E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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ア・ラ・カルト方式による学社協働「こめのくに」

6.3 事例(3)

 さくら活動を通して「田んぼの生き物図鑑を作ろう」 新潟県新井市立新井中央小学校教諭 木嶋達平

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6.3.1 さくら活動を通して「田んぼの生き物図鑑を作ろう」

 実践校:新井市立新井中央小学校
 指導者:教諭 木嶋 達平

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6.3.2 教育実践活動の概要

(1)教育実践活動名
 「さくら活動」

(2)関係教科名
 社会科

(3)活動内容の概要
 自分たちの田んぼの稲作りを通して,田んぼを中心とした地域の環境を調査する。調査結果は,ホームページ上に生き物図鑑としてまとめる。また,調査結果を交流校と掲示板やメールで伝え合うことを通して,互いの地域の環境についての考えを深めていく。
 2学期以降は,環境に優しい農業は可能かという視点で,活動を行う。本活動を通して情報の収集・加工伝達・発信といった情報教育の実践力の育成を図っていく。また,テレビ・本・人・インターネット等多様なメディアを利用しながら活動を展開する。

(4)教育効果・成果等
 ・ 田んぼを取り巻く環境問題について自ら課題を見付け,自分なりに考え追求する力が育った。
 ・ 稲作や環境に関する情報を自分なりの方法で収集し,分かりやすくまとめ,交流相手に分かりやすく伝える力が育った。
 ・ 生き物図鑑を作成することで,田んぼが多様な生き物を支えていることに知り,環境と農業の関係について考えることができた。

(5)対象学年・人数
 小学校5年生 51人

(6)実施期間
 4月〜3月(生き物調査は,4〜10月まで)

(7)利用施設・設備・メディア等
 パソコン29台,校内LAN,デジカメ10台,デジタルビデオ3台,カラーレーザープリンター1台,ADSL回線によるインターネット接続(128kbps),電子掲示板,ホームページ,スキャナー2台,ファックス,図鑑等の書籍,テレビ番組,電話。

(8)協働機関・協力者等
 ・ 地域住民
 ・ 水原地区「メダカの楽耕」校長 池田 本八さん
 ・ 安塚町 菱ヶ岳グリーンパークキャンプ場
 ・ 新井市 ホタルの里 猪野山
 ・ 板倉町立豊原小学校
 ・ 上越教育大学助教授 濁川 明男先生

(9)スケジュール
 詳細は,指導計画案参照。
 5月上旬・・・田植え
 5月中旬・・・地域の田んぼ環境調査
 5月下旬・・・学校田の環境調査
 6月中旬・・・ホタル観察会(新井市猪野山)
 6月下旬・・・メダカいる田んぼ調査(新井市水原)
 7月上旬・・・棚田調査(安塚町)
 9月   ・・・生き物図鑑完成

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6.3.3 教育実践活動報告(活動の記録・経過等)

(1)ホームページによる情報発信・交流
 ・ホームページ「スマイル米広場」の開設
 (http://arai-chuou.cool.ne.jp/kome/kometop.html)において5年生の活動を情報発信し,他校との交流に役立てる

(2)学校教育放送の利用
 ・ 情報メディアの一つとして学校教育放送を積極的に活用する。NHKでは,放送とインターネットの融合を図っており,放送された番組に関わる資料がホームページで提供されている。
 活用している番組は,「たった一つの地球」,「おこめ」である。
※1「おこめ」http://www.nhk.or.jp/okome/
※2「たった一つの地球」http://www.nhk.or.jp/tatta/

(3)ホームページのデータ活用
 ・ リンク集の作成
  http://arai-chuou.cool.ne.jp/kome/komelink.html
 ・ 昨年の卒業生の情報の活用(地域環境調査)
  http://arai-chuou.cool.ne.jp/sakura/h126nen/index.html

(4)1学期は,情報収集活動を中心に
 (1)地域調査(担当地域ごとに分かれて)地域取材活動(デジカメ,テープレコーダーの活用)
 (2)地域の方々へのインタビューによる情報収集活動
 (3)体験活動(ホタル観察会・メダカ調査・地域調査・スマイル田んぼ調査・棚田学習)を通した情報収集活動の重視
 (4)電子掲示板を通じた一学期の活動のまとめと交流活動

(5)制作されたホームページ
 スマイル米広場
 http://arai-chuou.cool.ne.jp/kome/kometop.html
 田んぼの生き物図鑑
 http://arai-chuou.cool.ne.jp/kome/ikimono/ikimonotop.html
 田んぼの環境
 http://arai-chuou.cool.ne.jp/5nen/H13/miyasita/index.html(児童作成)
 掲示板への書き込み
 http://8131.teacup.com/kougakunen/bbs

掲示板への書き込み

情報収集活動の様子
情報収集活動の様子

(6)交流授業実践事例
 豊原小5年生と1学期から掲示板を用いて交流。両校とも総合的な学習の時間において「米」をテーマにしていることから,米に関係した話題を掲示板で話し合う。今まで話し合われた話題としては,田んぼの生き物・バケツ稲・稲刈り・ホームページ批評・身近な出来事。
 詳しくは, http://arai-chuou.cool.ne.jp/keiji/keiji.htmlを参照。

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6.3.4 教育実践活動の実施体制

 2クラス合同による学年活動。教師2名による実施。

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6.3.5 指導計画および指導案

 資料参照。

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6.3.6 教育実践活動の準備作業

 ・ ホームページやリンク集の作成
 ・ 資料となる番組の録画
 ・ 協力者への依頼と事前の打ち合わせ
 ・ 見学のための交通手段の確保
 ・ LAN,サーバー等のメディア環境の整備

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6.3.7 教育実践活動における留意点,課題の抽出

 本校児童は,4学年時に沖縄の学校と掲示板を用いて交流しているため,掲示板に対する抵抗感や操作に関する不安が全くなかった。
 豊原小とは,1学期から息の長い交流を続けてきたため,交流相手としての豊原小を児童自身が常に意識することができた。そのため,豊原小から米に関する質問・意見・お願い等がきたときも教師の方で,指導しなくてもごく自然に交流を展開することができた。また,掲示板への書き込みに慣れているため,休み時間や朝学習の時間など課外のわずかな時間を用いて活動を展開することができた。
 話題も「米」以外にも,修学旅行・遠足・身近な出来事等にも広がり,豊原小の特定の児童に対して思い入れをもっている。また,児童の中には豊原小に行ってみたい・会ってみたいと考えているものもいる。
 このような息の長い交流を続けるためには,担任同士の連絡がスムーズになされていないとなかなか難しい面がある。また,児童が自由に掲示板を見ることのできる環境・掲示板の扱いへの慣れも大事である。
 上記のような環境が整った場合,交流における情報伝達手段として掲示板は有効なメディアとして働くと思われる。
 田んぼの生き物図鑑作成にあたっては,デジカメによる撮影にある程度の技術を要した。(生き物の動きが速い・対象物が小さいなど)そのため,児童にとっては簡単な作業ではなかった。また,クモ類は姿形が似ている物が多く,図鑑でも種類の特定が難しかった。専門家による支援体制の強化が必要であろう。
 なお,長期にわたる観察と,校区の水田・学校田・新井市水原地区・安塚町の棚田という多くの場所で観察を通して,田んぼと環境のつながりを生き物という観点からとらえることができた。

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6.3.8 教育実践活動の対外的な公開,普及方法

 ホームページによる公開
・ スマイル米広場
 http://arai-chuou.cool.ne.jp/kome/kometop.html
・ 田んぼの生き物図鑑
 http://arai-chuou.cool.ne.jp/kome/ikimono/ikimonotop.html
・ 田んぼの環境
 http://arai-chuou.cool.ne.jp/5nen/H13/miyasita/index.html(児童作成)
・ 掲示板
 http://8131.teacup.com/kougakunen/bbs

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6.3.9 協働機関,支援者,協力者の役割と要件および関係構築と維持方法

(1)要件(いずれかの要件を満たしていれば,支援者になれる)
 昔から地域に住んでいること・大学レベルの専門的な知識を持ち合わせていること・環境保護の活動をしていること・稲作に詳しいこと(農家レベル)

(2)関係構築と維持方法
 市役所による紹介,学校独自の人材リストの活用,担任の今までの人脈の活用。関係維持の方法としては,電話による連絡と実際に会っての話し合い。毎年,電話により連絡を取り合うなど。

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6.3.10 資料

指導案

第5学年「さくら活動」の実践

指導者 五嶋 みどり 木嶋 達平

1 単元名
 「田んぼの環境」

2 単元でめざす子供の姿
(1)田んぼを取り巻く環境問題について自ら課題を見付け,自分なりに考え追求する子供。
(2)稲作や環境に関する情報を自分なりの方法で収集し,分かりやすくまとめ,交流相手に分かりやすく伝える子供。

3 指導計画(全42時間)
時数 ○子供の活動 ・意識 ・教師の働きかけ,支援●評価


















































































(社3)







(社9)
































































(社4)






○田植えをしよう
・学校田を用いての田植え体験
・田植えは,つらい
・ぬるぬるしている
・稲を植えるのは,難しい
・どうやって育っていくのだろうか
・カエルが多い,ヒルがいない

○お米について調べよう
・機械化   ・農家の工夫  ・品種 
・農家の苦労 ・農薬について ・作り方






○田んぼの生き物について考えよう
・学校教育放送お米の「田んぼの生き物」視聴



○スマイル田んぼを調査しよう
・自分たちの田んぼの生き物調査をする
・共通課題
 「なぜ昔いた生き物がいなくなったのか」
 「なぜ生き物が田んぼで死んでいたのか」


○上越教育大学助教授 濁川 明男先生から田ん 
 ぼの環境についての講演

○地域の田の環境について聞き取り調査をする。
・両親の頃の新井の自然環境を聞こう
・祖父母の頃の新井の自然環境のことを聞こう
・地域に環境について詳しい人はいないだろうか



○学校の周りの田んぼを調査しよう
・自分たちの思い思いの田んぼを調べに行く


○田んぼと環境について調べよう
・メダカ,ホタル,ドジョウ,カエルなどの生き
 物がなぜ減ったのか
・害虫と農薬の関係
・環境に優しい稲作はないのか
・田んぼの環境に果たす役割








○環境に優しい田んぼを見にいこう
・水原地区の棚田
・田んぼにたくさんの生き物がいる
・自分たちの田んぼとはだいぶ違う
・安塚町の棚田(自然教室で行う)

○田の草取り
・農薬を用いない大変さを体験




○分かったことを掲示板で豊原小に伝える





○田んぼの生き物図鑑を作る




○稲刈り
・手作業で稲を刈り取る


○もち米料理を作ろう
・もち米料理を親子で作る


○米作を通して今後の地域の環境を考える

・田植え体験から生まれた疑問や感
 想を大切にしていく。






・NHKデジタルデータベースの活用
・社会科の学習を通して,稲作につ
 いて課題別に調べる。
・インターネット上の米に関する情
 報の活用(リンク集作成)
・米に関するホームページを作成
 し,児童の学びを支援する。
●米に関する情報を集めることがで
 きたか。
●ネットワーク上に発信された情報
 を集める(情)
●印刷物・放送・ビデオなどのメデ
 ィアから情報を集める


・子供たちの課題意識を稲作から田
 んぼを中心とした環境問題へ転換
 を図る。

・テレビで知ったことが身近な環境
 問題としてとらえるようにする。




・地元出身の大学の先生から環境の
 話を聞くことで,環境問題を深く
 考えていくようにする。

●身近な人からインタビューして情
 報を集める(情)
●自分の調べていることについて,
 他の人に意見を求める(情)
・調べてきたことを表にまとめ,地
 域の環境の変化に気付かせる。
・実際に調べる活動を大切にする

・デジカメやテープレコーダーなど
 を持っていく

●いろいろな機器を活用して,情報
 を集める
・交流校との田の生き物に関する情
 報の交換
・コンピュータにインターネットか
 ら集めてきた環境に関するホーム
 ページをインストールしておき,
 自由に検索できるようにする。
・事前に市役所や関係機関に連絡を
 とり,児童の調査活動を保証する。
・ホームページの使用 
・図書館の使用 ・ Faxの利用 
・電話の利用 
・各グループの進展状況を把握し, 
 適切なアドバイスを行う。
・課題別グループ編成を行う。
●自分の必要とする情報をさまざま
 なメディアを用いて収集すること
 ができたか(情)
●テレビ会議や電子掲示板等を利用 
 して意見の交換を行うことができ 
 る(情)




・水原の池田さんからの話を聞く。
・田んぼの中にたくさんの生き物が
 いることに気付かせたい。


・棚田であることの苦労についても
 話してもらう。


・渡部さんから昔と今の稲作の違い
 について話を聞く。
・環境に優しい米作りの難しさに気
 付かせていく。
・手作業で稲を刈る大変さを実感す

・機械化・農薬のメリットを考える

・電子掲示板を用いて調べたことを
 まとめる
●分かったことを電子掲示板を用いて適切に伝えることができたか。
・自分の考えをはっきりさせて,正 
 確に伝える
・今までの調査活動を振り返り,田
 んぼの生き物図鑑を作成する
●生き物図鑑を作成することを通し
 て,田んぼと環境のつながりにつ
 いて考えることができたか。
・収穫の喜びを味合わせる


・もち米を使った郷土料理について
 調べる。
・親子PTC活動として行う

・学習発表会で地域に自分たちの考
 えを伝えていく
●メディアを使って,情報・意見を
 適切に伝える
●発表名人を用いて,プレゼンテー 
 ションができる

活動のイメージマップ
活動のイメージマップ

野外調査用紙
野外調査用紙(1)

野外調査用紙(2)

野外調査用紙(3)

野外調査用紙(4)

生き物図鑑
生き物図鑑(1)

生き物図鑑(2)

スマイル米広場
スマイル米広場

田んぼの環境(児童作成)
田んぼの環境(児童作成)(1)

田んぼの環境(児童作成)(2)

交流用BBS
交流用BBS

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