産業界との協力授業
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実践事例
日本のロケット開発
〜航空宇宙工業にみるものづくり〜
実施した教育機関・生徒数・実施日
■愛知県立佐織工業高等学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第3学年 1クラス 32名 平成15年11月20日、25日、27日 320分

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実施した教科・単元
学年 教科名 単元
第3学年 機械科 総合的な学習の時間(課題研究) 機械科3学年の必須科目「総合的な学習の時間(課題研究)〜地域の産業を学ぶ〜」において、中部地区の航空宇宙工業を取り上げ、世界トップレベルの技術力やその発展を支えるチャレンジ精神等をテーマとして、生徒の職業観、勤労観を養う。

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主催した教育機関
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授業概要
  中部地区は全国でも航空宇宙分野の研究・開発施設がたいへん豊富な地域であり、日本の航空宇宙工業の発展過程において重要な役割を担ってきた。とりわけ航空機やロケット開発においては世界トップレベルの技術力を誇り、現在も日本の航空宇宙工業の中心として活躍している。
  本授業は当地域の航空宇宙工業の代表として三菱重工業株式会社の協力を仰ぎ、「航空宇宙工業」激動の歴史とそれを乗り切ってきた先人達のチャレンジ精神、またその精神を現在に継承し、世界最高水準の航空機やロケットの開発に取り組む姿勢を、ITを活用した効果的手法と実地学習により学習・体験する。
  授業は工場見学を中心とした事前・体験・事後の流れを計4回にわたり実施する。
  1回目の授業は事前学習として、航空宇宙工業について、また工場を見学する三菱重工業 名古屋航空宇宙システム製作所について、Web教材による調べ学習をおこなう。このWeb教材は、航空宇宙工業の激動の歴史とその産業をリードしてきた三菱重工業の先人達の偉業をストーリー化したもので、動画や音声を駆使してわかりやすく理解させる。
  2回目の授業は体験学習として、機密性が高く、一般はおろか社員ですら入場が制限されている三菱重工業の飛島工場を訪問し、ロケットと航空機の開発現場を見学する。見学は複数のグループに分かれ、生徒と比較的年齢の近いロケット開発スタッフと航空機開発スタッフのガイドにより、ロケットや航空機がどのように組立てられ、それらが社会にどのようなかたちで貢献しているかを学習する。
  3回目の授業は事後学習の一貫として、工場見学でガイドしていただいたスタッフを学校に招き、働くことの充実感や辛いこと、苦しいことなど、身近な経験談をもとにディスカッション形式の授業をおこなう。この授業では、教材や工場見学だけでは伝えにくい、仕事のポリシー・創意工夫・情熱などのものづくりの思いを伝えることにより、働くこと、仕事とは何かを考えさせることをねらいである。説明の中で、言葉で伝わりづらい部分や、イメージがあるとより理解しやすい部分においては、グラフや写真、動画等を用いたIT教材を活用し、生徒の理解を促す。
  この一連の授業を通して、生徒自身の将来の進路について、また働くことはどういうことかを、航空宇宙工業のノウハウとIT教材を用いて、考えさせる内容とする。
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授業のねらい
  この一連の授業のねらいは、生徒たちが地域の産業を知り、またそこで働く人々に触れることで、授業実施校における学習指導要領に基づく「総合的な学習の時間(課題研究)」で必要とされている「学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て、自己の在り方生き方を考えることができるようにすること」を産業界(三菱重工業株式会社 航空宇宙システム製作所)のノウハウを効果的手法(web教材等)に基づいて活用することにより図ることである。
  当校においては授業の対象が、就職先が決まっている高校3年生であることから、三菱重工業における先人達のチャレンジ精神やものづくりに取り組む姿勢などを通じて、社会人としての規律や仕事に取り組む姿勢、やりがいなどを各自が感じとり、将来の自己の勤労観に活かしていくことをねらいとしている。

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授業内容
実施単位 テーマ
第一回授業 事前学習〜航空宇宙工業の歴史と三菱重工業株式会社を知る〜

実施場所 佐織工業高等学校 PC教室 実施時間 100分
講師 佐織工業高等学校 教員 使用教材 Web教材(インターネット)
三菱重工業の会社案内パンフレット

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
  事前学習としての位置付けとなる本授業では、翌週に控えた工場見学の予備知識習得を目的に、航空宇宙工業の歴史と三菱重工業について、パンフレットやweb教材を用いた調べ学習をおこなった。
  進行は、はじめに教師がパンフレットを用いて、三菱重工業について10分程度の説明をおこなった。
  続いて航空宇宙工業発展の歴史と先人の創意工夫をストーリー化したweb教材を使って各自調べ学習をおこなった。これに併せてweb教材に添った内容のワークシートを配布し、調べた内容を記入させた。

■内容
・ 三菱重工業株式会社の会社案内パンフレット
・ web教材「航空宇宙工業の歩み」・・・航空宇宙工業発展の歴史とそこに生きる先人の創意工夫・情熱

プロジェクターを使った
プロジェクターを使った操作説明風景

Web教材での
Web教材での調べ学習風景

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実施単位 テーマ
第二回授業 体験学習〜ロケットと航空機の組立工場を訪問〜

実施場所 三菱重工業株式会社
名古屋航空宇宙システム製作所 飛鳥工場
実施時間 120分
講師 三菱重工業株式会社
名古屋航空宇宙工業製作所
航空機・ロケット開発スタッフ
使用教材 ビデオ 〜大空への挑戦〜
(三菱重工業支給)

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
  本事業のメインとなる体験学習授業として、三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所の飛島工場を訪問し、ロケットや航空機の組立スタッフによるガイドのもと、工場を見学した。
  はじめに講堂でビデオ鑑賞をおこない、飛島工場で作られているロケットや航空機について理解した。
   次に航空機の組立工場を見学し、国際分業をおこなっている航空機製造において三菱重工がどのような役割を担っているかの説明をうけた。
  続いてロケットの組立工場を見学し、打ち上げを来年に控えたH-2IIAロケットの組立行程とその役割等を学んだ。
  最後に産業界講師を交え、グループで質疑応答を含めたディスカッションをおこなった。

■内容
@ビデオ鑑賞〜大空への挑戦〜
  工場見学のポイントをビデオで予習
A航空機の組立現場を見学しよう 
  B777やグローバルエクスプレスの組立現場を見学
Bロケットの組立現場を見学しよう
  H-IIAロケットをはじめとする宇宙機器の組立作業を見学
C質疑応答
  別室に集合し、組立スタッフに質問をする。

ビデオ鑑賞
ビデオ鑑賞及び説明風景

ロケットの組立工場での
ロケットの組立工場での説明風景

ロケットの組立工場での見学風景
ロケットの組立工場での見学風景

航空機の組立工場にて説明を受ける
航空機の組立工場にて説明を受ける

ディスカッション風景
ディスカッション風景


実施単位 テーマ
第三回授業 事後学習 産業界講師授業「働くこと、仕事とは?」

実施場所 佐織工業高等学校 教室 実施時間 100分
講師 三菱重工業株式会
名古屋航空宇宙システム製作所
総務部 総務課社員 1名 飛鳥工場 組立スタッフ2名
使用教材 Microsoft(R)PowerPoint(R) ファイルドキュメント

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
  第3回授業は、生徒に比較的年齢が近い三菱重工業の講師を学校に招き、パワーポイントを使った講義を実施した。話題の中心となるのは技術的な話ではなく、あくまで仕事、働くことをテーマにお話いただいた。
  内容は、まず総務部のスタッフによる三菱重工全体の業務についての説明の後、航空機開発スタッフとロケット開発スタッフがそれぞれの仕事についての講義をうけた。
  産業界講師はパワーポイント教材や業務で使う小道具等を使いながら、入社のきっかけや、ものづくりへの思い、やりがい、こだわりなどを講義した後、20分程度の質疑応答とディスカッションをおこなった。

■内容
1.三菱重工の仕事
2.どんな仕事してる? 〜民間機造編〜
  プロフィール、一日のスケジュール、
  海外での業務経験 他
3.どんな仕事してる?〜宇宙機器製造編〜
  プロフィール、一日のスケジュール、
  種子島宇宙開発センターでの
  ロケット打ち上げ業務 他
4.質疑応答 〜学生時代編
5.質疑応答 〜社会人編
6.ディスカッション

総務課社員による
総務課社員による三菱重工業についての講義

講義を聞く生徒
講義を聞く生徒

航空機組立スタッフと
航空機組立スタッフとのディスカッション風景



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授業の成果
  先行しておこなった岩倉総合高等学校での取り組みに対し、この佐織工業高等学校での取り組みでは、対象が3年生であること、そして工業高校においての取り組みであること、の2点が大きな相違点として挙げられる。授業の進行面では基本的に岩倉総合高校と変わりないが、内容面でより技術的な話に比重を置き、さらにほぼ進路が決まっている3年生に合せて内容を調整した。
  一連の授業の中で佐織工業高等学校の生徒が大きな関心を寄せたのは、工場見学だった。普段生徒が実習で使っている工作用の機械、しかもそれの数倍は大きく、複雑な構造の機械が大きな音をたてて航空機の一部を組立てている状況に深く関心を示し、作業スタッフの話を真剣に聞いている姿が印象的だった。またその一方でロケットや航空機は意外と人の手で作られている部分が多いことなどを知り、感心している様子だった。また、どうしても専門的になりがちな作業スタッフの話も、岩倉総合高校の生徒に比べて、かなり理解していたようだった。授業のそもそもの題材がものづくり産業であることから考えても、今回の内容は特に工業高校の生徒にマッチしているという印象をもった。
  それに対し高校3年生を対象にしたことは、賛否両論であった。内容は3年生向きにアレンジしたものの、今回授業に参加した3年生のほとんどは進路が決定しており、進路決定を控えた岩倉総合高等学校の生徒に比べると、授業への関心が低かったようにも感じた。今回の授業の主旨を考慮すると、進路決定を控えた高校2年生以下が適切との意見もあり、今後の課題となった。
  しかし、3回目の授業では、岩倉総合高等学校と同様に講師の熱意が生徒に伝わり、大変活気のあるものとなった。教師が「普段学校では見せないような顔を垣間見ることができた」とつぶやいたくらいに、生徒は講師の仕事へのこだわりややりがい、また社会人としての経験談などを聞いて大きく感銘を受けた様子だった。特に授業の最後に実施したディスカッションでは様々な質問が飛び交い、大いに盛り上がった。
  この一連の授業の様子から、例え講師が自分達の進路とは異なる業界であっても、社会人としての規律や姿勢はみな共通であるというメッセージは生徒に伝わっていたように感じる。これから社会に出る3年生が、将来社会人になったときにこの授業のことを思い返すようであれば、目的は達成したといえるだろう。

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実施環境
実施場所 第一回:愛知県立佐織工業高等学校 パソコン教室
第二回:三菱重工業 名古屋航空宇宙システム製作所 大口工場
第三回:愛知県立佐織工業高等学校 教室
使用した機器 第一回:デスクトップPC(1人につき1台)、ノートPC、プロジェクター、スクリーン
第二回:なし
第三回:ノートPC、プロジェクター、スクリーン
その他 第一回:三菱重工業株式会社 会社案内パンフレット
第二回:航空機やロケットの部品、模型等

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使用教材
教材タイトル 調べ学習用web教材「航空宇宙工業の歩み」
教材仕様 Html、Macromedia Flash
教材概要 航空宇宙工業発展の歴史とそれに携わった先人の創意工夫をストーリー化。ストーリーはナレーションで進行され、各シーンに合せて写真やイラストが自動的に展開される。各3分程度のストーリー9話とそれを深く理解するための50を超える補足情報により、生徒の興味・関心に合せた調べ学習をサポート。

教材タイトル 講師プレゼンテーション 補助教材「働くこと、仕事とは」
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R) ファイルドキュメント
教材概要 講師の出勤から帰社までを写真とともに綴った一日のスケジュールや講師の仕事におけるやりがいや苦労話を写真やイメージイラスト、動画等により補足し、講師の説明を分かりやすくサポートする。

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授業協力メンバー
所 属 授業での説明
三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所 
総務部 総務課
講師
三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所 
組立二課
講師
三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所 
組立三課
講師

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授業の感想
■授業実施者
 (産業界講師)から
  • 企業が学校で授業をおこなうにあたり、派遣講師の実業務に支障があるようでは継続は難しいので、いかに講師に負担がかからないように準備をすすめられるかが重要。
  • 生徒と有意義なコミュニケーションが図れた。講師のプレゼンテーションテクニックを磨くにも良い機会。
■担任の先生から
  • 就職を控えた生徒にとっては、自身を見直す良い機会となった。
  • 工場見学のみはこれまでも行なってきたが、それを事前に調べ、さらに翌週事後学習ができるといったシステムは初めてで、効果が高いと思う。
  • 生徒が普段学校で見せたことのないような一面を垣間見る事ができ、大変有意義だった。
■生徒から
  • 社会に出ても勉強はしなきゃいけないことが分かった。
  • 飛行機一機作るのに、すごく大変だなぁと思った。
  • 旅客機を作るのは、ほとんど手作業だということが分かった。
  • 飛行機のことは良く知っていると思ったが、全く分からない事だらけで飛行機を知らない自分を知った。
■教育関係の立場から
  • このような取り組みは生徒が自分の将来を考える上で良い機会となるため、ぜひ続けてほしい。
  • 授業の主旨から考えると、就職が決まっている3年生より、2年生以下の生徒に実施した方が効果が大きいのでは。
■授業情報提供者から
  • 上記にあるように、学年の選定は、今回の授業の主旨を考慮し、進路が決まっている3年生より、これから進路選択をおこなう2年生以下にしたほうが効果は大きいと感じた。
  • ものづくりをテーマとした今回の授業は、工業高校の生徒にマッチしていると感じた。

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