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実践事例

世界一のサッカーロボット「VisiON」と制御技術
テーマ名
世界一のサッカーロボット「VisiON」と制御技術
実施学校情報
学校名 大阪府立清水谷高等学校
学年 高校1年生
生徒数 55名
実施日 2004年10/15(金)
合計授業時間 90分
教科・単元 教科:情報A
単元:(4)情報機器の発達と生活の変化
    イ 情報化の進展が生活に及ぼす影響
授業概要

【1時限】
〜ロボットに命令し、動かしてみよう〜
人体との比較により、ロボットの制御機能の基本であるセンサーとコンピュータ、モーターの関係を理解するとともに、モーション編集ソフトを使って実際のロボットを動かすことで、一連の運動があらかじめ定義された個々のモーションの集合体であることを理解する。
【2時限】
〜ロボットはなぜサッカーゲームができるのか?その秘密を考えてみよう〜
ロボットの動きの細部を観察し、行動を決めるアルゴリズムを推理、考察することで、世界最先端のロボット制御技術と言えども、その基本は一つ一つの判断から構成された手順(アルゴリズム)であることを理解する。また、これまでの開発エピソードなどを交えながら、ロボット技術が将来どのような進化を遂げ、社会生活にどのような影響を与えるのかについて考察する。

授業のねらい ロボットという実態のある対象物を通じて、「コンピュータによる制御技術」の実際を体験、考察するとともに、高度に発達した情報技術が産業や生活にどのように関わり、影響を与えていくかについての理解を促す。また、新しい情報産業社会への挑戦心を養うこと目標とする。


授業内容(1時限目)
実施単位 1時限目
テーマ ロボットに命令し、動かしてみよう
実施場所 大阪府立清水谷高等学校 コンピュータ教室
実施時間 45分
講師 ヴィストン株式会社代表取締役 大和信夫
使用教材 (1) ヒューマノイドロボット「ロボビーM」
(2) モーション編集ソフト「ロボビーメーカー」
(3) パワーポイント教材「世界一のサッカーロボットVisiONと制御技術」
(4) 動画1(TV番組)
(5) 動画2(ロボカップダイジェスト)

授業の進行・内容 授業の様子

■進行
1 PP教材とTV映像を使って、ロボカップ世界大会で優勝したVisiONのプロフィールを紹介するとともに、VisiONのデモンストレーションを行う。

2 PP教材を使って、VisiON(完全自立型ロボット)の歴史的な位置付けや人体と対比(目・三半器官、脳、筋肉)してのセンサー、コンピュータ、モーターの機能を説明する

3 本物のロボット「ロボビーM」とモーション編集ソフトを使って実際のロボットのモーションづくりを体験してもらう。最後にモーションづくりから自立運動へと話を発展させ、2時限目に繋げる。

■内容
志願した2人の生徒に編集ソフトでロボットを動かしてもらう。はじめは単一の動き「手をあげる」から、「手首を右にふる」といった新たな動きを追加し、連続させていく。「手を振る」といった動きが、アニメーションのように一つ一つが連続的した動きであることを実感する。複数の生徒から「自分もロボットを動かしてみたかった」という声があった。

 



(1)VisiONのデモンストレーション

−授業映像−

(2)ロボットと人体の機能比較

−授業映像−

(3)ロボビーMを動かす生徒

−授業映像−

■改善点
第1回の授業であるため特段なし



授業内容(2時限目)
実施単位 2時限目
テーマ ロボットはなぜサッカーゲームができるのか?その秘密を考えてみよう
実施場所 府立清水谷高等学校 コンピュータ教室
実施時間 45分
講師 ヴィストン株式会社代表取締役 大和信夫
使用教材 (1) パワーポイント教材「世界一のサッカーロボットVisiONと制御技術」
(2) 動画3 画像センサー
(3) 動画4 キーパー1
(4) 動画5 キーパー2
(5) 動画6 シュート1
(6) 動画7 シュート2
(7) 動画8 蛇行歩行
(8) 動画9 フリースタイル
(9) 動画10 公共広告機構CM
(10) ワークシート1
授業の進行・内容 授業の様子

■進行
1 センサー映像を使って、ロボットの眼からボールがどのように見えるか、ロボットの認知メカニズムを説明する

2 キーパー映像を使って、VisiONがどのように判断してボールをセーブしているかを生徒に考えてもらったのち、アルゴリズムの定義へと導く。

3 シュート映像などその他のロボカップ映像を使って、アルゴリズムを考えてもらう。生徒はワークシートでフローチャートを考察する。

4 インターネットにて、医療、ペット、レスキューなど様々な最先端ロボットを紹介したのち、近未来における私達の生活とロボットの関係について考察する。授業終了後は撮影会状態となり、生徒はいつまでも帰らなかった。

■内容
概念的に難しいアルゴリズムを解説するため、「スキヤキの作り方」など日常的な事例を示し、普段の行動にもアルゴリズムがあることを強調した。ワークシートにてフローチャートを考察させたのち、PP教材で解答を説明し、アルゴリズムへの理解を促した。

 

(1)ロボットの認知メカニズムを学習

−授業映像−

(2)VisiONのサッカーシーンを見る

−授業映像−

(3)ワークシートに取組む生徒


(4)VisiONと一緒に記念撮影



■改善点
第1回の授業であるため特段なし



授業の成果

アンケート結果から授業効果は高ったと考えられる。
・ 「講師の教え方」については、95.4%の生徒が「大変わかりやすかった」または「わかりやすかった」と回答
・ 「教材」については、95.5%の生徒が「大変わかりやすかった」または「わかりやすかった」と回答
・ 「授業内容の理解度」については、97.7%の生徒が「とても理解できた」または「大体理解できた」と回答
・ 「再受講の希望」については、100%の生徒が「ぜひ受けたい」または「受けたい」と回答
・ 学習テーマが「アルゴリズム」といった「情報」の中でも最も高度な内容であったにも関わらず、「とても理解できた」または「大体理解できた」と回答した生徒比率が、97.7%であったことは予想以上の結果である。

授業実施環境 持ち込みパソコンがインターネットに接続可能な回線
プロジェクター2台(1台は教材投影、1台はデモ用ロボット投影)
使用機材
教材1 ロボビーM
教材仕様 ヒューマノイドロボット(市販品)
軸自由度 22軸
重量  1.9kg
全高  290mm
ヴィストン社販売
内容 デモ用装置に設置し、全身の動きがわかるように提示。
教材2のソフトでモーションをコントロール
教材2 ロボビーメーカー
教材仕様 モーション編集ソフト
GUIによるモーション編集ソフト
上記ロボビーMに附属して販売
内容 コントロールPCにインストールし、モーションデータを作成し、有線で ロボットにデ−タをダウンロードし、ロボットを作動させる。
教材3 パワーポイント教材「世界一のサッカーロボットVisiONと制御技術」
教材仕様 Microsoft(R) Office PowerPoint(R)
画面数  44
データ量 2.19MB
内容 授業全般を通じて使用
授業プラン1とプラン2共通
但し、使用画面は異なる
教材4 動画1
教材仕様 Mpeg
データ量  18.3MB
時間    3分25秒
内容 VisiONを紹介したTV番組
授業導入部分に使用
※著作者の意向により公開不可
教材5 動画2
教材仕様 Mpeg
データ量  80.1MB
時間    1分54秒
内容 ロボカップinリスボンでの映像ダイジェスト
1時限目最後に使用
※著作者の意向により公開不可
教材6 動画3
教材仕様 Mpeg
0.3MB
時間    2秒
内容 画像センサーから見たボールの転がり方
画像センサーの説明で使用
教材7 動画4
教材仕様 Mpeg
0.8MB
時間  8秒
内容 キーパー映像1
ボールの転がる方向に向かってダイビングするVision
アルゴリズム学習で使用
教材8 動画5
教材仕様 Mpeg
14.2MB
時間  19秒
内容 キーパー映像2
ボールの転がる方向に向かって、3パターンのセーブ方法をとるVision
アルゴリズム学習で使用
教材9 動画6
教材仕様 Mpeg
34.7MB
時間  46秒
内容 シュート映像1
ボールに近づき、ボールの位置、キーパーの位置を確かめてシュートするVision
アルゴリズム学習で使用
教材10 動画7
教材仕様 Mpeg
10.1MB
時間  13秒
内容 シュート映像1
シュートするVision、ゴール場面あり
アルゴリズム学習で使用
教材11 動画8
教材仕様 Mpeg
77.3MB
時間  1分42秒
内容 蛇行歩行競技
三本のポールの間をポールに触れないようにジグザグに歩行
アルゴリズム学習で使用
教材12 動画9
教材仕様 Mpeg
78.7MB
時間  1分46秒
内容 フリースタイル
色を識別する競技。ボールを3つの箱のうちのひとつに入れてシャッフル。
入れた箱の色を識別して、ボールの入っている箱をあてるVisiON
アルゴリズム学習で使用
教材13 動画10
教材仕様 Mpeg
78.7MB
時間  1分46秒
内容 公共広告機構CM「やったろう!関西!ロボット編」
新しいロボット開発に取り組む関西のベンチャー企業。その挑戦心をアピール
※著作者の意向により公開不可
教材14 ワークシート1
教材仕様 ワードファイル
0.3MB
内容 アルゴリズムの例題等を示したプリント
※著作者の意向により公開不可
授業協力メンバー
授業実施担当者 ヴィストン株式会社
代表取締役
大和 信夫
授業実施補助 NPO法人MEF
資料写真撮影 NPO法人MEF
授業の感想 授業実施者
・ 生徒の反応は予想以上に良かった。

担任の先生
・生徒はとても意欲的だった。次の展開授業に大いに役立った。

生徒
・ 「普段の授業では机の上、紙の上だけなので実感がわきませんでしたが、目の前に実際にロボットがあるのでわかりやすかった。ありがとうございました。」
・ 「まさに大学の授業を受けているみたいで、是非、大学にいったら、こういう勉強をしてみたいと思った。」
・ 「ヴィジオンかっこいい!!」
・ 「今度もぜひ優勝してください。CMを「くだらない事」なんておっしゃっていましたが、全然そんなことはありません。私のような夢見る少年の夢をかなえるものになっていくものだと思います。今後もがんばってください。」
・ 「アルゴリズムの説明がおもしろかったです。」
・ 「とてもイキイキと説明されていてこっちまで楽しくなった。最新技術にふれられてとても楽しかった。」
・ 「楽しい!」

授業情報提供者
・初めての授業としてはほぼ成功。授業終了後のロボットに興味をもった子供たちは、30分以上してもなかなか帰らなかった。ただ、時間配分がうまくいかず、演習課題への取組み時間が十分にとれなかったり、説明スピードが速すぎた感あり。原因は、教員等からのリクエストが多く、教材ボリュームが増えたこと、講師の経験不足が考えられる。

オブザーバ
・「教材として授業に取り入れたい」
・「大変興味深い内容でした。できればカメラを通してではなく、教室で生徒の雰囲気を見てみたかったです。」
・「実際に情報を活用している企業の行っていることを体験することは良い」
・「アルゴリズムを考えたり、実際に動かしてそのフィードバックをアルゴリズムに戻したりといった方向に展開できるかと思うので、これから以降の授業が勝負の鍵でしょうね。とても面白いネタの提示で、頭も心もリフレッシュしました。」