1999年6月には、新酸性雨調査プロジェクト参加校へのアンケート結果をもとに、Eスクエア・プロジェクトの協働企画として、「酸性雨/窒素酸化物(NOX)調査プロジェクト」の中で活動を展開することになった。
1995年度のプロジェクト開始当時は、参加校もインターネットの教育利用実践としての意識が強かったが、現在では環境教育を実践する場としての高い評価を受けるようになってきた。参加校による授業実践の報告も、年を重ねる毎に優れたものになるとともに、参加校以外の学校や教育機関からの注目を集めている。さらに、新学習指導要領における総合的な学習の先進的な実践事例としても、期待されるところが大きい。
このような状況の中で、酸性雨の測定に窒素酸化物の測定を加えることによって、酸性雨をより多面的に捉えるとともに、環境教育の実践の場としての性格を強く持たせることを目指した。
窒素酸化物の測定は、実施期間の問題もあり、各参加校において場所と期間、測定回数を限定して行うことにした。測定のための機材は、市販されている簡単なものを用いることで、小学校から高等学校までの各校種で実施出来るようにした。本年度は窒素酸化物については、初年度であり、今後の実施方法を検討する上での、資料の収集も合わせて行うことをめざした。観測結果はホームページに掲載し、授業の教材としての機能を持たせた。酸性雨の測定結果との連携は難しいが、大気汚染を総合的に考察する、環境教育プログラムとなるように考え、プロジェクトを実施した。
1) | 酸性雨調査プロジェクトは開始後かなりの年数が経過していることもあり、各学校の活動内容の充実を図りたい。 | |
2) | 窒素酸化物の調査については、初年度であることもあり、今後のプロジェクトの内容の検討資料を集めることもめざしたい。 | |
3) | 参加校には機材を提供する以上、計画書に定められた活動は必ず実施する事を求めたい。 | |
4) | このプロジェクトで作成されるデータベースを、授業で利用しやすくするためのホームページの作成を含めた、教材化の作業を事務局ですすめたい。 |
1) | インターネットを利用できる環境が整っていること。電子メールが利用できること。Webが利用できること。 | |
2) | 生徒が主体的に参加出来る教育活動の中で、プロジェクトを推進することが出来ること。 | |
3) | プロジェクトの計画書に定められた活動が実施できること。 | |
4) | 実施報告書が提出できること。 | |
5) | 学校長の承認が得られること。 |
1999年9月6日付けで、次のメールをEスクエア・プロジェクト関係のメーリングリストに送付するとともに、理科教育関係のメーリングリストにも送付した。
「酸性雨/窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト」の参加校募集について
広島大学附属福山校では、学校教育における環境教育の実践に有用なデータを提供し、環境問題を解決するためのネットワーク構築を目指したいと考え、広島大学総合科学部の中根周歩教授の全面的なバックアップとご指導のもとに新100校プロジェクトの重点企画として「新酸性雨調査プロジェクト」を実施してきました。
新酸性雨調査プロジェクトではこれまで25校が参加して酸性雨に関する共同観測を行っています。
このたびEスクエア・プロジェクトの平成11年度「協働企画」で、新酸性雨調査プロジェクトを継続発展する企画として「酸性雨/窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト」が決定しました。
Eスクエア・プロジェクトの案内は
http://www.cec.or.jp/es/E-square/announce.html
でみることができます。
また「酸性雨/窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト」については
http://www.cec.or.jp/E-square/ksanseiu.html
でみることができます。
これまでの「新酸性雨調査プロジェクト」については
http://www.hiroshima-u.ac.jp/Organization/fukuyama/acid-rain/index.html
でみられます。
つきましては、約10校をめどに参加校の募集を行っています。
http://www.cec.or.jp/E-square/ksanseiuB.html
に募集要項があります。
参加校にはレインゴーランド、pH計、導電率計など約8万円相当の機器が貸与されます。観測期間は2000年8月までの予定ですが、その後も継続して観測される場合は返却いただく必要はありません。募集期間が9月15日までとなっておりますので、募集要項をよくお読みいただいて、いそいでお申し込みください。
申込み順に募集条件を満たしているかどうか判断して、参加校を決定します。なお参加希望校が多数の場合は、募集条件を満たした学校から先着順となります。
プロジェクトの問い合わせ先
(酸性雨/窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト事務局)
広島県福山市春日町五丁目14番1号(〒721-8551)
広島大学附属福山中・高等学校 TEL 0849-41-8350
FAX 0849-41-8356
平賀 博之 hiraga@fukuyama.hiroshima-u.ac.jp
2.1.4 メーリングリストの設置と測定の準備についての指示
酸性雨調査プロジェクト参加校のみなさま
酸性雨・窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト参加校のみなさま
こんにちは、平賀@酸性雨・NOx調査事務局です。
このたび、新酸性雨調査プロジェクトと酸性雨・窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト参加校のみなさまの電子メールアドレスを登録したメーリングリストを開設しました。
メーリングリスト開設のお知らせとともに、いくつか連絡をさせていただきます。
(1) 酸性雨・窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト参加校の決定について
酸性雨・NOx調査プロジェクトに応募いただいた学校が15校になりました。予定数は10校程度としておりましたが、15校そろって参加いただくことになりました。活動期間が約1年と短いですが、どうぞよろしくお願いします。
新酸性雨調査プロジェクト参加校のみなさまには9月20日付のメールでお知らせしましたとおり、「酸性雨・NOx調査プロジェクトの企画は新酸性雨調査を発展させるものですので、現在新酸性雨調査プロジェクトに参加いただいている25校につきましては、自動的に酸性雨/窒素酸化物(NOx)調査プロジェクトにご参加いただくことになります。(期間は新酸性雨調査のはじめのお約束通り、2000年8月までとなります。)ということで、ご苦労をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。
酸性雨・NOx調査プロジェクトに応募いただいた14校のうち、酸性雨を観測するための機材が必要な学校には、近日中に機材をお届けできるように準備しています。9月中にお配りする予定でしたが、事務手続きの遅れが原因で、おそくなりました。今しばらくお待ちください。
新酸性雨調査プロジェクトの参加校のうち、アンケートで機器が壊れたり、消耗品が不足しているとお答えいただいた学校には、不足していると書いていただいたものをお送りするようにしました。これもまもなく発送になります。(3)、(4)につきましては、機器と一緒に受領証の用紙をお送りしますので、機器を受け取った旨をご確認いただき、必要事項ご記入の上ご返送ください。
窒素酸化物調査のためのキットは発注してお届けする予定になっていますが、こちらも準備が遅れて発送が遅れています。当初は10月第3週(10月10日からの週)からの測定を予定していましたが、間に合いそうにありませんので、10月第4週(10月17日からの週)から測定を開始したいと思います。週に一回測定を行います。http://www.hiroshima-u.ac.jp/Organization/fukuyama/acid-rain/acid-noxj.htmlに観測のためのマニュアルを用意しましたのでご覧ください。調査キットを設置する場所(10カ所)をどこにするか決めて、測定場所の地図と周りの状況の写真をお送りいただくことになっています。お手数をおかけしますがよろしくお願いします。
新酸性雨調査メーリングリストは、IPAのサーバを利用してacid98@cec.or.jpを利用していましたが、今後のご連絡や交流には、この「酸性雨調査メーリングリスト」
acid@fukuyama.hiroshima-u.ac.jp
をご利用いただくようにお願いします。また、正式名称では「新酸性雨調査プロジェクト」ならびに「酸性雨・窒素酸化物(NOx)調査プロジェクト」となっていますが、今後便宜的に「酸性雨・NOx調査プロジェクト」で統一したいと思います。
わが国の,北は北海道,南は九州までの全域をほぼ網羅する各地域の学校で,生徒が大気汚染の一つの指標として酸性雨の調査を自ら行うことによって,その学習意欲を高め,身近な環境問題としての酸性雨の実態を地域的,かつ広域的(全国的)に把握し,その発生メカニズムへの理解を深める。
1) 気象
気温,降水量,風向,風力,天気図
2) 大気汚染
雨水の酸性度,雨水の導電率
1) 気象
最も近くの気象観測所などから,降雨(雪)量,降雨(雪)日の日平均の気温,風向,風力のデータを収集しましょう。(インターネットでアメダスのデータを公開しているところもあるので,探してみてください。)
降水(雪)日の天気図を,新聞紙面をコピーするなどして保存しましょう。
2) 雨水の観測
レインゴラーンドの設置
レインゴーランドは,屋上などの頭上に障害物のない場所に,台を置いて固定します。(コンクリートの壁のそばなどに設置すると,跳ね返りの水で雨のpHが変わることがあります。)
風などで転倒しないように,しっかりとした台の上にねじ釘で固定しましょう
レインゴーランドにたまる”ほこり”の影響で雨のpHの値が変わることがありますから,雨が降らない時でも,1週間に1度は蒸留水などでレインゴーランドを洗浄してください。
”ひらけゴマ”(雨を取り入れるところのふた)にトイレットペーパーを幅1cmくらいに切ったものをひっかけて,セットします。雨が降り始めると,このトイレットペーパーが切れて,ふたが自動的に開きます。トイレットペーパーを引っかけるつめがおれたりした場合は,事務局にご相談ください。)
測定の準備
pHメーターや導電率計の使い方は,それぞれの説明書をよく読んでください。特に,pHメーターの雨水を入れる部分は,薄いガラスが張り付けてあり,強い力を加えるとすぐに割れますので,気をつけてください。)
pHメーターや導電率計は使用直前に,標準液(pHメーターはpH7とpH4の2種類,導電率計は141μS/cmの1種類)で校正してください。
(温度などで,値が変化しますので,測定の直前に校正を行ってください。)
雨水の測定
雨水の酸性度(pH):レインゴーランドはカップ1〜カップ7まで,雨の降り始めから順に雨量1mmごとの雨を自動的に採水します。8mm以降の雨は,カップ8からあふれて,下の大きなカップにたまります。
採水された初期降雨(1〜8ステップ)の酸性度と導電率を,堀場のツインpHメーターと導電率計でステップ毎に測定します。8ステップは,カップ8と下の大きなカップにたまった水を混ぜ合わせて測定してください。
最後に,採水されたすべての雨水を混ぜ合わせての平均pHを測定します。
雨水の測定は降雨後24時間以内におこなってください。
測定後
レインゴーランドやpHメーターなど,測定後は蒸留水か脱イオン水で良く洗浄しましょう。レインゴーランドは洗浄後,ひらけゴマをセットして,次の雨に備えましょう。
降雪の酸性度
レインゴーランドでのステップ毎の捕捉は困難ですから,別の容器(ビーカーなど)でまとめて捕捉し,これを室温で融解させた後,24時間以内にpHメーターで測定します。
一回の降雨とは、前回の雨が降り終わってから,6時間以上たって新たに降り出した雨を,一回の降雨として扱うことにします。6時間たたないうちに雨が降った場合は,前の雨から継続した雨とします。
雨水のpHや導電率の値,及び降雨時の気象データは,そのつどインターネットで送信してください。
1999年10月第3週〜11月第3週
1週間に1回 合計6回の測定を行う。
1) | 1校について10カ所の測定ポイントを決める。 | |
2) |
測定ポイントは、幹線道路のそば、通行量の少ない道路、公園の中、住宅地、学校内、川土手、ビルの谷間、その他学校のまわりの状況に合わせて、いろいろな条件の場所を選ぶ。
|
|
3) | 次の4カ所については、必ず測定ポイントの中に入れるようにする。 | |
4) | 一度測定場所を決めたら、その後はいつも同じ場所に調査キットを設置し、6回の測定を行う。 |
1) | カプセルを設置する場所は、地上から1mくらいの高さにする。なるべく、直射日光が当たらない所を選ぶ。 | |
2) |
カプセルにひもをセロテープでつけて、樹木や電柱などにひもで固定するようにする。 |
|
3) | カプセルの設置は、天気の良い雨の降る心配のない日がよい。 | |
4) | カプセルはふたをはずして、逆さまにして固定する。 | |
5) | カプセルは24時間放置する。 |
設置して24時間経過したら、カプセルを回収しふたをする。
カプセルのふたをはずして、カプセルの中にNOX調査液(ザルツマン試薬)を15滴入れてかるく振り、15分放置する。
15分後、カプセルの中の調査液の色と、大気汚染調査キットの比色表の色と比べて、濃度を調べる。
近くの気象台やアメダスの観測点のデータを利用して、観測日の風向・風速・気温を調べる。
窒素酸化物濃度測定用試薬2種類および比色表のキット(以下NOx調査キットという)。
NOx濃度測定にはさまざまな方法があるが、小学生、中学生、高校生が自分で測定を行うには、測定の簡便さ・容易さ、薬品の安全性が必要である。試薬を各学校で調合する方式では、準備作業が煩雑になるのと薬品濃度の均一性が保証されない可能性もあるので、Eスクエア・プロジェクト協働企画参加校には、事務局よりあらかじめ調整した試薬を容器に小分けしてキットにし、必要数量分を配布する。
今回の実験に使用する試薬は、化学反応で生じた物質の色を6段階の比色表と比較し、数値化することで測定を行うものである。
1) | NOx調査キットでは、大気中のNOxを吸収するトリエタノールアミンとNOxと反応して赤色を呈するザルツマン試薬液を用いる。 | |
2) |
NOxを吸収する薬品(トリエタノールアミン約0.2mg)は、ろ紙にしみこませたうえ手や指が触れないように試験管に封入する。透明なザルツマン試薬液を加えると、NOx濃度に応じて液が赤色に変色する。 |
|
3) | 試薬の変色の度合いを比べるには、比色表を用いる。 | |
4) | トリエタノールアミンを含むろ紙を約1日間測定地点の大気にさらした後、試験管にザルツマン試薬を加えて、変色の度合いを比色表により数値化し、これを測定値とする。 |
NOx調査キットは、環境学習のための科学教材として開発されたもので、適量のトリエタノールアミンを試験管にセットし、ザルツマン試薬、比色表をそろえたものである。比較的操作が容易であり、安全性についても配慮されている。(別添資料1、2を参照。)
インターネットを利用しての情報交換や測定データの入力、閲覧ができる環境を整備することが必要である。当プロジェクト事務局のサーバには、すでに酸性雨のプロジェクトのWebページ(http://pine.fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/)が存在しているため、これを「酸性雨/窒素酸化物(NOx)調査」Webページとして統合する。NOx調査支援のために次の2つの機能を加えたページを作る。
(1) NOx情報や調査キットの使用法を解説する調査支援ホームページ
NOxに関する予備的な知識を提供し、試薬による測定方法を周知するための情報提供ページである。また、NOxに関する情報を得る方法として発展的に関連ホームページへのリンク集、掲示板システムなどを用意する。
(2) 測定データの集積、閲覧・利用を可能にするための調査支援ホームページ
インターネットを介して、観測期間中、全国の参加校が測定したデータを報告・集積するホームページである。同時に各校における測定地点の紹介、すべての測定データを公開するページでもある。自校・他校を問わず過去の測定データは、学習のために取り込むこと(ダウンロード)ができるようにする。このデータのダウンロードは実験参加校以外でも利用できるようにした。ただし、その測定データを使用する場合は、学校の授業や自由研究など学習に使う場合のみ許可されるものとし、これ以外の目的に使用してはならないとする。
こうした配慮が、地域学習と関連付けながら、同時に全国的な状況を知ることで環境問題への認識を深め、Eスクエア・プロジェクト協働企画への参加意識の向上や情報活用能力を育てることにもつながると考えた。
1995年 8月 |
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1998年 3月 |
|
1998年 7月 |
|
1999年 6月 |
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1999年 9月 |
|
1999年10月 |
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1999年12月 |
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2000年 2月 |
|
1999年6月に実施したアンケート調査(資料1)をもとに,アドバイザーの広島大学中根教授と事務局が協議を行い,窒素酸化物の調査を含めた新しい企画として酸性雨・窒素酸化物(NOx)調査プロジェクトを立案した。立案にあたってはこれまでのプロジェクト以上に環境教育としての視点を重視し,酸性雨を原因物質の一つである窒素酸化物とともに観測することで,大気汚染を総合的に考察することのできる環境教育プログラムとした。
参加校募集の結果、9月16日の段階で15校が新たに参加、酸性雨調査プロジェクトからの、継続参加を加えて、40校の参加によってプロジェクトをスタートした。
新酸性雨調査プロジェクトからの継続参加校
北海道歌志内市立歌志内中学校
宮城県登米町立登米中学校
仙台市東北学院高等学校
秋田県仙北郡六郷町立六郷中学校
秋田市立中道小学校
福島県いわき市立磐崎中学校
茨城県笠間市立笠間中学校
前橋市立第四中学校
埼玉県大宮市立大成中学校
神奈川県大和市立光丘中学校
山梨県立谷村工業高等学校
石川県立小松工業高等学校
金沢大学教育学部附属中学校
長野県北安曇郡美麻村立美麻中学校
岡山大学教育学部附属中学校
広島大学附属福山中・高等学校
広島大学附属東雲中学校
香川県土庄町立土庄中学校
香川県坂出市立白峰中学校
愛媛県立新居浜工業高等学校
松山市立松山南中学校
松山市松山東雲中・高等学校
熊本市熊本国府高等学校
大分県日田林工高等学校
宮崎大学教育学部附属小学校
酸性雨/窒素酸化物調査プロジェクトからの参加校
札幌市立発寒中学校
茨城県つくば市立並木小学校
東京都品川区立日野中学校
横浜雙葉学園中学校
神奈川県相模湖町立千木良小学校
横浜市立本町小学校
富山県立大門高等学校
愛知産業大学三河中学校
福井市明倫中学校
大阪教育大学附属平野中学校
大阪府立長野高等学校
大阪府豊中市立庄内西小学校
山口県秋穂町立秋穂中学校
鹿児島県上屋久町立宮浦中学校
鹿児島県屋久町立岳南中学校
新規の観測として,窒素酸化物(NOx)の濃度の測定を実施した。方法はザルツマン試薬を使用した方法で,一般に天谷式簡易測定法と呼ばれている方法を用いた。1999年10月7日に酸性雨・NOx調査プロジェクトのメーリングリストを作成し,以降はこのメーリングリストを利用して事務連絡を行った。測定のマニュアルは広島大学附属福山中・高等学校のホームページに掲載し,参加校に測定を依頼した。
窒素酸化物の調査用のカプセルは業者より直接参加校に郵送した。また新規参加校に対しては,酸性雨観測用のレインゴーランド・pHメーター・導電率計を業者から学校宛に送付し,参加校には学校長名の受領書の提出を求めた。
メーリングリストには開設直後から,担当者の自己紹介やプロジェクトに対する質問などが相次いだ。
1999年10月 7日 |
メーリングリスト開設のお知らせ(事務局) |
10月 9日 |
測定のタイミングについて(発寒中) |
10月12日 |
調査キット到着(宮浦中) |
10月13日 |
測定回数の確認(千木良小) |
10月13日 |
測定の準備をお願いします(事務局) |
10月15日 |
電子掲示板設置のお知らせ(事務局)以下略 |
新たに設けたNOx調査関連のページから、測定データの集積・閲覧できる機能を開発した。(別添資料4を参照)インターネットで多くの学校が観測データを交換できるようにする上で必須の機能を含むので、各項について概略を紹介する。また、短期間での開発を要したため、仕様の決定にはプロジェクト事務局が当たり、開発は外部に委託した。外部仕様は以下の通りである。
参加校は、広島大学附属福山中・高等学校に設置された、「酸性雨/窒素酸化物調査」のプロジェクト専用サーバーにアクセスし、プロジェクトを実施するための、データの入力・閲覧・参加校の間の交流などを行うことにした。
登録・閲覧できる環境は、もっとも普及していると思われるInternetExplorer3.0、Netscape3.0以上のブラウザとする。そのため、半角カナ文字、特殊文字、カンマなどはデータ送信に利用しない。
小学校においては各学校の指導者、中学校、高校においては、指導者または生徒が行うので、中高生に利用しやすいヒューマンインタフェースにした。
データとして送信したり、閲覧したりする項目は、その性格から大きく2種類がある。
1) |
参加各校の周辺環境や測定地点を明らかにする項目(最初に登録)
|
|
2) |
参加各校で継続的に収集した測定データ(逐次に登録) 登録するデータは、各測定日について以下のとおりである。
寄せられたデータは、その都度自動的にサーバに蓄積される。 |
データ閲覧用ホームページの主たる機能は、次のようである。
1) |
自校、あるいは閲覧したい学校を容易に選べるように、日本全国図上に学校の所在地を明らかにする。地理的分布表示はクリッカブルマップ(地図上の学校のある位置をクリックすると、その学校のデータ閲覧画面に進むようにする)を使うことも考えられるが、日本地図の大きさに比べて参加校が多く、狭い地域にいくつかの学校が集中しているためクリッカブルマップを使うと見にくくなってしまう。このため、地図上には数字で位置を指示し、数字と学校の名前をリストで別に表示する。 |
|
2) |
参加校の環境や測定地点の情報を知ることができる。 |
|
3) | 学習のために測定データはダウンロードできる。そのデータ形式は、汎用性の高いCSV形式とする。次の理由による。
|
|
4) | ダウンロードしたデータの比較対照ができるように、参加校の環境(自然環境・社会環境)は、参加校が提供するものとする。このため、自校のホームページを持つ学校にはリンクをはる。また、測定地点の紹介は、できるだけ詳細に記述するよう求める。 |
協働企画の準備中は、上記仕様での運用を考えていたが、実際に参加各校が活動を始めた直後に次のような問題点が明らかになり、ホームページの仕様を見直し、直ちに測定データ登録・管理の機能を強化した。
参加校の環境データの掲載や測定地点の登録作業は、当初1回限りのことなので事務局がデータを入力すると決めていた。各学校でNOx調査計画がまとまる時期に差があり、登録予定日までに決定するとは限らない。事務局でなく参加校で登録できるようにした。
システムの立ち上げ当初は、測定値の入力間違い等が目立ち、メーリングリストで知らされることが多かった。いったん登録したデータでも自校のデータに限り各校で訂正できるようにした。
参加校の都合や測定の失敗もあって、必ずしも登録時に全データが揃うとは限らない。データが揃っていなくても登録できるようにした。
こうした状況は、基本的に各学校で自校分のデータ管理をできるようにすることで対応できるので、データ管理に関して、次の機能を追加、強化した。
測定地点の登録作業やいったん登録した測定データの変更を参加校から行えるようにするには、合わせていたずらによるデータ改ざんを防止する必要がある。データはだれでも閲覧できるが、その登録・修正は当事校のみが知る正当なパスワードが送信されてきた場合のみ可能にする。参加各校にパスワードを通知する必要があるが、最初の登録に限り、各校所在地の郵便番号を仮のパスワードとして使用する。これはパスワードを通知するのにメーリングリストを通じて同報通信で行うためであり、セキュリティー面で不安がある。
仮のパスワード通知後は、各学校の真のパスワードは、
いつでも当事者校で自由に変更できる
各学校の責任で管理するものとする。
パスワードを知る正当な参加校でも、自校の測定データの入力、変更、削除だけが行える。この機能は、誤っていったん送信したデータを正しいデータに置き換えるために必須である。また、データの修正や削除は必ず確認画面を表示し、確認してからサーバにデータを送る順序とする。
(2) 入力ミス防止データ登録時の入力ミスを極力少なくするために、次のような配慮をする。
入力項目は、キーボード操作を省き、可能な限り「すでにある項目からの選択」という形式にする。
入力画面は測定値領域とその他の情報領域とに色分けし、混乱がないようにする。
見やすく、わかりやすくするため、いたずらにアイコンを使用することを避け、簡潔な言葉が書かれたボタンを用いる。
学校行事のつごうなどにより予定日に観測できないこともあったり、ある測定地点のデータだけが取れなかったりした。そこで近傍日での観測データも投入できるようにする。また、何らかの事情で全データがそろわなくても(測定データ欠けがあっても)送信できるようにする。(システム内部仕様は別添資料4、ブラウザによる画面は別添資料5を参照。)
観測方法や身の回りの環境の様子について,交流をおこなうことを目的に電子掲示板を設置した。教員間のコミュニケーション用にとりあえず使ってみて,将来的には生徒用の掲示板を用意したいと考えた。電子掲示板はWEBの上から書き込みができるので,メールアドレスを持たない生徒も自由に書いたり,読んだりできる点が,生徒同士の交流には有効であると考えている。
(資料2:電子掲示板 URL:http://133.41.234.8/users/hiraga/board/board.cgi)
参加校における実践状況
番号 |
学 校 名 |
教育活動 |
測定者 |
送信者 |
ネットワークの利用 |
ネットワーク環境 |
||||||||||
生 徒 |
教 師 |
生 徒 教 師 |
生 徒 |
教 師 |
生 徒 教 師 |
送 信 |
収 集 |
交 流 |
H P |
M A I L |
TV 電 話 |
掲 示 板 |
チ ャ ッ ト |
|||
1 |
宮崎大学附属小学校 |
理科 理科以外 |
|
|
|
|
◎ |
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○ |
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|
○ |
○ |
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|
|
2 |
相模湖町立千木良小学校 |
理科・総合学習・学級 |
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|
○ |
|
|
◎ |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
|
○ |
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3 |
豊中市立庄内西小学校 |
理科 |
|
|
○ |
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◎ |
|
○ |
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○ |
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|
4 |
つくば市立並木小学校 |
特別活動 |
○ |
|
|
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◎ |
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○ |
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○ |
○ |
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○ |
|
5 |
美麻村立美麻小・中学校 |
理科 |
○ |
|
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◎ |
○ |
○ |
|
○ |
|
|
|
|
6 |
大阪教育大学附属平野中学校 |
理科 |
○ |
|
|
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|
◎ |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
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|
|
7 |
松山市立南中学校 |
教科外 |
|
|
○ |
|
◎ |
|
○ |
|
|
○ |
○ |
|
|
|
8 |
坂出市立白峰中学校 |
理科 理科以外 |
○ |
|
○ |
◎ |
|
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
|
9 |
六郷町立六郷中学校 |
クラブ活動 |
○ |
|
○ |
◎ |
|
|
○ |
|
|
○ |
○ |
|
|
|
10 |
屋久町立岳南中学校 |
グループ |
|
|
○ |
◎ |
|
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
○ |
|
11 |
愛知産業大学三河中学校 |
理科 教員の現職教育 |
|
○ |
|
|
◎ |
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
○ |
|
12 |
屋久町立宮浦中学校 |
選択技術 |
|
|
○ |
|
|
◎ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
○ |
|
13 |
登米町立登米中学校 |
社会・HR・生徒会 |
|
|
○ |
|
|
◎ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
|
○ |
14 |
広島大学附属東雲中学校 |
理科 |
○ |
|
|
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◎ |
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○ |
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○ |
○ |
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|
|
15 |
品川区立日野中学校 |
クラブ活動 |
○ |
|
|
|
◎ |
|
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
|
|
16 |
金沢大学教育学部附属中学校 |
クラブ活動 |
○ |
|
|
|
|
◎ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
17 |
福島県いわき市立盤崎中学校 |
理科・クラブ活動 |
○ |
|
|
|
◎ |
|
|
○ |
|
○ |
○ |
|
|
|
18 |
東北学院中学校・高等学校 |
クラブ活動 |
○ |
|
|
|
|
◎ |
○ |
○ |
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○ |
○ |
|
|
|
19 |
石川県小松工業高等学校 |
クラブ活動 |
|
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|
◎ |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
|
|
|
20 |
愛媛県新居浜工業高等学校 |
クラブ活動 |
|
|
|
|
|
◎ |
○ |
|
|
○ |
○ |
|
|
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21 |
大阪府立長野高等学校 |
クラブ活動・ |
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22 |
富山県立大門高等学校 |
理科 |
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◎ |
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23 |
松山東雲高等学校 |
社会 |
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◎ |
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24 |
広島大学附属福山中・高等学校 |
総合的な学習 |
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◎ |
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