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実践事例

『CGアニメ入門』−CGアニメーションをつくろう−
テーマ名
『CGアニメ入門』−CGアニメーションをつくろう−
実施学校情報
学校名 大阪府立柴島高等学校
学年 高校3年生
生徒数 19名
実施日 2004年10月19日(火)
合計授業時間 90分
教科・単元 教科:情報A
単元:(3)情報の統合的な処理とコンピュータの活用
授業概要 (株)ドーガが開発したCGソフト「DOGA-E」シリーズを用いて短時間のあいだにCG制作の一端を体験する。

1時限目:パワーポイント教材「CG入門」および(株)ドーガの過去のCG映像作品を用いて「CGアニメとは」「パーソナルCGアニメの現状」「CGアニメ制作の流れ」についての講義を行った後DOGA-E1を用いて「空を飛ぶもの」というテーマでモデリングの自由制作を行う。自由制作中は講師および補助講師が生徒に適宜アドバイスを与える。

2時限目:DOGA-E2を用いて1時限目に制作したモデルに動きやカメラワークをつけてアニメーションの自由制作を行う。アニメーションのレンダリング中にプロのCG映像作品およびアマチュアCGコンテスト入選作品を鑑賞する。最後に補助講師が生徒全員のアニメーションを繋いで上映会を行う。
授業のねらい 今日、日本の産業界においてコンテンツ産業は最も重要視されているものの一つである。なかでもCG映像制作は映画やゲームなどで幅広く使用され花形産業となっている。しかしながら現在CG映像業界で使用されている主なCGソフトは操作が複雑で習得にも時間がかかり、CG制作を体験するために“少しだけ操作を覚える”ということが難しいのが現状である。
本授業では(株)ドーガが開発したCGソフト「DOGA-E」シリーズを用いて短時間のあいだにCG制作の一端を体験することで、生徒が今後職業を決定していく過程においてコンテンツ制作産業に興味を持ち、CG制作がその選択肢の一つとなることを目的とする。
また今回の授業では高等学校学習指導要領の情報A(3)「情報の統合的な処理とコンピュータの活用」に基づきCGの基礎、カメラワーク、視覚効果など映像表現の基礎技術の理解とともに3DCGにおいて3次元情報がどのように扱われ、コンピュータがデザイン分野においてどのように活用されているかを学ぶ。さらに自由制作を通して自らの創造性を生かした“モノづくり(デザイン)”を体験することで、その楽しさを知ってもらうことをねらいとした。


授業内容(1時限目)
実施単位 1時限目
テーマ 導入およびCGアニメ制作1(モデリング)
実施場所 視聴覚教室
実施時間 45分
講師 株式会社ドーガ 鎌田 優
使用教材 (1)CGアニメ入門ソフト「DOGA-E1」
(2)Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント
(3)株式会社ドーガ CG作品映像DVD

授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1)「CGアニメとは」「なぜCGアニメを始めたか」
パワーポイントおよび株式会社ドーガの過去のCG映像作品を上映しながらの講義(6分)

(2)「パーソナルCGアニメの現状」
パーソナルCGアニメーション『ほしのこえ』を取り上げたNHK朝のニュースの録画を上映しながらの講義
(6分)

(3)「CGアニメ制作の流れ」
パワーポイントを使用しながらの講義
(8分)

(4)「CGアニメ制作1」
DOGA-E1を使用しての自由制作
(25分)

■内容
(1) 「CGアニメとは」「なぜCGアニメを始めたか」
CGアニメとは広い概念ではコンピュータを使って映像をつくること。最近ではあらゆる映像にCGアニメが使われるようになっている。
学生時代に実写での映像制作を始めるが、ものすごく大変な作業であることに気づく。そこでもっと簡単に映像制作を行う方法はないものかと考えていたときCGアニメと出会う。

●生徒への質問
鎌田「CGアニメは従来のアナログの実写と比べどこが優れているか?」
生徒「夢をかなえてくれる」
鎌田「かっちょいいこと言うね(笑)。そうですね要するに実際にはないモノでもCGなら作ることができます。」

(2)「パーソナルCGアニメの現状」
これからの日本の重要な産業であるコンテンツ制作の中心になるのではと注目されている分野。数年前に新海誠氏が全てを一人で制作した「ほしのこえ」が大ヒットしたことは有名。NHKのニュースでも取り上げられていた。

(3)「CGアニメ制作の流れ」
CGアニメ制作を人形劇の制作に例えながら「モデリング」「モーションデザイン」「レンダリング」「その他」
の流れに沿って説明。

(4) 「CGアニメ制作1」
「空を飛ぶもの」をテーマとしたモデルの自由制作。
最初に講師が簡単に一連のモデリングの操作を実際に行い、それに続いて生徒が自由制作に入る。講師及び補助講師はその間生徒の机の間を廻り質問に答えたり、アドバイスを与えたりする。作品が完成したら一旦全てのデータをサーバに保存する。

(1)「CGアニメとは」の講義



(3)「CGアニメ制作の流れ」の講義



(4)DOGA-E1を使用しての自由制作




授業内容(2時限目)
実施単位 2時限目
テーマ CGアニメ制作2(モ−ションデザイン)
実施場所 視聴覚室
実施時間 45分
講師 株式会社ドーガ 鎌田 優
使用教材 (1) CGアニメ入門ソフト「DOGA-E2」
(2) CGアニメコンテスト入選作品映像DVD
授業の進行・内容 授業の様子
■進行
(1) 「CGアニメ制作2」
DOGA-E2を使用しての自由制作

(2)「CGアニメ作品鑑賞」
レンダリング待ちの間にプロおよびアマチュアCGコンテストの入選作品を鑑賞

(3)「生徒作品の上映」
完成した全員のCGアニメーション作品を鑑賞する。

■内容
(1) 「CGアニメ制作2」
1時限目に完成したモデルに動きをつける。テーマは「空中レース」で長さは5〜10秒程度。背景となる空間データは講師側で準備したものを使用する。サーバに保存されている他の生徒の作品も自由に使ってレースをさせ、アニメーションを制作する。最初に講師が簡単に一連のモーションデザインの操作を実際に行い、それに続いて生徒が自由制作に入る。講師及び補助講師はその間生徒の机の間を廻り質問に答えたり、アドバイスを与えたりする。モーションが完成したらレンダリングの作業に入る。
(2)「CGアニメ作品鑑賞」
モーションが完成したデータのレンダリング作業を行う間にCGアニメ作品「ほしのこえ」の一部および2003〜2004年度CGアニメコンテスト入選作品を数本鑑賞する。レンダリングが上がった全員の完成アニメーションを補助講師が繋ぎ合せてBGMを付け1本のムービーに仕上げる。

(3)「生徒作品の上映」
完成した全員のCGアニメーション作品を鑑賞する。
まとめ「CGというのは実は映像を制作する一つの道具に過ぎないので、これをきっかけに映像制作に興味を持っていただけると幸いです」

(1)-1「CGアニメ制作2」の講義〜映像理論のひとつ“会話線の法則




(1)-2新しい動物?!



(1)-3補助講師のアドバイス




授業の成果

(1)目標の達成度
生徒・先生・オブザーバー (授業参観者)に対して行ったアンケート結果からみて目標である「CGの基礎およびカメラワークや、視覚効果など映像表現の基礎技術の理解」は、ほぼ達成できたのではないかと考える。アンケートの「授業のどのようなところが楽しかったですか?」に対する自由記述として「自分で考えて作ったモデルが動くところがすごく良かった」という内容の回答が多かったことからも“モノづくり(デザイン)”の楽しさを感じてもらえたのではないかと考える。

(2)産業界の講師としての効果
CG制作における表面的な技術については教材であるDOGA-Eシリーズを用いることでCGの知識があまりなくても教えることは可能である。しかしオンタイムなCG技術の動向や流行などはやはり産業界に身を置いていないと教える事は難しい。それは生徒に見せる作品例の選び方などにも現れてくる。また実際に仕事として作品を作っているからこそ、たとえ基礎的、表面的な技術を語っていても机上の理論ではなく、言葉に重みがあり、生徒はそれを敏感に感じ取っていたのでないか。それこそが産業界の講師が授業を行うことの最大の効果であると感じた。

授業実施環境
サーバーPC(1台)
・DOGA-Eシリーズをインストール
・講師がDOGA-Eシリーズを操作
・生徒のモデルオブジェクトデータおよび
  アニメーションデータを保存
・(株)ドーガCG作品DVDおよび
  パーソナルCG作品DVDを上映

プロジェクタ
       

クライアントPC(生徒人数分)
・DOGA-Eシリーズをダウンロードおよび操作
・他の生徒のモデルオブジェクトデータをダウンロード
・完成したモデルオブジェクトデータおよび
  アニメーションデータをサーバーへアップロード






使用機材
教材1 DOGA-E1
教材仕様 CGアニメ入門ソフト
内容 「DOGA-E1」は、CGアニメ入門ソフト「DOGA-Eシリーズ」のファーストステップ。物体の形状を作成する(モデリング)ソフト。
教材2 DOGA-E2
教材仕様 CGアニメ入門ソフト
内容 「DOGA-E2」は、CGアニメ入門ソフト「DOGA-Eシリーズ」のセカンドステップ。物体やカメラの動きおよびライトの設定を作成する(モーションデザイン)ソフト。
教材3 CGアニメ入門
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)ファイルドキュメント(15枚)
内容 CGアニメ−ションの意味や優れている点、制作における基本的な流れ、さらに話題のパーソナルCGアニメーションについてなどを解説。
教材4 株式会社ドーガ CG作品映像
教材仕様 DVDビデオ
内容 株式会社ドーガが過去に制作したCG映像作品集
教材5 CGアニメコンテスト入選作品映像
教材仕様 DVDビデオ
内容 PROJECT TEAM DoGA主催CGアニメコンテスト入選作品集
授業協力メンバー
授業実施担当者 株式会社ドーガ
鎌田 優
授業実施補助 株式会社ドーガ
高津 正道
授業実施補助 株式会社ドーガ
山下 真也
資料写真撮影 有限会社カヤ
平井 良信
資料ビデオ撮影 有限会社カヤ
佐野 一郎
授業の感想 授業実施者
生徒は全体的には楽しんで授業を受けてくれていたようだが、時間配分の問題で最後の締めくくりがきちっとできなかったことが残念。

担任の先生
生徒は皆、興味を持って集中して説明を聞き、熱中して制作をしており大変良かった。
完成した各生徒バラバラの作品をつなぎ合わせると意外にまとまって良く見えて驚いた。

生徒
・パーツを組み合わせて立体的にしたり、動くものを作ったことがなかったし、そんなことが自分でできると思っていなかった。いろんなパーツがあって楽しかった。
・ 実際にその専門分野で働く人の話なので現実味があった。
・カメラの動かし方や持っていき方が難しかった。

授業情報提供者
生徒はみな楽しんでいたようなので全体的には成功であったと思う。ただ下調べが不十分だったためマシンのスペックが足りず一部ムービー等の再生に不具合が出てしまい申し訳なかった。

オブザーバ
CGアニメという高校生の興味をひきつけるに足るものであるので、のめり込みやすいと思います。自分の考えていることをいかに表現するか=情報の見せ方、表し方を考えるトレーニングの場として大いに利用したいと思います。