家庭家庭分野B「家族と家庭生活」(4)イ自分の生活が環境に与える影響/社会公民(2)ア私たちの生活と経済にリンクするものとし、今後産業界と中学校の交流授業に有用な授業内容およびIT教材を構築する。
  さらに、ガラスびんのリサイクル関連について問合せの多い中学校にも汎用性を広げるため、中学校第1学年を対象に、環境面に比重を置いたより平易なカリキュラムも併せて実施する。
  ガラスの製造及びリサイクルについて、専門家が生徒に向けてわかりやすく解説し、家庭内のガラス製品から地球規模の環境問題に目を向け、自分たちの豊かな生活と環境負荷の関わりを学習する。さらにガラス工芸を体験しながらガラスに触れることで、環境負荷の少ないガラスという素材について理解を深めていく。
  ガラス産業連合会の事務局が内容に応じて人選し、派遣要請を受けた傘下の各団体及びその構成企業の社会人講師が行う。職業意識を育む初期段階で産業界の講師による授業を受けることで、産業と環境について自ら考え、実りある職業観を確立する一助としたい。
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授業のねらい
・ 認知的目標:授業をきっかけに、ガラス素材や製品、環境問題について関心をもち、授業に取組むことができる。
・ 情意的目標:ガラス素材の特性やリサイクル、地球環境の大切さを理解し、日常生活の中で行動に結びつけることができる。
・ 技術的目標:講師の職業に関係したギヤマン彫りの加工ができる。
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授業内容
実施単位 テーマ
1回目 ガラスの組成・特徴・企業の環境への取り組み

実施場所 新宿区立大久保中学校
コンピュータ室
実施時間 100分
講師 ガラス産業連合会 中井日出海
(日本板硝子株式会社)
使用教材 Microsoft(R)PowerPoint(R), VHSビデオ, Webコンテンツ, ワークシート

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
身近に存在するが故に改めて目を向けることの少ない「ガラス」という素材に関心を向けるため、第1回目の授業に先立ち、宿題を出す。ガラスそのものへの理解を深めたあと、産業や環境への取り組み、流通や消費者の役割と、テーマを拡げていった。 講義の補完として、パワーポイントやビデオ、Webへのアクセスにより理解を促すツールを活用。
様々なガラス製品や原料、カレットなど実物も多数教室に展示し、生徒に実物に触れ、実感できる状況をつくった。

■内容
事前に出した宿題:
  @ 自宅にあるガラス製品の種類とその数を書き出してみよう。
  A 宿題1以外で、知っているガラス製品を書き出してみよう。
により、ガラスについて知っていることの発言を求めた。その答えを踏まえてガラスが活用されている分野を紹介。


講師の説明の際には、画像やグラフ、しくみ図などのビジュアル資料を示しながら理解を促した。また、体験実験として強化ガラスの上から鉄球を落とす強度実験、防犯ガラスを金槌で叩かせる破壊実験、電源のON、OFFでガラスが不透明になる調光ガラスの瞬時変化、CO2排出抑制に貢献する複層ガラスや真空ガラスの断熱効果体感などを生徒と共に行い、講義と体感実験、ビデオの視聴を織り込みながら進行した。

コンピューター室

展示写真


実施単位 テーマ
2回目 ギヤマン彫り体験

実施場所 新宿区立大久保中学校
実施時間 100分
講師 ガラス産業連合会
上松敏明
使用教材 ワークシート(A4版)

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
  1回目の授業でガラスについての知識と関心を深め、2回目ではガラス工芸を体験しながらガラスに触れることで、環境負荷の少ないガラスという素材について理解を深めていく。

■内容
ガラス産業界に長く従事し、現代ガラスの博物館(現在閉鎖)で多くの人にギヤマン彫りを指導してきた講師が、今までの経験を交えて自己紹介。
1回目の授業の講義の中から、特にリサイクルについて振り返りをし、工芸分野でもガラスがリサイクルして活用されている例を実物を示しながら解説。
ギヤマン彫り体験に先立ち、名前の由来や親しまれてきた歴史、工具(ルーター)のしくみと使い方、彫りを施す際の注意事項を説明。
まず、ルーターに慣れるため、練習用の板ガラスを使って試し彫りを行い、作品製作にとりかかる。
デザインの描き起こし、またはサンプルデザインから描き起こし、平皿または板ガラスに裏面から彫りを開始。平面ガラスは、裏面からの彫りとなるため、逆版で彫るが、間違えて表のまま彫ってしまった生徒もいたが、うまく手を加えて修正するなど、様々な工夫を凝らしながら仕上げていた。平面ものへの掘りが完成次第、角びん、プリズム、ミニボトルなど、用意されたガラス素材から好きなものを選び作品を製作。2時間の時間の中で、ほとんどの生徒が休み時間もとらずに製作に取り組んだ。

制作風景

制作風景



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授業の成果
・ ガラス素材や製品の特性を理解
  ガラス産業とその製品、リサイクルについて学習し、日常的に使用しているガラス製品の製造過程と環境負荷の関係を理解するとともに、産業界の具体的な環境への取組みの理解を深めた。
  家庭内のガラス製品から地球規模の環境問題に目を向け、自分たちの豊かな生活と環境負荷の関わりに着目した。

・ 自分たちに密接に関係している環境問題への認識と行動できる意識の醸成
  ごみ問題、地球温暖化、環境ホルモンなどエネルギーにかかわる環境問題を理解した上で、生活と密接につながる環境問題やその対策などを学んだ。

・ ITを活用し、インターネットに慣れる
  ガラス産業連合会ホームページ内に構築したWebコンテンツへアクセスし、家庭で使われているガラスとリサイクルについての行動を判定する打ち込みをしたが、ホームページへのアクセスや打ち込みのリテラシーを向上させる点で、能力の向上が図られた。

・ ガラス工芸を通してガラス素材に親しむ
  ガラス工芸を体験しながらガラスに触れることで、環境負荷の少ないガラスという素材について、理解を深めた。ギヤマン彫り体験に先立ち、講師から工芸分野でのガラスのリサイクルの解説に、1回目の授業で学習した行政、企業活動でのリサイクルのしくみとは別に、工芸分野でも活用されるリサイクルについても理解の幅を広げた。ギヤマンの名前の由来、ギヤマン彫りの作品の鑑賞、工具使用の注意のあとに行ったギヤマン彫り体験では、デザインから彫りの工程を、時間の配分を考えながら、工夫して世界に一つだけの作品を完成させたことに満足を覚えた生徒が目立った。


発表資料

<1年A組の生徒の作品>

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実施環境
実施場所 新宿区立大久保中学校 コンピューター室および木工室
使用した機器 ・デスクトップPC ・プロジェクター ・ビデオデッキ ・スクリーン

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使用教材
教材タイトル ガラス産業からみる環境と未来
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R) 23画面
教材概要 身近な素材である「ガラス」について、その組成・特徴、ガラス産業の推移や企業の環境負荷低減のための技術開発やリサイクルの取り組みなどについて、5つの項目で展開。画像やグラフイラストのヴィジュアル資料として講義の補完をし、それぞれのスライドにはノートがつけられ、講義のポイントを記載。

教材タイトル ガラスの環境探偵団
教材仕様 HTMLデータ 5画面
教材概要 ガラス産業連合会ホームページ内にあるガラス環境貢献度測定コンテンツ。自分とガラスの関わり、家庭で使用しているガラスの環境負荷の度合いの目安が測れ、実感できるコンテンツ。


教材タイトル ガラスの画像集
教材仕様 HTMLデータ 90画面
教材概要 ガラス産業連合会ホームページ内に構築されたガラス関連画像集。12のジャンルに別れ、それぞれ複数枚収納。

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授業協力メンバー
所 属 氏 名 授業での説明
ガラス産業連合会
(日本板硝子株式会社)
中井日出海
講師
ガラス産業連合会 上松敏明
講師
ガラス産業連合会 宮本雅子
IT活用指導
株式会社NHKソフトウェア 長江俊介
IT活用指導
株式会社NHKソフトウェア 高野二美
IT活用指導、授業調整

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授業の感想
■授業実施者
 (産業界講師)から
  • 今後企業と学校との連携を改善するためには、実際の授業を重ねてそれを通して相互に理解を深めていく。
  • 強化ガラス、防犯ガラス、真空ガラス、調光(液晶)ガラスなどの実物を見せ、性能を体感させることができた。
  • 企業と学校の直接的交流は容易ではない。例えば工場見学を受け入れたとしても、単に見てもらうだけでは思いが伝わらない場合が多い。今回のプロジェクトのように、授業のコンテンツについて、事前に打合せを重ねることで、伝えたい点、伝えて欲しい点がクリアになる、そういう意味ではコ−ディネーターの存在が重要。
■担任から
  • 防犯ガラスや強化ガラス、ガラス繊維でつくられている断熱材などを実際に見せながら、ガラスはいろいろな場所に使われていることや、室内の温度をある一定温度に保つことができるということ。
  • 色別に分けて回収されたガラスびんがリサイクルされる工程を見ること よって、ガラスの再利用の多いことを知ったこと。
  • ギヤマン彫りの由来の説明があって、関心をもつことができた。
  • ギヤマン彫りを行う際の諸注意があり、安全面での指導があった。
  • デザインサンプルが豊富にあり、生徒が意欲的に学習する準備ができていた。
  • 企業からの講師を受け入れた授業については、年間指導計画に入れて実施したいと考えているが、学校側と企業側との時間調整が非常に難しいので実施できないと思っている。
■生徒から
    〈講義〉
  • ガラスといってもいろんな種類があってとてもおもしろかった。
  • ガラスの原料は砂というのを、初めて知った。
  • ガラスもちゃんと断熱できるガラスがあったので、ビックリしました。
  • 割れないお皿と丸い大きな鉄の玉をガラスに落としたのはビックリした!
  • 省資源・省エネルギー・CO2の削減、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進、ゴミを出さないようにする。特に、「ゴミを出さない」ように気をつける!

    〈ギヤマン彫り〉
  • テクニックより自分で最初から最後までするという心が大切だということがわかった。
  • ちょっとした身の周りにあるガラスで、いろんな、すごいものがつくれるとわかったこと。
  • ガラスには、ダイヤモンドで簡単にキズがつくことがわかった。
  • プリズムの反射が面白い。ギヤマン彫りができるようになった。
  • ギヤマン彫りのデザインや、彫り方、ガラスには楽しみ方がたくさんあることガラス工芸のおもしろいところ。
  • 商品にはならないようなガラスでも、実は使い道がたくさんあること。
■教育関係の立場から
  • ガラスと環境とが直接結びつくイメージは通常持ちにくいかと思いますが、VTR、講師の説明である程度の理解はできたのではないでしょうか。
  • ガラスびんの回収などに努めれば環境にも良いということを、生徒たちは認識したのではないでしょうか。 今以上に成果をあげるためには、日常生活の中でのリサイクル(ゴミの分別と同様にびんガラスも今まで捨てていたものをリサイクルに出すようにするなど)を行っていくこと。
  • 認知的目標に対して、体験、実験を通して印象づけたと思う。回数を増やせたらなお良い。

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