産業界との協力授業
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神戸市立六甲小学校
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実践事例
私たちのくらしと食料生産
食農・食育ー環体験学習
実施した教育機関・生徒数・実施日
■神戸市立六甲小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第5学年 2クラス 57名 平成15年9月18日10月1日、11月21日、12月12日、
平成16年1月13日、15日、17日
990分

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実施した教科・単元
■神戸市立六甲小学校
学年 教科名 単元
第5学年 総合的な学習の時間 私たちのくらしと食料生産

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主催した教育機関
神戸市教育委員会
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授業概要
 小学校5年社会科において、「私たちの生活と食料生産」として米作りを中心に日本の農業の大切さを理解することが学習目標としてあげられている。本授業では、農産物の生産から販売・消費まで の一連の流れを学習し、収穫した食料の調理や販売体験を通して、生産事業の大切さを実感した生きた金銭教育を推進していくことを目標とする。
 授業は、@栽培学習A育て方学習B調理実習C流通学習(お店探検)D販売体験学習Eまとめ学習のカリキュラムで構成されており、約4ヵ月間を使って一連の学習を行う。 農産物の生産の題材には、キャベツを選びその栽培方法を実際の苗を持ち込み、害虫や病気の防除に対しては実際に学習園で防除体験を実施、収穫前には現地の畑で育ったキャベツを持ち込み実際 に鎌を使った収穫方法を実演し、学習園でも収穫体験練習を行って授業に理解と興味を促すように体験を中心とした授業と、パワーポイントによる分かりやすい教材を使用した座学授業を行う。 また座学授業においては、一過性の授業にならぬよう授業内容を記述できる参考資料付のプリントも制作して配布。
 児童は、苦労をして栽培したキャベツを販売するにあたり、食生活の重要性を知るために食育学習として調理実習に臨み、食材を知って料理をする理由や、キャベツの味や利用の仕方を学び、また お店へ出向いてキャベツなどの野菜がどのように売られているかを探検することで、自分たちが販売体験する際の販売戦略を組み立てることを学びます。 その体験と思考を通じて、食料生産の大切さや、生産、流通、販売などのたくさんの人々は働きがあって自分たちの食生活が支えられていることに気付かせる内容とする。 また、生きた金銭教育の推進する上で、販売体験を通じて金銭管理を学び、売り上げ収益金の使途を児童たち自身が考え、一連の学習を振り返った感想文を書くなどしてまとめ学習に望む内容とする。

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授業のねらい
 "食の安全性"や偏食・欠食・個食などの要因から"食育教育"の重要性が謳われる現状に対し、「いのち」を育む産業である農業体験を通じて、「生きる力」を育む教育を実践することが、「総合的な学習の時間」の目的でもあると認識し、「食」と「農」を通じ、 くらしの中で食料がどのように生産され、流通し、販売されて自分たちの食卓に届いているかを身近な題材を通して一環して体験することで、そこで働く人々の仕事の内容や工夫なども知り、日々のくらしの中での営みを経験し、 自分たちの食生活が様々な働く人の協力で支えられていることに気付かせる内容とし、販売体験を通じて生きた金銭教育をも推進することで、自ら学び、考え、学習するカリキュラムとして本授業を実施。

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授業内容
実施単位 テーマ
1時限目 オリエンテーションと学習園でのキャベツの植え付け体験

実施場所 神戸市立六甲小学校多目的ホール&学校内学習園
実施時間 90分(1回)
講師・キャベツ生産農家代表
 藤原昌之
・JA兵庫六甲神戸西営農総合センター
 松井紀之
・学びのネットワーク
 谷前良治(元JA職員)
使用教材 ・Microsoft(R)PowerPoint(R)、スライドショー、
・プリント、学習用作戦シート(A3版)

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
 ・9月中旬より1月中旬までの約4ヵ月の間 @栽培学習A育て方学習B調理実習Cお店探検(流通学習)D販売体験学習と、キャベツという食料を題材に、くらしの中で食料がどのように生産され、流通し、販売さ れて自分たちの食卓に届いているかをキャベツという身近な題材を通して一環して体験することで、その食料に携わって働く人々の仕事の内容や工夫なども知り、日々の くらしの中での営みを経験し、自分たちの食生活が様々な働く人の協力で支えられていることに気付く学習として、また、販売体験を通じて生きた金銭教育をも学ぶ場と することを目的に行う本授業の全体の流れを、児童に「学習作戦シート」を使って簡単に説明する。(15分程度)
 ・ 題材としてのキャベツのことをよく知るために「スライドショー」を用いて、原産地や原種の話、キャベツの仲間や種類の話など、また、神戸市における生産量などを説明する。(35分程度)
 ・実際のキャベツの苗を持ち込み、児童に触 れてもらい、その後その苗を使用して実際 に学習園で、「植え付け体験」を実施。 (40分程度)

■内容
・ 「学習用作戦シート」を配り、今回の授業 計画の流れを児童に説明する。

 @栽培学習(9月中旬〜1月中旬まで)
 JA兵庫六甲と神戸のキャベツ生産農家の藤原さんから苗を分けて頂き、学習園に植え付けし、栽培を行うことを説明。

 A育て方学習(9月中旬〜1月中旬)
 学習園の生育のようすを観察しながら、育て方に対する疑問や発見をインターネットや図書館の本などを使って調べてみたりする学習であることを説明。生産農家やJAの方に実際に学習園に視察に来て頂き、自分たちが育てていく上で、聞きたいことなどを質問したり、防除の仕方などを聞き、学習園の管理で自分たちの参考にしていく自主的な学習であることも説明。

 B調理実習(12月ごろ)
 児童が育てるキャベツは、冬キャベツで、お好み焼きなどのように焼いたり煮たりする料理に使われる物が多く、サラダなどの生食用は、春キャベツと言われていることなどをキャベツの種類の説明の時に簡単に説明。また、みんながどんな料理を作りたいか考得てみるのも学習であると説明。

 Cお店探検と販売体験(1月ごろ)
 自分たちが収穫したキャベツを学校バザーで販売してみようと呼びかけ、そのために、まちのお店ではどのような売り方の工夫をして野菜を売っているのかや、どのくらいの値段で売っているのかなど、 また、野菜を買っているお客さんはどのような基準で野菜を選んで買っているのだろうか、やどんな料理に使う為に買っていくのか、などを販売体験の作戦に生かせるように、調べようと説明。

 Dまとめ学習(1月ごろ)
 学習のまとめとして、学習を通じて気付いたことや感じたことなどをまとめて発表してみようと呼びかけ、バザーで売り上げたお金の使い道などもみんなで話し合って考えてみようと説明。

 ・多目的ホールのオリエンテーション終了後 学習園にて、一人一株の苗で、生産農家やJAさんの指導の下、植え付け体験を実施。

 約4ヶ月間学習する全体の学習テーマを説明したオリエンテーションの様子
約4ヶ月間学習する全体の学習テーマを説明したオリエンテーションの様子

キャベツのことを良く知ろう!実際のキャベツの苗の紹介
キャベツのことを良く知ろう!実際のキャベツの苗の紹介。

 後で学習園に植え付ける苗を実際に手にとって見てみよう!
後で学習園に植え付ける苗を実際に手にとって見てみよう!

学習園でキャベツの苗の植え付け方をゲストティーチャーから指導して頂く
学習園でキャベツの苗の植え付け方をゲストティーチャーから指導して頂く。

苗の間隔も守ってなかなか上手に植え付けができたようです
苗の間隔も守ってなかなか上手に植え付けができたようです。

これが、児童が植え付けた苗です
これが、児童が植え付けた苗です。


実施単位 テーマ
2時限目 現地の畑でキャベツの植え付け体験学習

実施場所 神戸市西区岩岡町岩岡
実施時間 270分(1回)
講師・キャベツ生産農家代表
 藤原昌之
・JA兵庫六甲神戸西営農総合センター
 松井紀之
・学びのネットワーク
 谷前良治(元JA職員)
使用教材 なし

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
  一日を使って、児童全員と保護者有志も参加し、学習園で植えた同じキャベツの苗を使って、本物のキャベツ畑で植え付け体験を実施。
  昼食をJA兵庫六甲営農総合センターの場所を借りて行い、昼食後は、同センターの見学を実施。

■内容
 植え付け体験当日は、児童57名、保護者10名、随行教員3名が参加。

○タイムテーブルおよび行程
出発時刻:午前8時45分 学校校庭南側 道路 西向き
行程:
六甲小学校→生田川IC→阪神高速・第二神明→大久保IC(トイレ休憩)→西区岩岡町岩岡2224(現地圃場)
現地到着時刻:午前10時

    植え付け体験(一人約10本定植)

現地出発時刻:午前11時半

    →JA兵庫六甲神戸西営農総合センター(弁当昼食・昼食後見学)
センター出発時刻:午後1時過ぎ
    →大久保IC(トイレ休憩)→阪神高速・第二神明→生田川IC→六甲小学校着(14:30頃)

 まずは全員で、畑で苗を植え付ける時の注意事項を藤原さんから聞きました。
まずは全員で、畑で苗を植え付ける時の注意事項を藤原さんから聞きました。

まずは全員で、畑で苗を植え付ける時の注意事項を藤原さんから聞きました。
まずは全員で、畑で苗を植え付ける時の注意事項を藤原さんから聞きました。

 児童が心を込めて苗を植え付けました。
児童が心を込めて苗を植え付けました。



実施単位 テーマ
3時限目 キャベツの育て方の注意点を学ぼう!


実施場所 神戸市立六甲小学校多目的ホール&校内学習園
実施時間 90分(1回)
講師・キャベツ生産農家代表
 藤原昌之
・JA兵庫六甲神戸西営農総合センター
 松井紀之
・学びのネットワーク
 谷前良治(元JA職員)
使用教材 ・Microsoft(R)PowerPoint(R)、スライドショー、
・プリント、学習用作戦シート(A3版)

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
 

■内容


 キャベツを育てるために色々な疑問や調べて分かったことも出てきました。
キャベツを育てるために色々な疑問や調べて分かったことも出てきました。

発表風景

 キャベツの様子を観察



実施単位 テーマ
4時限目 「キャベツ」を使った料理をつくって見よう!


実施場所 神戸市立六甲小学校家庭科室
実施時間 90分(1回)
講師・フード計画株式会社
代表取締役 土井敏久
        松谷友子
使用教材 ・プリント、レシピ

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
  • 2クラス合同で、キャベツを使った料理を、プロの料理家に習い、作った料理を試食。
 
■内容
  • 「生きていく根源である食の大切さと楽しさ」を伝える目的で啓蒙活動を行っておられる土井敏久先生の想いは、小学生の児童にもアンケートを読む限り感動を与えており、すばらしい調理実習の場になった。
 
<アンケート抜粋>
土井先生の話で、食べる人が楽しくなるような物を作ることが大事と言っていて、そうだなぁと思った。

料理は、食べる人の健康のため、楽しくさせるためだと言うこと。

「人のために作る」というのが大切だと分かった。
 
<調理レシピ>
「ロールキャベツのスープ煮」

キャベツの葉・・・・4〜8枚
塩 少々
コショウ 少々
合いびき肉・・・・200g
玉ねぎ・・・・70g
卵・・・・S1個
小麦粉・・・・大さじ1と1/3杯
塩・・・・小さじ1/2杯
コショウ 少々
ブイヨンキューブ・・・・1個
水・・・・2カップ
刻みパセリ 少々

 料理を指導してくてる土井先生と松谷先生。
料理を指導してくてる土井先生と松谷先生。

ロールキャベツのスープ煮を作る

 いただきまぁ〜す



実施単位 テーマ
5時限目 キャベツの収穫へ向けて収穫方法を学ぼう!

実施場所 神戸市立六甲小学校多目的ホール&学校内学習園
実施時間 45分(1回)
講師・キャベツ生産農家代表
 藤原昌之
・JA兵庫六甲神戸西営農総合センター
 松井紀之
・学びのネットワーク
 谷前良治(元JA職員)
使用教材 ・Microsoft(R)PowerPoint(R)、スライドショー、

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
 ・15日の神戸市西区での収穫体験を控え、生産農家の藤原さんやJAの方に、「キャベツの収穫方法」を「スライドショー」で写真や動画を使用して説明。その後、学習園にて実際に"鎌"を使って 収穫体験を実施。

■内容
 ・収穫体験に行く神戸市西区の現地の畑のキャベツの生育状況を写真でみる。

 ・収穫に実際に使用する"押し切り鎌"を持ち込み、切れ味の鋭さを児童に実際に見せ、冗談半分でふざけたり絶対にしないことなど、怪我に対する注意を促す。

 ・"押し切り鎌"の使い方は藤原さんに実際にキャベツをホールで刈って頂いたり刈り取っている映像(動画)を何度も繰り返し児童に見せ分かりやすく説明した。

 ・現地での収穫後のキャベツの扱い方なども写真を使ってダンボール箱に詰める様子などを伝えた。

 ・講義の後、実際に学習園で藤原さんやJAの方々のサポートを受けて児童が実際に"鎌"を使って収穫体験を実施した。

 ・この日は雪が舞い降りるぐらい寒い日で児童の集中度には無理があったが、全員収穫へ向けての興味は津々で期待度の高さは充分に伝わってきた学習であった。

 キャベツの収穫の事前説明

キャベツの収穫方法

 押し切り鎌の注意

キャベツの収穫



実施単位 テーマ
6時限目 現地の畑でキャベツの収穫体験学習

実施場所 神戸市西区岩岡町岩岡
実施時間 270分(1回)
講師・キャベツ生産農家代表
 藤原昌之
・JA兵庫六甲神戸西営農総合センター
 松井紀之
・学びのネットワーク
 谷前良治(元JA職員)
使用教材 なし

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
 ・1月17日の震災の日に学校で開催する「炊き出し&学校バザー」において販売体験学習として本日収穫したキャベツを児童たちは、販売をする。 そのための販売用キャベツとして一人最低4個程度の収穫を行った。(保護者9名参加)その後、学習園にて実際に"鎌"を使って 収穫体験を実施。

■内容
・ タイムテーブルおよび行程は省略。

・ 児童は、学習園の自分たちのアオムシの被害にあった小さなキャベツとは大違いの、丸々と大きく育っている現地のキャベツ畑に驚き、初めての収穫体験に感動した。

・ 収穫には、事前学習でも学んだように専用の「押し切り鎌」を使用するため、事故等を考えて大人が必ずサポートできるように少人数の班に分けて畑に児童を入れ収穫を補助できる形で実施した。

・ 収穫したきゃべつは、児童がそれぞれ生産者である藤原さんの名前が入った"こうべ旬菜"のダンボール箱にキャベツを詰め、乗ってきた貸し切り観光バスの荷物収納庫に運びこんで学校まで持ち帰った。
 事前に我々が用意した収穫済みのキャベツと併せてこの日の収穫は780個程度となった。

 この収穫したキャベツは17日まで学校の多目的ホールに保管され、販売される。

 藤原さんから収穫の注意事項。
藤原さんから収穫の注意事項。

鎌の扱いは慎重です。
鎌の扱いは慎重です。

 こんな立派なキャベツが採れました。
こんな立派なキャベツが採れました。

保護者の方にも手伝って頂きました。
保護者の方にも手伝って頂きました。



実施単位 テーマ
7時限目 本当のお金を扱って「キャベツ」の販売体験をやってみよう!

実施場所 神戸市立六甲小学校校内
実施時間 90分(1回)
講師なし
使用教材 なし

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
 ・販売店舗の設営や販売準備に45分間。販売体験に45分間の2コマ使用し、保護者や校区内の方々にチラシを事前に配布したり、呼び込みを行い、 児童自らが値づけや店ごとの特徴となるサービスを色々なお店を「お店たんけんノート」を活用して調査やインタビューを行い、販売作戦を立ててキャベツの販売を実施。 (保護者のスクールサポーター21名)

■内容
 ・ 一環体験学習の最終章となるもっとも児童が期待し、自らの知恵を振り絞って望んだ体験授業。

 ・保護者の方々も炊き出しと販売のサポートを手伝って頂き、学校と保護者が一丸となって力を併せて今回の授業を成功させるために尽力して頂けた。

 ・児童たちの売り方の工夫に対する努力(知恵)は、くじ引きつきやタイムセールス、行商、事前予約販売など目を見張るものがあり、自ら考え課題を達成していく姿が認識できた授業。

 ・生きた金銭教育の場として、有益な本物のお金を使ったお店の運営体験を実施。

 <販売品目>
  キャベツ・・・・706個
  売上金 77,378円
  原価  66,717円
  利益  10,661円
 <炊き出し用食材1,000人分>
 ・ キャベツ
 ・ 玉ねぎ
 ・ 人参
 ・ ベーコン、ソーセージ
 ・ スープの素(ブイヨン)

 販売体験開始前の先生による注意事項説明。
販売体験開始前の先生による注意事項説明。

炊き出しは寒さを吹き飛ばしてくれた。
炊き出しは寒さを吹き飛ばしてくれた。

 金銭管理は大変でしたが良い経験になったよう。
金銭管理は大変でしたが良い経験になったよう。

校門前でお客さんを呼び込む児童。
校門前でお客さんを呼び込む児童。



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授業の成果
本授業を通して、やはり児童が印象に残ったことは調理実習と販売体験などの体験学習であった。 調理実習を通して、キャベツなどの食料が生き物であるという考えが、私たちの食生活を支える大事な農業生産物が「いのち」を育む生産業であると、「おいしく、楽しく食べる」ことを通じて結果的に認識でき、理解出来たと思われる。
栽培学習過程においては、常日頃何らかの形で学習園を使って何かを栽培している為、「水さえ誰かがやっておけば勝手に育つ」という認識している児童も多く、植え付け体験や収穫体験そのものの行為は楽しいのだが、 その過程の育て方を通じて、生長過程を観察し、おいしいキャベツを作る為にはどのような工夫をすればよいのかなど、生産農家の方々が安全・安心でおいしいキャベツを 市場に供給するために大変な苦労をされていることなどへの認識を持たせるには至らず、どのような思いで生き物である食料を生産者が丹精込めて栽培しているかということに関しては、伝えにくい面も正直あったと思われる。
多目的ホールでの授業においては、パワーポイントやプリントを使うことで、視覚的に感じ、また本物の苗や実際に収穫するキャベツを持ち込み収穫の実演をしたり、"鎌"を手にとって実際に触れたり、動画等の映像を用いてより視覚的に興味を喚起でき、何かをつかむ効果はあったと思われる。 体験学習の最後に販売体験を実施したことがこの授業を成功に導く重要な要素であり、この販売体験への児童による準備学習(お店探検含む)に、今回のすべての学習のポイントが児童の思考の中 に現れ、この学習において「食生活を支える農業生産物の重要性」、「自分たちの食卓に食料が並ぶまでにたくさんの人々が生産・流通・販売と協力し合って様々な仕事で携わっている事実の認識」、 「安全・安心でおいしい食料を食卓へ届けるために、生産・流通・販売の過程で様々な工夫がされている事実の認識」などを、児童がお客さん(保護者や近隣住民)に"販売準備"という行為を通じて色々なことを調べ、工夫を凝らしていく過程で認識することができたと思われる。 また、この販売体験がここまで児童に興味を与える要因となった一つには、「本物のお金を扱って自分たちで稼ぐ」という生きた金銭教育が教育委員会のご理解の下、実践できたことが上げられる。 全体的において、個別カリキュラム毎の実施授業におけるその都度の成果としては、まだまだカリキュラム内容を精査し、より良いものに改訂していく必要が多いにあるが、本授業の目的に掲げている「農産物の生産・販売体験を通じて、生産事業の大切さを実感し、生きた金銭教育を推進」を達成はできたといえよう。

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実施環境
実施場所 神戸市立六甲小学校 多目的ホール、家庭科調理室、学習園、体育館前、給食室前、屋外通路
使用した機器 ノートPC、プロジェクター、ビデオデッキ、スクリーン
その他 土造り用の肥料、追肥用の肥料。

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使用教材
教材タイトル 学習用作戦シート
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R)形式でプリントを作成(A3判)
教材概要 授業全体の流れ(@栽培学習、A育て方学習、B調理実習、Cお店たんけん学習、D販売学習、Eまとめ学習)を児童に認識させ、児童自らが各学習の中で、授業を通して調べたいことや実行してみたいなどの課題やテーマを見つけ、 何もかもが用意されたカリキュラムではなく自分たちが主体となって学びを発見できる授業を進める為に各自に「学習用作戦シート」として配布。

教材タイトル おいしく安心して食べられる野菜づくり
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R)形式ファイルドキュメント (38画面)
教材概要 キャベツの栽培体験から調理実習・お店探検・販売体験を通じ、生き物である食品を大切に!おいしく食べて元気に!
それは自分の生命を大切にすることであり、自分たちが暮らしている中で様々な人の手によってそれが実現している食生活を通じた 社会のライフサイクルを最終的には理解できるように学習全体の流れを理解させ、自分たちの栽培するキャベツのことを良く知り、 興味を換気するためにキャベツの歴史や仲間たち、どんな気候を好み、私たちのくらす神戸ではどのくらい生産されているかなど写真や資料を使って説明。
また栽培のためにキャベツの種から苗に育て頂いた様子や、学習園の土造りや畝づくりの植え付けの準備の様子なども写真を使用して説明。

教材タイトル キャベツの育て方の注意点を学ぼう!
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R)形式でプリントを作成(A3判)
教材概要 キャベツの育て方を学習する準備過程で、みんなが調べたことやこの授業を通して気付いたことを記入して残しておける学習プリント。
特にキャベツを育てる過程で重要となる防除について、代表的な害虫や病気を写真を挿入して掲載し、具体的に分かりやすく説明。

教材タイトル キャベツの育て方の注意点を学ぼう!
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R)形式 ファイルドキュメント(22画面)
教材概要 現地の畑で植え付けたキャベツの生育状況と、学習園のキャベツの生長過程を写真で見ながら、現在学習園において虫に食われてキャベツの葉がレース状になってしまった現状をみんなが意識統一し、 キャベツを育てる過程で、重要となる防除の仕方を、代表的な害虫や病気をスライドショーで見ながら学ぶための教材。
このスライドショーで学んだ後、実際に学習園に行き、葉を食いつくした犯人の"アオムシ"の駆除を実践するための教材として活用。

教材タイトル 収穫したキャベツのおいしい食べ方をプロに学ぼう!
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R)形式でレシピを作成(A4カラー判)
教材概要 食生活の重要性を、解りやすく伝えるために「料理は材料を理解すること」とおいしく楽しく頂くために作る相手のことを考えて調理する ことが大事な事などを土井先生から講演して頂き、このレシピを使って、キャベツを使った「ロールキャベツ」を調理するために使用。

教材タイトル お店たんけんノート
教材仕様 Microsoft(R)Word(R)形式でお店たんけんノートを作成(6ページ)
教材概要 販売体験時の販売作戦立案のネタ帳に活用できる「お店探検ノート」児童たちが近隣のスーパーやお店に出向き、それぞれの野菜売り場ではどのような工夫がなされているか、どのような価格帯で売られているかなどを調べ、 また、お店の人やお客様にもインタビューなどを実施して記入できるようにした調べ学習用ノートになっており、探検の結果を受けて作戦立案のために提案や感想を書けるページも挿入した学習ノートとして配布。

教材タイトル キャベツの収穫方法を学習しよう!
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R)形式ファイルドキュメント (11画面)
教材概要 児童に対して、いよいよ食農学習分野の仕上げとして、現地のキャベツの収穫体験を実施するため、現地のキャベツの生育状況を写真で見せ、学習園のキャベツとは違いプロのつくるキャベツの大きさなどの立派さを認識させる。
収穫の仕方に関しては、動画を使って実際に刈り取っている様子を分かりやすく見れるようにし、尚且つホールに朝取りのキャベツを外葉の付いたまま生産農家の方に持参して頂き、児童の前で実際に刃物(鎌)を使って、後で学習園で実際の刈り取りを児童に実施させるため刈り取る様子を見れるよう分かりやすく説明。
尚、スライドの最後には収穫したキャベツを児童が販売体験用に学校へ持ち帰るため、通常生産農家が集荷用に"こうべ旬菜" マークの入ったダンボール箱に梱包して集荷するのと同様に、収穫後は、自分たちでダンボールに梱包することを理解させるために、生産農家が梱包して集荷している状況を写真で説明。

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授業協力メンバー
所 属 氏 名 授業での説明
生産農家 藤原 昌之
講師 食農分野担当
JA兵庫六甲神戸西営農総合センター 松井 紀之
講師 食農分野担当
NPO学びのネットワーク 谷前 良治
講師 食農分野担当
フード計画株式会社 土井 敏久
講師 食農分野担当
フード計画株式会社 松谷 友子 講師 食農分野担当

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授業の感想
■授業実施者
(産業界講師)
  • 学校行事と学習事項との学校との調整が難しい。
  • 土壌中の光、水分、肥料、等の過不足、害虫、病気などの発生状況を常に観察する事をもっと学ばせたかった。
  • 児童の事前学習が良く出来ていたことと、子どもたちが調べたことに対する回答ができたおり概ね授業に取り組む姿勢は、興味度を鑑みても成功した授業と思う。
  • 食の大切さと楽しさは、生きていく根源であるから興味を持ってもらえて満足している。
  • 日頃の児童の体験・経験を聞いておくともっと授業に活かせると考える。
■担任の先生
  • 企業側と学校が充分に連絡を取り合っていくことができれば行ってもよいと考える。
  • 打合せがしっかりとでき、内容、目標等が我々と合致している時は行いたいが、そうでなければ行いたくない。
  • アンケートの内容、もう少し工夫がいるのではないかと思う。
■児 童
  • 藤原さん、JAの松井さん、谷前さんのお話を聞き、強い興味を持ちました。最後、谷前さんに質問をしましたが詳しく教えて下さったのでよくわかりました。次も是非お話を聞きたいです。
  • キャベツは葉ごとぬくのかと思っていたけど、中の部分だけぬくのが分かった。
  • スライドでビデオ式にやって説明していたことがおもしろかった。
  • もう・・・全部です! 家で育てている私にとってものすごくタメになりました。
  • 料理は、食べる人の健康のため、楽しくさせるためだと言うこと。・食べる人の気持ちを考えて作る。
■授業情報提供者
  1. 授業は楽しかったか?
    調理(95%)、販売(88%)、収穫(学習園88%、現地96%)、販売(94%)と全て高い数値となった。
    農家の収穫は雄大な自然の中で、直径60cm以上はあろうかという外葉に包み込まれたキャベツを収穫できるとあって学校の学習園より更に楽しかったと思われる。  調理においてもロールキャベツの葉の包み方の扱いなど、普段と違う作り方で知らない料理も原因と思われる。
  1. 授業の分かりやすさ
    調理100%と全員が分かりやすいと答え、その他も90%以上の高い数値であり、魚崎小の過去のキャベツ学習の経験・改善が良い結果に現れたと思われる。
  1. 質問や発表が出来たか
    しなかったと答えた児童は、収穫は80%、植え付け、調理、販売30%前後と、ある程度発言したことが伺える
  1. 授業をもう一度受けたいか
    全ての学習において、80%以上の児童が受けたいと回答しており、楽しかった、分かりやすかったと同様の結果理由と思われる。
  1. 産業への理解と興味
    調理においては、理解した69%、興味あり72%、興味なし28%と、興味を持った児童がかなり上回った。 農業においては、理解した85%前後、興味あり40%、興味なし60%(但し農家の収穫は、興味あり61%、なし39%)と理解は高かったが、魚崎小同様興味は低かった。 農家の収穫は、本物のキャベツを収穫するという喜びから興味が高まったと思われ、収穫の喜びを味わってもらえたことは良かったと思う。 販売においては、理解80%、興味あり63%、興味なし37%と理解も高く、原価を下回らない販売を心がけ、商品を売って利益を上げる喜びも含め、興味が上回ったと思う。
  1. 教材のわかりやすさ
    授業の分かりやすさは、すべて80%以上とたかく、魚崎の経験が貢献したと解釈してよいと考える。
    全般に、魚崎小学校は栽培することが難しいトマトを扱い、異常気象の影響もあり思うとおりに推進できなかったこと、六甲小学校は、魚崎小学校の経験のあるキャベツにより、実施側も安心して推進出来たことから、児童の反応にかなりの差が出たと思われる。
    ある程度の年数を育てやすい同じ野菜を継続して扱うのが先生の対応においても良いと判断する。


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