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実践事例

宇宙と先進情報技術〜GPSの活用〜
テーマ名
宇宙と先進情報技術〜GPSの活用〜
実施学校情報
学校名 東京都立江戸川高等学校
学年 高校1年生
生徒数 40名
実施日 2004年11月15日(月)・16日(火)
合計授業時間 150分
教科・単元 教科:情報
単元:
授業概要 本授業では、GPS衛星を中心に、GPSシステムについて扱う。授業は3時間構成とする。
1時間目はGPS機能付携帯電話で、GPSの機能をグループごとに体験する。現在位置の測定や、QRコードから読み込んだ目的地へのナビゲーションを体験する。その体験をふまえ、教材ビデオでGPSシステムの仕組みについて学ぶ。GPS衛星によって、地球上の位置がどのような仕組みで決定されるのか、また、GPSが作り出されたきっかけにも触れる。さらに、教材ビデオで現在研究段階である日本独自のGPS衛星である順天頂衛星について学ぶ。現在のGPSのマイナス部分を改善する新たな技術の開発について触れ、GPSについての理解を深める。授業では、ビデオを適宜停止し、産業界の講師から補足の説明や情報を話してもらう。

2時間目は、現在GPSはどのようなところで活用されているのか、その活用例をまとめた教材ビデオを使って紹介する。長距離バスでの活用や、荷物運送トラックでの活用、船舶での活用等を紹介し、現在GPSがどのように使われているかを確認する。その後、生徒はグループに別れ、GPSの活用方法にはどのようなものが考えられるかという課題に取り組む。ディスカッションの中で、問題点や新たなアイデアを出し合い、GPSのメリットデメリットを考えさせたい。

3時間目は、生徒が考えた活用アイデアを発表し、講師からそれぞれにコメントを与えた。新たな気づきを与える質問や、発展的なアイデアを加えることで、生徒の知識の定着と、興味関心の高まりをねらいとする。
GPSの仕組みや活用例といった知識理解とともに、GPS機能付携帯電話の体験や活用法のアイデアを考える活動を通して情報技術を身近に感じ、日常生活の中でも興味を抱けるような構成とする。
授業のねらい 現在、人工衛星を使った測位システムの利用は、カーナビゲーションなどにより一般にも急速に普及し始めている。また、防災システムなどでは、災害が発生する恐れのある崖や河川などをG」PS機能付携帯電話のカメラで撮影し、画像データ・位置情報・時間データをあわせて防災本部に送信、瞬時に対応ができるようになっている。さらに、児童福祉や介護、警備などにも利用されている。
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、宇宙開発事業の1つとして、測位衛星システム(GPS)を使った測位情報の発信や測位精度改善、さらに複数の衛星を用いて少なくとも常時1機が日本の真上に見えるように配置する衛星システム「準天頂衛星システム」などの未来の先端技術を開発している。
しかし、そうした先端技術である測位システムは、生活を支えている重要な存在であるにも関わらず、目に見えないため、生徒にとって身近なものとしてとらえにくく、その仕組みについてもなかなか理解することはむずかしい。
そこで、本授業では、JAXAの宇宙開発の中の測位衛星システムに焦点をあて、日常あまり身近なものと感じられない先端技術について、GPS機能付携帯電話などの体験を通しながら学ぶ。また同時に、生徒がGPSの活用法を考えることによって、生徒たちが先端技術である測位衛星システムを実社会で活用することの意義を実感することを目指す。このことが、高等学校指導要領が言う「情報化の進展が生活に及ぼす影響」についての理解を深めるものと考える。
さらに、産業界で働く人の姿やおもいを見せることで、社会とのつながりを意識させ、将来を考えることでキャリア教育の一役を担うことを期待する。


授業内容(1時限目)
実施単位 1時限目
テーマ GPS機能付携帯電話の体験とGPSシステムの仕組みについて
実施場所 コンピュータ教室
実施時間 50分
講師 独立行政法人宇宙航空研究開発機構
宇宙利用推進本部 通信・測位利用推進センター
鶴田 尚史
使用教材 (1)GPS機能付携帯電話
(2)オリジナル教材ビデオ(宇宙と先進技術〜GPSの仕組み・準天頂システムについて)
(3)Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント(教材ビデオ補足説明用)

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1)講師の自己紹介(略歴・JAXAについての説明)をする。
(2)パワーポイントを使い、GPS機器(携帯電話)の使用方法(操作方法)について説明する。
(3)GPS機能付携帯電話を使い、自分の現在の位置の測定などを行い、GPSシステムとはどういったものであるかを体験する。
@現在地の測定
A目的地の設定
Bルートナビの体験
(4)GPSの仕組みについて、JAXA職員に取材し作成した教材ビデオを流した。教材ビデオを適宜一時停止し、パワーポイントを使って、GPSの仕組みについて、補足の説明を行う。
(5)JAXAで現在開発中の、日本独自のGPS衛星である準天頂衛星システムについて説明する教材ビデオを流す。教材ビデオを適宜一時停止し、パワーポイントを使って、GPSの活用例について、補足説明を行う。
(6)学習のまとめ、次回の予告をする。

■内容
(1) JAXA鶴田氏の紹介。

【1分〜】
(2)パワーポイントを使い、GPS機器(携帯電話)の使
用方法(操作方法)について説明する。ワークシートを配布する。

【3分〜】
(3)GPS機能付携帯電話を使い、自分の現在の位置の測
定などを体験させる。
@現在地の測定
A写真をとり、GPS情報を取得する。
BQRコードをカメラにとり、目的地情報を読み込んで、音声ナビゲーションを体験してみる。

【18分〜】
(4)・教室に戻り、GPSの仕組みについて、ビデオを流す。
〈ビデオの内容〉
1.担当者紹介(内村氏・中村氏)
2.仕事紹介
3.GPSの仕組みについて
・ビデオを止め、パワーポイントを使い説明する。
・ビデオの続きを流す。
4.GPS衛星の個数について
・ビデオを止め、パワーポイントを使い説明する。
・ビデオの続きを流す。
5.クイズ1
Q1.GPS衛星にはひとつだけ日常我々が使っているものよりとっても高価なものが使われています。それはなんでしょうか?
1. 高価な時計
2. 高価な鏡
3. 高価な磁石
・生徒の回答となぜそう思ったのかを聞く。
 ・ビデオの続きを流す。
6.クイズの解答と解説。(原子時計の話)
ビデオを止め、パワーポイントで原子時計の説明をする。
GPSにのせる時計の精度が重要な理由を説明する。GPSには10万年に1秒しかくるわない時計を使っている。しかし、1日では3×10-8秒(30ナノセック)狂う計算になる。光の速さは1秒に30万キロメートル(地球7周半)である。光の速さを時間にかけただけくるうので、GPSの時計が1秒ずれたら、自分の位置が30万キロメートルずれてしまうことになる。30ナノセックずれたら、自分の位置が10メートルずれることになる。よって、時計の正確さは大変重要である。
新型のGPSでは、100万年に1秒しかくるわない、現在の10倍の精度の時計をのせてるものがある。
・ビデオの続きを流す。
7.クイズ2
Q2.GPSは実は、ある必要にせまられて開発されました。そのきっかけは何でしょうか?
1.道に迷う人が多かったから
2.救急利用のため
3.戦争の時に兵隊の位置をしるため
・生徒の回答となぜそう思ったのかを聞く。
・ビデオの続きを流す。
8. クイズの解答と解説。(軍事利用の話)
・ビデオを止め、パワーポイントで軍事目的についての説明をする。
 GPSからは2種類の電波がでている。1つは民間利用向けで、もう1つ軍隊利用向けである。民間用だと数十メートルの精度で、軍隊用のものだと、10メートル以下の精度である。どちらにも暗号がかかっており、民間用のものは公開されているが、軍隊用のものは公開されていない。クリントン大統領が、民間用のものを無償で公開することを宣言し、無料で利用できている。もし有料だったら、個人では買えないくらいの値段だっただろう。
・ビデオの続きを流す。
9.仕事で一番楽しいところ・メッセージ

【38分〜】
(5)・GPS衛星の問題点に触れ、それを克服する技術である、準天頂衛星についてのビデオを流す。
〈ビデオの内容〉
1.担当者紹介(岸本氏)
2.仕事紹介
3.準天頂システムの説明
4.どんなところで役に立つか
・ビデオを止め、パワーポイントで説明する。
 ・現在のGPSの問題点と、日本でのGPSの需要の高さから、準天頂衛星の開発が行われていることを説明する。研究中の衛星の軌道(涙型、八の字型)の紹介をする。涙型は測位に敵した軌道で、八の字型は放送を重視した軌道である。
・ビデオの続きを流す。
5.仕事で楽しいところ
6.メッセージ
・講師からの話。今までに打ち上げられてきた衛星の種類について。気象観測関係のものと、通信関係のもの、そしてJAXAが一番力を入れいている宇宙観測関係のものといった人工衛星がある。

(6)学習のまとめ、次回の予告をする。
【〜46分】

(1)講師自己紹介



(2)(3)GPS機能付携帯電話で体験することの確認、体験

(授業映像(ダイジェスト版))

(4)(5)教材ビデオ視聴の様子

(授業映像(ダイジェスト版))

パワーポイントを使った補足説明の様子

(授業映像(ダイジェスト版))



授業内容(2時限目)
実施単位 2時限目
テーマ GPSの活用例の紹介と、GPSの活用法を考える
実施場所 コンピュータ教室
実施時間 50分
講師 独立行政法人宇宙航空研究開発機構
宇宙利用推進本部 通信・測位利用推進センター
鶴田 尚史
使用教材 (1) オリジナル教材ビデオ(GPSの活用例の紹介)
(2)Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント(教材ビデオ補足説明用)
(3)Microsoft(R) Office Word(R)ファイルドキュメント(活用法アイデア記入例)
(4)Microsoft(R) Office Word(R)ファイルドキュメント(活用法アイデア記入用)
授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1) パワーポイントを使い、JAXAから新しいGPSの活用法を考えてほしいと依頼されたというストーリーをつげ、そのために今回は現在のGPS活用例について学ぶことを伝える。
(2)現在のGPSの活用(@路線バスでの活用、Aさまざまな活用)についての教材ビデオを流した。教材ビデオを適宜一時停止し、パワーポイントを使って、GPSの仕組みについて、補足の説明を行う。
(3)講師から、宇宙飛行士の訓練の中でGPSが活用されている例を紹介する。
(4)課題テーマを繰り返し、GPS活用法アイデアの例を見せる。
(5)グループ単位でGPSの活用法のアイデアを考える。講師は、机間指導をしながら、生徒のアイデアにアドバイスを行う。
(6)学習のまとめを行い、次回はアイデアを発表してもらうので、発表の準備をしてきてほしいことを告げる。

■内容
(1) ・1時限目の授業をうけて、「1日に10mくるうという話だったが、毎日そんなにくるったら困るのではないか。」という疑問点について講師に聞いてみる。
「(講師の解答)地球上で、世界各国からGPSを監視しており、時計のずれを1日に何度か修正している。しかも、GPSから送られてくる電波の中には、今自分の時計がどれくらいずれているかという情報も含まれている。地上ではそれを計算して、正確な位置を出している。きちんと補正されている。」
【2分〜】
(2)・GPSの活用例のアイデアを提案してほしいことを告げる。
・コーディネーターから、事例の紹介をする。路線バスでの活用についての教材ビデオを流す。
〈ビデオの内容〉
1.導入のきっかけと仕組み
2.システム
・ビデオを止め、パワーポイントで説明する。
3.システムのメリット
4.クイズ
Q.このシステムが全く使えない場所があります。それはどこでしょうか?
1.羽田空港
2.東京湾アクアライン
3.新宿
・生徒の解答と、なぜそう思ったかを聞く。
・ビデオの続きを流す。クイズの解答と解説。(アクアラインでは使えないという話)
・ビデオを止め、解説に補足を加える。
「受信側の電波が混乱することはないので、羽田空港では問題はない。新宿でも問題が起きたことはない。なお、スピードセンサーやジャイロセンサーをつんでいて、車速や向きで位置を割り出す装置があり、アクアライン内でもバスの位置が分かる技術もあるが、バスロケーションシステムではコストの関係で、現在は取り入れていない。」
・ビデオの続きを流す。
5.生徒たちへのメッセージ
・その他のさまざまな活用を紹介することを伝える。
・その他の活用についてのビデオを流す。
【13分〜】
 〈ビデオの内容〉
1.自己紹介
2.物流システムの話
・ビデオを止め、パワーポイントで説明を加える。
・ビデオの続きを流す。
3.船の位置確認システムの話
・ビデオを止めパワーポイントで説明を加える。
4.災害時の活用の話(事前調査、災害発生時)
5.メッセージ
・ビデオを止め、パワーポイントで説明を加える。
【19分〜】
(4)・課題を伝え、GPS受信機付きランドセルの例や、自動車の盗難対策の例に触れる。
・位置に加えて、時間という点も考慮してほしいと伝える。
・コーディネーターから、発表形式にそった形で、活用例を1つ紹介する。(家庭訪問での活用)
・帝京高校の生徒の作品(空港で自分の荷物にシール型GPS受信機を取り付けるアイデア)を紹介する。
・活用例を考える際のポイント(場面を考える。目的を考える。方法を考える。)の説明を行う。ワークシートを配布する。
【26分〜】
(5)・ワークシートを配布し、準備にとりかからせる。
・講師は、机間指導をしながら、生徒のアイデアに
アドバイスをする。
【46分〜】
(6)・次回はアイデアを発表してもらうので、発表の準備をしてきてほしいと告げる。
・画用紙の発表資料を用意しておくことを伝えるる。
・講師からメッセージを伝える。
(1) 「活用法を考えてほしい」と課題を伝える



(2)教材映像視聴の様子

(授業映像(ダイジェスト版))

パワーポイントを使った補足説明の様子

(授業映像(ダイジェスト版))

(5)グループごとに活用アイデアを考える様子

(授業映像(ダイジェスト版))



授業内容(3時限目)
実施単位 3時限目
テーマ GPSの活用法アイデアを発表する
実施場所 コンピュータ教室
実施時間 50分
講師 独立行政法人宇宙航空研究開発機構
宇宙利用推進本部 通信・測位利用推進センター
岸本 統久
広報部教育グループ
中川 人司
使用教材 (1)Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント(課題確認)
(2)Microsoft(R) Office Word(R)ファイルドキュメント(感想シート)
授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1) 講師は、パワーポイントで、新しいGPS活用のアイデアを発表してもらうことを告げ、準備にとりかからせる。
講師は、机間指導をしながら、生徒のアイデアにアドバイスをする。
(2)グループごとに発表をした。講師は、1 グループの発表ごとに感想、アドバイスをする。また生徒の中からも質問を受け付け、また発表内容に対しより深めるための質問も行う。
(3)最後に講師からまとめや感想を伝え、生徒から質問などを受けつける。

■内容
(1)・JAXA岸本氏と中川氏を紹介する。
・発表の準備(3分)をすることを伝える。机間指導をしながら、生徒のアイデアにアドバイスをする。感想シートを配布し、発表を聞く際はメモをとりながら聞くように指示する。
【7分〜】
(2)・発表時間は3分、1班から発表してもらうこと、聞く人は感想シートに記入をするように伝える。グループごとに発表する。
●「けがをした際に適切な手当ができるようにするアイデア」
○生徒からの質問
 「電話をすれば早いのではないか。」
  発表者「写真で撮ることで、けがの様子を送る
ことで、対処の仕方が分かる。」
■講師からのコメント
  「実用的なアイデアですで。アメリカですでに実用化されつつある。「E911」と呼ばれていて、これは、日本で言う「119」。こういったシステムは日本でも何年か後には導入されるだろう。」
●「マラソンの際に選手の位置や順位をGPSで確認するアイデア」
■講師からのコメント
  「1つ質問で、マラソンでは往路復路は同じ道を走ることがあると思いますが、行き帰りの区別はつきますか?
解決策として、道筋をプロットし、たどった道がわかるようにするという方法がある。あと、いかに小型化するかで、現時点でも受信のみならば腕時計サイズのものもできるだろうが、発信までできるようになると、利用の幅も広がるだろう。」
●「タイムカプセルの埋めた位置をGPSで把握するアイデア。」
○稲葉先生からの質問
 「実用性はあるだろうか?」
 発表者「・・・。他のアイデアですが、地震の際に、生き埋めになってしまった時、居場所が分かる。」
■講師からのコメント
「地中では、GPSの電波の強度が弱くなるが、測位は可能である。ただ、もう1点、50年間電池を持たせるのは厳しくないか。」
生徒「技術開発で、50年持つ電池もできるのではないか。」
●「自転車が盗まれた時、ある場所が分かるように自転車にGPSを付けるアイデア」
○生徒からの質問

 「GPSを壊されるのでは。」
 発表者「壊されない場所に埋め込む。」
■講師からのコメント
「高級車にはすでにそういったシステムが使われている。今後コストが下がれば、色々応用可能であろう。」
●「待ち合わせの際、スムーズに会えるようにGPSを利用するアイデア。」
○生徒からの質問
「電話やメールでよいのでは。」
発表者「・・・・。」
■講師からのコメント
  「回答としては、今いる場所と待ち合わせを正確に把握することが可能になる点だろう。」
●「浮気を確認するためにを活用するアイデア。」
○生徒からの感想
 「実用化されてほしくない。」
○稲葉先生からの質問
 「ボタン型で、洗濯してしまったら壊れてしまうのではないか。」
 発表者「取り替えるので、大丈夫です。」
■講師からのコメント
  「もし浮気をしていないのに、ボタン型GPSを付けられていることに気づいたら、家庭不和にならないか。」
  発表者「ほぼ間違いないときにだけ付けます。」
  「アメリカで、犯罪者を仮釈放する際にGPSを付けると、犯罪者はとても嫌がるという話がある。人につけるという点については、より考える必要があるだろう。」
●「ぺットがいなくなった時、すぐに見つけられるようにGPSを利用するアイデア。」
 (ぺット捕獲会社を通して。)
 ○ぺットを飼っている人の中で、このシステムを使ってみたい人は?(0人)
■講師からのコメント
「コストの問題があるので、考えなければならない。
小学生のランドセルにGPSを付けて、子どもの居場所を把握するものができている。
今後ぺットでの利用も出てくるかもしれない。」
●「タクシーの待ち時間を縮小するためにGPSを活用するアイデア。」
■講師からのコメント
  「自分の居場所がはっきり分からないときに、タクシーを呼びやすいかもしれない。」
【45分〜】
(3)・総括としてのコメント
 ■中川氏からのコメント 
  「柔軟な発想で、発表の仕方もよかった。
科学技術というのは、技術が生まれた後にいろいろな利用法が出てくる。いろいろな利用法をみんなが考えることで、社会に広がっていく。いろいろなアイデアを考えてみてほしい。
JAXAのホームページを見て、いろいろな技術を見てほしい。質問はメールで送ってほしい。」
■岸本氏からのコメント
 「衛星はロケットで打ち上げられている。
 これからもどんどんロケットを打ち上げるので、そんなニュースを見たら、衛星が打ち上げられたのだなと思い出してほしい。」
・あいさつをして終了。

(1)講師の自己紹介の様子




発表準備の様子



(3)発表の様子

(授業映像(ダイジェスト版))


(3)講師の感想

■改善点
他校での実践から、他の班の発表時に、感想をメモすることが有効であると考え、感想シートを用意し、生徒に記録させた。



授業の成果
 本授業では、GPSを一例とした先端情報技術を、生活の中で身近なものとして感じられるようになることが大きなねらいであった。これについては、実際にGPS機能付の携帯電話を体験した点、例を身近な物の中から提示した点、身の回りの生活を振り返りGPSの活用法のアイデアを考えたといった点を通して、多くの生徒がGPSシステムについて身近に感じてもらえたと考えられる。質問6「実習や実演は、わかりやすいものでしたか。その理由を書いてください。」において、「実際にEZナビウォークを使ったり、自分たちでGPSの実用法を考えたりして、身近に感じられたし、分かりやすかった。」と回答した生徒もいた。CEC指定アンケート(生徒用)の結果でも、質問7「今回の授業のテーマに興味をもちましたか。」において、38人中「強い興味を持った」(2人)、「興味を持った」(27人)、「あまり興味を持てなかった」(4人)、「ぜんぜん興味を持てなかった」(1人)(無回答4人)と、7割程度の生徒は興味が高まったと回答している。
また、産業界の講師による授業の成果として、CEC指定アンケートの問9「講師による授業を受けて、普段の授業と違うことがありましたら記入してください。」の項目では、「すごく専門的で詳しく教えてもらったと思いました!」「先生たちとはまた違う知識があること。」といったように、講師による専門的な知識や詳しい説明へのプラスの評価に触れている生徒も何名もいた。専門的な知識を得られる点で、産業界の講師による授業の成果は大きいといえる。
また、本授業は生徒が大変積極的に授業を盛り上げ、明るく授業が進んでいった。「全員がわくわくしていた。」とアンケートの記述している生徒もいた。
さらに、今回は教材ビデオの中では、出演しているJAXAの職員から、仕事のやりがいや高校生へのメッセージをもらい、生徒に見せている。キャリア教育の意味からも産業界の講師による授業、産業界の方が関わる授業の成果は大きかったと考えられる。
これにより、生徒の活用法アイデアも、GPSの仕組みを理解し、生活を振り返って考えられた物となった。また、生徒は授業に積極的に参加しており、アンケートからは「楽しかった」「またこういった授業を行いたい」という声も多く、今回の授業は生徒のやる気を引き出せるものであったと考えている。

生徒の作品(ぺット捜索活用アイデア)
場面、目的、方法について
授業実施環境
・パソコン (Windows(R) XP)
・プロジェクタ
・スクリーン
・ビデオカメラ(Sony  DigitalHandycam DCR-TRV17 NTSC)
・GPS機能付携帯電話 (au EZナビウォーク機能付)
・マイク

※本クラスでは、教室の広さ、生徒の人数が多かったことから、講師はマイクを使って授業を行った。
使用機材
教材1 宇宙と先端技術〜GPSの仕組み・準天頂システムについて〜
教材仕様 RMV形式
内容 GPSの仕組みについて、またJAXAが現在開発中の技術である「準天頂衛星システム」について、JAXAの筑波研究センターを訪問し、研究者・開発者に取材しまとめたもの。
内容は次の通り。
○仕組みについて
1.担当者紹介(内村氏・中村氏)
2.仕事紹介
3.GPSの仕組みについて
4.GPS衛星の個数について
5.クイズ1
Q1.GPS衛星にはひとつだけ日常我々が使っているものよりとっても高価なものが使われています。それはなんでしょうか?
1. 高価な時計
2. 高価な鏡
3. 高価な磁石
6.クイズの解答と解説。(原子時計の話)
ビデオを止め、パワーポイントで原子時計の説明をする。
7.クイズ2
Q2.GPSは実は、ある必要にせまられて開発されました。そのきっかけは何でしょうか?
1.道に迷う人が多かったから
2.救急利用のため
3.戦争の時に兵隊の位置をしるため
8. クイズの解答と解説。(軍事利用の話)
9.仕事で一番楽しいところ・生徒たちへのメッセージ
○先進技術について
1.担当者紹介(岸本氏)
2.仕事紹介
3.準天頂システムの説明
4.どんなところで役に立つか
5.仕事で楽しいところ
6.生徒たちへのメッセージ
教材2 宇宙と先端技術〜GPSの活用〜1時限目
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント (19枚)
内容 「GPSの仕組み・準天頂システムについて」オリジナル教材ビデオの補足説明用の資料。
GPSの仕組みについて、一点の位置情報が決定する理論や、衛星の数について、
また、日本独自に開発を進めている、準天頂衛星システムについて、教材ビデオの内容のまとめと補足。
教材3 GPS機能付携帯電話取扱説明書
教材仕様 Microsoft(R) Office Word(R)教材:A4 1枚
内容 auのGPS機能付の携帯電話(EZナビウォーク)の、ナビゲート機能、現在位置の確認、QRコードを利用した目的地検索などの使い方を簡単に示したもの。
教材4 GPS機能付携帯電話取扱説明書
教材仕様 Microsoft(R) Office Word(R)教材:A4 1枚
内容 auのGPS機能付の携帯電話(EZナビウォーク)の、ナビゲート機能、現在位置の確認、QRコードを利用した目的地検索などの使い方を簡単に示したもの。
教材5 宇宙と先端情報技術〜GPSの活用〜2時限目
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント (13枚)
内容 「GPSの活用例」オリジナル教材ビデオの補足説明用の資料。
GPSを活用したシステムについて、教材ビデオの内容のまとめと補足。
教材6 宇宙と先端情報技術〜GPSの活用〜3時限目
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント (5枚)
内容 課題の提示と、発表方法の確認。
教材7 GPSの活用法を考えよう(記入例)
教材仕様 Microsoft(R) Office Word(R)教材:A4 1枚
内容 2時限目の後半、生徒が実際にGPSの活用法をグループ単位で考える際に参考にする。
・GPSの活用法を考える際のポイント整理
・例の提示
教材8 GPSの活用法を考えよう(記入用)
教材仕様 Microsoft(R) Office Word(R)教材:A4 1枚
内容 2時限目の後半、生徒が実際にGPSの活用法をグループ単位で考える際に参考にする。
・GPSの活用法を考える際のポイント整理
・アイデア記入欄
教材9 感想シート
教材仕様 Microsoft(R) Office Word(R)教材:A4 1枚
内容 3時限目の発表の際、他の班のアイデア発表へのアドバイスや感想を記入する。
授業協力メンバー

授業実施担当者
1・2 時限目

独立行政法人宇宙航空研究開発機構
鶴田 尚史
授業実施担当者
3時限目
セキュリティ レスポンス チーム
岸本 統久
授業実施担当者
3時限目
セキュリティ レスポンス チーム
中川 人司
授業補助 NPO法人企業教育研究会
塩田 真吾
資料写真撮影 NPO法人企業教育研究会
石井 和恵
資料ビデオ撮影 NPO法人企業教育研究会
川崎 雅子
授業の感想 授業実施者
・カーナビやGPS携帯電話等、普段なにげなく使っている物に、人工衛星という先端技術が使われていること、また、衛星測位の仕組みについて、生徒が多少なりとも理解できたと思われる。また、人工衛星が身近な事項に使用できることも学習できたと思われる。
・時間がなかなかとれないところもありますが、授業をシリーズ化するのもよいと思う。
・生徒の発表から、GPSに対する理解の進みが伺えた。実用につながるアイデアもいくつかあり、よく考えられていたと思う。
・企業側へのフィードバックを行ってほしい。より、負担が少なく、また効率の良い枠組みの構築があることで、今後もこういった授業は継続できると思う。

担任の先生
・「情報」の授業の年間計画に組み込めるように企業と学校とのパイプ役があるとよい。
・全クラスで実施できる体制が整えられると、継続しやすくなるだろう。

生徒
・普段はパソコンなどで情報を得ることしかできないけど、実際に関わっている人からより詳しい情報が得ることが出来たりしてよかったです。
・普段は、勉強しないところを勉強できたのでよかったです。
・専門家の意見が聞け、実際に取材したビデオを見せていただいき、よかった。
・意外に知らないこととかがあって楽しかった。普段とはちがって授業の内容にとても興味があった。
・普段と違う人がきて、自分たちも使っているけど知らないことを勉強して、すごいなと思った。
・普段の授業とちがって班で色々考えたり、外に出たりして楽しかった。またやってみたいと思った。
・専門家の人に教えてもらえるから、くわしいし、わかりやすいし、新鮮で楽しかった。

授業情報提供者
・体験を通してGPSの仕組みを学んだので、興味を持ちながら学ぶことができた。
・明るい雰囲気で授業が進んでいき、3時限目の発表も大変工夫されたものが多かった。

オブザーバ
・情報の活用能力(スキルではない活用能力)、情報の科学的理解(専門家ならではのコメント)、情報社会への参画(プライバシー等)の3点共に含まれた、よい授業であった。
・発表準備の時間が少なく、検討の余地がある。、
・GPSの説明の際は、プリントで穴埋めさせたり、記録できたりすると、身につけさせるのによいと思います。
・GPSの仕組みや応用例などについての説明は、わかりやすかった。