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実践事例

自分だけの地図作り−GISによる情報の利活用−
テーマ名
自分だけの地図作り−GISによる情報の利活用−
実施学校情報
学校名 飛翔館高等学校
学年 高校2年生
生徒数 31名
実施日 2004年11月30日(火)
合計授業時間 100分
教科・単元 教科:情報A(3)イ
単元:情報の統合的な処理
授業概要 情報通信ネットワークを活用した情報の収集・発信 身のまわりの現象や社会現象などについて情報通信ネットワークを活用して調査し、情報を適切に収集・分析・発信する方法を習得させる。情報を利用するにあたり、GISを用いることで、より高度な利活用が可能なことを伝える。
そのために必要なものとして、情報の蓄積・座標の取得の重要性を教える。

座標取得の体験を通し、各自で作成した位置情報をGISで利活用する実感を持たせる。
授業に使用する自分の地図の元になる位置情報を生徒自身が事前に収集したExcel等で保存された人口や施設情報などのデータが地図上で表示されることによりGISでは情報を視覚的に分析できることを理解させ、情報を蓄積することによって、情報は多面的に利活用できることを理解させ、データ蓄積の重要性を教えた。
授業のねらい 日常的な題材を課題とした情報の収集・処理・発信などを通して、情報活用の実践力を育てるとともにコンピュータの特性や情報通信ネットワークの仕組みなどについて基礎的な仕組みを理解させる。
情報技術の面から、社会のニーズに対応したさまざまな情報技術の開発や改善が必要であることを理解させ、情報社会に参画する態度を育成すること。

GIS(地理情報システム)の情報を作る際、位置データのディジタル化の仕組みや周辺機器(GPS付携帯電話)や写真データ等の配信、ネットワークの仕組みや通信の方法などを理解させ、コンピュータや情報通信ネットワークを活用して効果的な情報の表現やコミュニケーションを行うための基礎的な知識と技能を取得させることを狙いとしている。
モデル化とシミュレーション 身のまわりの現象や社会現象などを通してモデル化とシミュレーションの考え方や方法を理解させる。


授業内容(1時限目)
実施単位 2時限目
テーマ 自分だけの地図作り−GISによる情報の利活用−
実施場所 私立飛翔館高等学校 コンピュータ教室
実施時間 50分
講師 GIS総合研究所 瀧村裕一
使用教材 自分だけの地図作り

授業の進行・内容 授業の様子

GISの説明(パワーポイント)
GISは地理情報システム(Geographic Information System)の略称。
位置情報を持ったデータを有効に活用するシステムで情報を総合的に管理・加工し、視覚的に表示する事ができる。
アメリカではGISは、情報ハイウェイ構想においてインターネットと並ぶ主役であった。
GISで出来ることを京都市消防局での事例で説明した。
今いるところを表示可能である。
車載端末などにより地図情報の共有が可能である。
情報の重ね合わせや解析が可能で、色々なシミュレーションを行なった結果をわかりやすく地図上に表現できる。
GISは警察や消防のシステムとして使われている。
カーナビはGPSを使ったGISである。
エリアマーケティングで出店計画などにも使われている。
天気予報は台風の経路や雨雲の情報を表示するのにGISが使われている。
GISとGPSの違いをマウスとパソコンに例えると、GPSはマウスに、GISはパソコンに該当する。
GPSは位置情報を知らせるだけで、GISはすべてのデータ処理を受け持つ。

GPSの原理と応用(パワーポイント)
GPSという言葉はアメリカの軍事衛星を用いた測位システムを指す。
高度約2万Km上空を24衛星が、約60度の傾きで(6軌道×4衛星)が周回している。
23時間56分4秒毎で地球を1周することで全地球を網羅している。
航空や船舶の航行に利用することが当初の計画であった。しかしわが国のようにGPSをカーナビや携帯電話に搭載することは異例である
原理は簡単でGPSを用いて地球上の自分の位置を測ることである。
衛星からの電波の到達時間を元に衛星と受信機間の距離を算出できることから、 複数の衛星との距離を用い3次元的な位置を算出する方法を原理としている。
実際には航空や船舶の航行に利用されており、漁船での実例を紹介した。
現在はGPS機能により座標値化されている。少し前では緯度経度で表示していたが漁船の船長に便利に簡単にということで座標値への変換機能がついている。
自動操舵のスイッチを示し、緯度経度や座標値を入力してセットすると目的地に自動で向かう。

動態管理の実演(スクリーン画面上)
GPS装置を積んだ車が位置情報とその他情報を取得し、無線や電子メールで0.5秒おきサーバに送信する。
取得した位置情報と画像をGISで処理し、地図上にリアルタイム表示する。
タクシーであれば乗車中か否か、クール宅急便ならその温度の情報を付けて送り異常ないか否かなどの分析に使ったりできる。

GPS携帯の実演(スクリーン画面上)
GPS携帯電話からメールで送られてきた位置情報と写真情報をGISソフト(EGクリエイター)に読み込む。
GPS携帯で写真を取った場所とその写真を表示。

瀧村講師のGISの説明を聞く生徒

−授業映像−


瀧村講師のGPSとGISの違いの説明を生徒



川添講師のGPS解説を聞く生徒

−授業映像−


動態管理の実演



瀧村、北村講師のGISの実演を見る生徒



授業内容(2時限目)
実施単位 6時限目
テーマ 自分だけの地図作り−GISによる情報の利活用−
実施場所 私立飛翔館高等学校 コンピュータ教室
実施時間 50分
講師 総合システム 北村幸雄
使用教材 自分だけの地図作り
授業の進行・内容 授業の様子

自分だけの地図作りに関する説明(パワーポイント)
情報蓄積の重要性を説明した。
位置情報がGISの基本であることを説明した。
住所も位置情報であるが、GISでは座標形式でないと扱えないことを説明した。
データに位置座標を付ける手法としては、紙地図からは昔ながらのデジタイザという装置があり、現在のタブレットの大型版である。
住所から座標を持たせるには住所データを変換して座標データにする。地図ソフトの住所検索ではこの機能が組み込まれている。
発生する情報に座標を持たせるには、その場所でGPSを用いて座標を取得する。

実習(EGクリエーター)
生徒の集めてきたデータを地図上に表示して、文字で見ているだけと、地図の上でより視覚的にとらえるとでは、理解力や分析力などに格段の差があることを実感させる。
生徒のデータをCSVファイルから取り込み地図の上に表示させる。
読み込むときにアドレスマッチング(住所=>緯度経度変換)が行われる。
表示レイヤーのところに生徒の付けた名前が表示される。
住所マッチングをやって、全員レイヤーを1番上にして、EXCEL表へ読み込む。
データは出身中学の所在地など。

 

北村講師のGIS実習の説明を聞く生徒



北村講師の下でGISの実習を行う生徒

−授業映像−


北村講師のGISの実習説明

−授業映像−



授業の成果

5・6時限目「自分だけの地図作り」
まとめ
以上のことから産業界の講師が行う授業の効用として、実際に現場に携わり、さまざまな技術やノウハウを持っている人から出てくる生の話は教科書にはない説得力と迫力があり、それが生徒に強い印象を与え、授業内容の理解の大きな手助けとなっていることがあげられる。また、実際の地図を使ってデータを処理するなど生徒自身が参加体験する形の授業で、ただ講義を聞くだけでは得られない成果があったと考えられる。それは授業後に行ったアンケートの結果で、8割以上の生徒が「授業が楽しかった」「先生の教え方がわかりやすかった」「先生の話を集中して聞けた」などほぼ全ての項目においてよい結果が得られている。

授業実施環境 ノートPC、
液晶プロジェクター、
スクリーン
使用機材
教材1 自分だけの地図作り
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ドキュメント
内容 を静止画・音声を用いて構成。
教材2 EGクリエイター
教材仕様 GISソフト
内容 実演システムで、生徒が作成した情報を地図上に表示する。
教材3 実運用GIS
教材仕様 GISソフト
内容 実演システムで、実際の業務で運用されているGISを実演する。
教材4 ワークシート
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)フォーム
内容 生徒が実習用データを入力するためのフォーム
教材5 ケータイシステム
教材仕様 GIS利用システム
内容 ケータイで取得した位置情報をパソコンに送り込む。
教材6 携帯電話
教材仕様 GPS付携帯電話au W21SA
内容 座標値を取得する装置として使用する。
授業協力メンバー
授業実施担当者 特定非営利活動法人 GIS総合研究所
瀧村 裕一
授業実施補助 特定非営利活動法人 GIS総合研究所
川添 博史
授業実施補助 特定非営利活動法人 GIS総合研究所
国司 輝夫
授業実施担当者 株式会社  総合システムサービス
北村 幸雄
授業の感想 授業実施者
実習には興味があるようだった。講義も生徒の意識が高いままであった。

担任の先生
教員が全く知らない事を学習するのは有意義である。

生徒
授業としては評価するが、興味を持つまでには至らず。

授業情報提供者
ほぼ想定どおりであった。

オブザーバ
短時間でうまくまとめていた。